夏至[げし]の養生法 夏の4番目の節気。今年は6月21日から7月6日(小暑の前日)までの2週間が「夏至」です。暦便覧には「陽熱至極しまた、日の長きのいたりなるを以て也 」とあります。一年で一番日中が長い時期で、冬至と比べると昼間の時間が4時間ほど長くなりますね。夏至が「陽」のピークで 「陽 極まれば陰に転じ、陰 極まれば陽に転ず」 陰陽論からみると、気質が変わる大きな節目の節気ですね。実際の気候ではこれからいよいよ暑くなり活動的な夏本番が来る感じですが、私たちを覆う自然界の気は、陰遁(いんとん)といって「陰」が少しずつ多くなり、天地は冬至までの間、「陰の気」が少しずつ増えその影響を受けて過ごします(今年の隠遁始めは7/10で夏至からは少しズレがあります。)旧暦の6/21は今のカレンダーでは7/19になります。その時期が夏至なら肌感覚としてなんとなくわかるのですが、梅雨の真っ最中に夏至と言われてもピンときませんね。
そしていよいよ北海道を除く日本全国で梅雨に入りましたね。沖縄は逆に間もなく梅雨明けでしょうか!?京都では例年祇園祭の頃が梅雨明けなので、約一ヶ月間ジメジメと湿度の高い蒸し暑い日が続きます。日々の気候や気温、自分の体調に合わせた体調管理が大切です。 |
カエルが元気に飛び跳ねて |
うっとうしい梅雨空が続き憂鬱な気分になりますが、古来、雨は万物を育てる慈雨とされ「雨は天の神様からの贈り物であり、雨が降らないのは神の罰」と考えてきたそうで、イスラムや古代ローマでも雨乞いの儀式が行われたそうです。京都にも神泉苑というお寺がありますが、ここは1200年前に空海が雨乞いの修法を行い日本中に雨を降らせたとされています。 |
今月の癒しの庭園 「宝泉院 盤桓園と鶴亀庭園」 |
額縁庭園「盤桓園」 |
左手には同じように額縁から見るお庭が続いており、そこには全体が見えず何の木かわからない太い幹だけが見えています。 |
蛸の足のような太い幹 |
反対側から見ると近江富士をかたどった立派な五葉松の姿が現れる |
この蛸の足のような太い幹は、樹齢700年と言われる五葉松で、京都市の天然記念物で近江富士をかたどっているそうです。 |
まだ蕾の固い樹齢300年の大きな沙羅双樹 |
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず。ただ春の夜の夢の如し…」 |
鶴亀庭園の奥に樹齢300年の立派な沙羅双樹が聳える |
お庭を見ながらお茶を一服 |
ここでは紹介しきれませんが、宝泉院の中には宝楽園という枯山水の素敵なお庭もあります。帰りに三千院にも足を延ばしましたが、紫陽花園が見ごろになっており、こちらはもうたくさんの人がお参りされていました。宝泉院は人影もまばらでしたが、ほんの少し歩けば素敵なお庭を拝見できるので、ぜひ京都にお越しの際には訪ねて欲しいお寺です。 |
夏至 |
二十四節気の一年 |
さて、「気候」という言葉を調べると、その土地や地域を特徴づける大気(気象)の状態とありますが、国立天文台のホームページには、5日間の自然現象や生物の行動などを表すものを「候」と言い、候は初候・次候・末候と3つあって3つ合わせて「気」と言うと書かれてあります。一年間に候は72あり七十二候となり、気は24あって二十四節気で一年を巡ります。七十二候も中国から伝わりましたが日本の気候とはかなりズレがあったため、江戸時代初期の天文暦学者渋川春海が日本の日付や風土に合わせた季節を表す言葉に変え今に伝わり、人々はその言葉で季節を知り、農作業の目安を中心に、その季節に合わせて生活を営んできました。季節の移ろいを感じられ、風景を思い起こしたり趣があって心が和みますね。 |
二至二分 |
太極から陰陽の二気が生まれ、そこから陽が極まる夏至(太陽)と陰中の陽(小陽)の春分、陰が極まる冬至(太陰)と陽中の陰(少陰)の秋分の二至二分が生まれます。 |
夏至(げし)の養生法 北海道を除く日本全国が梅雨入りし、雨が降っていなくても蒸し蒸しと蒸し暑い日が続き、また梅雨前線の動きで大雨が降ったりします。 今まで何度もお話ししてきましたが、やはりこの季節の養生法には「健脾利湿」が最も大切になりますね。 |
自分の今の体質を知ることが大切 |
脾の働きを健やかにし余分な水の巡りを調えてくれる食材として、今が旬の「とうもろこし」があります。スーパーなどにもたくさん出回っていますね。炭水化物やたんぱく質、脂質が豊富に含まれ、自然な甘味があり、脾気を補います。また「とうもろこしのひげ」【甘/平、肝・腎・膀胱・心・小腸】は、漢方では玉米髭(ぎょくべいじゅ)や南蛮毛(なんばんもう)と呼ばれ、むくみを取り水を巡らせる利水滲湿薬として用いられます。 |
また、この時期は「はと麦」【甘・淡/微寒、脾・胃・肺】もオススメ食材です。余分な熱を冷まし、脾の働きを高め、水の巡りを調える効果がありこの季節にピッタリ食材。湿気によるむくみやカラダの重だるさ、下痢、神経痛、リウマチなどに効果的。こちらも漢方では薏苡仁(よくいにん)と呼ばれ水腫や湿熱痺による関節のこわばりに用いられます。昔からイボ取りやシミ、そばかす、肌荒れなどの美容、美白食材としても使われてきました。はと麦ごはんに山芋をスリおろしてはと麦の麦とろご飯なども利尿効果や美容効果満点のご飯です。 |
もう一つオススメは「緑豆(りょくとう)」【甘/寒、心・胃】。こちらもりょくずと呼ばれる漢方薬で去暑薬として消暑止瀉や清熱解毒に使われます。熱中症や暑気あたりの予防効果があり、台湾や中国などでは、お父さんが仕事から帰って来たらまずこの緑豆湯(緑豆スープ)を一杯飲んでカラダの余分な熱を冷ますそうです。夏場には緑豆粥として朝食でも良く食べられます。 |
「小豆(あずき)」【甘・酸/微寒、心・小腸】も赤小豆(せきしょうず)と呼ばれる漢方薬で利水消腫、利湿退黄、清熱解毒に使われます。利尿効果が高く浮腫みやめまいの予防改善効果が高いですが、砂糖タップリのおぜんざいは食べ過ぎると糖分取り過ぎになるので注意です。 |
「冬瓜」【甘/微寒、肺・胃・大腸・小腸】の皮の部分も冬瓜皮(とうがひ)と言いますが、冬瓜の中の果肉は煮物などのお料理に使いますが、実は外の皮がこの冬瓜皮という漢方薬になります。一番外側の緑の濃い固い皮はピーラーなどで剥いて、薄い緑色になったところから果肉までの部分が冬瓜皮(とうがひ)として清熱や利水消腫、つまり余分な熱を冷ましたり浮腫みの解消に効果的です。料理としてはお漬物やピクルスなどとして食べられ、たくさんレシピが出ていますので参考にして見てください。 |
小豆と冬瓜を一緒に煮てスープにしたり、小豆とはと麦のお粥や緑豆と小豆のお汁粉などこれらの食材を組み合わせていろいろ食べ方を工夫して楽しみながら健脾利湿を実践してきました。ちょっと浮腫みがひどいなぁとか頭が重いと感じたり、雨の日はしんどいという方はこれらの食材を使って献立を考えると少し元気になるかも知れません。 |
健脾利湿の食べ物 |
京都伝統中医学研究所の"夏至におすすめの薬膳茶&薬膳食材" 1.「全部食べられる薬膳茶」2種
2.「健脾利湿」お腹を冷やさないようにして、水の巡り良くして湿を溜めない薬膳茶&食材 スィーツ、おつまみの「八宝果仁豆」、「いろいろお豆のスィーツセット」は最後にココナツミルクと砂糖で味付けてスィーツとしても美味しいですが、この季節は「いろいろお豆のお粥」として召し上がるのがオススメです。
3.漢方入浴剤 |
中医学の知恵を毎日のくらしに活かして、体質改善や病気の予防に役立てて下さい。 https://www.rakuten.co.jp/iktcm/
中医学は難しい理論などもありますが、それよりも実際に暮らしに活かせる養生法や薬膳など健康に生きる知恵が満載です。
次回は、7月7日「小暑」ですね。もう今年も半分終わり。6/30日は「夏越しの祓い」です。半年の穢れを祓い、新たな半年を穏やかに健やかに過ごすためにしっかり英気を養いましょう。生ものや食中毒にも気をつけてください! |
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