農薬に頼らない害虫対策を目指して!

 世界的に農作物の安全性に対する関心が高まる中、熱帯樹木である「ニーム」の木が注目されています。
 「ニーム」とは主にインド・東南アジアで栽培されている薬木(インドセンダン)の名称で、その様々な効果から、現地では日常的に生活の中に取り入れられいろいろな使い方をされてきました。その中でも特出すべきは、ニームの木がもつ「害虫が寄り付きにくい環境をつくる効果」です。

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●ニームオイルの使い方


 ニームの実の核(仁)を圧搾機で絞って抽出するオイル上の液体をニームオイルといい、農業用の害虫対策資材として使用されます。ニームオイルとニームケーキのページでも述べましたが、その使用方法としては希釈水を定期的に作物に散布して害虫が寄り付きにくくする葉面散布が有効です。
ニームオイル
 現在日本国内でも多種多様なニームオイルを手に入れることが出来ますが、商品によって使用倍率や質が異なります。
 ここで紹介する商品は、ニームオイルにパインオイル・トートオイル・レモングラスを加えた『NewニームアクトLG』(製造元:アイアンドアール社)を使用しております。通常、ニームオイルには独特の臭いがあり、ハウス内や室内での利用は厳しいものがありました。しかし、同製品はレモングラスを加えたことにより、ニーム独特の臭いが薄まり、代わりにレモンの爽やかな香りの商品です。また、レモングラスには殺菌効果も認められており、害虫だけでなく病原菌にも抗菌作用が働きます。
 通常ニームオイルは300-500倍に希釈して利用しますが、この商品は1000倍希釈のため費用的にもお得な商品です。

『NewニームアクトLG』(アイアンドアール社製)の使用例
  1. 葉面散布でのニームオイル使用方法

  2.  ニームを利用した害虫対策は発生前の予防が基本です。そのため、ニームオイルは虫が見える前から定期的に散布(葉面散布)します。畑などであれば噴霧器を利用して、プランターなどでしたらスプレーでも充分でしょう。ニームオイル散布の頻度ですが、ニームオイルの効果が持続するのが約5-7日ですので、1週間に1度、害虫が多い時期には3-4日に1度くらいのペースで散布すれば充分だと思います。
     希釈倍率は『NewニームアクトLG』を利用する場合、1000倍希釈となります。(他のニームオイルの場合、希釈倍率が異なりますので、必ず使用倍率を確認してからご利用ください)

  3. 土壌潅注でのニームオイル使用方法

  4.  ニームを土壌潅注で使用する場合、10アールあたり原液200〜300ccを100〜150Lの水に希釈して流してください。

  5. ハウス内での煙霧機を利用したニームオイル散布方法

  6. 煙霧機でのニームオイル散布
     ハウス等の施設園芸栽培で煙霧機がある場合には、ぜひ煙霧機でのニーム散布をお奨めします。煙霧機を利用していただくと、細かい粒子となり作物の隅々まで微生物やニームオイルがいきわたるため、大変効果的です。また、散布作業も簡単で、通常の作業に比べると作業負担がかなり少なくなります。
     実際、特別ミネラル栽培の会の会員の中でもニームオイル・微生物資材・微量要素(カルシウム、マグネシウム等)を定期的に煙霧機で散布することで完全無農薬に成功した農家様が多数いらっしゃいます。 (主に、イチゴ農家、トマト農家、キュウリ農家などです)散布量は、煙霧機の種類によっても異なりますが、全体にいきわたればOKです。良く使う方法としましては、『NewニームアクトLG』はレモングラスの匂いがしますので、ハウスの一番ハズレに行って匂いが漂ってくればいきわたっていると判断しています。少なくとも通常の動力噴霧機等の使用量に比べればかなり少なくなります。
     実際に利用されているイチゴ農家様の例でいうと、2反のハウスにたいして30-50Lを1週間に2回程度散布しているということでした。1回の散布量を多くするよりも、定期的に薄くかけるほうが効果が高いようです。

  7. ペットボトルを利用したお手軽なニームオイル利用方法

  8.  通常、ニームオイルは噴霧機を利用して散布しますが、面積が広くなると定期的に散布する作業はたいへんで、ついつい散布を忘れてしまうことが多々あります。施設栽培ですと煙霧機を利用するのが最も簡単で作業負担も少ないのですが、実際問題、煙霧機の価格が高く、なかなか手が出ないというのが現状で、噴霧器を利用されている方が多いようです。
     そこで特別ミネラル栽培の会では、もっと作業を省力化できないかということで試行錯誤を重ね、各会員がそれぞれの圃場でさまざまな散布方法の試験をした結果、作業量が少なくて最も効果のあった散布方法が『ペットボトルを利用したニームオイルの利用方法』でした。

    ●ハウス等の施設栽培で利用する場合
    ハウス内でのペットボトルを利用したニームオイルの利用方法  ハウス等でペットボトルを利用する場合、ペットボトルを真ん中で半分に切って使用します。(右の写真参照)
     写真のように、半分に切ったペットボトルをハウスの内部を囲むように約2-3mおきにぶら下げます。ぶら下げる際には、地表から30-40cm位の高さが最も効果的のようです。外から飛んでくる害虫の場合、このくらいの高さで飛んでいる害虫が多いようです。
     ニームオイルの希釈倍率は、『NewニームアクトLG』の場合、通常より濃い目の300倍。他のニームオイルを利用される場合でも通常の倍率より濃いほうがよいと思います。
     ニームオイル希釈水は、ペットボトルの底から2-3cm入れてあげれば十分です。たくさん入れても効果は変わりません。そのため、希釈倍率が低いとニームオイルを使う量が多くなりそうですが、実際には噴霧機で定期的に散布するよりもかなりお得になります。
     注意しなければいけない点は、だいたい10日前後でペットボトルの中身が蒸発しますので、なくなる前に必ず注ぎ足してください。また、ハウスの中は、必ずニームケーキ(ニーム顆粒)を使用してください。ハウス内で越冬している害虫もいますので、ニームケーキ(ニーム顆粒)と併用しないと効果が半減します。
     また、植付直後や夏の害虫が増殖する時期には、噴霧機を利用して何度かニームオイルを散布してあげるとより効果的のようです。

      ●屋外で利用する場合
    煙霧機でのニームオイル散布  屋外でペットボトルを利用する場合に注意する点としては、ハウス等の施設内と異なり雨水が入りますんで、ペットボトルの切り方を工夫してあげてください。(右の写真参照)  右の写真のように、500mlのペットボトルの横に「コ」の字型の切り目をいれてあげると、ちょうどぶら下げたときに屋根のような形になり雨水が入りにくくなります。そのほかにも人によって様々な切り方がありますが、基本的には雨が入りにくく、かつ中のニームオイルが蒸発して匂いが漂うようにさえなっていれば問題ありません。
     ぶら下げ方は、作物によっても異なりますので、それぞれ工夫していただければと思います。
     他はハウスと同じで、希釈倍率は300倍、希釈水の量はペットボトルの底から2-3cm入れてあげれば十分です。もちろん、中身がなくなる前に必ず注ぎ足してあげてください。また、ニームケーキ(ニーム顆粒)の併用をお奨めいたします。

    次は、ニームケーキ(ニーム顆粒)の使い方についてです。