トップ > い草の物語
成長には環境が大切。い草にとっては、土。
たくましく引き締まったい草を育てるためには、きれいな土をつくってあげなければいけません。
化学肥料を大量に使うと、土が弱ってしまうことを職人たちは知っています。
化学肥料を減らし、微生物などの自然を共存するいろんな有機肥料を使い、自然の「生命力」を思い切り吸収できる環境を作り上げています。
寒い冬の時期に苗を植え、暑い夏の時期に刈り取る。
このタイミングを守らないと良いい草は収穫することができません。
日本の九州は、い草が喜ぶ気候・日照時間・降雨・土壌・水利条件をクリアできるまれな地域です。
ここでの栽培にこだわりを持つことで、中身の詰まったコシのある、香り高いい草を作り続けることができています。
気温の上昇する時期が海外と日本では異なり、外国産のい草は少し早めの6月上旬から刈り取られます。
でも、い草は夏至の頃までは細胞が活発で葉緑素が安定固着しておらず、い草の中心部にあるロウ質分が生成されていません。
つまり、しっかりと成熟していない不安定な状態で刈り取られているのです。
そのため、国産のい草に比べコシがなく、中身が詰まっていないため数ヶ月でボロボロと表面がはがれてしまうものが多いのです。
い草製品の中でも一番上質のい草を必要とする為、入念に選ばなければいけません。
長さは主に130cm以上の中太で径が揃ったものが理想的なので、これを基準に選び抜いています。
い草は育った田によって染め具合が変わるので、温度と時間のタイミングをはかって水を差し、染まりやすくします。
ムラなく染まる様に、長いい草を一本一本慎重にほぐします。
寒い冬の時期に苗を植え、暑い夏の時期に刈り取る。
このタイミングを守らないと良いい草は収穫することができません。
日本の九州は、い草が喜ぶ気候・日照時間・降雨・土壌・水利条件をクリアできるまれな地域です。
ここでの栽培にこだわりを持つことで、中身の詰まったコシのある、香り高いい草を作り続けることができています。
職人たちは、い草のくせ直しをするために大自然の空気とお日様の力を借りています。
加湿(かし)の水分を飛ばすために裏側を天日干しし、い草の形状を固定させ形を保つことができるのです。
この作業を怠ったり、無理やり乾燥させて水分を飛ばしすぎてしまうと質が落ちてしまい、これまでの工程が水の泡になってしまいます。
最後の工程は、機械では真似することのできない手作業での仕上げ。
表面をヘチマでこすり、余分な染料を拭き取り、い草に艶を出して行きます。
見えなかったい草の折れや織り傷を一目一目確認して手直し。
大切に育てたい草で丁寧に作ってきたからこそ、ここまできるのだと職人は語ります。
い草の織りについて
家具の里バイヤー/商品企画 小鼓
い草商品は織り方によって、趣も質感も変わってきます。肌触りのよさを感じられる掛川織、個性的な表情を求めたいなら紋織、繊細で美しい模様がお好きなら袋織・・・用途やお部屋によって織り方で商品をお選びなるもの楽しいと思います。
福岡県独特の重厚優美な織り方で、花ござの王様で最高級品。約3cmの大きな織り目と約1cmの小さな織り目が交互に繰り返されています。経糸が太くて数が少なく、特に当店商品では織り難いけれども仕上がりが美しい綿糸の経糸にこだわっています。また、長く特に良質のい草を用い、い草の使用本数が多い(紋織より20%程度)の弾力性に富み、耐久性に優れ、肌触りの良い織り方になります。(福岡県特産工芸品指定)
い草を織り込む経糸の開口を変えて複雑な紋様を織り出し、技巧的で織柄の変化に富んでおり、個性的な表情が出せます。もっとも技巧的で織柄の変化に富む製品になります。いわゆる花ござらしい様々な図柄を表現しやすく、織りの仕組みもとても安定しているため、もっとも広く普及をしている織り方でもあります。
別名風通織とも言われ、紋織より約100本も多くの経糸を用い、表と裏の色を完全に織り分けることができます。絵柄の中で曲線の表現や繊細な凹凸表現が出来るのもこの織り方で、二重織りのため、耐久性にも富む製品になります。現在では、三重織りや四重織りなどの重厚で壮美な織り方も可能である一方、経糸の多さを活かしてしなやかで柔らかくきめ細やかに織り上げることも可能なため寝ござやクッションなどい草生地に柔らかさを求められる商品に使われることもあります。