満を持して登場、オーディオコントローラー「Loop and Link」

(株)オカダインターナショナル

オーディオエンジニアリング事業部部長

柳島 直行氏

満を持して登場、オーディオコントローラー「Loop and Link」

数々のプロミュージシャンの機材をセットアップ、システム構築し、絶大な信頼を誇る Custom Audio Japan(CAJ)。

2012年10月16日、そのCAJより満を持して新しいオーディオコントローラー「Loop and Link」が登場しました。

エフェクターを数多く足下に並べるギタリスト、最低限の機材を揃えているベーシストなどに注目の新オーディオコントローラーについてCustom Audio Japan を取り扱う(株)オカダインターナショナル オーディオエンジニアリング事業部 部長 柳島 直行氏にその誕生までの過程、機能などその想いを訊いた。

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インタビュー

ただ便利なツールというだけではなく、音色の切り替え、ノイズに妥協を許さない。

インタビュー風景その1

仲澤(イシバシスタッフ、以下仲澤):まず、プロアマ問わず数多くのミュージシャンのセットアップ、システム構築を行っているCAJとしてオーディオコントローラーとはどのようなものをお考えなのでしょうか。

柳島氏(オカダインターナショナル、以下柳島氏):色々なものが出ていますが簡潔にいえば音色の切り替えをなるべく少ないアクションで行う為のものです。

例えばコンプ、コーラスがオンになっている状態から、それらをオフにして、ディストーション、ディレイをオンに切り替える為にはスイッチ4つの踏み替えが必要だが、オーディオコントローラーがあれば1つのアクションで行うことが出来る。

オーディオコントローラーがあれば簡単に出来ることですが、ないと非常に難しい。

特にエフェクターの数が多かったり、ルーティーンが複雑になるほどそれが顕著になります。

曲が流れているところでタイミングを合わせる為に何かのエフェクトをかけることを諦めたり、かけたままにするような妥協が発生することも起こりえます。

そして、ただ便利なツールというだけではなく、音色の切り替え、ノイズに妥協を許さない。

これらはCAJとボブ・ブラッドショー共通のポリシーです。

仲澤:なるほど、ただならぬこだわりがあってこそCAJのオーディオコントローラーやシステムがあるということですね。

近年、プロが使用するイメージの強かったオーディオコントローラーも各社が大小様々なものを発表しています。

プロからアマチュアまで幅広くオーディオコントローラーが使用されるようになってきた背景をどう思われますか。

言うなれば、東京はニューヨークよりの機材背景。持ち運べるように機材もコンパクトに

AC/DC Station IIIとは?

CAJの最新エフェクター用パワーサプライ。

エフェクトボードで邪魔にならないサイズ、こだわりのトランス電源、低損失レギュレーターとその直上のヒートシンクという高スペックにより低ノイズ、安定した電源供給が可能。

柳島氏:確かにプロが大規模で使用していることで、アマチュアには敷居が高く思われていましたが、機材がコンパクトになりユーザーもシステムの幅も広がってきました。

これは悪いことではなく今のミュージシャンのスタイルといえることで、非常に良いことだと思います。言うなれば、東京はニューヨークよりの機材背景ですね。

アメリカ西海岸は車でどかっと移動が出来ますが、ニューヨークでは手持ちで移動するミュージシャンが多く、持ち運べるように機材もコンパクトになっています。

今では数も増えましたが小型ベースアンプ、キャビネットの流行からこの流れはあります。

しかし、コンパクトなボードにまとめることでノイズが問題となった。

コンパクトにまとめた分、電源トランス近くにエフェクトペダルやケーブルを取回さなければならず、ハムノイズが乗ってしまっていることが見られました。

これらのことから、こちら側からノウハウを与えることでシステムを案内出来るのではないかと思いました。

例えば、オーディオコントローラーに直接関係はないですが、AC/DC Station IIIは素晴らしく低ノイズを実現しています。

まさにコンパクトなスペースにはぴったりです。

システムにしていくこととコンパクトにするという流れが現在の機材の流れにマッチしていると思っています。

仲澤:今のミュージシャンにマッチしたコンパクトなシステム構築において、満を持して登場する新製品「Loop and Link」ということですね。

その特長とポイントを教えて頂けますか。

同価格帯、もしくはもう少し高額な他社製品よりもスイッチングノイズは圧倒的に少ない

RS616とは?

CAEから当時最もスタンダードであったRS-10の供給がなくなったときにどうせならエフェクトループとMIDIの両方をコントロール出来る新しいものを作ってしまえ・・・

というところで生まれたのがRS616。(CAE、アメリカではエフェクトループとMIDIコントロールが一緒になったものはない)

CAJを代表するコントローラーであり、こだわり抜かれたノイズ対策、コントロール性はラックエフェクト、ペダルエフェクト関係なく数多くのミュージシャンのシステムを支え続ける。

柳島氏:まず最初に作ったRS616というオーディオコントローラーがCAJにはあり、MIDIとエフェクトループを一緒にしたオーディオコントローラーの草分けとしてその品質にはプライドがあります。

RS616に繋ぐことでそのコントロールの機能性はもちろん、音が良くなったという声を多くのプロから頂いていたのでこれは引き継がなければならないポイントであることでした。

RS616を発表したときから音質、スイッチングノイズには注力しました。

スイッチは光学式(MOS FET素子)のものを使用し、物理的なスイッチを踏んだときに発生する音を抑えました。

Loop and Linkでも、もちろんスイッチはこだわりました。

リレー式ながらスイッチングノイズを軽減する特殊回路を搭載しています。

同価格帯、もしくはもう少し高額な他社製品よりもスイッチングノイズは圧倒的に少ないはずです。

サウンド面に関わるバフッファーはRS616と同じものを搭載。

音質でも妥協はしてません。

また、インプットバッファーはシャーシを開ければ内部でオンオフ出来るようになっているので、ヴィンテージファズもループに組み込むことができます。

シンプルなコントロールを意識し、スイッチオンが5つとすべてオフの時で5プラス1の合計6プリセット

設定方法もシンプルで、プリセットしたいスイッチ(青LED)を決めて、ダイレクトモードに切り替え、オンにするエフェクトを選ぶ(赤LED)。

最後にモード切り替えのスイッチを長押しすればプリセット完了です。

シンプル操作でプリセットを保存

そして機能面ですが、シンプルなコントロールを意識し、スイッチオンが5つとすべてオフの時で5プラス1の合計6プリセットとなります。

エフェクトループは5ループです。ループ5は独立しているのでアンプのチャンネル切り替えもこなします。

このサイズから考えれば十分なループ数、プリセット数だと思います。

これまで説明した機能は「Loop」の部分ですが、次は「Link」について触れたいと思います。

一枚のエフェクトボードで完結するコンパクトさを考え、MIDIを外しよりシンプルにしましたが、もっと数が必要な場合や拡張性を考慮し2台の「Loop and Link」をリンク出来るように設計しました。

インタビュー風景その2

リンクさせて使用する場合も設定はシンプルです。まずリンクケーブルを使用して2台を接続します。

そして、それぞれに電源を繋ぐとすべての青色LEDが点灯します。

始めにMode/Storeスイッチを押した方がマスターとなります。

マスターの「Loop and Link」でのみモード切り替え可能となるので、自分で踏みやすい方を選ぶと良いと思います。

連結時は各スイッチとすべて消灯されたときで10ループ11プリセットとなります。

本体のプリントは1~5ですが、シールが付属しているので1~10という表記で覚えることが出来ます。ご安心下さい(笑)。

数多くのエフェクトが必要な方でも「Link」させることでループの数を増やせますので無理に5ループにこだわることなく拡張できます。

スイッチ間隔は74mm

また、開発中ですが、リンクを利用して別の製品も開発中です。アンプスイッチの増設なども考えています。ただ2台繋げる以上のことが出来たらよいなと。

仲澤:ハイクオリティな音質、機能でこの価格、このサイズは非常にコンパクトですね。初めてのオーディオコントローラーでも臆することなく利用できるシンプルさが良いですね。

柳島氏:そしてサイズというかスイッチの間隔、これもCAJとしてこだわりました。

各スイッチの間隔は74mmとなっています。これはRS-10やRS616と同じ間隔です。

数多くのプロの信頼を得ているスイッチの間隔を維持しているのでコンパクトオーディオコントローラーにありがちな間隔の狭さは感じないと思います。

これらのスイッチ間隔、数がありながらラックトレーにも入るサイズです。

仲澤:絶対に譲れないスイッチ間隔も考えベストなサイズ、ベストなループ数に決定ということですね。

柳島氏:一例ですが実際のボードでこのように組むことが出来ます。

IN and OUTとは?

簡単に言うとバッファー(柳島氏)

バッファー兼ジャンクションボックスです。

バッファーのクオリティは高く、音抜け改善、長いケーブル使用時でも音質劣化を防ぐなど効果は 高い。

ジャンクションボックスとしてシステムのインターフェイスとしても非常に有用。

このセッティングではインターフェイスとしてIN and OUTを使用しています。

コンパクトに組み込むとインプットとアウトプットを抜き差しする余裕がなくなりがちなので、あると非常に便利で組みやすくなります。

シンプルなオーディオコントローラーですがエントリー向けという訳ではなく、プロの方々こそワンタッチ操作になれているのでこのようなダイレクトなものは受けがよいです。

ワンタッチで音を切り替える快感、高い音質をこの「Loop and Link」からすべてのミュージシャンへ繋げていければ良いと思います。

仲澤:「リンクから次が待ってる、繋がる。」といったところでしょうか。本日はありがとうございました。

いかがでしょうか。

開発者の自信が伝わってくる非常に貴重なコメントを頂くことが出来ました。

シンプルな中でもプロの現場で培われたノウハウが詰まったオーディオコントローラーの最新型と言えるクオリティです。

オーディオコントローラーをこれから導入使用とご検討中の方、現在のシステムのサブ、MIDIなしでのセットアップなどであればこの「Loop and Link」はベストマッチでしょう。

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