園田 智子

大学在学中から東京ディズニーランド・ゲストパーキングにて準社員として勤務。96年(株)オリエンタルランド社内公募にてブルワリーマスターに採用され、現在に至る。
入社後、日本地ビール協会主催のセミナーに参加するなど勉強をはじめ、アドバンズド・イバリュエイター、アドバンズドジャッジ、そして98年に難度の高いマスタージャッジを受験し、合格。日本地ビール協会主催のビアテイスター認定資格の最高ランクにあたる「マスタージャッジ」は日本でも8人しか持っていない。

ブルワリーに入ります!安全のために長靴を着用します。そして園田さんに案内をされながらブルワリーへ入っていきます。

ここではまず、ビール造りに必要な材料や機械について教えていただきました。
  まずはハーヴェスト・ムーンの大事な原料が眠っている原料倉庫です。

温度や湿度を徹底管理した別部屋
には、麦芽が入った袋が種類別に保管されています。袋は約25キロという重さです。(左下に進みます)

ビールの源である麦芽の種類は5種類。
種類ごとに名前はもちろん 産地、色、味の違いを丁寧に教えてもらっているところです。

「このまま食べても美味しいよ」と教えてもらったので、麦芽をちょっと味見させていただきました。
"エールモルト"という麦芽は、ほんのり甘味、
"カラメル麦芽"は、カラメルのようなほろ苦い香ばしさがあり、ふたつとも深い味わいです。この小さな麦芽から美味しいビールが生まれるんですね!
  麦芽を粉砕させる機械「モルトミル」です。
この大きな機械で一気に麦芽を粉々にします。
本来なら この機械の高い位置から麦芽を入れなければならないのですが、そんな重労働を緩和してくれる素晴らしい機械がコレ!
「モルトミル制御装置」です。床下30cmのところにある入口に麦芽を入れて 制御装置のボタンを押します。そうすると、あっという間に管を隔てて、下から上へと一気に麦芽が移動されます。このような機械が導入されているのは他の地ビール工場でも数が少ないとのこと。腰を悪くするブルワーが多いと聞き、なるべく負担を軽くできるように…と会社側の配慮のもと、この機械が導入されたそうです。「感謝してます」とは園田さんのコメント。


* いよいよビール造りです *

釜に張ったお湯に麦芽を加え、麦芽に含まれるでんぷんを、酵素の働きで糖に変えます。
ロイタータンクで麦汁をろ過して、きれいな麦汁を取り出します。ここでは、最初に出てくる「一番麦汁」とまだまだエキスたっぷりの「二番麦汁」を合わせて使用します。
取り出した麦汁を煮沸します。煮沸中にホップを添加、ホップにはビール特有の苦味を出す役目があり、抗菌作用もあります。煮沸の時間はビールの種類によって異なりますが、だいたい90分くらいです。ビールを造る作業はたくさんあります。これも美味しいビールのためなんですね。
麦汁からホップカス等を取り除いてきれいな麦汁を取り出し、10℃前後に冷却 して、発酵貯蔵タンクへ移します。
タンクへ移された麦汁に酵母を入れて発酵させます。
イクスピアリのブルワリーでは、すっきりした味のピルスナーやシュバルツを造るのに使用される下面発酵酵母と、フルーティーな味わいのペールエールやベルジャンウィート、ブラウンエールを作るのに使用される上面発酵酵母という、2種類の酵母を使用していて、主な発酵は1週間から10日ほどかかります。このタンクで発酵中のハーヴェスト・ムーンが飲めるのはもう少し先のようです・・・。
上面発酵ビールは2週間ほどかけて熟成し、下面発酵ビールは1ヶ月以上じっくりと熟成させます。発酵・熟成中に発生した炭酸ガスはタンクを密閉することによって、自然にビールの中に溶け込んでいきます。最終的に0℃で熟成をさせたらもうすぐ完成!
やっとハーヴェスト・ムーンとの対面です。
ペールエール、ブラウンエール、ピルスナーは酵母をろ過するので、透明な仕上がりになるのに対し、ベルジャンウィートとシュバルツは酵母入りなので少しにごった仕上がりです。酵母が入っているビールは、時間が経つにつれ熟成がすすむので、同じタンクのビールでも最初に注いだものと最後のものでは若干味わいが違ってきます。同じレシピでビールを作っても、酵母の働きでわずかに風味が変わることもあるそうです。そんな話を教えていただき、ビールを飲む楽しみがもっと増えました。
▲ビール造りは仕込装置で行われます
▲冷却装置です
▲発酵・熟成の過程を聞いています
▲ビールが眠るタンク達・・・
▲透明な仕上がりのビールは
この機械でろ過をして完成!



ブルワリー見学記を読まれた感想是非お聞かせください。
またこちらのページに関して何か質問などございます場合も
こちらへ お願いいたします。