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シャーボルトとはオーガ〔除雪機の前の雪を砕く螺旋(らせん)状の刃の事〕とオーガミッションをつなぐボルトの事です。 ロックボルト・安全ボルト等と呼ばれる事もあります。 このシャーボルトは特殊な柔らかい素材でできていて、通常の同型のボルトに比べて値段が高い傾向にあります。 しかし、値段が高いのにはワケがあります。 オーガ(刃)はオーガハウジング内の中心部分にあるオーガミッションという装置から動力を受け取り回転します。 このオーガとオーガミッションを繋いでいるのがシャーボルトです。 なのでシャーボルトが折れたりするとオーガとオーガミッションの接続が遮断されて力が伝わらなくなりオーガの回転が停止します。 シャーボルトの役目はオーガに石などの固い物を巻き込んだり、縁石等にオーガをぶつけてしまった場合、その衝撃をシャーボルト自体がその柔らかい特性を生かし、ワザと折れる事でオーガとオーガミッションの接続を遮断し空転させることで、オーガミッションやエンジン、そしてオーガ自体の損傷を防ぐ事です。 なのでこのボルトを普通の鉄やステンレスなどの固いボルトを使ってしまうと、いざオーガに強い衝撃が加わったとき、その衝撃は逃げる事無くオーガ・オーガミッションそしてエンジンに伝わってしまい、オーガの変形・オーガミッション内のギアの損傷・エンジン自体の損傷につながります。 シャーボルトはこのような、強い衝撃をオーガに受けた時、機体を衝撃から守る【安全装置】なので、折れない固いボルトを使う事はその【安全装置】を『解除』する事になります。 『すぐ折れるから』・『値段が高いから』とういう理由で安い同型の固いボルトを使ってしまうと、いざと言う時【安全装置】が働かなくなり結果、『重要部品の損傷』→『高額な修理費用』となりかねません。 値段が高めなのにはこういった保険の意味合いもあるのです。 なので、除雪する地面が未舗装の砂利や小石等が多い場所や、縁石やコンクリートの段差がある場所を除雪する事が多い方は、シーズン前に予備として多めのシャーボルトを用意しておくといいでしょう。 |
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まず、機体を判定した場所に置き、必ずエンジンを止め、キーを抜きましょう。
これは何かの拍子にエンジンがかかってしまうのを防ぐためです。 シャーボルトの交換は必ずオーガハウジング(オーガが収まっているケース部分)内に手を突っ込むことになります。 この時、何かの間違いでエンジンがかかってオーガが回転したら……考えるだけでも恐ろしいですね。 複数人で除雪作業をしているときは、周りの人にシャーボルトを交換することを伝えてから作業に移りましょう。 小型機はあまり心配はありませんが、大型機ともなると機体が大きいため、操作パネル側から、かがんで修理する作業者の姿が機体の影になって見えないことがあります。 そのため、オーガ部のメンテナンスをする時は細心の注意を払いましょう。 |
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シャーボルトの交換は基本的には、徐雪機を買った時に一緒に付いてきた工具で交換ができるのですが、シャーボルトの場所は、意外と入り組んで狭かったり、ボルトまわりに障害物があったりして、何かと大変だったりします。
機種によっては、片方のボルトが空転しないように固定されるように設計されてある機種もありますが、その他の機種は、片方が空転しないよう『固定する』ための工具と、ボルトを『締める』ための工具の2本が必要になります。 この時使う工具でオススメなのが『メガネレンチ』です。 メガネレンチの利点は『締め付け部の径が小さい』事、そして『締め付け部に傾斜がついている』事です。 メガネレンチは締め付け部の周りがモンキーレンチやスパナと比べて薄いため凹んだ場所にある、ボルトやナットに使う事ができます。 また、メガネレンチは締め付け部に傾斜が付いているので、ボルトやナット周りに凹凸物や障害物があるときでも取り回しやすいのが特長です。 メガネレンチのセットとモンキーレンチが1本あれば、除雪機の基本的なメンテナンスには困りませんので用意しておくとイイかもしれません。 |
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まずはシャーボルトを通すオーガ側の穴をとオーガミッション側の穴を合わせます。
合わさった穴にシャーボルトを差し込みます。 反対側の穴から出てきたシャーボルトの先端を少し出してナットをあてがいボルトを時計回りに回してある程度ねじ込みます。 手でなねじ込める限界までボルトを回したら、一方にボルトが空転しないよう固定するために、スパナかレンチで固定します。 もう片方をメガネレンチ等である程度しっかりと締め付けます。 ここで1度エンジンを掛け、オーガを数秒間回転させます。 そして再びエンジンを停止してキーを抜き、もう1度ボルトを締め付けます。(増し締め) これで完全にシャーボルトが固定されます。 |
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