元文3年(1738年)元祖、長岡屋茂助は現在の島根県松江市に魚屋を開業し、五代目までは日本海沿岸から松江市に出荷する飛魚を持ち帰って商売をしていました。(当時は鮮魚として販売していました)当時は保存技術もなく、なんとか長期保存ができないか考えていました。
この頃、地域で蒲鉾造りが盛んになり始め、長岡屋も店の軒下に火床を置き、竹に巻き付けた飛魚のすり身を回転させながら焼いたのが始まりでした。 |
■飛魚って?
ところでみなさんは飛魚(トビウオ)という魚をご存知でしょうか?
飛魚(山陰地方ではトビウオのことをアゴと呼びます)は、島根の沿岸全域で多く獲れ、脂が少なくさっぱりとして、高タンパク質なヘルシー魚です。 また粘り気も身入りも多く、生で食べるよりもかまぼこ素材に適した魚です。 |
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その一番の特徴は大きな胸びれ!!飛魚(トビウオ)の全長は25cm〜35cm位なのに胸びれを広げると35cm〜40cmくらいになり、大きな胸びれと腹びれをうまく使いグライダーのように数百メートル滑空するんです。 これは大型の魚から逃げるために飛ぶといわれていますが、初夏(5月〜8月)の山陰沖を航行していると、美しい姿で滑走する景色がたびたび見受けられます。 現在では、この旬の飛魚(トビウオ)をすり身にし冷凍保存することで、一年を通し、あご野焼をお客様に楽しんでいただけるようになりました。(以前は冷凍保存技術がなかったので特製蒲鉾は夏季限定商品でした)
また、平成元年には「島根県の魚」に指定され、現在では県民にもっとも馴染みのあるお魚なんです。 |
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■HOW TO あご野焼
ここでは野焼きの作り方を簡単にお話しましょう。
野焼きにはすり身にした旬の飛魚を使用します。長岡屋茂助では、つなぎでつかうこともある澱粉を一切使用していません。すり身も自社で魚をさばいてつくっています。飛魚の獲れる初夏には1年分のすり身をつくるので、この時期は寝る間もないくらいです!
そして石臼で塩を加え粘りをだし蒲鉾本来の弾力を生み出し、地元の調味料&秘伝の調味料を加え、さらに石臼でじっくりと時間をかけて練り合わせます。
次に成型に入ります。
練り上げたすり身をたけべらを使い、芯棒に巻きつけていきます。 簡単そうで実はこれがけっこう職人技なんですよ! |
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いよいよ最後!焼きに入ります!!
近年、蒲鉾業界も大量生産の機械化が進む中、茂助では完全手作業で行っています。職人が1本1本焼き加減を見ながら温度調節し、焼きムラを押さえ、焼き上げていきます。
これは、昔からの伝統を守るという思いと、茂助のあご野焼は他にはない程の大きさでこの大きさを機械化するのが難しいからなんです。 |
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■特産品の代表「あご野焼」
地元ではハレの日には欠かせないアイテムです。特に、年末・年始にはこれがないと年が越せないほどのもの。また、山陰出身の方がふるさとを思い出すアイテムでもあります。この山陰を代表する長岡屋茂助の「あご野焼」を、ぜひ一度ご賞味頂ければと思います。 |
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