農薬に頼らない害虫対策を目指して!

 世界的に農作物の安全性に対する関心が高まる中、熱帯樹木である「ニーム」の木が注目されています。
 「ニーム」とは主にインド・東南アジアで栽培されている薬木(インドセンダン)の名称で、その様々な効果から、現地では日常的に生活の中に取り入れられいろいろな使い方をされてきました。その中でも特出すべきは、ニームの木がもつ「害虫が寄り付きにくい環境をつくる効果」です。

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●ニームの土壌改良効果


 農業用にニーム(特にニーム顆粒)を利用した場合、害虫対策のほかに土壌改良効果も忘れることは出来ません。ニームケーキ(ニーム顆粒)を施肥した際、しばらくすると施肥した部分が真っ白いカビのようなもので覆われます。これは、糸状菌に代表される病原菌ではなく、病原菌を抑制したり有機物を分解する『放線菌』とよばれるものです。

  1. 土壌改良に顕著な効果

  2.  ニームケーキ(ニーム顆粒)は、これを施用することにより、肥料としての効果に加え土壌改良にもきわめて顕著な効果が得られ、その結果、病菌やセンチュウなど土壌害虫が発生しにくい環境が創出されます。この土壌改良効果をもたらすメカニズムにおいて、病菌を防除する拮抗菌のひとつである放線菌のはたす役割は大きいといえるでしょう。

  3. 放線菌による病害抑止

  4.  放線菌(ストレプトマイセス)は、バチルス、シュードモナス、アグロバクテリウムなどと同様、拮抗菌に属します。その殆どが好気性。病菌を投入しても発病を抑える力をもつ土壌には大量に生息していることなどから、放線菌には発病抑止力が認められています。
     放線菌は、細菌や糸状菌に活性を示すメチルフェニールケトン、メチルエチルケトン、ストレプトマイシンなどの抗菌物質を産生します。また、有機物を分解するために有用なセルナーゼ、キチナーゼなど多くの酵素も産生します。フザリウム、リゾクトニアなど土壌病菌の多くは細胞膜がキチンでできていますが、放線菌が産生するキチナーゼはこの土壌病菌の細胞膜にも作用してこれを溶解します。これが放線菌による病害抑止のメカニズムです。
     従って、放線菌の特徴は、病菌を抑止する物質と有機物を分解する物質とを産生し、結果として病害防除の効果が得られることになります。それに伴い、放線菌の豊富な土壌における作物は、土壌病菌が抑止されることにより、根の張りが良くなり、また有機物を分解する酵素の働きにより肥料吸収も良くなります。その結果、作物自体病害虫に強い作物として成長します。

  5. アザジラクティンによる土壌環境浄化

  6.  ニームの他感物質(アレロケミカルズ)であるアザディラクティンは、土壌中の放線菌を活性化させる触媒の働きもあります。すなわち、土壌病害を抑止する有効菌を増殖させることによる土壌改良剤といえるでしょう。
     また、アザジラクティンの他感作用(アレロパシー)は、害虫に摂食障害や産卵・孵化阻害をもたらすことも解明されています。例えば、クログルミの下で作物が育たないのは、木に含まれるユグロンが他の植物の生育を抑えるから、アカマツの下では一年生雑草が生えないのはタンニンとP−クマール酸が種子の発芽を抑えるから―などと同じ現象と考えられます。従って、ニーム顆粒は、土壌改良効果に加え、ネマトーダ等土壌害虫が生息しにくい土壌環境が創出される効果も得ることができるのです。

    次は、ニームオイルの使い方についてです。