アンニュース vol.37
 
全摘出手術後のパッドの選び方について
全摘出手術の後、とひとくちでいっても患者さんによって多種多様の処理の仕方がありますが、最終的に大きく分けて二つの形になるかと思います。

一つは完全に平面になる方と、もう一つは盛り上がった部分を残していらっしゃる方、です。

完全に平面の方は、以前パッドの種類をご説明したことがございますが、シリコン100%のような重いパッドや、中間タイプのもの、そして軽いものでもパットの中身が埋まっているタイプの方が着用後の安定感があり、摘出部分の使用のみで造形性も高く整えられると考えられます。

一方で、盛り上がった部分がある方は、パッドの中身が空洞になったものの方がよろしいかと思います。残った乳房のバストボリュームによって、残った乳房の方にも空洞のあるパッドを補完していただき、左右対称になるように工夫していただくことをおすすめいたします。特に、バストボリュームのない方はぜひ工夫していただきたいと思います。

当社では試着して購入できる部屋もあり、試着して納得して購入していただくのが一番なのですが、ウェブでご購入される際には、せめてパッドの重さ・軽さの確認と、空洞かどうかの確認をしていただければと思います。

最後に、余談で恐縮ですが、パッドの空洞のことで私にとって忘れられない出来事がございます。

数年前、ある乳がんの患者さんの会でブラジャーの説明をさせていただいたことがあります。説明を終えたとき、一人の患者さんがにこにこしながら私に話しかけてくださいました。

「私、実はパッドの空洞の中に鈴をいれているんです。自分で作ったんですよ。こうして歩くと、鈴の音がきこえるんです。そうするとみんなが注目して話しかけてくれるのよ。」

と、明るく私におっしゃいました。私は大変強烈な思いにさせられ、一瞬返事に困ってしまったのですが、思わず「素晴らしいアイデアですね。」とその方の笑顔につられて私も一緒に笑ってこたえました。

大変な思いで切除されたことでしょうし、切除後の思いも計り知れないことと思います。なかなか真似のできることではありませんが、この方の、真正面から向き合う姿とその明るさ、元気さに感動し、感銘させられた一日でした。