美味しいごはんの代名詞『銀しゃり』、誰もが想像がつく言葉ですね。
銀しゃりを家で食べるにはどうすればよいでしょう?

まず肝心なのがお米選びです。
ここで、重要なのがまず、自分の好みにあった、お米を選びましょう。

粘りの強いごはんが好きな方は粘りの強いお米
かためのごはんが好きな方は固めのお米

各産地によってかたさは違いますし、品種(こしひかり、ひとめぼれなど)によって粘りや、甘みが違ってきます。
いろんなお米屋さんで専門のアドバイザーにお聞きください。

次に、そのお米の中に

(1) 割れた米が少ないか  (多いと、食感の悪い米になります)

(2) 真っ白の米が少ないか (半透明ではなく、白色の米の事です)(真っ白の米は未熟粒といって一人前の米ではありません)
   ただし、どんな米でも未熟粒はゼロではありません。多少は農作物ですから入っています。
   この米が多いと炊き上がりがべたーっとした米になります。(特に釜の底の方になる場合が多いです。)

(3) 米粒がそろっているか (ブレンド米以外はそろっていないと2級品です)
最低でも、以上の事に注意してお米は選びましょう。




自分にあったお米は選べましたか?
せっかく買ったお米を台無しにしていませんか?

神蔵屋は、「一粒、一粒に込められた思いを大事にしていただきたい」
そんな思いでお話します。

お米の保管方法です。

皆さんはどんなところにお米を保管していますか?
一番良いのはペットボトルに入れて、冷蔵庫で保管する方法ですね。

お米に悪いのは白米の場合は空気に触れることです。お米が酸化されて品質が劣化します。

10kgのお米を2ヶ月くらいかかって食べたことがありますか?
初日に炊いて食べたご飯と、袋の最後のお米を炊いたご飯とでは味がまったく違う経験はありませんか?

これは、お米が酸化されて味が変わってしまったからです。せっかくの美味しいお米が台無しです。

そのためにも、脱気包装のお米をお勧めします。袋を開けない限り品質の劣化がほとんどありません。


次に温度ですね。

冬場は大丈夫ですが夏場は気温が高いのでお米の品質が劣化しやすくなります。玄米の場合も同じです。
玄米は、まだ呼吸していますので、温度の低いところに保存して冬眠状態のような状態で保存したほうが品質の劣化が少ないのです。

そのために、ペットボトルで保存したほうが品質の劣化が少なく、精米したての様なご飯が食べれるのです。

一般的に多いのは米びつ(ハイザー)での保管ですね。
当店では米びつ(ハイザーとも言う)は、まったくお勧めしておりません。
各家庭の米びつはどれくらいの頻度で掃除していますか?
最低でもお米を買うたびに空にして、から拭きして、日のあたるところで丸1日くらい干していますか?
ほとんどの家庭でここまではしていないと思います。
お米にはヌカが必ず付いています。米びつの中にはこのヌカがどうしても残ります。
このヌカも米の虫の発生する原因になります。

一度、想像してください。

お風呂に入りますよね。風呂釜は洗いますよね。ほぼ毎日。
それでも、湯アカって付いてますよね。
1か月も掃除していない風呂釜でお風呂に入ります?
なんか、かゆくなりそうでしょう?

米びつも一緒です。かゆくならない代わりに、虫が発生するのです。
でも、頻繁に掃除できないでしょう?

あと、1合とか3合とかのボタンが付いてますよね?
あれって量りなおしたことあります?

私はやってみました。

お客様から以前にこんなお電話をいただきました。
「最近のどの米も目盛り通りで水加減をして炊飯するとべちゃべちゃになる。何か変な米混ぜとんちゃうんか?」
お話を聞くと米びつを使っているとの事です。
掃除はどれくらいの頻度でされているかを尋ねると、
「そんなんしたことないわ!」
すぐにお客様の所へお伺いして3合(450g)のボタンをおしてお米を出してみました。
そのお米を量ってみると、400gを切っていました。
つまり、掃除をしていないのでお米の出口にヌカが付いて正確にお米が出てきていないのです。
これでは、美味しい御飯は炊けません。

計量カップで量りなおして炊飯していただいたら無事美味しい御飯が出来上がりました。
それ以来、そのお客様は米びつは使っていないそうです。

そんな、こんなで、なるべく米びつは使わないようにお願いしています。
じゃあ、どうやって保存するの?っていいたいでしょう。
ホームセンターとかスーパーに最近タッパみたいな米びつが売っているでしょう。
それか、家に大きめのタッパがあればそれでいいです。

お米を買うたびに容器を完全に洗ってしまうのです。確実に米ぬかは取れてしまいます。
我が家でもタッパを使用しています。虫なんて発生したことがありません。
もちろん、涼しいところで湿気の多くないところには置いています。
少し方法を変えるだけで、不愉快な思いはしなくてすみます。
もちろん、美味しく御飯も食べれます。

一粒の感動もそこから生まれてきます。
一度、考えてみてください。




お米の量り方でもご飯の味が違ってきます。

ここで、質問です。
「普通のお米の一合って何グラムでしょう?」
はい、そうです。約150グラムです。

約ってなんやねん!って突っ込まれる方もいると思いますが大粒のお米だと、140gくらいですし、小粒の米だと155gくらいあります。
一合カップに入る米の重さですから、大粒の米はあまり入りませんし小粒だと余分に入るということです。

昔の一合って何グラムか知ってます?
私が修行時代(小学生の頃)は140gでした。
昔は米粒が大きい品種が多かったので140gだったのでしょう。

では、お米の味と1合が何の関係があるねん?って思いますよね。
例えば、計量カップにお米をすくう時にどうやってすくっていますか?
振りながら入れてみましょう。160gくらいは入ります。
3合だと480g。普通に入れると450g。つまり、余分にお米を入れているんですね。

これで、炊飯器の目盛りどおりに御飯を炊くとどうなるでしょう?
加えた水が少なくて若干硬めの御飯になってしまいます。
この時は少し多めの水加減で御飯を炊いてください。

一度自分で量った一合は何グラムあるか量ってみてください。
きっちりと150g量る必要は無いのです。
それを、覚えていれば水加減の目安になると思います。


次に最近普及している無洗米。
炊飯器によっては無洗米用の目盛りが普通の目盛りより上に付いているか。
無洗米専用カップが付いている物がほとんどです。

普通のお米と無洗米で何が違うのでしょう?
無洗米は普通のお米からヌカの部分を取り除いています。
つまり若干普通のお米より1合カップに余分に入るのです。
165g~175gくらいはいります(米粒の大きさによって違いますけど…)

同じカップで量るならば余分に米が入りますので水加減は多めに普段と同じ水加減で炊くならお米を少なめに。

この様な理由から違う目盛りが引いてあったり別の小さめの計量カップが付いているのです。
さあ、これさえ覚えておけば無洗米でも安心して炊けますよね。




そろそろ、実際に「銀しゃり」を炊く場合の注意点です。
お米の洗い方について考えてみましょう。

お米の洗い方で気をつけなければならない事は何でしょう?

(1) なるべくお米にヌカの臭いを吸い込ませない。
(2) お米を割らない様にする。

以上の2点です。

簡単に話しますと(簡単といっても長くなってしまうんですが…)
お米を洗うときに一番最初に洗う水はとにかく早く捨てる。
この時に一番お米が水を吸いますので、ヌカの臭いがお米に付きます。

以前に、試食用のお米を洗っている時に電話が鳴りました。
あいにく、みんな配達に出ています。私が電話に出るしかありません。
電話に出ました。お米についてのお問い合わせです。

ちょっと、洗う途中のお米が気になりましたが、私もお米アドバイザーです。
お客様に美味しく御飯を食べていただきたい。

知ってる限りの知識と経験で対処法をお話しました。(15分も経っていました)
さあ、台所に戻ります。
白くにごった水がお米とともにたーっぷり入っています。

………  悩み中  ……

まあ、炊いてみよか! これも勉強や!(これが大きな間違いでした)
出来上がった御飯は黄色く、ヌカくさい御飯でした。
従業員にこう言われました。

「これ、古米? 何年前の?」

正真正銘 新米の○沼産 こしひかり 入荷したばかりで試食してから販売する予定で炊こうと思ったのに…
もちろん、炊き直しです。今度は電話もかかってきません。(お客様は従業員が応対してくれています)

……  一時間経過  ……

釜を開けるとピッカピカの新米でした。
これぞ『銀しゃり』です!
洗うときの最初の水って本当に恐ろしいと改めて実感しました。

次に、洗うときにお米を割らない様にすることですが、ザルでお米を洗う方がたまにいます。 洗い終わったザルを見てみますと、ザルの目に細かな米が刺さっています。
まるで、大根おろし器のような状態です。

ここでお米を洗うとどうでしょう?
米粒がどんどん砕けていきます。

割れたお米が多いと出来上がった御飯はひどい時には、のり状の部分があります。
割れたお米からでんぷんが溶け出して、のり状になるのです。

昔は米を研ぐって言いましたが、最近では精米機の性能があがって研ぐ必要はあまりありません。
上手に研げるなら研いだ方が良いのですが…

あと、最近気になるのが昔より米粒がもろくなった様な気がします。(温暖化のためでしょうか?はっきりと原因はわかりません)

そのため、割らない様に注意してお米を洗いましょう。




そろそろ、『銀しゃり』が炊けるのも時間の問題となってきました。
ここで、決め手になってくるのが水加減です。
いつも長くなってしまいますので簡潔に言います。

炊飯器の目盛りより少し多めの水を入れてください。
3合のお米をたく場合、3.2合ぶん位の水を入れてください。

べちゃべちゃになるような気がするかもしれませんが、美味しくないっておっしゃるお客様に試していただくと、だいたい美味しくなったとおっしゃっていただきます。

あとは、水につけておく時間ですね。
洗った後に水につけておく時間について簡潔(???)にお話します。

お米は洗い始めてから徐々に水を吸っていきます。
約2時間でこれ以上はほとんど水を吸わないというくらい水を吸ってしまいます。
これ以上水に漬けて置くと、どうなるのでしょうか?
出来上がりの御飯の表面が、ダレたようになっていきます。

しゃきっとした御飯がお好みの方は2時間以上漬けて置くのは辞めましょう。

電気釜と、ガス釜での違いはどうでしょうか?
電気釜では最低でも夏場は1時間、冬場は2時間をお勧めします。(長い時間の方がお米が水を良く吸い御飯の甘みが増します)
洗い炊き(洗ってすぐ炊く)ではお米が水をあまり吸っていませんので、御飯になった時に甘みがあまり出ないのです。

ガス釜では火力が強いので夏場30分、冬場1時間くらいをお勧めします。
ただし、火力が強いために水に漬ける時間が長い方が御飯の表面がダレた様な感じになりやすいので、この辺はお好みで調整してください。

長く水に漬けて置いた方が甘みが増すが表面がダレてくる。
ちょっとややこしいですが、自分のお好みの漬けて置く時間を探してください。




さて、『銀しゃり』が炊き上がったはずです。
炊き上がった後に注意することは、まず、むらしでしょう。
ただ、最近の炊飯器は蒸らし終わった後に、出来上がりーって音が鳴るのであまり気にしなくて良いと思います。

しかし、蒸らし終わった後になるべく早めに御飯をほぐしてください。
ここで、余分な水分(蒸気)を一度飛ばしておく方がより美味しい御飯になります。(べちゃーっとした御飯になりにくいのです)

次に保存時間ですが、朝炊いて晩食べる場合には御飯が多少黄色っぽくなる事があります。
これは、数社のメーカーにも問い合わせましたが、6時間くらいが限界との意見でした。
これ以上は辞めておいて、と言うことでしょう。

いくら新米でも、夏場になると、さすがにお米が古米に近い状態になっています。
そのため、余計に早く黄色っぽくなりやすいのです。
また、長時間保存する場合は(朝から晩など)必ず保温して置いてください。

保温せずに時間が経つとどうなるのでしょう?
温かい御飯から蒸気が出て、それが炊飯器のなかで水滴に変わってしまいます。
その水が御飯にまたついて、べちゃーっとした御飯になるだけでは良いのですが、夏場には臭くなるときがあります。
夏場に年に1~2件のお問い合わせが必ずあります。
保温しておくと蒸気があまり水滴に変わらず、べちゃーっとはしにくいです。
ただし、保温熱で御飯が黄色くなったり、周りの方が硬くなったりします。(一長一短ですね…)

長時間起きたい場合や、まとめて炊いておきたい場合は炊きたての熱い御飯を1人前づつラップで小分けして熱いうちに冷凍して下さい。
そして、必要なときに電子レンジであたためて食べてください。
これが、一番味を落としていませんでした。


お米アドバイザーより