2022芒種の養生法

芒種[ぼうしゅ]の養生法

 6月6日から6月20日までが「芒種」です。暦便覧には「芒(のぎ)ある穀類、稼種する時也 」と書かれ、稲や麦の穂先のように芒(とげ)のある穀物の種まきをする頃という意味ですがもう種まきも終わっているでしょうかね。 
 6月11日が入梅ですが、なんとなく普段の梅雨のように蒸し蒸しと蒸すような蒸し暑さではなく、夜中などは肌寒いぐらいですね。なんか変な気候ですが、日中と夜の気温差が大きいので、体温管理には十分気をつけて下さいね。紫陽花が見頃ですね。また梅酒づくりの季節です。美味しい自家製梅酒を作って憂鬱な気分を吹き飛ばしましょう!お酒が苦手な人は梅シロップもオススメですよ!ほど良い酸味と塩味が夏バテ予防や殺菌効果も期待できますね。

NEW夏の養生法 ⇒ こちら

今月の癒しの庭園 「圓光寺 奔龍庭と十牛之庭」
 少しでもストレスを和らげていただければと願って京都にある私の好きな庭園などをご紹介していますが、今日は、圓光寺をご案内します。狸谷不動尊や詩仙堂の近くにあるとても素敵なお寺です。開門してすぐの時間に伺ったのですが、すでに結婚式の撮影をされていました。
 徳川家康が学校として伏見に建立し、やがて現在の地に移転したそうです。
お寺の裏山には家康公の歯を埋葬した東照宮があり、そこから洛北一帯が一望できます。
 山門を入ってすぐの奔龍庭では、雲の間を自在に奔る龍に圧倒されますが、門をくぐると牛を追う牧童に禅の悟りに至る道を表した十牛之庭が心を落ち着かせてくれます。秋の紅葉もキレイでしょうが、青く映える青紅葉と苔の中に配された石を眺めていると、私もまだまだ入鄽垂手の境地には程遠いですが、少しは悟りに近づけたでしょうか。ふと見ると残念ながら入鄽垂手に描かれる布袋さんに近づくのはお腹ばかりです。

龍が奔り雲海が煌めく奔龍庭

禅の悟りに至る十牛之庭

耳を癒す水琴窟と心が和むお地蔵さん

富岡鉄斎書の枯山水水墨画 

裏山の東照宮から洛北が一望

禅の悟りの境地を描いた十牛図

 今日も新緑薫る青紅葉や境内にある栖龍池の蛙の声、水琴窟の澄んだ音色に視覚、聴覚、嗅覚を癒されました。

帰りに好物の黒みつだんごを買い味覚もを癒されました。京都は既に大勢の修学旅行生たちが来てくれています。
少しずつ移動もしやすくなってきましたね。
湿が溜まる湿痰も、血が滞る血瘀も、すべて気滞からです。
自然の光、風、香り、音に触れていると、悟りに至らずともココロがとてもリラックスします。皆さまも、ストレスを溜めないよう、ぜひ五感を癒してくださいね。


雨の日はしんどいニャン

芒種[ぼうしゅ]の養生法
 さてさて、養生のお話でしたね。 
これからが梅雨本番なので、まだまだ梅雨の養生法「健脾利湿」の話が続きます。
日本の梅雨湿邪暑邪が一緒になり高温多湿で悪さをします。
気温は30℃以上や湿度は70%以上など暑さ(暑邪)と湿気(湿邪)が同時に襲ってきます。暑さで汗をかきジメジメとした天候でベタベタして気持ち悪いですね。夜中でも30度を超える熱帯夜になると寝ていても汗をかくので、汗と共に気を消耗し(気随津脱)どんどん気虚体質が進みカラダが重だるく感じたり食欲が無くなったり、疲れやすい、気分が乗らない、やる気が出ないなど症状が現れます。
 肩や肘、膝や腰が痛んだり天候と同じようにスッキリしないことが多くなります。雨の日や湿度が高い日に体調が悪いという人は、湿邪が溜まっています。

 自然界には「風・寒・暑・湿・燥・火」の六気がありますが、これが過剰になり人体に入って悪影響を及ぼすと、「風邪、寒邪、暑邪、湿邪、燥邪、火邪」の「六淫」になります。一方、カラダの働きが低下すると自分自身の体内から「内風・内寒・内湿・内燥・内火」という邪気を生じこれを「内生五邪」といいます。このように、湿邪は外から侵入する「外湿」と内から生じる「内湿」に分かれ、いずれもさまざまな不調を引き起こします。 


湿邪の特徴
?.陰邪で陽気を傷つけ、気の流れを阻害 
冷え・めまい・胸のつかえ・腹部脹満・食欲不振などが起こります。


?.重濁性 
身体が重だるく、おしっこや分泌物が濁った感じになります。頭が重い・身体が重い・動かしにくい・動きが鈍い・浮腫・ジュクジュクした分泌物が出る皮膚炎や残尿感・排尿痛などが起こります。 


?.粘滞性 
目ヤニや鼻水・分泌物が濃厚で粘り気があり、症状が長引きやすくなります。口の中が粘つく・痰に粘り気がある・ねばっこい汗・化膿しやすい・筋肉・関節痛や皮膚病の慢性化、長期化などが起こります。 


?.下降し下半身に侵入 
湿は水なので低いところに溜まりやすくなります。下痢・足の浮腫、小便不利・水虫・足がムレる・おりものが多い、粘るなどが起こります。
 湿邪は湿度の高い季節に発生しやすく、梅雨の時期は特に気をつけ、食事や生活の工夫で湿邪を追い払い、常に脾を健やかに保ち、梅雨を元気に過ごしましょう。

雨が続くと痛鬱だワン!!


健脾利湿の養生法
 中医学では、とは、運化を主る、昇清を主る、統血を主るといった働きを言います。飲食した物を水穀の精気という気に変化させ、カラダの上部に持ち上げて全身に運ぶ働きです。
 何度もお話ししていますように、の働きが弱ると生きるために必要な水穀の精気が作られず、カラダに上部に持ち上げられず、全身に運べずといった不具合が発生します。
そのため気(脾)虚という体質にどんどん陥り、さまざまな病気を招くのです。『病は気から』と言われ、気持ちが落ち込んだり沈んだりすると病気になるというようなイメージで捉えられていますが、本当は「気が作れなくなるとさまざまな病気になる」という意味なのです。
 統血を主る働きも鈍るので、出血しやすい、アザが出来やすい、虫刺されや傷が治りにくい、生理の出血が多い、不正出血があるなどの症状も起こりやすくなります。

こんな症状が気になる人は、気虚体質…その前にお腹の弱さが無いか見直しましょう。


脾は湿が苦手
 喜燥悪湿と言われ、湿が苦手です。またお腹が冷えて下痢になる脾陽虚という体質もあり、冷えも苦手です。余分な熱がコモっても困りますが、冷えると蒸化させられなくなり、さらに昇清も出来なくなります。
子どもの頃からお家で教えられているので、台湾や中国の人は冷たい飲み物は口にしません。私は、最初に中国に行ったときビールを注文したら常温の生温い瓶ビールがそのまま出てきてビックリしたものです。逆に中国の人が日本に来たら、注文もしないのに氷のいっぱい入ったキンキンに冷えた水が出て来てビックリされるようです。「せっかくの旅行中にこんな冷たい物を飲んだら病気になるじゃないか!」ってな感じなんでしょうね。
 子どもたちが朝起きてすぐに、冷蔵庫から冷たい牛乳を出してゴクゴク飲んでいるのは、あまり感心できません。「そら、お腹が冷えて気虚になってやる気は出んわねぇ」などと心配します。出来れば常温か温めて飲ませるべきです。特にお腹の弱い子どもには、朝はとにかく温かく柔らかく、消化しやすいものを食べさせて送り出すべきです。もちろん自分自身もそうですよ。そう思うと、やっぱりお味噌汁が一番なんですねぇ。

 

 

 脾を傷めないことが大切

脾をメンテする道具は…?
 大きな事故を起こして自分や他人の命を奪わないように、自動車は定期的に車検や法定点検があります。部品がすり減っていたり汚れていたら新しい物と取り替えますよね。ちょっと最近食欲無いなぁとか、下痢気味でお腹の調子悪いなぁとか感じた時は…早めに定期点検のように健康診断を受けてくださいよとオススメしています。
 器質的疾患と言って、たとえば胃や腸に何か出来たりして変形しているとか穴が開いているなど本来あるべき姿形や数値でなくなっている場合は器質的疾患と言います。

その場合は、やはり西洋医学的な治療(手術や投薬)が、早く治る(楽になる)と思います。検査を受けて「特に異常はありませんよ」と言われ、治療や薬の処方もなく「しばらく様子を見ましょう」と言われた時は養生法の出番です。まぁ実際検査をしても重篤なことは見当たらないのですから、それほど心配はいらないと思いますので、あとは食生活や生活習慣、生活環境などを見直して養生すれば改善することが多いです。

 今の傾いた体質を立て直すことが大切になりますので、まずはどちらの方にどの程度傾いているのかを知る必要があります。そのためには中医学的体質チェックが必要です。
気・血・津液・熱どれが不足しているのか?どれが滞っているのか?を知って、その問題を改善します。

 脾の働きが弱っていると、気虚、血虚、湿痰などの体質の傾きが大きいです。体質チェックをしてそれらの体質にチェック数が多くついたり、上にあげたような症状がある人はの働きが弱っていると考えられます。
 車の場合は、部品を取り換えたり場合によってはエンジンをおろしてオーバーホールしたりしますが、(胃腸などの消化器系)を取り出して、きれいに洗ったりは出来ません。

脾のメンテする道具は穀類・豆類・芋類

 中医学では、の働きの低下は穀類、豆類、芋類メンテナンスします。
穀類、豆類、芋類ドライバーやスパナやペンチのようなイメージです。
穀類、豆類、芋類を温かく柔らかく消化しやすいように調理して食べることで脾が健やかになるのです。
 穀類、豆類、芋類を温かく柔らかく調理というと、やはりお粥が一番
 台湾や中国ではさまざまなお粥を食べられます。お腹の調子が弱ってるなぁと感じた時は、お粥を食べてをメンテナンスしてください。最近では、検索するといろいろなお粥のレシピなどが出ていますので、そちらを参考にして食べやすくて美味しいお粥を作ってをメンテナンスしましょう。
 の働きが良くなると津液の巡りも良くなりますが、特にこの季節は湿邪が溜まりやすいので、湿邪を取り除き津液の巡りを調える食べ物も一緒に取るのがオススメです。湿邪を取り除き津液の巡りを調えることを利湿とか化湿燥湿散湿などと言います。
 利湿・化湿の食材は、瓜類糸瓜ヘチマ・南瓜カボチャ・胡瓜キュウリ・苦瓜ゴーヤ・西瓜スイカ・冬瓜トウガンなど)やトウモロコシの毛はと麦、小豆、緑豆など。むくみや肌荒れなど湿邪が気になる時は、これらの食材もオススメですがだいたい寒涼性の食材が多いので、温性の食材と一緒に食べたり、温かく調理して食べることがオススメです。
健脾利湿の養生法を行って、しっかりの働きを立て直しましょう。


もう一度脾の働きを高めるツボや

脾経に効くストレッチなどをご紹介

 心地良い強さでツボ押し

 真向法やヨガなどでも取り入れられていますが、カラダの前側を通る脾経経絡をストレッチでよく伸ばしましょう。脾経を伸ばすとの働きが高まります。(※良く伸びると食べられるようになるので、食べ過ぎに注意してね)

 呼吸法を使って脱力してカラダの緊張をほぐす

 このように健康に過ごすためには、湿を溜めてを発生させないために普段から健脾利湿の養生法が大切です。
 これから梅雨に入り湿度が高くなると、カラダの外側も内側も湿気がいっぱいになってきます。
 を健やかにして津液の流れをスムーズにしておかないと、停滞して湿邪となり熱や冷えなどと結びついてに変化し病気の元になってゆきます。
 の働きを低下させず高める食べ物を摂り、お腹や脚にある脾のツボをお灸やマッサージで刺激して働きを高め、津液の巡りを調えましょう。
 ヨモギやかつ香などの薬草がたっぷり入った薬草風呂で芳香浴。しっかり温まって痰を追い出しココロとカラダをリフレッシュしましょう。

 そして湿邪を取り除いて津液の巡りを調えてくれる薬膳茶や、脾を補って働きを高めてくれる薬膳食材を摂り入れて、湿邪や痰が溜まるのを防ぎましょう。

 お気に入りの薬膳茶で健脾利湿を


京都伝統中医学研究所の"小満におすすめの薬膳茶&薬膳食材"

1.「健脾利湿」お腹を冷やさないようにして、水の巡り良くし湿を溜めない薬膳茶&食材 
脾を健やかにして水の巡りを調え、むくみや水太りの解消にも。
オススメの薬膳茶は「水巡茶」、「そろそろダイエット茶」、「全部食べる薬膳茶 意棗紅豆茶」、「全部食べる薬膳茶 桂棗黒豆茶」、「なつめ薬膳茶」、「なつめ竜眼茶」など。
オススメの薬膳食材は「なつめ」、「蓮の実」、「皮去り焙じはと麦」、「殻とりはと麦」、「竜眼」、「山査子」、「緑豆」、「松の実」、「桂花」、「マイカイ花」、「八宝果仁豆」など。
いろいろお豆のスィーツセット」は最後にココナツミルクと砂糖で味付けてスィーツとしても美味しいですが、この季節は「いろいろお豆のお粥」として召し上がるのがオススメです。

 

2.漢方入浴剤 
 ヨモギがたっぷり入った「ほっこりポカポカあたたまり乃湯」もカラダが温まりココロの緊張もほぐれ気の巡りを促進。
よもぎは邪気を祓うので部屋に吊るしたりしますが、お灸のもぐさも同じ効果があります。カラダがむくんだり胃腸が弱ってると感じたら、足三里や陰陵泉にお灸をすれば、お腹の調子も改善し、部屋の邪気も追い払い一石二鳥の効果が期待!
 また、エキゾチックでオリエンタルな香りの 「すっきりさっぱり乃湯」は、アロマではパチョリと呼ばれる「藿香 」(かつこう)という生薬を配合。気の巡りが促進し、モヤモヤ気分もスッキリさっぱり、暑気あたりの体調不調やストレス解消、気鬱解消に。


 いよいよこれから夏至に向けて陽の気がどんどん多くなります。
春の気は「生」、夏の気は「長」、万物はどんどん生長を続けます。私たちもこの春夏の「気」に合わせて過ごすことが天人合一です。

 

中医学の知恵を毎日のくらしに活かして、体質改善や病気の予防に役立てて下さい。
商品は下記ショップでお買い求めいただけます。
京都伝統中医学研究所 楽天市場店

https://www.rakuten.co.jp/iktcm/

 

 中医学は難しい理論などもありますが、それよりも実際に暮らしに活かせる養生法や薬膳など健康に生きる知恵が満載です。 
専門用語や四文字熟語などもたくさん出てきますが、出来るだけわかりやすくお伝えしますので、少しでも実際の暮らしに活かしていただき、皆さまがより穏やかに健やかに過ごしていただきたいと願っています。

 

次回は、6月21日「夏至」ですね。もう今年も半分終わり。「夏越しの祓い」ももうすぐ。半年の穢れを祓い、新たな半年を穏やかに健やかに過ごすためにしっかり英気を養いましょう。生ものや食中毒にも気をつけてください!

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