苔の育て方・殖やし方・楽しみ方 / 苔の育て方〜庭編 造園家必見〜


1.庭園にはりたい苔

(1)人気のスギゴケ

準備中

(2)当京都は近年の外国人の訪日観光客が人気を集め毎年増えているとのこと。そして世界で人気No.1になっている都市でもあります。
或いは近年の人気は西日本にかなり集中しているようです。以前民間活用で開港され、その不採算性を毎年のように指摘された関西空港が 今は昔となってしまっております。

(3)その国際観光都市京都で代表されるのは千年の都であったその歴史遺産である社寺仏閣かと思われます。
その建物とともに日本庭園の美しさに魅了されている観光客も多いかと思います。
その美しさはズバリ「苔」ではないでしょうか。

(4)その美しい庭園を一般家庭でも再現したいという御希望があり、過去に弊園でも取り扱ったこともありました。
そしてご相談に来られるお客様は「枯れて行きます」とのこと。

(5)その解決策として2013年10月29日に撮影した 底面給水トレーにて養生したスギゴケの画像を解説しております通り、常に水が必要との見解を解説しております。
つまり、スギゴケは湿生植物であったのです。
故に水がない庭、つまりは乾燥する庭にはスギゴケが成長しない理由はここにあります。
では、どうして京都市内にあるお寺、苔寺として有名な西芳寺を始め京都のお寺は苔が美しいのでしょうか。




2.京都は盆地という条件で発展した都市です

(1)京都に都が移されて千年。その昔、奈良から桓武天皇の時代に平安京と定められました。そこは今で言う京都盆地といわれる地でもあったのです。
盆地は周囲を山で囲まれた平坦地に人々が居住したのですが、その山に囲まれたことが苔と深い結びつきになったのでした。

(2)実は盆地という前に日本の国の地理的条件はといいますと、
高温多湿のアジアモンスーン気候であり、中国雲南省から続く照葉樹林帯の東の端であったのです。
具体的にいいますと、年間降雨量が多く気候も夏暑いという日本列島。そこには東南アジアに広く栽培されている稲という植物が共通して栽培されています。 そして山々はナラ・カシに代表されている広葉樹の木々に被われている姿があったのです。

(3)その環境条件にピッタリはまった植物の一つに苔があったのです。
小麦に代表されている乾燥地帯、砂漠地帯に住んでいる外国人の目からすれば「緑の美しい日本」という印象かと考えられます。
そしてそこに建てられた寺院の庭に美しく育った苔を見て驚かれるのも、苔を見慣れた我々日本人からすれば不思議な世界なのかもしれません。

(4)話は変わりますが、小学校か中学校の社会の授業で学ぶ「オーストラリアの大鑽井盆地」。
そこには井戸を掘ると水が自噴するという現象が見られるのですが、盆地にはそういった共通する特徴があるのではと思われます。

(5)山々には日陰を好む苔が生育し、その麓には神社仏閣が立ち並ぶ京都。
そこには自然と調和した日本庭園が発達し、そして苔が生育する環境が整ったかと思われます。
おそらくは始めから「苔ありき」ではなかったかと考えられます。結果としてその立地条件がそうさせたのではと思われます。

(6)つまり、スギゴケが好む日射量がそれなりにある開けた山の裾野。そこには山に降った雨水が地中を通して滲みだす環境、そして 庭園には木々が育ちその蒸散作用によって空中湿度が保たれ乾燥しにくい。或いは谷川もあって霧の発生が思う他多いという環境。
湿度というよりも水を好む、言い換えれば湿生植物であるスギゴケが育つ環境がそこにはあったのです。

(7)そしてそのスギゴケが育つ条件の一つに夏の暑さの中で雨が降らない日々であってもスギゴケが枯れないという基本的条件の中に 地下水脈となって滲みだす以外に、土壌の保水力があるということも考えなければなりません。



3.関西の地層は赤土(真砂土)です。

(1)赤土とは?
関西では土を扱う店、つまり土建屋さんでは赤土のことを「真砂土」と呼んでいます。

(2)その真砂土とはといいますと、太古の昔にできた花崗岩が風化してできた砂・土のようです。
火山の少ない関西以西の山々に広く分布する土のこと。


採取地:京都府亀岡市
 
道路工事中:大阪府池田市滋賀県信楽町

(3)この真砂土は粘土混じりであるところから保水力は高く、鉢に入れまして水を注ぎますとその水はけの悪さは一目でわかります。
この水はけの悪さ、つまり保水力のある土が苔には最適であったようです。
「ネットショップ KOKEYA.com」さんのスギゴケの解説にある通り「新潟では一年中、水が5cm位停滞しているところにスギゴケが生育しています」 つまり、弊園の育て方の解説にあります水漬け状態であろうかという状態と考えられます。




4.スギゴケの問題点

(1)従来より弊園のお客様にスギゴケをはられる方もあって「苔がすぐに茶色くなります。どうしてでしょうか。」というご質問がありました。

(2)そこには、京都の社寺仏閣にはスギゴケが似合っており、ぜひご自身の庭にもという願いがあったことかと存じます。

(3)ところが茶色く変色するということになるのですが、
最大の理由は乾燥に弱いという苔の中であっても湿生植物の特徴である常に水が張られているような状況の中で育っているスギゴケの特徴からすれば、 いわば「丘に上がったカッパ」だったのです。

(4)もちろん再生力はありますので、その庭の水分条件に合った、いいかえれば水分補給例えば雨水、或いは散水等の量によってその成長は決まるのではと思います。

(5)おそらくはその成長は大変みすぼらしい結果としてこんな筈ではなかったということになるのではと思います。

(6)それではスギゴケの再生力はといいますと、、


オオスギゴケの場合

(ア)自然のオオスギゴケの生育地
 道路脇から見られるオオスギゴケ : 滋賀県信楽町



(イ)夏の炎天下では

1)スギゴケの中では日陰を好むといわれるオオスギゴケなのですが、底穴の無い水盤鉢に常に水を張って育ててきました。
いわばオオスギゴケの苔盆栽。
本年2017年8月下旬はこの夏一番の真夏日。一般の植物のように根は発達しておらず仮根といわれる未発達な根だけあってその吸水力は弱く、 葉を閉じた状態になっています。


2)同じく底穴のない発砲スチロールのケースに常に水を張った状態で育てましたオオスギゴケですが、やはり葉は閉じてしまっております。




(ウ)炎天下で水切れした場合

1)この夏一番の真夏日。水やりが間に合わず、気がつけば「真っ茶色」。
あわてて水をやって様子をみておりますと、2日目には元の元気なオオスギゴケがありました。

2)そしてそれを再現してみました。

2017年9月14日
給水せずに茶色く変色する状態にしました。


そして翌日
そうたいして変化のないオオスギゴケです。苔自体の組織の中でどのように変化しているのか、まったく不明です。
翌日


それから2日目。
翌朝見ますと、きれいな元の状態のオオスギゴケがありました。
二日後


そこには夜露が降り、朝日に照らされてキラキラと輝くオオスギゴケとのコラボが印象的でした。
小さい頃、最近では言われなくなりましたが「植木は夜露に当てると元気になる」と植物好きな方々はよく言われておりました。 最近では非科学的と思われるのか、そのような言は聞きませんが、でも改めて認識いたします。 「実は苔の育て方を解説に当たり、初めに 実際の水やり にて自然と同様の環境に置いてやることが大事と解説しておりますが、実はこのことなのです。何も苔だけに限ったことではありませんが、 植物を育てる上で夜露は大事です」と。
そして再度試験しましたが、同様であったことです。



ウマスギゴケの場合

(ア)京都のお寺といえばスギゴケです。
百万遍 知恩時嵯峨 大覚寺

(イ)ところがそのお寺の庭を管理する植木屋さん泣かせの苔でもあります。
勝手に育つ庭もあれば、まったく育たない庭もあります。それは何かといいますと、やはり「水」です。

(ウ)弊園でウマスギゴケを軽石に育てましたところ、本年平成29年8月の盆を過ぎた頃であっても最高の猛暑日、 スタッフも一生懸命水やりをするのですが、試験的に作っておりました「おしゃれな苔盆栽」の素材であるウマスギゴケを水切れさせてしまいました。

平成29年9月20日の現状です

(エ)実はそのまっ茶にしてしまった8月の盆過ぎは左端の一つを除いてすべて焼いてしまいました。

といいますのも、置いてある棚が手作りで簡易的なものだけあって少し傾いておりました。それで水切れが右端より 順番に進んでいったのでしょう。そして首の皮一枚で1ヶが助かったぼです。
あわてて水をトレーに注いだのですが、このウマスギゴケはなかなか回復しません。

 
 回復力の違いはおそらく水切れした時間の問題かと思います。

(オ)回復の遅いウマスギゴケ
実はこの苔盆栽の水切れさせた失敗はウマスギゴケの特徴を皆様にわかりやすく理解していただくに見本のような実例です。
オオスギゴケは水切れしましても回復力はあり、2日後には元の姿に戻っているのに対し、ウマスギゴケは水上げが悪いといいますか、 一旦焼いてしまいますと回復力はかなり劣ります。

おそらくは9月20日現在、完全に水切れし、地下部の仮根の発達した地下茎までもがほとんど枯死した 結果、 生き残った僅かの地下茎から再生している状態

9月20日現在、かなり水切れを起こし、地上部はかなりダメージを受けたのですが、地下茎はわずかの 水分が残っていたのか、回復力があり秋の成長期に地上部はかなり青々と育ってきております。


(カ)この回復力の劣っているウマスギゴケの特徴が従来より「庭にスギゴケを張っても枯れていきます」という現象になり、 造園業者にとっては京都市内の寺院に依頼されスギゴケをはっても水切れにより茶色く変色し、張りかえなければならない 状態になっているのではと思います。

(キ)日照を好むウマスギゴケであってもそこには水の補給がなければ育ちません。
やはりそこには条件が合ってその条件をクリアしている庭園は苔寺で代表される京都西山、そして北山、多くの社寺がある 東山といわれる周りを山々で囲まれ、その雨水が地下水脈となって庭園を潤している、いわば限定された地域に なっているのではないでしょうか。
そしてその特徴からみても湿生植物の範疇に入るものと考えられます。

(ク)それでは地域外は。
やはり作庭家達はどの時代もすばらしい創始者をうみだしていると見えます。そこには水のない庭園、つまり「枯山水」という表現力で 水の流れを抽象化しているのではと思います。

2017年10月4日 記入 







5.スギゴケの自生地

自然では − 滋賀県信楽町 陶芸の森 に見る自然の苔
やきものの里
反対側


準備中









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