伝統的な日本の「つつむ」。
「風呂敷」は、物を包んで持ち運んだり、保管のために古くから使われてきました。
「風呂敷」の物を包む布としての起源は奈良時代まで遡り、正倉院蔵の宝物を包むのにも使われていたそうです。そして、その語源は室町時代、風呂に招かれた大名たちが家紋をつけた帛紗に着物などの衣類を包んだことが始まりとされています。(諸説あり)
はじまりを見ていくと日常的に使うというよりも、少し敷居の高いものに感じますが、今では「つつむ」だけでなく、「むすぶ」 「はこぶ」といったように人々の暮らしと共に「風呂敷」の使い方も変化しています。
今回は、伝統を日常的に取り入れる、「風呂敷」の楽しみ方についてお話します。
▼ サイズだけでなく包み方も様々な「風呂敷」
「風呂敷」で包む場合、多くがギフトなど大切な方への贈る目的が多いはず。
四角く固い物であれば、ラッピング包装のように、あまり考えなくとも綺麗に包める気がします。ここで綺麗に包むために知っておきたいのが、「包む物の大きさ」です。
「風呂敷」の対角線の約3分の1くらいの物が、1番包みやすい大きさとされています。主柄(おもがら)は自分から見て奥になるように裏返して広げる。 これを知っているだけでも包んだ後の見た目が全く違います。
▼ 風呂敷と包む物は「3対1」の比率
と言っても、言葉だけではなかなかイメージできず、伝わらないですね...(汗
ここからは、実際に「風呂敷」を使って見ていきましょう。
「風呂敷」中巾 48cm(対角線:68cm)と、「紙箱」幅・奥行11cm × 高さ12.5cmを用意しました。
包む物のサイズが気持ち小さめではありますが、今回はこちらを使って包んでいきます。
▼ 基本の包み方(平包み)
箱にあわせて手前と奥の角を折り重ねて余った部分を下に巻き込みます。左右の角を持ち上げて結ぶと完成です。左右の角を持ち上げる時に折り目を整えると見た目がより綺麗になります。
箱に高さがあったので、1回結びになっています。お弁当箱は角を巻き込んでしっかりと包むことができます。
▼ 完成版(こちらをご参考ください)
いかがでしょうか。同じサイズの「風呂敷」ですが、正方形から平たい箱まで包むことができました。
ここまで「つつむ」について見てきましたが、今回の本題はここからです。
次章では、応用編 「むすぶ」についてご紹介します。
▼ エコバック代わりにもなる便利な「風呂敷」
レジ袋が有料化となり、マイバックが必要となる場面が増えてきました。ちょっとした買い物をした時、エコバックを持っていなかった...という経験ありませんか?
そんな時に活躍するのが「風呂敷」です。特に両面の風呂敷はしっかりしているので強度も安心。そして絵柄がおしゃれなのも魅力です。見た目は1枚の布かもしれません。しかし、工夫次第で多様に変化する万能なアイテムなのです!
風呂敷バッグ作る際にポイントとなるのが、「結び方」です。
基本はなんと2つだけ。この2つを覚えれば、誰でも簡単に風呂敷バッグを作ることができます。では早速、写真と一緒に見ていきましょう。
▼ 【準備】風呂敷を半分に折り畳む
まず、風呂敷を四角に半分、または対角線に半分折り畳みます。
次に風呂敷の端を結んでいきます。ここからは、三角折り(写真右)でご説明します。
▼ ①真結び
三角に折り畳んだ風呂敷の両端を持ち、くるっと1回引っ掛けて、もう一度同じ動作を繰り返します。2回目は力を入れてぎゅっと結びます。
これは、風呂敷を扱う際に最も登場する結び方の「真結び(まむすび)」と言います。
一度結べば物を入れても簡単には解けず丈夫です。
▼ ②ひとつ結び
三角に折り畳んだ風呂敷の端の片方を持ち、くるっと1回結びます。
これは、見た目そのままでわかりやすい「ひとつ結び」と言います。
「真結び」とあわせて使うことも多い結び方です。この結び目の大きさ、幅の取り方でバッグのサイズも調整できるようです。
基本の結び方はなんとこれだけ!なんだかとても簡単そう...?
そうなんです。本当に簡単で筆者も驚きでした。風呂敷で物を包むのはサイズを気にしたり、考えながらしないと...なんて思っていましたが、風呂敷バッグは結ぶだけ。
では次に、先ほどの2つの「結び方」を使って、風呂敷バッグを作っていきます。
▼ しずくバッグの作り方
三角に折り畳んだ風呂敷の端をそれぞれ「ひとつ結び」して、風呂敷を裏返します。
裏返した後、結び目は内側に入れます。残りの2つの角を持ち、長さと形を整えます。
どうでしょう。しずくの形に近づいてきました。完成まであと少し...!
しずくの上側(〇の部分)を結びやすいようにまとめます。
ここで「真結び」の登場です。1回2回と結ぶといよいよ完成になります。
完成しました!(※形を整えるため、中に緩衝材を入れています。)
ここからもうひと手間加えるとまた違うバッグに変身!
▼ タウンバッグ
「真結び」を2回繰り返し、輪っかを作ることで持ち手ができました。
手提げとしてはこちらの方が持ちやすいように感じましたが、結び目の部分に長さをとるので、サイズはしずくバッグよりも少し小さくなります。
▼ 買い物かごに広げ、順番に商品を入れて端と端を結べばエコバッグに
既製品のバッグだとサイズが決まっているため、思ったより小さくて入らなかったり、袋がパンパンになるほど詰め込んでしまうことも...
「風呂敷」の場合は、包みたいものに対して結び方を変えるだけで多少のサイズ調整が可能なので、お出かけする際に1枚持っておくと安心です。
※瓶など重たいものや割れ物は、分けることを推奨します。マチがないため、底面の安定度は低いのでご注意ください。
次章では、さらにステップアップ。アレンジ編をお届けします!
風呂敷だけではなかなか使わない、という方におすすめしたいのが、「組み合わせる」という使い方です。今回は当店の商品を使ってアレンジしたものをご紹介します。
▼ 「カゴバッグ」に巻いてみた
「茶道具8点セット」のカゴバッグに風呂敷(104cm)を巻いてみました。
ぐっと華やかになりました。カジュアルな場にも馴染みそうですね。
▼ カゴバック手順①
中心にカゴバックを置き、風呂敷の端を持ち手の外側から内側に通します。
両側同じように持ち手に通します。
▼ カゴバック手順②
ここで第2章のおさらい「真結び」の登場です!
1回2回と結び、形を整えます。残りの反対側も同じように結ぶと完成です。
▼ キレイに包むためのポイントは?
風呂敷の中心に置いても端を引っ張ったりしているとアンバランスになるので、両側の長さが同じになるように通してから結ぶ方が見栄えが良くなりました。
他にも収納した物に風呂敷をかけることで見せる収納にしてくれるなど、他にもたくさんアレンジできそうです。
皆様もぜひ、お試しください!
いかがでしたでしょうか?
つつむイメージの「風呂敷」ですが、「むすぶ」をはじめ、現代の生活でも役立つ場面がたくさんあり、日本の伝統「つつむ」は、時代と共に変化し続けていることがわかりました。
「風呂敷」は、中のものを慈しみ大切に扱うといった意味も持つため、贈り物などといった特別なもの、非日常のイメージが強くありましたが、現代では日常的に楽しむ『暮らしの道具』になりつつあるのかもしれませんね。
ぜひ、こちらの記事が「風呂敷」選びのご参考や興味に繋がれば嬉しいです!
最後までお読みいただきありがとうございました。
*その他「風呂敷」のサイズ詳細についてはこちらのページをご参考ください。
各名称とサイズ、使用例をご紹介しております。