Gibsonアコースティックギター。。。今や世界のミュージシャンから愛され、絶大な信頼を寄せられているアコースティックギター界の巨匠とも言うべき存在です。
Gibsonアコースティックギターは、Les Paulなどに代表されるエレクトリックギターよりも歴史は古く、Gibson社創設のOrville Henry Gibsonが1894年にUSAミシガン州カラマズーに作業場を開くところから始まります。
当時はマンドリンやアーチTOPのギターが中心に製作され、1902年10月11日に「Gibson Mandolin-Guitar Company」が設立されます。
Gibsonアコースティックギターの代表スタイルである「16インチ幅のラウンドショルダー」が1934年に「JUMBOモデル」として誕生します。
1929年頃ドレッドノートで有名なMartin社が12フレットジョイントから14フレットジョイントに変更されました。これは12フレットジョイントの大きなBODY上部をカットするという発想でした。
しかし、Gibsonアコースティックは12フレットジョイントのジャンボBODYはそのままにし、NECKをBODYから2フレット分引き抜く形でスライドさせるという発想のもと製作されました。
J-35/J-45/J-50/Southern Jumboに代表されるラウンドショルダーが人気を博した後、Martinのドレッドノートスタイルに近い「スクエアショルダー」のアコースティックギターが誕生します。
1960年にHummingbird、1962年にDoveが発表され、1970年代にはラインナップ変更が行われ、ラウンドショルダーは全てスクエアショルダースタイルへと仕様変更されていきます。
1974年に新プラントがUSAテネシー州ナッシュビルに建設され、1984年にはカラマズーのGibson工場が閉鎖されます。
そして、1989年に現在の拠点USAモンタナ州ボーズマンにアコースティックギター製造工場が建設されます。
USAモンタナ州はアメリカとカナダとの境界に位置している州のひとつです。東部は平地、西部は広く聳え立つロッキー山脈といった地形です。 Gibsonアコースティックの工場があるボーズマンは、ちょうどロッキー山脈のすそ野に位置する人口3万人ほどの小さな町です。 モンタナは、木材の管理がしやすい低湿度(40度以下の一定した湿度)で、ギター製作に最適な環境であるといえます。 モンタナ工場では現在120名のスタッフで稼動しており、1日生産80本規模のハンドメイド・ファクトリーとなっています。
アコースティックギターにおいてNECKとBODYのジョイント方法は重要ポイントの一つです。
NECK~BODY間のサウンド伝導がそのギターの「鳴り」を決定付ける一つの要因となっているからです。 Gibsonアコースティックギターは、「Dovetail Neck Joint(ダブテイル・ネック・ジョイント)」を採用しています。 老舗Martin社も古くからDovetail Neck Jointを採用していますが、これに対し現在アメリカでシェアNo.1を誇るTaylorギターはNT-NeckというBolt-On Neck Jointを採用しています。
良質なサウンド伝導を誇る伝統的な「Dovetail」か、リペアや修正の利きやすい「Bolt-On」か。 各ブランドの個性が表れる1番のポイントといってよいでしょう!
Gibsonアコースティックギターに採用されているDovetail Neck Jointは、Neck側の凸部分とBody側の凹部分をはめ込んで接着していきます。 ここまではBolt-onと同じ工程ですが、Dovetailの場合はその名の通り「鳩の尾っぽ」と同様、接合上部が幅狭で下部が幅広になっています。 この構造によりNECKとBODYが外れないように接合されます。個体差はありますが、Gibsonアコースティックの場合はJoint角度は3度になっています。
そして、ここでもう1つ重要ポイント!
Dovetail Neck JointはNeck側の凸部分とBody側の凹部分をはめ込んで終わりではありません。しっかりと接着しなければなりません。
そこでGibsonアコースティックが採用しているのが「にかわ接着」です。
画像で「HIDE GLUE(にかわ)」とテープに書かれているのがお分かりいただけると思います。
これは動物の皮や骨を熱湯で溶かしたゼラチン状のもので、湯せんで管理されています。
BODYとNECKの接着に「にかわ」という自然(天然)素材を用いることによって、NECK~BODY間で間断なく音が伝達するようになっています。
Dovetail Neck Jointは熟練された技術が必要で、ハンドメイドで行っているGibsonアコースティックの真髄を垣間見れるポイントであることは間違いありません。
ギターの製作工程で重要な「塗装」、こちらも各メーカーで異なる工程であります。
Gibsonアコースティックでは、「ニトロセルロースラッカー」塗装を採用しています。
塗装プロセスでは7~8日ほどかけられ、カラーに4-6層、クリアに6-7層を要します。
塗装方法は、他に「ポリエステル」「ポリウレタン」を用いる方法などが代表的ですが、これとの大きな違いは何なのか。。。
一番の違いは「硬化速度」にあります。
ニトロセルロースラッカーは、ポリ塗装よりも硬化速度が遅く、時間と共に材に染み込んでいきます。
その特性を生かし、塗装工程の間にはわざと僅かにキズをつけて再度塗装をするときに染み込み易くさせるというこだわりもGibsonならでは。
時間と共にVintageのような風合いが見られるのもこの塗装特性によるもので、逆にポリ塗装では時間と共に塗膜のルックスがあまり変化しないのです(違った意味で変化してしまうものもありますが・・・)。
ちなみにV.O.S.(Vintage Original Spec)でも工程は同じですが、塗装表面にクレンザーなどでわざとキズをつけて、新品でもVintage風なルックスに仕上げているのです。
GibsonのOld Vintage アコースティックギターによくウェザーチェック(塗装クラック)が入った個体を見かけます。 これがVintageの味・かっこよさといわれている所以も頷けますね♪
Gibsonアコースティックギターは弾けば弾くほど鳴ってくれる、味が出てくる、自分の音が出していけるという所以もここにあったのですね♪
GibsonアコースティックギターのBODY TOP/BACKは、完全にまっ平ら(フラット)になっているわけではありません。
もちろん気候・湿度によってTOPが変化してしまうのは致し方ないことではありますが、それとは別にGibsonアコースティックならではのこだわりがあるのです。
GinsonアコースティックギターのBODY TOP/BACKにはわずかにアーチがかっているのです。
BODY TOPはもともとはフラットですが、アーチ型に成形されたブレーシングとボディトップを接着する際、最終的に28 Foot Radiusのドームド・トップの形状になるのです。
ちなみにBODY BACKでは、12 Foot Radiusの形状になっています。
このDomed TopによりTOPが変形しずらく、強度が増し、さらにはBodyの中心に音のプロジェクションを集めやすくなります。つまり、BODY TOPに適切なテンションをもたらし、Gibsonらしいサウンドをもたらすことにつながっていきます。
アコースティックギターにおいてブレーシングの形状も重要なポイントの1つです。
現在では、ほとんどのアコースティックギターに「Xブレーシング」が採用されています。
※Xブレーシングに関しては、こちらのページをご参照下さい。(https://www.rakuten.ne.jp/gold/ishibashi/1305martin.html)
Gibsonアコースティックに関しても例外ではなく、Xブレーシングを採用しています。
しかし、そのブレーシングはルシアー(職人)によって削り出しが施された「スキャロップド・カーブド・Xブレーシング」になっています。
この削り出しによって、BODY TOPの音の上下振動がしやすくなり、結果的に「鳴って」くれるのです!
※一部モデルJ-160E(John Lennonモデル)では、ラダーブレーシングが採用されています。
1930年代のAdvanced Jumboでは、スキャロップドXブレーシングでもWIDEな形状を採用しており、広がりのあるサウンドを得られていました。 現行モデルでは、Advanced JumboやJ-45True Vintage、Song WriterなどでAdvanced Wide Xブレーシングが採用されています。
Gibsonアコースティックギターには、すべてQuality Wood(単板)が使用されています。
※一部モデルJ-160E(John Lennonモデル)では、プライウッド(合板)が使用されています。
モンタナという最高の環境で管理された木材はすべて最高品質を誇ります。