潤滑(じゅんかつ)剤とは

機械の運動部分(回転部など)に塗って摩擦を少なくし、摩耗や摩擦・発熱を低減する目的で使用されるものです。様々な種類があり、用途ごとにその特徴が異なります。


潤滑剤の種類

潤滑剤には「液体」「半固体」「固体」の3種類があり、中でも液体の潤滑油、半固体のグリースは広く普及しています。また、定期的な給油や交換が必要なため、なじみのある潤滑剤かもしれません。


基油

グリース

※基油とは、オイルやグリースの基材となる油のことです。基油は、鉱油と合成油に大分されます。


液体潤滑剤 一般的に「潤滑油」と呼ばれる。
浸透性が高く、ごくわずかなスペースにも入り込んで
油膜を形成できるのが特徴。
機械動作に欠かせない潤滑油には、身近な自動車エンジンオイルや
工場で使用されるギアオイル油などさまざまな種類がある。
半固体潤滑剤 グリース、コンパウンドなど。
液体潤滑剤と違い浸透性がないため、組み立て時にあらかじめ
塗布・注入する方法が一般的。耐熱性や耐水性に優れ、
長期間作用するのもグリースの大きな特徴。
コンパウンドは潤滑に加えて、クッション性や防錆性などもある。
固体潤滑剤 二硫化モリブデン、グラファイト(黒鉛)、PTFEなど。
液体や半固体が使えない場所への使用に向く。
塗布した場所に固形の油膜を形成する。
繰り返す摩擦に対する耐久性に優れるほか、焼け付きにも強い。
歯車や高温になる場所などへの使用にも適している。


代表的な潤滑油:ギアオイル

ギアオイルは、トランスミッションやディファレンシャルギア、トランスファーといった駆動系の装置に用いられ、高荷重・高負荷の厳しい状況下で力を発揮します。


●ギアオイルの種類(1):極圧添加剤、錆止め剤、消泡剤を添加したもの

金属表面に強力な潤滑膜を形成。金属接触による摩擦や摩耗を軽減させ、焼きつきを防ぐ効果がある


●ギアオイルの種類(2):無添加のもの

酸化の安定性や消泡性、水分離性、防錆性などの効果が高い


●ギアオイルの規格(GL規格)

GL規格(Gear Lubricantの頭文字)は米国石油協会(API)が制定した規格で、ハイフンでつながれた数字は1-5まであり、使用する箇所(ミッション、デフ)や条件に応じて対応する番号が指定されています。

「GL-5 80W90」「75W80 GL-4」のように規格と粘度が表示され、「GL-4」「GL-5」が規格、「80W90」「75W80」が粘度です。


規格 使用条件
 GL-1  低速・軽荷物のゆるやかな条件のディファレンシャル、MT
 GL-2  少々過酷な条件で、GL-1では不十分なもの
 GL-3  過酷な条件のディファレンシャル、MT
 GL-4  高速低トルク、低速高トルクのハイポイドギヤ
 GL-5  高速で衝撃荷重が加わる厳しい条件で使用されるハイポイドギヤ

※GL-2~GL-5では極圧剤の配合量が異なり、数字が大きくなるほどギヤの保護性能が高くなっています。



代表的な潤滑油:タービン油

タービン油は、発電用の水力タービン、蒸気タービン、船舶動力用タービンなどの軸受に利用されるほか、低圧の油圧機械の作動油、減速機の潤滑など、用途は広範囲にわたります。
無添加タービン油と添加タービン油の2種類あり、無添加のタービン油は水との分離性に優れ、添加タービン油は酸化の安定性や消泡性、防錆性、水分離性に優れています。工業用各種設備機械など、稼働条件の比較的安定したところで用いられます。



代表的な潤滑油:油圧作動油(ハイドロリックオイル)

油圧作動油は工業用潤滑油の中でも最も使用量が多く、あらゆる場所や機械で広く使われています。その名の通り油圧装置の中で動力伝達媒体として使用され、加えて潤滑・防錆・冷却などの作用も同時に行っています。



代表的な潤滑油:エンジンオイル

エンジンオイルはその名の通り、エンジン内部でさまざまな機能を果たすオイルで、大きく分けて下記のような役割を持っています。


●エンジンオイルの役割

摩擦を減らす(減摩作用) 摩擦を減らし、動力損失を防ぐ
摩耗を防ぐ(摩耗防止作用) 摩耗・焼け付きを防ぎ、機械の寿命をのばす
冷やす(冷却作用) 摩擦熱や燃焼熱を奪い、冷却する
すき間をふさぐ(密封作用) ガス漏れや、水・ゴミなどの侵入を防ぐ
汚れを落とす(洗浄作用) 機械やエンジンで、ススや汚れ・スラッジなどを
洗い落とし分散させる
錆を防ぐ(防錆作用) 油の膜で、水をシャットアウトする


●エンジンオイルの規格(等級・グレード)

エンジンオイルの規格は、そのエンジンオイルがどういった性能を持っているかが確認でき、どのようなエンジンオイルが自分の車に合っているかを判断するための表示です。性能の良いエンジンオイルを使っても、その車のエンジンに合っていなければオイルの性能は発揮されません。
ほとんどの場合、エンジンオイルのグレードは車種ごとに指定されており、車両取扱説明書などに記載されているので、それを参考に選ぶとよいでしょう。


 API規格  米国石油協会(API)・アメリカ材料試験協会(ASTM)・
アメリカ自動車技術者協会(SAE)の三者が制定した規格。
ガソリン車は「S」・ディーゼル車は「C」で始まり、「SA」
「CA」のように表示される。
後ろのアルファベットが進むほど性能が高いことを表す。
最新のグレードはSP
※ガソリン車とディーゼル車の両方に使える場合は「SL/CF」
のように併記される。
 ILSAC規格  日米自動車工業会(ILSAC)が制定した規格。
API規格に省燃費性能を加えたもの。
「GF」のあとに1~5の数字がつき、数字が大きいほど
最新のグレードを表す。最新のグレードはGF-6
 JASO規格  JASO(日本自動車技術会)が制定した規格。
国産のクリーンディーゼルエンジンに使われるオイルの主流で
環境に優しく高温酸化防止性が強まっている。
規格は「DL」もしくは「DH」のあとに数字をつけて表される。
DL-1:乗用車のクリーンディーゼルエンジンなどに対応
DH-2:大型トラックやバスなどのディーゼルエンジンに対応


●エンジンオイル交換時は、「オイルフィルター」も一緒に交換しましょう!

オイルフィルター エンジンの摩耗や焼け付きを防ぐエンジンオイルも、長く使っているとスラッジ(不純物)が溜まっていきます。オイルフィルターは、エンジンオイルに含まれる不純物を取り除き、エンジンの働きを円滑にするためのものです。ろ過するためのろ紙等が入っており、エレメントとも呼ばれます。エンジンオイルを長く効果的に生かすため、オイルフィルターは定期的に交換しましょう。


オイルの粘度

粘度とは「物質の粘り(流れやすさを表わす値)」のことを指し、粘度の値を数字で表したものが「粘度指数」です。この粘度指数が低いとサラサラで流れやすく、高いとドロドロで流れにくい油であることを表します。


オイル


下図の「5W」の「W」はWinterの頭文字を取ったもので、寒冷時のオイルの粘り気を「5」という単位で表しています。この数字の数が小さいほど低温時にサラサラした「粘度の低い」柔らかいオイルであることを表し、寒冷時に始動性が良く、燃費が良化する傾向があります。一方で、粘度が高いほど高温時にも潤滑性能が低下しないという傾向があります。


オイル



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