因州和紙の里 佐治町
因州和紙は古くから鳥取県東部の旧国名、因幡の国で生産される手すき和紙の総称です。
現在では、鳥取市佐治町と鳥取市青谷町にて受け継がれています。
この内、佐治町は鳥取市の南部、岡山県との県境に位置し、鳥取市の南の玄関口となっている豊かな自然に抱かれた町です。
古くから因州和紙の産地として知られていますが、二十世紀梨の生産や星の公開天文施設「さじアストロパーク」なども有名で、「星・梨・和紙・話・石」の五つの「し」を地域資源として生かした地域づくりに取り組んでいます。
因州和紙は産地によって原料が異なり、佐治町では主に三椏(みつまた)を原料としています。
三椏紙は特にきめが細かく筆運びが滑らかなため、「いくら書いても筆が傷みにくい」「墨がかすれることなく長く書ける」という意味で「因州筆切れず」と言われるほど高い評価を受け、全国の多くの書道家に愛用されています。
昭和50年5月に和紙としては全国で初めて「伝統的工芸品」に指定され、さらに翌年8月には『因州佐治みつまた紙』が鳥取県無形文化財に指定されました。
因州和紙が出来るまでの流れ
三椏(みつまた)、楮(こうぞ)、雁皮(がんぴ)などの樹木の皮が主原料となります。
不純物を取り除くため、2~4時間煮続け、純粋な繊維だけを取り出します。
水洗いし晒し液で漂白。和紙を漉けるような状態まで加工します。機械でたたいて繊維をしっかりほぐしていくことで繊維同士が絡みやすくなり、紙の強度が上がります。この作業が終わると「紙料」となります。
水を張った「漉き舟」と呼ばれる水槽にほぐした原料を水に溶かし、濃度を一定にしていきます。
繊維を分散させ紙を漉きやすくするため、ネリと呼ばれるのり状の液を加えて、紙料が均一になるようにしていきます。
水で溶かした繊維を簀桁(すげた)で縦横に揺らし、一枚一枚漉いていきます。
漉き終わって、水を含んだ柔らかい紙を積み重ねていく作業を「床に積む」といいます。
空気が入らないよう気を付けながら、紙を重ねる作業を繰り返します。
紙と紙の間には薄い水膜ができているため、積み重ねても紙同士はくっつきません。
漉いた紙は多く水分を含んでいるので、一晩かけてじっくり脱水します。
圧をかけ水を抜き取っていきます。
脱水した紙床から一枚ずつはがしていきます。
はがした紙を、適度に熱した鉄板に刷毛を使って貼り付け乾かします。 
紙の種類によって裁断し、サイズを揃えたり、包装することで商品となります。