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海藻を食べて健康に・・3   食物繊維四つのおもな働き!


物繊維は種類も性質もさまざま

 食物繊維はいろいろな食品の中に含まれています。
動物性と植物性のものがありますが、とくに野菜や果物、豆類やきのこ類、そして海藻に多く含まれています。
海藻の乾燥重量の40%から60%は、なんと食物繊維なのです。

まさに海藻は、食物繊維のかたまりです。

 海藻の食物繊維は多種類あって、セルロース、へミセルロース、キシラン、マンナン、キチンなどの細胞壁を構成するものと、アルギン酸、フコイダン、ラミナラン、寒天などの細胞と細胞の間にあるものがあります。
セルロースなどは水に溶けない食物繊維で、アルギン酸、フコイダンなど細胞間に貯蔵されている食物繊維は、海藻が、海という陸上とは違った環境の中で生育していることから、特異なはたらきを持つ成分です。

ルロースは腸の掃除屋

 セルロースなどの水に溶けず、消化もされない食物繊維は、腸の中で水を含んで数倍から十数倍にふくらみます。
このことが腸の中でできる便の量を増やして柔らかくし、ひいては腸の壁を刺激して腸のぜん動運動を活発にし、便が腸の中に長くとどまることを防ぎます。

腸での便の通過時間が短いということは、便の中の有害物質を吸収されにくくします。
排泄をうながす食物繊維は、まさに腸の掃除をしているわけです。

ルギン酸は塩分の運び屋

 わかめやこんぶのヌルヌルしたぬめりの正体が、水溶性の食物繊維であるアルギン酸です。
このアルギン酸には、塩分を体外に排出するというはたらきがあることが、ラットを使った実験でも明らかにされています。

 食塩のとりすぎは高血圧をまねきます。
しかしアルギン酸は、体内で食塩のナトリウムと結びつき、すみやかに便の中に排出させてしまうのです。
そのため体内のナトリウムは減少し、血圧の上昇を抑えることになるのです。

高血圧を防ぐためには、食事をするときに、まずは塩分を控えることが大事ですが、アルギン酸を多く含む、わかめやひじき、こんぶなどの海藻を多く食べていると、その害をより少なくすることができます。

ルギン酸は血液中のコレステロールを減らす

アルギン酸には、血液中のコレステロールを減らすはたらきもあります。

コレステロールは、とかく悪い面ばかりが強調されていますが、細胞膜をつくったり、脳や神経の機能にもかかわっており、私達が生きていくうえで大切なはたらきをする不可欠なものです。

 しかし、血液中のコレステロールが多くなりすぎると血管の中にたまり、動脈硬化をひきおこす元凶にもなります。
食物からとるコレステロールの量は近年増加する一方ですが、アルギン酸は二つの点で血液中のコレステロールを減らす効果があります。

一つは、アルギン酸は、そのぬめりで食物のコレステロールを包み込み、そのまま体内を素通りして体の外に出してしまいます。 この結果、コレステロールは血液中に吸収されにくくなります。
またもう一つはちょっと複雑なしくみで血液中のコレステロールを減らします。

 肝臓では脂肪を分解する胆汁という消化液をつくっていますが、この胆汁は腸内で役目を終えると、その主成分の胆汁酸が腸壁から吸収され再利用されます。

アルギン酸はそのぬめりでこの胆汁酸の再吸収を邪魔します。
そうすると胆汁酸は不足してくるので、肝臓ではさらに新しい胆汁酸をつくらなければならなくなります。
実は、この胆汁酸のもとになるものがコレステロールなのです。

 つまりアルギン酸によって減らされた胆汁酸を合成するために、血液中のコレステロールはどんどん消費され、結果としてコレステロールが減るということです。

食品中のコレステロールはたんぱく質と一緒にあることが多いことから、コレステロールの害を恐れるあまり、良質のたんぱく質の摂取量を必要以上に減らしてしまう人がいますが、それよりも海藻のアルギン酸の効用を利用して、その量を調整するほうがずっと良いのではないでしょうか。

ルギン酸は腸内細菌のバランスを整える

 腸には100種類ほどの腸内細菌が、100兆個ほど住みついています。

その中には病原菌の増殖を抑える有益なはたらきをするビフィズス菌などや、腐敗をすすめ、毒素をつくりだして害を及ぼすウェルシュ菌など、さまざまな細菌がいます。

アルギン酸など水溶性の食物繊維は、有益菌の栄養源となります。
食物繊維を十分にとると、有益菌が増えてきます。
しかも、腸内細菌の総数はだいたいいつも一定なので、有益菌の勢力が強くなると、有害菌の活動は抑えられていきます。

したがって、食物繊維をたっぷりとることは腸内細菌のバランスを整え、腸のはたらきを健全に保ちます。