ダーツに限らず、どんなスポーツでも「調整」は大事です。
狙いの調整・フォームの調整・イメージの調整を
いかに正確に出来るかが勝負の決め手となります。
飛び過ぎたりで狙いが上下にズレたり、ダーツの飛びが悪いと感じる時は
テイクバックを調整してみよう。
引きを短めにしてダーツに力を伝える
プロのダーツプレイヤーである岡田宗明プロは「調整には自信ありますよ」と言う。
「最初の考え方として、上から下に合わせる調整は簡単という事です。そこで、まずは20ダブルをひたすら狙います。20ダブルにきちんと合わせることができるようになれば、そこから縦にラインを下るイメージで20トリプル・ブル・3トリプル・3ダブルと合わせていきます。」
縦のラインを合わせて、上から下へ。これは誰もがやり易い調整と思われるので、是非やってみて下さい。
では、思い描く飛びと実際の飛びが違って上下が合わない時は、どうすれば良いのでしょうか。
「僕の場合はテイクバックの引きの長さで調節しています。力の入れ具合ではありません。テイクバック時にあまり引かないで投げればダーツはさがり、引いて投げればダーツは上がります。ダーツの飛びは、引きの長さでも変わってきます。引きが短いと投げ方に勢いが付くので、ダーツに力が伝わるんです。ほとんど引かないで投げる人がいますが、あれはテイクバックをなくすことで勢いをつけてる場合がほとんどです。逆に引きすぎると、ダーツに力が伝わらないんです。」
しかし、岡田プロは「そうした調整を試合中に意識しすぎるのも考えもの」と言う。
「人間というのは上手くいってる時(ダーツが入ってる時)は、「もうちょい上だ」とか殆ど考えません。でも調子が悪いと途端に「下にいくなあ」「なんで入んないんだろ」とか考えちゃうんです。試合でそんなことを考えだしてしまったら予選敗退ですね。試合では外しても余計な事は考えないで、そのまま打ち続ける。常日頃の自分の練習を信じて投げるしかないんです。」
調整はあくまでも試合前に行うべきで、試合中は余計な事を考えず、自分を信じて集中して投げるのが大切という事です。
ダーツがいつもより「飛ばない」という原因の多くは、力みやフォームの崩れによるもの。
理想の飛びに合わせる為にもリラックス&フォームチェック!!
時には全身を使って大胆に調整することも必要
投げ始めた時から調子が乗らず、ダーツの飛びが悪いと感じる日は誰にでもあるものです。そんな時、ダーツをもっとしっかり飛ばそうと、いつもより力を込めて投げたり、思いっきり腕を振ったりすると、さらに調子を崩す悪循環にハマりがちです。
「いつもの自分の飛びじゃないなと思う時は、どこかに余分な力が入ってたり、フォームが崩れていることが多いんです」と、プロは言う。
「例えば大会の日の朝、飛びがすごく悪いと感じたら、飛ばし方だけを練習します。周りがみんなブルの練習していても、自分のフォームのチェックです。入る入らないではなく、全体的な身体のバランス。フォーム軸がぶれていないか、肩やひじ、グリップがおかしくないか。フォームは良いにも関わらず変な飛びだったら、どこかに余分な力が入ってる事が多いから、意識して力を抜いて投げるようにします」
それでも飛びが戻らない場合は、さらに調整すると言う。
「基本は、自分の投げ方を貫き通す事が大事ですが、大会では即席で合わせないとダメな場合もあるから、そういう時はできる範囲であらゆることを試してみます。自分なりの「いつものグリップでいつもの投げ方」をしてるつもりなのにダーツが届かない時は、ちょっと後ろを持ってみたりします。そうするとダーツに力が乗って飛んだりしますから。普段はオープンスタンスでも、飛ばないとか、飛びすぎる時にあえてクローズスタンスにして「今日はこの方が合う」とか。いろいろ試行錯誤してみます」
「ダーツは全身でするもの」と言うプロが試みる、全身を使って狙い、的に近づける調整法。どうしてもという時の奥の手として覚えておいても良いかもしれません。
例えば、コークで相手の先に投げたダーツがインブルの真上に刺さった場合。
例えば、ベッド(同じナンバーのトリプルorダブルに3本入れる事)を狙うのに
自分のダーツが邪魔になる場合。
いつもと立ち位置を変えて狙うことで弾かれずに入れることができる。
斜めからの狙いに正面から入れる時の感覚を応用
狙ったところの上下間近にダーツが刺さった時、同じ立ち位置から同じ投げ方で狙えば、先に刺さったダーツに弾かれてしまう確率は高くなってしまいます。
星野光正プロはこうした場合、「弾かれる確率を少しでも下げるために違う角度から投げます」と言う。
「人の腕は内側に向けて入りやすいから、右利きなら右から狙う方が楽ですね。右利きの人が左から狙うと外側に払う形になりやすいので。ただ、右上に刺さっていた場合、邪魔になるから左から狙います」
では、立ち位置を変えた場合、どうやって狙いを合わせたら良いのでしょうか。
「誰でも、普段はターゲット正面からの最短距離を通して投げてると思います。そこから入れる感覚は当然持っているはずなので、それを基準にして考えるんです。立ち位置をかえて盤面を斜めから見ることになるから見え方は変わりますが、飛びをイメージしてそこに飛ばすというのは同じです。今入ったのと同じ投げ方で、ちょっとズレてやれば違う場所に刺さるはず、というイメージは大切ですね。角度を代えて立ったことで距離が伸びて矢のさがる距離を稼いでしまってるわけですから、その分を考慮して、力加減を調節するんです。だから、まずは狙ったところに入れられる体を作りあげることが必須条件です。それがあって初めて違う角度からも入れられるんです。」
星野プロは「最短距離で狙う感覚についても、それを応用して角度をつけて狙う感覚についても、結局は何度も繰り返すことでその感覚を体で憶えるしかない。」と言う。
普段の対戦や練習している時から、立ち位置を変えて狙うべき状況が訪れた時などを想定してトライしてみるのが良いでしょう。