骨粗しょう症という病気はご存知でしょうか?
骨が海綿のような状態になり、ぼろぼろになってしまうというものですが、
わずかな衝撃を受けただけでも骨折するという厄介な病気です。
老化現象にともなって骨がもろくなる年代、とくに女性に多いといわれたこの病気が、現在では若い人たちの間にもみられるようになりました。
カルシウム不足が年齢を問わず蔓延していることを証明するものでしょう。
骨や歯をつくっているカルシウムは、私たちの体にいちばん多くあるミネラルです。
カルシウムのうちの99%までは、骨や歯に集まっていますが、残りの1%は、筋肉や血液に含まれ、これも重要な働きをしています。
例えば、心臓の筋肉を収縮させるためにもカルシウムは必要ですし、出血を
したときに血液を固め、止める働きもカルシウムがなくてはできません。
また、血液の中のカルシウム濃度は常に一定に保たれ、カルシウムが不足して薄くなると骨から溶け出して調節されます。
ですから、カルシウムを意識してとらないと、骨がボロボロの状態になってしまうのです。
私たちの体に大切なカルシウム。 ところが、これが日本人に一番欠けているミネラルです。
その背景には火山帯である日本には、土壌にもともとカルシウムが少なく、
したがって、水源にもカルシウムが豊富には溶けだしていないという国土的な事情もありますが、それだけにいっそう意識してとる必要があるわけです。
カルシウム源といえば、真っ先に思い浮かぶのが牛乳でしょうか?
確かに牛乳にはたっぷりのカルシウムが含まれています。
180ml中に200mgという立派な含有量ですから、約3本で、牛乳からだけでも必要量がとれることになります。
ただし、現実には毎日3本の牛乳を飲んでいる人というのはそれほどいないのではないでしょうか。
とすれば、カルシウムをたくさん含んだ他の食品に注目しないわけにはいかなくなります。
小魚はカルシウム食品の代表格ですが、現代の食の嗜好を考えると、それほ
ど期待することには無理がありそう。 小魚の空揚げを骨ごとバリバリ食べる機会は、昔にくらべて格段に減っているからです。
そこで、俄然、海藻がクローズアップされてきます。
わかめ、昆布、ヒジキなど海藻のカルシウム含有量は、まさに特筆に値するほど豊富です。
まず、昆布を例にとれば、乾燥昆布100gに含まれるカルシウムの量は、なんと
1000〜1500mg、干しヒジキには1400mgものカルシウムが含まれているのです。
牛乳100gの含有量は100mgですから、カルシウム食品としての昆布やヒジキ
のすごさは圧倒的です。
油揚げやニンジンとヒジキを炊き合わせる料理は、かつて家庭料理の定番でした。
しかし、今ではヒジキそのものを知らない家庭の主婦が至るところにいます。
ただでさえ不足しがちなカルシウムを、食事の中でとる機会はさらに減っているのです。
カルシウム不足は、肉体的な体の機能を阻害するだけではありません。
精神的な部分にまで影響するのです。 現代人の誰もが抱えているイライラ、ストレスといったことも、恒常的なカルシウム不足と無縁ではありません。
実際、カルシウムの豊富な食生活に変えると、精神的にも落ち着いたという臨床結果も出ています。
ただし、カルシウムには根源的な問題があります。
それは、同じミネラルのリンを多く含む食品と一緒にとると、吸収率が悪くなってしまいます。
リンを多く含む食品といえばインスタント食品や加工食品です。
最近の子供たちの骨の弱さが指摘されることと、彼等の食傾向との間には、確かな因果関係がありそうですね。
その点、海藻のリン含有量はごくわずか。
例えば昆布ならカルシウムの三分の一から五分の一程度です。
つまり、カルシウムを効率よくとるための最高の食品は、あらゆるところからみて、例えば昆布などの海藻しかないのです。
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