1928年(昭和3年)の創業以来、わが国の伝統と文化をまっすぐに見つめ、鼻緒、草履、和装向けハンドバッグ、フォーマルバッグの製造を通して、装いと嗜みを支え続けてまいりました。お洒落が多様化する現代にあって、なお変わらぬもの、決して変えてはならないもの。それはフォーマルな席での凛とした姿であり、礼節を重んじる折り目正しい心です。
儀礼の席にふさわしいきちんとしたフォルムを形成する芯材には、しなやかな曲りと強さ、高い耐久性が特長の国産の木材からつくった丈夫な紙を使用しています。フォーマルバッグは通常、持ち手部分を除いて縫い合せがなく、大半を伝統技法の貼り合わせによって仕上げます。その際に使う接着剤も国内で開発し、高品質で安全、環境にやさしいものを使用。さらに、フォーマルバッグの表情を決める布地は、染料の吸着性に優れた上品な風合いを持つさまざまな素材を取り入れ、表地、裏地ともに深い黒を表現しています。心地よい感触と凛とした姿形はこうした厳選素材によって生み出されます。
職人の手仕事はまず、裁断した芯に布を被せ、布を丁寧にへり返していくことから始まります。研ぎ澄まされた指先の感覚でイセを取りながら1mm 単位で貼り合わせ、一つひとつのパーツを組み合わせて立体的な形に整えていきます。手間をかけるからこそ商品に対する思い入れも強く、自らの手の中から生まれた商品に誇りと愛情を持っています。こうした職人文化こそがものづくりの要であると考え、岩佐では未来の職人の育成に力を注いでいます。