果樹 苗木の育て方 (基本的な考え方)


地植えの方法

基本的には樹木·花木等の庭木と同様です



① 排水の良いことが条件。
 根はあらゆる植物にいえるのですが、呼吸し常に空気を求めています。土壌条件は空気の流通を良くすることが大事です。

② 空気の流通をよくする条件として「団粒構造」があります。
腐葉土等を植えつけ時にすき込んでやると、土が膨軟化し、根張りが良くなります。
現在では手軽に入手できるバーク堆肥をおすすめします。
ここで注意することは、日本の土壌は酸性を呈しており、酸性を好むといってピートモス等を入れられる方法も考えられていますが、あまりおすすめできません。保水力が高くなり、しかも団粒構造する成分が含まれておりません。野菜等を育てるに、石灰を施すのは酸性化を防ぐことからも使用することは分かりますが、ここでは少し意味が違います。

③ バーク堆肥等腐葉土をマルチ変わりに。
苗木を定植した後も、バーク堆肥等腐葉土をマルチ変わりに一年中敷いて置きますと、土が固まらず成長がよくなります。
その根張りがよくなりますと、肥料の吸収がよくなります。結果として苗木の成長がよくなります。
肥料については次で解説します。


更にくわしく知りたい方はこちらを御参照ください。

肥料について

果樹苗にとって肥料は光合成の活動を活発にさせ、実を成らせる最大の要素です

① 化学肥料のご使用をおすすめします。
「桃栗3年柿8年」といわれるように、定植後ある一定の期間育てないと実が成りにくいのですが、このことは苗木の成熟を待たなければならないからです。
現在では宇宙にロケットが飛ぶ時代。成熟させるには肥料も科学的に解明され、すばらしい効果が期待できますので、化学肥料のご使用をおすすめいたします。

②実のなる花は「前年度の夏に形成」されます。
花が咲く前年度には花の基が準備されますので、その季節である高温期にはしっかりした管理が大事となります。
この季節に肥料が効いていないと花芽が形成されず、翌年葉芽だけとなります。つまり栄養失調状態です。

③肥料分が充分でないと、いつまでも花が咲かない、または花数が少ないという現象になります。
花が咲く、そして実が成るということは、その苗木が成熟するという現象です。そしてその成熟を促かすのが肥料の役目です。つまり苗木が成長するという「栄養成長」から、花が咲くという「生殖成長」へと転換を早くさせる役目を負っているのが肥料です。その肥料分が充分でないと、いつまでも花が咲かない、或は花数が少ないという現象になります。つまり栄養失調です。花は葉の変化したものなのですが、栄養が充分でないと花芽分化せずに終わってしまいます。花は種子を作る生殖機能、そして実を成らせるのが果樹の苗木の役目ですので、定植した若木の苗木を早く成熟した株にすることがポイントでは。

④その花芽形成は高温期の夏、その間に肥料が充分補充されていることが大事です。
何も夏に限ったことでは無く、春の成長期から秋まで肥料が継続させる長期化成肥料が便利で有効となります。

⑤初年度は花をつけるだけの成熟した樹勢にすることが大事なポイントです。
ここで注意したいことは、接木一年生等の若木の苗木を定植した場合、いきなり実を成らせるのは無理な話しです。
若木の場合はより早く成長させるには、肥料なのですが、その場合大きくする。つまり「樹勢をつける」には「樹勢用の長期化成肥料」が有効となります。

ポイント 肥料を使い分ける


① 長期化成肥料をおすすめします。
果樹苗では春の定植期から夏の間まで肥料効果が必要ですので、即効性化成肥料と同様の内容にて長期化成肥料が理にかなっているのではと思います。つまり若木用長期化成肥料を施肥することをおすすめいたします。

春の定植期から夏の間まで → 若木用長期化成肥料
樹勢が整い、成熟した苗  → 花が咲き、実が成る長期化成肥料


※長期化成肥料は即効性化成肥料と同様の効果が期待できます。下記をぜひ参考にしてみてください。

例) 即効性化成肥料の効果

即効性化成肥料の効果こちらはウォータークローバー「ムチカ」です。従来水生植物の肥料は使い勝手の良いIB化成を施肥しておりました。今回より、水生植物の特効薬的な肥料を見つけるべく試験してみました。右側のムチカはIB化成を1粒施肥して育て、この8月ごろには肥切れしている状態です。その後、試験する肥料を肥しまして約10日、こんなにあふれんばかりに育ってしまったムチカ がありました。

果樹はおいしさが命です。

① 手入れが悪いとよくいわれるのが「おいしくない」という形容詞。
おいしさを感じるのはうまみ成分。つまり「アミノ酸」です。そのアミノ酸を含んだ成分はタンパク質。そうタンパク質を含んだ肥料は有機質肥料そのものです。代表的な肥料には「油粕」「牛ふん」「鶏ふん」「魚粕」等に代表されます。

① 食べる果樹·野菜には「有機質肥料」が大事です。
その有機質肥料は寒肥として、冬期間に施肥することが基本です。
それは有機質肥料は分子が大きく、植物の根にとって吸収できるものではありません。
そこで土壌中の微生物によって分解され、有機成分が無機化することによって水に透け、その水を根が吸収します。
では気温の高い夏の間はといいますと、気温が高く、分解スピードが早く、成分が蒸発しやすいので注意が必要です。
昔より寒肥が一般化したのはこのあたりでは。
余談になりますが、観賞用の植物、つまり花です。「バラ」を代表とするオーガニック栽培、 食べるわけで無く、あまり意味が無いのではと考えるのですが、もちろんバラに牛ふんはたい肥としての使用で良いのでは、つまり土壌の通気性を保つという役目です。

要点として

①接木一年生苗のように若木には「若木用長期化成肥料」を施肥。(春からの成長期に 施肥)

②成熟した苗木には「花が咲きやすい長期化成肥料」とおいしさを増す「有機質肥料」を合わせて施肥することがポイントです。(冬の寒肥と春からの成長期に施肥)

③もちろんバーク堆肥等、年間通じてマルチとして使用。土を膨軟化、団粒化し根をイキイキにします。

(記 2021年1月12日)