苔の育て方・殖やし方・楽しみ方 / 苔の育て方〜各論編〜


1.スナゴケの育て方

採取したスナゴケの育て方

 
  1. 自然の状態。
         
  2. 自然の状態を採取し、苔盆栽、庭園、テラリウム等には枯れ葉等を取り除き、群生した状態で培養土の上に置くと良い。
         
  3. 好日性のコケですので半日〜終日太陽の下で育てるのがよいかと思います。 
  4. 水を好む湿潤性のコケですが、培養土(床土)は水はけの良い材質が良く、水はけが悪いと育ちが悪くなりますので注意が必要です。 
  5. 乾燥した場合休眠状態となり葉がチリチリと萎縮した状態となりますが、給水等により吸水しますと再び葉を広げみずみずしいスナゴケとなります。 
  6. 春、秋の成長期には、うすい液肥等を散布するとより美しさが増すかと思います。 
  7. 夏の高温時には成長を止め、暑さにより少し弱ったように見えますが給水はしっかりして下さい。 
  8. 冬の寒さにはいたって丈夫で毎朝の霜,凍りつきには何ら問題ありません。 
  9. 苔盆栽のように鉢植えの場合1〜2年で盛り上がったように成長しますので、葉刈りをして整形に努めて下さい。
    約3ケ月後のスナゴケ 






2.シノブゴケの育て方 鉢植えの例 (準備中)


準備中
  








3.ヤマゴケ(ホソバオキナゴケ)の育て方 

ヤマゴケの育つ環境

1.比較的乾燥を好む苔かと思われます。
 自然においては、スギ林等の乾燥しやすく、比較的日照条件の悪いと思われる林床にみられるのではと思います。

2.具体的には、スギの根元に半着生状態で育っていたり、スギの落葉の堆積した上に育っていたりします。
 落葉はやはりスギだけに腐りにくく、通気性・排水性が更に良いかと思われます。


ヤマゴケの育て方

1.日陰を好み、日陰の苔の代表種といってもよいかと思います。
 盆栽の化粧等によく購入されているようですが、現実には葉焼けしてしまい、葉緑素が消え
 白化現象のようなことが起こり、その美しさはなくなっているかと存じます。
 ヤマゴケの使い方として直射日光下での張り苔には向かない苔といえます。
2.弊園では、
 (1)乾燥気味に育てるという条件を可能にしてくれているのが新聞紙一枚の上に乗せていることです.
   「苔には根が無い」ということを理解していただきますと新聞紙で充分なことがわかります。
 (2)水やりですが、乾燥を好むということで毎日の水やりは避け、表面が乾き、白っぽくなったところで
   水やりをいたします。新聞紙一枚ですから、保水力はなく比較的早くに乾燥するかと思います。
   そして春の成長期にうまく管理してやりますと上記の画像のように「美しさ100%」のヤマゴケと育っていきます。
 (3)そして育ちましたヤマゴケのアップ画像です。

 よく育ったヤマゴケを取りますと、詰め合わさった部分の成長がストップした状態で元の採取時の地肌が見られました。
 
3.平成28年夏頃より赤玉土の上にヤマゴケを置き、管理しました。水やりは秋まで毎日のごとく、  冬の間もハウス内に取り込みまして管理。水やりもそれなりに多くやりました。   そして春の成長期を迎えましたが、ご覧の通りの育ち具合です。やはり多湿では生育障害が生まれましてきれいには育ちません。  くれぐれも多湿にならないように管理してください。








4.スギゴケの育て方 

スギゴケの育て方

  1. 日を好む性質です。(好日性)
    山へ行きますと半日陰のところでも育っているところから、多少そのようなところでも育つかと思われます。
  2. 水を好む性質です。
    よく相談を受けるのですが、大体枯れる原因はこの水切れが大きいかと思います。
    弊園で吸水トレーを利用して実験しました。
    但し単なる水道水を冠水しておりましたので育ちは今一歩ですが、この実験を見ておりましても水が必要ということがわかります。
  3. ではよく育てるには苔といえども植物です。
    一般の草花を育てるには水と肥料、そして日に当てるというのが基本かと思います。
    この杉苔も同じ管理かと思います。
    1. 日照条件を考える。
    2. 水を切らさない。(周りに建物、或いは樹木が全くなく、乾燥ばかりしているところは無理かと思います。
      やはりジメジメしているところが良いのではと思います。
      或いは成長期、或いは夏でも毎日朝夕水をやることに心掛けて下さい。
      要は乾燥させないことです。
    3. 肥料は
      やはり水を切らさないというのが鉄則ですから水遣りする時に液肥を使うというのが最も便利かと思います。
      但し市販の家庭用の液肥では高くつきますので要注意です。
      安価に上げるにはネットで安価な液肥を探してはいかがでしょうか。(探せない人は尋ねてください。)
  4. 枯れた場合は(よく相談を受けますが)
    実は苔は蘇るのです。
    この生命力は生科学者が研究しているはずです。
    例えばビロード苔といって道路の脇によく見られる苔があります。
    この苔は梅雨の頃は青々としていますが、夏の乾燥時にはどこにあるのかわからないぐらい乾燥しきっています。
    でも秋雨の頃になると青々とした苔が復元しているのです。
    つもりこの杉苔も一旦茶色くなっておりましても水さえやれば必ず青々とした苔に戻ります。
    その時に肥料を補助的に使えばより早く青々とした苔になります。
    そのようなことで諦めずに管理してやって下さい。







5.コウヤノマンネングサの育て方 

コウヤノマンネングサの育て方

1.基礎知識

(1).自然界では谷川の水の流れている沢の近くに自生が見られるようです。腐葉土の層に根を張って成長しているかと思います。

(2).それは腐葉土の層を取り除けばわかるかと思いますが、湿潤な水が充分ある或いは雨の後水がちょろちょろと流れているのではと思います。 つまり、根は乾燥を嫌い常に水分補給がなされているところに自生が見られるようです。
腐葉土は吸水力、保水力があり、しかも空気の流通も良い、自然界のなされる技には驚かされることばかりです。

(3).育て方のポイントは

(ア).育て方の大事なことは乾燥に弱いことが考えられます。家庭で育てる場合は根の部分が常に水に触れていることが重要なポイントかと思います。 幸いなことにコウヤマンネングサは水に漬けておりましても枯れることなく、根は常に水に漬かって育てまして何ら問題はないかと存じます。

(イ).上記の解説の通り、腐葉土の層に根を張り、後に解説しておりますポットでの栽培の育ち方をみますと 「水を好み・空気も好む」という湿生植物に分類されるのが合理的な育て方を可能にするかと存じます。

(ウ).従来、自然界に於いて腐葉土の層に根を張るコウヤノマンネングサを見て、腐葉土そのものを好んでいると勘違いされる ガイドやガイドブックが稀にあるかと存じますが、後述する「培養土は」にて解説しています通り好んでいるのは腐葉土では<なく、酸素を含んだ水です。

(エ).そしてそれこそが「コウヤノマンネングサを育てる最大のポイント」と言えるかと存じます。 新鮮な空気(特に酸素)を含んだ水がコウヤノマンネングサの地下茎に触れることこそ最大の恩恵であり、そして腐葉土の層に流れた水はミネラルを含む水となり コウヤノマンネングサに供与していたのです。
話は余談になりますが、近年「海のカキの養殖」にはこのミネラル水が有効であることが理解されてきたことでもわかるかと存じます。

(オ).失敗される原因はコウヤマンネングサが成長するに足りる水分補給がなされないことによる脱水症状から起こることです。
そしてバランスがとれるまで胞子葉は枯れて行きます。この枯れる現象に光線量が少し強い時には茶色くなる場合があるかと思います。
幸いなことにやはり苔です。枯れたと思いましても再生力は持っていますので、早く気がつけばそれだけ再生は早くなります。


(4).コウヤノマンネングサの水中の育て方
実はコウヤノマンネングサは水に強いということで多分昨年の夏頃だと思いますが、ハネの小株を洗面器に 漬けておきました。本来ならポットに定植しているところですが、忙しく、その内にと思っていたのですが、気が付けば洗面器から新芽を出しているではありませんか。

  
平成29年5月27日 撮影   

弊園ではコウヤノマンネングサは給水トレーで培養していただけに湿生植物と考えていましたが、上記の洗面器の 育ち具合から考えますと水生植物の抽水植物或いは沈水植物の性質も併せ持っている苔であることがわかります。
水生植物のコウホネは分類上抽出植物とされ、水中では水中葉を出し水中での観賞を可能としていることは 共通した性質なのかもしれません。
但し根が空気に触れることが少なくなりますので、後の解説にある給水トレーにて育てることと合わせて考えますと やはり育ちは少し劣るように思えてきます。

その後の成長
平成29年7月31日 撮影   



2.給水トレーを使った実験

(1).平成28年春以来数次に渡り入荷しましたコウヤノマンネングサ。 それより平成27年にはわずか入手しておりましたがどう管理してよいやら。
そこで考えましたのが給水トレーに常に水を満たして育てることでした。
この給水トレーを使いまして約一年を経過しております画像です。

 

(2).給水トレーに養生しておりましたコウヤノマンネングサも冬の間、枯れたようになっておりましたが、 新芽が出てどんどん成長してきました。
但し、昨年は水だけでしたので草丈が低くなってしまったのですが、本年は液肥でもやればよいかと考えております。

  
平成29年5月4日 撮影   

入手しました折には腐葉土の層に根を張っておりましたので、そのままの状態で給水トレーで育てました。
本来コケは土が無くても育ちますので、発送時は根洗いをしまして腐葉土等を洗い流してお送りしております。
ポットに植えつけているのは、そのハネ(つまり一茎に一葉程度しかない小株です。

(3).平地では4月から6月が成長期。よく育ってきました。

  
平成29年6月12日 撮影   


3.培養土は

土は苔にとって必要条件ではないのですが、コウヤノマンネングサを植え付ける際に安定させなければなりません。
その場合の利用は、決して腐葉土ましてやピートモス等の有機質の混入のない培養土「山野草の土」或いは赤玉土等で
植え込みます。
その理由は鉢植えにおいて培養土中のピートモス等有機質の混入が植物にとって良い結果を出すように解説される 場合が多いのですが、これは明らかに正しくないからです。
更にはテラリウムの場合、腰水にすることが多く、この場合は水の浄化作用に鉱物質の培養土が有効であるからです。

  
赤玉土・富士砂等の水の浄化作用の様子(左画像:鉱物質の土なし 右画像:鉱物質の土あり)

そして水の中に有機物がありますと、嫌気性菌の作用によりメタンガスの発生となります。
室内の場合、ガスの臭気が漂うことになります。


4.環境は

(1).明るさは
コウヤノマンネングサの自生地は深山と考えられ、かなり暗い林床に自生していると思われますので、 「夏 日陰の苔」に分類されるかと存じます。
この暗さを好むところからテラリウの室内観賞にも向いている 由縁かもしれません。

(2).風通しは
苔全般に言えるのですが、上手に育てるコツはやはり風通しです。自然環境では風通しの良いところに自生が 見られると思いますので、初心者の方はテラリウムより腰水による鉢植えで育てられることをおすすめします。


5.育て方の実例

(1).ポットでのコウヤノマンネングサの栽培と植え方
ア).給水トレーを利用した底面給水による栽培法がもっとも合理的かと思われます。

  

平成28年11月12日撮影   

ネットショップにて良株を発送し、販売に適さない残りの株を集めまして3号ポットに植え付けました。
中深のポットが見当たらず、適当に植えたのですが、浅かったり深かったりでした。

イ).植え方は通気性の良い弊園オリジナル培養土「山野草の土 1号」を使って一つ穴のポットを使用します。
排水性も良く、ゴロを底に使用することは意味が無いだけでなく、底面給水だけに吸水力もなければ なりません。かといって通気性も重要であってそのバランスの上に成り立っていることこそが コウヤノマンネングサの栽培上のポイントかと存じます。

ウ).そう考えますと、植え方の中で浅く植える、深く植えるということはあまり意味が無く、重要視するよりも 倒れなければ良い程度と考えて差し支えないかと存じます。

 

エ).ポットもビニーポットを使用、標準の深さ、中深、浅鉢と3種取り揃えましたが、今後は標準か中深ポットにて 栽培試験を行っていきたいと思います。
おそらくは中深ポットは最適ではと思うのですが、いかがでしょうか。

    オ).翌年春、平成29年5月、気温の上昇とともに新芽が出てきました。

       
平成29年5月4日撮影    

実は昨年度つまり栽培しまして2年目なのです、給水トレーの一部を少し日差しの強いところに置きました ところ、葉焼けまではしなかったのですが青みがなくなり茶色く変色しました。更には冬の弊園での冷風に よる葉の傷みは予想外でありました。
自然では冷風から守られたところに自生がみられるのではと思います。

カ).初夏の成長期です。よく育ってきました。今後ポット販売も視野に入れたいと思います。

  
平成29年6月12日 撮影  
   

昨年秋に植え付け、今春のポットでの育ち方をみますと「水を好み、空気も好む」という湿生植物の コウヤノマンネングサの育ち度は100%であると考えられます。
つまり空気の流通の良い「山野草の土」の使用と底面吸水というコラボが最適であることがほぼ誤りでは無いと思います。
ただし、草丈を伸ばすには日照をより暗くする必要があるのかもしれません。 深山幽谷と同様の明るさであればより伸びるかもしれません。


キ).盛夏の成長ぶりです。春四月から成長を始め、7,8月頃に最盛期を迎えます。

 
昨年の胞子葉との比較

山野草的育て方をしますとこのようなボリューム感を持ったコウヤノマンネングサに育ってきました。
上記にあります洗面器のコウヤノマンネングサ、給水トレーのコウヤノマンネングサは水道水だけで育てております。 このポット栽培は初めに化成肥料を施肥しております。このように育てるにはやはり肥料の効果が大きく寄与しています。

2017年8月24日 キ) 追加記入


(2).陶器鉢での育て方
野趣に富んだ育て方をすることがコウヤノマンネングサにとって理想的な成長をするかと思います。
乾燥を最も嫌うコケですので植え込みに使用するには、
ア).鉢は底穴のない水盤鉢を使用

  

イ).普通の植木鉢なら底穴を防水テープ等で塞ぐ。または受皿としてお皿を利用する。

ウ).コーヒーカップ、その他お気に入りの食器等を利用する。

  
平成29年6月12日撮影    
 

常に水がたまるようにし、化粧に生ミズゴケを利用すると理想的なオシャレな観賞ができるかと思います。
コウヤノマンネングサは深山幽谷に自生するところから直射光線を嫌いますので建物の北側等明るい日陰に置いて 管理してください。もちろん風通しの良いことが最も大事なポイントです。
その場合の利用は、決して腐葉土等の有機質の混入の無い「山野草の土」或いは赤玉土等で植え込み、その土の化粧として 生ミズゴケを使用し、常に水がたまるようにすることが大事です。
但し、上記の解説にある通り空気も好むコウヤノマンネングサ。 常に満水にするのではなく、底面に2,3分の水たまりが良いのではと思います。


(3).ムラサキミズゴケを使った小山飾り
湿生植物に分類されるかと思われるコウヤノマンネングサを水盤鉢で即席に作ってみました。


 

底にはゴロ土を7?8分目まで入れ、その上に生ミズゴケを敷きます。そしてコウヤノマンネングサを置き、回りをムラサキミズゴケで囲みました。 湿生植物の育て方である腰水による管理そのものです。










6.ハイゴケの育て方 

ハイゴケの育て方

1、実は現在弊園が「美しいハイゴケ」を栽培しておりますがその通り していただければよく育って行くかと思います。

2、用意するものは干物用の薄い側面角穴のある発泡スチロール

3、この発泡スチロールを水洗いしまして、ハイゴケを薄く広げて下さい。 下には新聞紙1枚を敷いておくだけで充分です。

4、置き場所は基本的には日陰のコケです。直射光線の当たらない半日陰、或は建物の 北側等常に乾燥しないジメジメとしたところを好みます。それだけに発泡スチロールは乾燥しにくくハイゴケには最適です。

5、水やりは苔全般にいえますが乾燥を嫌います。 それにて常に水があることが条件ですが、このハイゴケはコウヤマンネングサ 程水を好むわけでは無いだけに、停帯水は嫌います。

ア)そのようなことだけに夏は毎日のように水やりをして下さい。
涼しい環境では知らず知らずの間に成長して行きます。

イ)もちろん春、秋も水やりは頻繁にやって下さい。生育旺盛な季節だけに。

ウ)冬は置かれる条件次第です。例えば温室があってそのたな下に置かれた場合と、北側に置かれ一日中凍りついているような環境では異なるかと思います。
要は乾燥させないことがポイントです。

エ)養生したハイゴケ


オ)弊園がお送りしております大パック中パックは穴をあけております。
使用して少し残ったハイゴケはそのパックで養生できますので御利用ください。


 その後の成長

10月10日以前に広げたハイゴケはかなり育ってきております。気温の高い季節ですとより成長するかと思います。

6、乾燥ハイゴケを入手した場合水を与えれば生き返ります。
苔は乾燥しますと生体をチリチリの状態となり休眠状態になります。そして自然では雨等に より水分補給がなされますと生き返ったように成長を始めます。おそらくは地球上で太古の昔、 陸上に上がった初めての植物がコケではなかったかと思われ、永らく生きのびてきた植物だけに その性質も多様性が求められたのではと思います。そのような特性だけに乾燥ハイゴケが流通する のですが、前記の頃にあるように発泡スチロールを用意していただき、ただ水をやるだけで充分と思います。






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