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Joshin 試用レポート
KTC(京都機械工具株式会社)に突撃レポート!

車をいじるの、お好きですか? そんな方に是非知っていただきたいブランド会社がございます。それがKTC(京都機械工具株式会社)さんです!アイテム数、生産数ともに高い実績で、知る人ぞ知る、品質の高い工具を製造されています。弊社スタッフにもファンがおり、KTCさんに潜入すると言ったら羨ましがられました。

今日は工場に潜入して、実際に車のタイヤの取り付けなどを体験させていただきます!

『軽くて強くて使いよい』。日本を代表する大手工具メーカー

  • KTCさんの会社の前
    中に入るのを促してるのが筆者です
  • 工具箱の形をしたKTCさんの『匠工房』
    工具ケースのカタチをした『匠工房』なる建物発見!

アイテム数、生産量ともに高い実績を誇る、様々な現場の工具を製造する大手工具メーカーのKTC(京都機械工具株式会社)さん。現場のプロの方たちに愛され、個人で車のカスタムを行う方などにも定評がある『知る人ぞ知る品質の良い工具』として高い評価を受けています。車大好き、いじるの大好きな同行スタッフは潜入に興奮してるし、全ての物は自作する勢いのカスタマーなスタッフからは『いいなぁ』と羨ましがられました。

館内には工具ケースの形をした、遊び心とユーモアがたっぷりの建物『匠工房』がありました。記念に工具ケースを持って写真を撮らせていただきました!

匠工房では、従業員の方がお客様からの相談を受けたり、壊れた工具の修理を行っています。アフターフォローがしっかりしているので多くのお客様に支持されているんですね。弊社も負けずに頑張ります。

  • 経済大臣賞の他、安全への取組が評価されています
    経済大臣賞の他、安全への取組が評価されています
  • KTCさんの年表
    1950年に設立され、トヨタ自動車搭載工具として採用されたんですね
  • 創業者が軍隊時代に使用していた九九式戦場爆撃機用工具
    創業者が軍隊時代に使用していた九九式戦場爆撃機用工具の付近に
  • ネプロスシリーズ
    最新のプレミアムな工具も並んでます(ネプロス 鉄紺シリーズ)
  • 漆の工具
    さらには工芸品ともいえる工具も展示
  • ネプロスの愛で方
    ネプロスの愛で方も知りました

KTCさんが創業されたのは1950年。品質の良さからトヨタ自動車に搭載されている工具として採用され、その10年後にはアメリカへの輸出を開始。時代に合わせて工具もデジタル化させるなど、現場で求められているニーズを形にして、より安全で効率的に作業が出来るようにと、お客様の安全を第一に考えたものづくりをされています。その安全に対する取り組みは、経済大臣賞を受賞するなど高い評価も受けています。

潜入した『ものづくり技術館』の入口には、製造されている工具セットのKTCツールや、プロ向けの究極の工具をうたう『ネプロス』シリーズなどの工具の他に、創業者の方の軍隊時代の工具箱や、デザインショーに出店した工芸品のような漆のラチェットハンドル、マスコットキャラクターの匠 鏡子さんによる『効きネプロスのお作法』など、工具だけど工具じゃない何かも展示されていました。筆者に馴染みのないものたちなので、物見遊山な気持ちで見てるんですが、横目で見える館内の奥に、工具って一言で済ませられない空間が広がっててコワイ・・・。

  • KTCさんの工具が壁に一面広がっている様子
    壁が一面工具なんだもん
  • KTCさんの工具
    実際に使われています
  • KTCさんの工具
    小さい物も使われてます
  • KTCさんの工具
    全部現場で使われてます
  • KTCさんの工具
    記念品じゃないんです

館内の奥は、工具、工具、工具! 同じ工具でも大きさが異なるからものすごい数になるんだなと改めて感じさせるこの壁一面の工具たち。天井に圧倒されていると、目の前に筆者の手や腕よりも大きくて長い、レンチとソケットが展示されていました。

ユーモラス溢れるKTCさんなんで、展示用に作ったのだと思ったら、実際に現場で使われる工具でした。『船などに』という事場を聞いて、現場という意味の幅の広さを感じました。大きな方に気をとられて、小さなソケットとレンチの存在に気が付きませんでした! こちらも現場で使われている本物の工具。こんな小さな部品も人の手でキュッと締め上げられているんですね。キーホルダーで欲しいです。

  • KTCさんの工具
    昔使われていた工具や
  • KTCさんの工具
    作業用カバンもたくさん展示
  • KTCさんの工具
    木造の工具ケース!
  • KTCさんの工具
    凄いキラキラした工具もいた
  • KTCさんの工具
    工具が完成するまでの模型
  • KTCさんのプレス機
    昔のプレス機もありました。お、重い・・・。
  • KTCさんの広告
    キャッチコピーも従業員さんが考えます

他にも創業初期の時代の工具や最新工具、エイプリルフール用に作られたデコラチェ、ピアノのフタのようにガラララッと扉が中から出てくる木造の工具ケースなど、紹介するときりが無いほど工具が溢れていました。

スタッフ達はものづくり技術館を見学する前に、工具の型押し〜型抜きの現場見学もさせていただいており、もの作り技術館の中にはその工程が分かる模型や、昔使用していたプレス機も展示品として置かれてました。

展示用の昔のプレス機のハンドルを試しに引いてみましたが、ハンドルが重い。凄い重労働だ。1回で1本か・・・。たった1回引いただけですが、これ1日やるとなると大変だ。肩がパンパンになるに違いない、と1回ですぐに引き上げてきました。事故に繋がらないように安全にも配慮された現在の機械はボタン式になっておりました。機械が切り替わった当初の人は、凄く喜んだだろうなぁ。

商品広告のキャッチコピーは従業員の方たちが作られているらしく、そのクオリティの高さに脱帽です。さっき製造ラインで工具作っている人達は一体なんの職人なんだって疑いました。『観・感・完の極み』ってキャッチ、筆者には絶対思いつきません。かっこよすぎる。

  • KTCさんの工具デジラチェの体験ブース
    デジラチェ体験!
  • デジタル管理で、さらに安心・安全

    工場内の機械化はもちろん、工具もデジタル化し、安全性を高めています。ボルトを締め付けるラチェットハンドルをデジタル化した『デジラチェ』は、手元部分のデジタルモニターで視覚的に締め付け力が確認でき、『デジラチェ メモルク』ならば、締め付け力をお知らせするランプと、測定結果をパソコンに出力できる機能も搭載されています。

    『デジラチェ メモルク』を使って、規定のトルク力まで締め付けが行える体験コーナーがありましたので、スタッフも締め付けを行ってみましたよ。

  • デジラチェの液晶画面
    締め付け力を数値化
  • デジラチェに内蔵されているランプが黄色く光っている様子
    黄色ランプは締め付け不足
  • デジラチェに内蔵されているランプが緑に光っている様子
    緑だと正しい締め付けだと分かる
  • デジラチェに内蔵されているランプが赤く光っている様子
    赤ランプはオーバートルク

グググッとデジラチェを引いていくと、モニター部分のすぐ上にあるランプが黄色くピコピコと光りました。力が足りない事を伝えてきます。力が足りないのでそのままデジラチェを引き続けると、規定の力であるというサインの緑ランプに変化。正しい締め付けが行えたようです。さらに引いて実験してみると、ランプが赤に変わってオーバートルクだと判定されてしまいました。

  • デジラチェのデータ画面
    パソコンに送られたデータ
  • デジラチェのデータ画面
    工具番号ごとに細かく管理されている

締め付け時の記録データをパソコン側で呼び出しました。オーバートルクだったスタッフのデータは判定「NG」として記録されています。工具番号ごとに記録が残りますので、現場での対応がキッチリと行える仕組みです。
筆者もデジラチェを体験しましたが、少しの力の差で結果が異なり、『熟練の技』のような感覚が必要な作業だと感じました。

近年問題視されている『ねじの締め付け』問題

『タイヤが外れた』というニュースが時々ありますが、トルク精度が高ければ、未然に防げる事故も含まれているそうです。先ほど筆者も体験しましたが、トルクの締め付けは感覚的な作業でもあるため、個人の感覚に任されてしまう部分も含まれています。
トルクを締めると『カチッ』という音と感触が、工具から伝わってくるのですが、勢いで強く締めすぎたり、まだ締まるからという理由で締めてしまったりすると、トルクの締めすぎによる「ゆるみ」を引き起こす原因に繋がります。事故のリスクを減らすため、トルク管理をしっかり行い、現場で安全に作業を行っていただきたい、と、KTCさんは熱く語られていました。

『工具を創り社会に貢献する』という創業当時からの思いを引き継ぎ、今もなお『より良い安全で安心の現場』であってほしいという願いが込められ、KTCさんのデジタル工具は誕生しました。工具を使う現場の方達の作業効率や安全性を高めつつ、それらが社会に貢献している、という事を理解されているからこそ、アフターフォローにも取り組み、お客様との繋がりを大切にされているのだと思います。

  • 車が置かれている
    わぁ、車屋さんみたい
  • 実際にタイヤの交換にチャレンジ

    色々とお話を伺ったところで、実際に車のタイヤ交換を体験させていただきます! 問題のトルクの締め付けを、KTCさん指導のもとで、正しい作業を教わります。

    そもそも素人でもタイヤ交換できる、という事が不思議だと思ってしまう筆者ですが、KTCさんによると、車の多くのパーツは工具を使えば簡単に取り外せるそうです。

    KTCさん『タイヤだけじゃなく、色んなパーツが簡単に外せるんですよ』
    KTCさん『プラモデルみたいなものですので』

    ぴよこ『プラモデル!?』

  • インパクトレンチ(エアー)
    インパクトレンチ(エアー)
  • インパクトレンチ(電動)
    インパクトレンチ(電動)
  • トルクレンチ
    トルクレンチ

用意されていたのは、インパクトレンチとトルクレンチ。まずはインパクトレンチで仮締めを行い、トルクレンチで規定トルクまで締め付けを行っていきます。
このインパクトレンチでホイールナットを締めすぎてしまうと、大きな事故に繋がってしまうような不具合が出てしまいます。『タイヤを締めるネジだから、しっかり締めたほうが安全そうだし、締まっている感覚が安心できる』と、規定のトルク以上に締めるのは危険です。規定の力で締める事が大切ですよ。

  • 仮締めモードに切り替えられるダイヤル
    仮締めモードに切り替えられます
  • ホイールナットを取り付けている様子
    ガリガリガリガリ!っとスピーディに取り付けられた
  • スタッフも体験しようとしている様子
    スタッフも指導のもとチャレンジです

KTCさんのインパクトレンチには、切替スイッチで仮締めモードとフルパワーモードに切り替えられますので、締めすぎないよう安全に仮締めが行えます。実際にタイヤのない車にタイヤをセットし、ホイールナットをインパクトレンチで締めてみると『フォフォウーン!』と一瞬でホイールナットが締められていきました。締めすぎると空回りするようでカリカリカリカリと異なる音に変わります。

  • 車の取説
    車の取説に記載があります
  • トルクレンチのハンドル
    ハンドル側にも記載があります
  • プリセット型トルクレンチ
    プレセット型ならトルク値の設定ができる

ホイールナットの仮締めができたら今度はトルクで規定の力で締めていきます。車の取説に、そのタイヤにあったトルクの締め付け力の記載がされており、それに対応したトルクレンチでナットを締めていきます。この車は103N.m。103N.mのトルクレンチか、プレセット型トルクレンチで103N.mにトルク値を設定してホイールナットを締めましょう。

  • トルクレンチで締め付けている様子
    カチッとしめて・・・
  • タイヤの取り付けが出来ました
    安全な取り付けが出来ました!

『カチッ』と音がしました。これで取り付け完了です!タイヤを安全に取り付ける事ができました。

『なんか・・・こんなに大きいもののタイヤとかも、自分で付けられるんですね』と、相変わらずな素人発言をしていると『ホントにプラモデルみたいなものなんですよ、車って』と返されたので『ならば、前のパーツとかも取り外せたりするんですか?』と聞いてみると『前もですし、窓の部分もですし、扉も外せます』と言われた。そして工具も出てきました。

  • 車のボンネットが開いた上体
    ボンネットを開け始めました
  • 工具『クリップクランプツール』
    工具『クリップクランプツール』
  • クリップクランプツールでクリップを取り外している様子
    スポッ!っと取れちゃった!

ボンネットが開けられました。内側のフレームのような場所を見てみると、小さな黒いネジのような物で固定されています。クリップと呼ぶそうで、車のパーツの多くはこのクリップで留められているそうです。

そのクリップを外すのが『クリップクランプツール』と呼ばれる、先が少し曲がったレンチのような小さな工具。クリップの頭にひっかけるようにして差しこみ、テコの原理のようにクイッと持ち上げると簡単にスポッとクリップが抜けてしまいました。車ってこのクリップで留められてるの!?と驚きの瞬間でした。

  • >工具『スプーンタイプヘラ』
    工具『スプーンタイプヘラ』
  • 車の窓の内張り部分にスプーンタイプヘラを差し込んでいる
    『こういう内張り部分にですね』
  • 車の窓の内張り部分にスプーンタイプヘラを差し込んでいる
    『差し込んでテコの原理でエイッです』

『なんですか?このヘラみたいなのは』
『ヘラです。これはスプーンタイプのヘラで、ハンディリムーバーと呼ばれるタイプの工具です。車の内張りやクリップの取外しに便利なんですよ』

といって車の扉を開けて、窓の所から内張りをグイグイ押し上げようとしています。ヘラの先が内側に入っていきました。これで押し上げれば内張りが取れるようです。驚きの連続です。車が分解されていく。

  • 車の中を指差ししてヘッドライトの調整を出来る箇所を示している
    ヘッドライトの調整も出来るそうで
  • ヘッドライト光軸調整レンチ
    ヘッドライト光軸調整レンチの登場
  • ヘッドライト光軸調整レンチを車に差し込んでいる
    すき間をもぐっていきます
  • ヘッドライト光軸調整レンチのヘッド部分
    ラチェット機構も搭載

『ヘッドライト付近の、手前の所にギザギザがあるの見えますか?ヘッドライトの光軸部分の調整部分はゼンマイのようになっていて、そのギザギザと合うように『ヘッドライト光軸調整レンチ』の先端は独自フォルムと先端形状になっています。ラチェット機構になっているので手元で切替も出来るし便利なんです。光軸の調整は難しいのでちょっとニッチなアイテムにはなるかも知れませんが』『私には全部ニッチに感じます』

  • KTCさんの工具がズラリ
    筆者には一緒に見えてしまいます
  • KTCさんの工具がズラリ
    これだけでかなりのパーツが外せるらしい

『どれも小さい道具ですが、それぞれの部位に合った工具を用意しているので、その気になれば車を丸裸にする事は出来ますよ』
『自分で使っているうちに、この部分にはこの工具っていう風に身を持って覚えそうですね。経験のない私には同じものに見えてしまいますが・・・。』

と、タイヤ交換体験から、車の分解や内部の構造セミナーのような話になり、最後には車を機械で上げて、下にもぐりこんでまで説明していただきました。貴重な体験ありがとうございました!

  • KTCツールセット
    KTCツールセット
  • デジタル工具
    デジタル工具
  • とてもキレイな色をした究極の工具
    とてもキレイな色をした究極の工具
  • 工具『ネプロス』
    『ネプロス』は美しさと強さを兼ねたプロ向けの工具です
  • デジタルに数値化する事で、安全で安心のトルク管理が行える『デジラチェ』など、KTCさんの工具は、工具を使う方の安全を第一に考えられたものづくりを行っています。

    車をカスタムして楽しまれる方にも、無くてはならない工具の数々。KTCさんの工具は品質が高く、かゆいところにも手が届くツールをたくさん作られていますので、一式そろえてマイ工具セットを準備してみてはいかがでしょうか?

    プロ向けに作られた究極の工具『ネプロス』シリーズは、藍色のような深みのあるキレイな青色で作られています。筆者はこの青い工具を見かけた時には『プロ愛用の、ネプロスですね!?』と分かったフリをし、密かに現場の人を応援していきたいと思います!

    2018.5.9 ぴよこ

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