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人口爆発に伴い、食糧の生産が必要不可欠の中、タンパク質危機を迎えています。
現代の食生活においてタンパク質摂取は食肉に大きく依存しており、家畜と穀物飼料を増産するため、1年間に東京ドーム1,265,476個分の森林が減少し、1日100種類以上の生物が絶滅しています。
森林破壊の80%が畜産を含める工業型食料システムによるものであり、地球温暖化の原因である温室効果ガスは、世界年間排出量の14.5%を占めます。
地球温暖化は、海面や気温を上昇させ、熱波・干ばつ・砂漠化・豪雨・洪水など、異常気象を発生させます。
生物多様性の減少や絶滅を加速化させ、生物の異常行動(異変)を多発させます。
農作物の収穫が減少します。
感染症が増えます。etc...
地球規模の課題である気候変動問題の解決に向けて、温室効果ガスの排出量から森林や海洋による吸収量を差し引いて合計をゼロにする目標「2050年カーボンニュートラル」が設定され、世界各国で取り組むことになりました。
日本でも2030年までに温室効果ガス排出量を2013年比で46%削減し、2050年にカーボンニュートラル実現を目標に定めています。
温室効果ガス排出量削減には、食料サプライチェーンの環境負荷削減を早急に対策することが重要とされており、食肉生産の大幅縮小が対策されています。
そこで食肉に変わるタンパク質として、カブトムシなどの甲虫・イモムシ・アリ・ハチ・バッタ・イナゴ・コオロギ・セミ・ウンカ・カイガラムシ・カメムシなど2000種類に及ぶ昆虫を原料にした「昆虫食」や、牛・豚・鶏・魚・甲殻類・うなぎ・フォアグラなどの肉の組織細胞を培養した「培養肉」の普及が拡大しています。
しかし、食することへの抵抗感や安全性に懸念があり、大豆・コンニャク・小麦・エンドウ豆・ソラマメなど、食するのに抵抗感がない植物を原料にした「植物肉」の需要が高まっています。
特に、動物の肉と比べて低カロリー・低コレステロールで、ミネラルやビタミン、食物繊維などの栄養素と、良質なタンパク質やエネルギー(熱量)が豊富な「畑の肉」とも呼ばれる大豆の需要が最も高まっています。

大豆や小豆などマメ科植物を「VEGAN RICE」と同じ圃場で栽培(輪作)することで、マメ科植物の根に共生する根粒菌が大気中から窒素を取り込み土壌中に固定させる「共生窒素固定」を行うため、化学窒素肥料や動物性有機肥料を使わない栽培が可能になります。
家畜を減らし、農薬も肥料も堆肥も使用しない米と豆の農地を増やすことで、地球環境を改善し、自然災害を減らすことができます。
長期貯蔵や流通にも優れていることから世界の食糧問題も改善できます。
私達HIRYUは、2022年6月30日に商標登録した「VEGAN RICE(第6580209号)」に付随して、農薬・肥料・動物性堆肥を一切使用せず栽培された豆類に「VEGAN BEAN(商標登録申請中:商願2024-56361)」を認証し、販売していきます。
これらの世界に誇れる希少価値の高い日本の米と豆をブランド化させ、世界に普及できれば、カーボンニュートラル実現に向けて、地球環境に大きく貢献できます。


CONTENTS



1. 農薬不使用

農薬とは

農薬とは、農産物の育成に必要な薬であり、主に殺菌剤、殺ダニ剤、殺虫剤、除草剤、殺鼠剤、植物成長調整剤(通称「植調」:植物ホルモン剤など)など「化学農薬」と、害虫の天敵となる微生物や菌を利用する「生物農薬」があります。
他にも、重曹や食酢、珪藻土粉剤、ワックス水和剤などがあり、これは生物農薬と同じ「特定農薬」に分類されます。
「化学農薬」は、毒性が強いことから使用基準などが設けられているのに対して、「特定農薬」は、毒性が低く、環境や健康に影響がないことから使用基準などが設けられていません。
生産者の殆どが生産性効率のよい「化学農薬」を使用しており、特に危険性が高く人体や生物への影響が危惧されているネオニコチノイド系農薬は、日本の米に多く使われています。

日本植物防疫協会の調査によると、農薬を使わないことで収穫が減る米の減収率は平均24%です。
対して、他の穀物や青果の減収率は、小麦36%、大根39%、きゅうり61%、キャベツ67%、りんご97%...であり、米はこれら農産物と比較すると、減収率が低く、農薬を使わない栽培を実現しやすいことがわかります。
しかし、慣行農法と比べて膨大な手間と労力のかかる農薬を使わない栽培を選択する生産者は少なく、人間の生殖・発達を妨げミツバチの大量死の原因と言われているネオニコチノイド系農薬を始めとした農薬が多くの米に使われています。

許容農薬とは

有機JASでは、農作物に急迫または重大な危機がある場合であって、通常の有機農産物に係わる防除方法のみでは有害動植物を効果的に防除できない場合に限り、有機農産物の国際基準に準拠した農薬の使用が認められています。
それら有機JASで使用を認められた農薬類のことを「許容農薬」といいます。

有機JASマーク

◆有機農産物のJAS規格「別表2」で指定されている許容農薬の分類表

有機JASでは、このような許容農薬が指定されており、使用時の希釈倍率、圃場10アールあたりの使用量、使用時期、使用回数、使用方法が規定されています。



栽培方法について

慣行栽培とは

「慣行=古くからの習慣として広く行われていること」という言葉の通り、農薬や化学肥料を利用した通常の栽培方法を「慣行栽培」といいます。

有機栽培とは

通称「JAS法」(日本農林規格等に関する法律)で定められた「有機栽培」とは、禁止農薬や化学肥料、遺伝子組換え技術を使用しないことを基本として、種まき又は植え付け前2年(多年生作物は3年)以上、有機的管理を行った水田や畑で農業生産を行う栽培方法のことです(必要に応じて30種の許容農薬の使用可)。
国が指定するこの条件を満たし、さらに毎年有機JAS認定手数料を支払った生産者や事業者に対し、「有機JAS」マークの使用が許可され、商品名に「有機」や「オーガニック」と謳うことが許されます。
2021年日本国内の有機JAS申請されている農地面積の割合は0.32%です。

特別栽培とは

「無農薬」「減農薬」「無化学肥料」「減化学肥料」表示について、生産者によって定義が異なるため消費者に誤解を与えるとし、2004年に農林水産省はこれらの表示を禁止しました。
そして、農薬や化学肥料(窒素成分)の使用量が慣行レベルの5割以下である場合、「特別栽培」と呼ぶことと定めました。
なお、特別栽培農産物の表示をした場合の「天然栽培」「自然栽培」「自然農法」等の紛らわしい用語についても表示が禁止されています。
(ただし、従来からの明確な基準による農法で自然等の表示を冠するもので一括表示の枠外に表示した場合を除きます。)

農薬や肥料を使わない栽培の表示について

「特別栽培」のうち、農薬や肥料を一切使用していないものについては、「農薬:栽培期間中不使用」「肥料:栽培期間中不使用」と表示することが農林水産省により定められています。
また、農薬や肥料を減らして栽培した場合も同様に、「農薬:当地比〇割減」「肥料:当地比〇割減」などのように表示します。
しかし、農林水産省の表示ルールに従って「農薬:栽培期間中不使用」「肥料:栽培期間中不使用」と記載した際に、消費者から「栽培期間外では農薬や肥料を使用しているということか?」「無農薬ではないということか?」など、多くの混乱を招く結果となり、問い合わせ件数が増えた経緯から、HIRYUでは誰にでも分かるように農作物等の商品ページ内では農薬も肥料も一切使用していませんなど、文章で表現することにしています。
また、こうした表示ルールの適用範囲外である一括表示の枠外における商品説明の表示の仕方に関しては、消費者の誤認を避けつつも、できるだけ簡単で分かりやすい表示をすることを目的として、「農薬・肥料不使用栽培」といった表記を採用しています。

農薬による蜂群崩壊症候群(CCD)問題

アルバート・アインシュタインは警鐘していました。
「もしハチが地球上からいなくなると、人間は4年以上は生きられない。
ハチがいなくなると、受粉ができなくなり、そして植物がいなくなり、そして人間がいなくなる。」
残念ながら、ミツバチが原因不明に大量に失踪する現象「蜂群崩壊症候群(CCD)」が発生しており、2050年までに絶滅するといわれています。
私達が普段食べている、リンゴ、オレンジ、イチゴ、玉ねぎ、ニンジンなど、殆どの果物と野菜の花粉媒介は、昆虫のハチが主に行っており、農作物の7割が受粉を必要としています。
近年は、ハチの活動の低下によって、蜜入り林檎に蜜が入らなくなってきています。 ミツバチの激減は、地球上の植物を減少させ、生態系のバランスが崩れ、農作物を減少させ、農業の後退を引き起こし、家畜の餌の高騰から、肉類や乳製品価格にまで影響が及び、世界中の食糧危機を招いてしまいます。
この原因解明に世界各国が研究に入りました。
異常気象による気温の寒暖差や激しい天候被害、疫病・ウイルス、栄養失調、電磁波、遺伝子組み換え作物、環境の変化によるストレス・・・
考えられる原因は沢山ありますが、その中で一番の原因とされたのが「農薬」でした。
ミツバチの大量消失と農薬との因果関係について研究がなされ、ネオニコチノイド系殺虫剤を中心とした農薬成分が原因であることが分かり、オランダ、デンマーク、フランス、ドイツ、イタリアなどヨーロッパを中心に多数の国がこれら農薬の使用を禁止にしました。
ネオニコチノイド系殺虫剤の農薬成分には、主に「アセタミプリド」「イミダクロプリド」「クロチアニジン」「ジノテフラン」「チアクロプリド」「チアメトキサム」「ニテンピラム」があります。

1971年から米国野生種のミツバチ数が激減し始める。
1990年からヨーロッパ全域のアメリカ野生種のミツバチ数が激減し始め、インド、ブラジル、日本でも激減し始める。
1994年フランスで「イミダクロプリド」による種子処理(種子のコーティング)が導入された後、ミツバチ大量死事件が発生。
1999年1月フランス政府は「イミダクロプリド」によるヒマワリ種子処理を全国的に一時停止し、調査に着手。
2000年オランダが「イミダクロプリド」の開放系栽培での使用を禁止、デンマークでも「イミダクロプリド」が販売禁止。
2002年フランスでミツバチ全滅事件(蜂群崩壊症候群)発生。
2002年フランス世界環境基金の研究機関は、「イミダクロプリド」の国内の部分的禁止を提言。
2003年フランス毒性調査委員会は「イミダクロプリド」の種子処理によるミツバチへの危険性を警告する政府報告書を発表。
2004年フランスは「イミダクロプリド」を活性成分とするネオニコチノイド系殺虫剤の農薬の許可取消と「イミダクロプリド」によるトウモロコシの種子処理も禁止。
2004年フランスは、殺虫剤である「フィプロニル」「フェニルピラゾール」もミツバチに対して毒性があると分かり部分的に使用禁止。
2005年イタリア国立養蜂研究院は、「イミダクロプリド」はミツバチのコロニー(巣)を死に導きかねないと発表。
2006年4月フランスは、ネオニコチノイド系農薬を正式に使用禁止。
これを受けて、欧州連合科学者委員会は「モニター研究は主にフランスで行われており、EUの加入国は自分の国の環境とこれらの研究結果の関係を考える必要がある」と発表。
2006年ドイツでは、ネオニコチノイド系農薬「クロチアニジン」による、「蜂群崩壊症候群(CCD)」発生。
2006年アメリカ全米の4分の1以上のハチが忽然と消える「蜂群崩壊症候群(CCD)」発生。
しかしネオニコチノイド系農薬の規制を行わない。
2007年2月フランス、約40人の代議士が10年で蜂蜜の生産が1000トン減少していることに言及し、 「フィプロニル」成分の5種類の農薬がミツバチを殺す原因を指摘し、ミツバチ大量死研究委員会の創設を要求。
2007年アメリカでもネオニコチノイド系農薬がミツバチに被害を与えると発表。
2008年ドイツは、被害が深刻化したことや研究報告を受けて「イミダクロプリド」「クロチアニジン」の認可取消とネオニコチノイド系農薬7種類を販売禁止。
2008年イタリア「イミダクロプリド」「クロチアニジン」による種子処理を禁止。
2009年日本の長崎県の壱岐、五島、平戸、的山大島などでミツバチの大量死が発生。
日本では残留ネオニコチノイドの許容基準値が欧米の500倍(5ppm)まで許可されている。
2009年中国は国内におけるフィプロニルの使用を規制。
2012年2月、木村ー、黒田純子他、ネオニコチノイド系農薬が、ラット新生仔の小脳神経細胞にニコチン様の影響を及ぼすことを発表。
2012年3月29日アメリカ科学誌サイエンスは、ネオニコチノイド系殺虫剤が低用量でもハチには多大な影響を与えるという英仏のチームによる2本の論文を掲載。
2012年4月フランスのチームは、ミツバチを致死量以下の「チアメトキサム」にさらした結果、巣に戻れずに死んでしまうことが蜂群崩壊を招く恐れがある事を発表。
2012年4月5日アメリカハーバード大学院は、蜂群をイミダクロプリドに晒す実験を行い、23週間後に16のうち15の蜂群において崩壊が起きた事を発表。
2012年4月20日イギリス、マルハナバチをイミダクロプリドにさらした結果、体が小さくなり、女王バチの誕生数が85%減少すると発表。
2012年6月日本では、養蜂振興法(昭和30年8月27日法律第180号)が改正され、原則として蜜蜂を飼育する場合には都道府県知事への飼育届の提出が必要となる。
2013年5月黒田洋一郎他は、「自閉症・ADHDなど発達障害増加の原因としての環境化学物質-有機リン系,ネオ二コチノイド系農薬の危険性」を発表。
2013年12月EU全域において、ネオニコチノイド系農薬3種の使用禁止。
2013年欧州食品安全機関(EFSA)はイミダクロプリドとアセタミプリドが子どもの脳発達に悪影響を及ぼすことを懸念。
アセタミプリドの急性参照用量(ARfD)0.1mg/kg体重、一日摂取許容量(ADI)0.071mg/kg体重をどちらも0.025mg/kg体重に下げるべきと勧告し、2016年に実行。
2013年金沢大学教授山田敏郎の研究でネオニコチノイド系農薬によって蜂群が最終的に消滅することを確認。
実験で使用された農薬は、ジノテフラン10%含有商品とクロチアニジン16%含有商品。
実験では高濃度から低濃度(100倍に希釈)までの農薬を餌に混ぜて西洋ミツバチ1万匹8群に投与したところ、濃度に関わらず成蜂数が急激に減少し群は最終的に絶滅した。
山田は慢性毒性によりミツバチは帰巣能力を失ったのではないかとし、また毒性が強くても従来の有機リン系農薬の場合は、 時間経過とともに蜂は回復するとしたうえで、ネオニコチノイド系農薬は「農薬というより農毒に近い」もので、 「このまま使い続け、ミツバチがいなくなれば農業だけでなく生態系に大きな影響を与える」と警告した。
2014年2月フランス、農業以外での農薬使用禁止。
2014年3月韓国、「チアメトキサム」「イミダクロプリド」「クロチアニジン」について、EUの評価が完了するまで農薬の新規と変更登録を禁止。
2014年7月アメリカ、16年1月まで野生保護区でのネオニコチノイド系農薬禁止。
2014年9月フランス、農薬の空中散布を禁止。
2014年6月20日アメリカのハチの減少(下記参照)が毎年止まらず、食糧危機が懸念され始めたことからアメリカオバマ大統領は、ミツバチ保護に予算5千万ドルの「ミツバチ、その他花粉媒介生物の健康を促進する連邦レベルの戦略の策定」覚書を発表。
2007年 「-32%」
2008年 「-36%」
2009年 「-29%」
2010年 「-34%」
2011年 「-30%」
2012年 「-22%」
2013年 「-31%」
2014年 「-42%」
2014年7月18日イギリス、「送粉昆虫を守る5つの簡単な行動を国民に呼びかけ 」を発表。
2014年7月住友化学、米国で大豆種子処理用の「クロチアニジン複合農薬」を発表。
2014年オランダ、ネオニコチノイド系農薬の全面使用禁止法案を議会で可決。
2014年台湾、フィプロニルの使用禁止を決定。
2014年韓国、EUの2013年決定に準拠し、3種類のネオニコチノイド系農薬の新規・変更登録を禁止。
2015年1月ブラジル、ハチへの影響を考慮し、綿花開花期の周辺でのネオニコチノイド系農薬など浸透性農薬4剤(イミダクロプリド、チアメトキサム、クロチアニジン、フィプロニル)の使用を禁止。
2015年4月欧州科学アカデミー諮問委員会、広範なネオニコチノイド系農薬の使用がミツバチ以外の昆虫や生物にも悪影響を及ぼしていると発表。
2015年4月アメリカ環境保護庁、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、ジノテフランの4種類のネオニコチノイド系農薬の新規登録や変更を禁止。
2015年4月ポートランド市、市有地でのネオニコチノイド系農薬の使用を禁止。
2015年4月ペンシルベニア大、GM大豆とGMコーンの栽培拡大がネオニコチノイド系農薬の使用量増加をもたらすという研究結果を発表。
2015年5月アメリカ、2014年から2015年にかけてのミツバチの群れの喪失率が2番目に高い42.1%と発表。
2015年5月アメリカ、ミツバチなど花粉媒介生物の健康に関する特別委員会が、期限より5か月遅れで国家戦略を発表。
2015年5月19日厚生労働省は、ネオニコチノイド系農薬(アセタミプリド、クロチアニジン)の食品残留基準を大幅緩和(ほうれんそうでは従来の13倍に緩和)。
これについてグリーンピースは、子どもの健康や食の安全より農薬メーカーの利益を優先していると抗議。
2015年5月農水省は、「農薬による蜜蜂の危害を防止するための我が国の取組」を改定。
2015年日本、「フルピラジフロン」を新規登録。
2015年台湾、ライチとリュウカンヘのネオニコチノイド系農薬使用を2年間禁止。
2016年11月カナダ、段階的なネオニコチノイド系農薬の使用禁止方針を発表。
2016年フランス、全てのネオニコチノイド系農薬を2018年9月より使用中止することを決定。
2016年アメリカ、2015年に農薬登録を取り消したスルホキサフロルの使用条件を厳しくして再登録を認可。
2016年日本、チアメトキサムの残留基準を一部緩和。
2017年9月EU、フィプロニルの農薬登録失効。
2017年イギリス、EU脱退決定後にネオニコチノイド系農薬の使用継続の立場を変更し、全面禁止方針を発表。
2017年日本、「スルホキサフロル」を新規登録し、イミダクロプリド残留基準を一部緩和。
2018年4月EU、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサムの3種類のネオニコチノイド系農薬のハウスを除く屋外における全面使用禁止を決定。
2018年日本、農薬取締法改正に基づき、ネオニコチノイド系農薬の再評価を優先的に行うと発表。

日本では、今も北海道を中心とする北日本でミツバチ大量死が多発しており、水田でカメムシ対策に使われているネオニコチノイド系殺虫剤が原因との結論を畜産草地研究所が出していますが、 農業においてネオニコチノイド系農薬についての規制は特に行われていません。

※HIRYUは、NPO法人 ビーフォレスト・クラブの支援を行うと共に、活動にも参加しています。

ミツバチとは

世界に9種類存在し、西洋蜜蜂は全世界で養蜂に利用されています。
日本には日本蜜蜂と西洋蜜蜂の2種が飼育され、採蜜や作物の受粉に広く利用されています。
トマトやピーマンなどのナス科の果菜類は蜜を出さず、特殊な振動採粉を行うため、ミツバチではなくマルハナバチが使われます。
西洋蜜蜂の養蜂は、規格化された巣箱を使い大規模な採蜜が行われます。
日本蜜蜂の場合は、野生集団を捕獲して飼育し、採蜜の際は巣を破壊して搾り取ります。
ハチは全体的に攻撃的なイメージがありますが、どのハチも巣を守るとき以外に、攻撃することはなく、観察をする程度なら刺すことはありません。
特に日本蜜蜂は大人しく、巣の入り口のハチを触っても、手に乗せても刺す事がありません。
ハチが腕にとまる時は、攻撃しているのでなく、ミネラルを集めているそうです。
軽く噛まれるので少しチクチクしますが、じっとしていれば、刺されることはありません。
敵意をもつと、体当たりや体にまとわりついてきたりして、刺す前に合図を送ってきます。
刺されても少しチクッと腫れるくらいで、アレルギーがなければ、心配する必要はありません。
しかし、スズメバチはなんども刺せますが、ミツバチは一度刺すと死んでしまいます。

ミツバチの生態系

●ミツバチの巣(コロニー)は、1匹の女王蜂と、働き蜂、雄蜂の3種類の蜂で構成されています。
●新たな女王蜂が誕生すると、巣では群の分割(分封)が起こり、旧女王蜂は働き蜂を引き連れて、新しい巣を探しに出ます。
 この時、女王蜂を護って働き蜂が塊のようになる分封蜂球(ぶんぽうほうきゅう)を作ります。
 ただし、巣作りの場所がすぐに見つからない場合、途中で一時的な休憩場所を設けることがあり、2024年4月7日に府中駅の屋根の一角に1万匹の大群が現れ、外に飛び出せずに力尽きて落ち、死んでしまった個体がいたことがニュースになりました。
●働き蜂は、全て受精卵から誕生するメスです。
 メスの幼虫は花粉と蜂蜜を食べて育ちますが、働き蜂の頭部から分泌されるローヤルゼリーのみで育てられたメスは交尾産卵能力を持つ女王蜂となります。
 女王蜂が事故や寿命などで死んだ場合は、働き蜂が交尾をすることなく、無精卵を産み、すべてオスが誕生し、羽化したオスが他の群れの女王蜂と交尾することで、遺伝子を残そうとするそうです。
●オスは無精卵から誕生し、働き蜂に比べて体と眼が大きいのが特徴です。
 巣の中では働き蜂に餌をもらう以外は何もしないことから、雄蜂(おばち)のことを英語で「drone(なまけもの)」と呼びます。
 オスは女王蜂と交尾するため、晴天の日を選び、集団で飛び立ち、群れの中へ女王蜂が飛び込んできて交尾を行います。
 オスは交尾の際に腹部が破壊されるため交尾後死亡し、女王蜂は巣に帰還し産卵を開始します。
 交尾できなかったオスも巣に戻りますが、繁殖期が終わると働き蜂に巣を追い出され死に絶えます。
●女王蜂の寿命は1~3年(最長8年)で、1日1000個の卵を産み続けます。
 働き蜂の寿命は最盛期で15~38日、中間期は30~60日、越冬期が140日、オスは21~32日です。
●毒物への耐性は弱く、ショウジョウバエの半分程度しかないことから農薬には非常に弱いことが分かります。
高い気温への耐性は弱く、地球温暖化の影響による猛暑で蜂が活動しにくくなると、蜂に天敵のダニが寄生しやすくなり、死んでしまうケースやハチの群れを弱らせ蜂群崩壊に導くことがあります。

蜜の採集

ミツバチは蜜源を見つけると巣内の垂直な巣板の上でダンスを行い、仲間に蜜源の方向と距離を伝える高次なコミュニケーション能力があります。
この能力を発見したニコ・ティンバーゲンとコンラート・ローレンツは、1973年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
蜜源が近い場合には、体を振りながら、左右交互に円形を描く「円形ダンス」を行います。
蜜源が50m以上の遠い場合は、太陽の方向を基準に、蜜現がある方向に尻を振りながら直進して、右回りして元の位置に戻り、尻を振りながら直進して、左回りして元の位置に戻る「8の字ダンス(尻振りダンス)」を繰り返し、方角を示し、直進する時に音をだして距離を伝達します。
1秒間の音で670mです。
つまり巣板上で右手水平方向に向かって尻を振るような8の字を描いた場合、「太陽を左90°に見ながら飛べ」という合図になります。
花粉や水の採集、分封の時に新たな巣の場所決定に際しても、ダンスにより情報が伝達されます。
蜜を持ち帰った働き蜂は、貯蔵係のハチに蜜を渡しますが、貯蔵係は糖度の高い蜜を優先して受け取り、糖度の低い蜜を持ったハチは待たされます。
こうすることで良い蜜源へ働き蜂を集中させ、効率よく採集します。

ミツバチの巣

本来、野生の日本ミツバチは森の大木の空洞(ホラ)などに棲んでいますが、生物多様性が成立する古くからある自然の森の伐採と共に棲む場所を失ったハチ達は、住居の屋根裏や縁の下、神社の社などに巣を作ります。
ミツバチの巣には、鉛直方向に伸びる平面状の構造をした巣板と呼ばれるものが、10枚ほどあります。
ミツバチは巣板を防御する構造物が少ない都市部では、巣板がむき出しになった巣もあります。
巣板には、六角柱の穴が平面状に数千個あり、この構造をハニカム構造(honeycomb、蜂の巣の意)といいます。
六角柱は厚さ0.1mmの壁で出来ており、奥行きは10~15mm、底部は三角錐です。
巣板の材料はミツバチの腹部から分泌された透明の蜜蝋でつくられ、時間の経過と共に花粉、プロポリス、幼虫の繭(まゆ)、さらには排泄物などが付着していきます。
幼虫を育てるために使用する穴の奥行きは10~15mmですが、蜜を貯蔵するために使用する穴の奥行きはバラツキが大きく20mm程度に成る場合もあります。

ミツバチによる生産物

●蜂蜜

花から得られる糖分と水分、ミツバチ体内の転化酵素が濃縮された物質。
有史以前から甘味料として利用され、現在では化粧品にも利用されています。

●蜜蝋(みつろう)

ミツバチが体内で合成し分泌する物質(ワックス成分)で、巣をつくる際の構成材料となっています。
中世ヨーロッパでは蝋燭(ろうそく)の主原料でした。
ワックス、油絵具などのメディウム(薄め液)、石鹸、クリーム、口紅、蝋燭などの原料として利用されます。

●プロポリス

西洋蜜蜂は、植物が芽などを保護するために分泌する物質を、働き蜂が花粉と同じように後脚に付けて巣まで運び、巣の接合部位や巣材の蜜蝋の補強材料にします。
抗菌性や抗腫瘍性成分などとして注目され、健康食品として利用されています。
日本蜜蜂は採集しません。

●ローヤルゼリー

働き蜂が体内で合成し、咽頭腺から分泌する物質。
ローヤルゼリーのみで育てられたメスの幼虫だけが女王蜂として成長します。
ゲノム解析により女王蜂と働き蜂のゲノムに違いがないことが明らかになっており、どのメスの幼虫も女王蜂になる可能性を持っています。

●花粉

働き蜂は、幼虫の餌やローヤルゼリーの原料とするため、花粉をだんご状にして後脚の脛節にある花粉かごにつけて運び、巣に蓄えます。
乾燥物が健康食品として利用されています。

日本ミツバチと西洋ミツバチ

ハチミツを採取する蜂には、日本ミツバチと西洋ミツバチがいます。
日本ミツバチは、北海道、沖縄、離島を除く、日本中に生息している、昔からの在来種です。
1000年以上前から、朝廷などの権力者に献上された記録は残っていますが、大きな養蜂場もなく、採蜜量も少なく、庶民が食べられるようなものではありませんでした。
明治時代になると、ヨーロッパやアフリカに生息している西洋ミツバチの採蜜量が多いことから、近代的な飼育技術と共に世界中に輸出され、日本にも輸入されてきました。
野生の日本ミツバチは、環境に変化を感じるとすぐに引っ越してしまうのに対して、西洋ミツバチは家畜に優れており、採蜜量が日本ミツバチの5倍以上!
西洋ミツバチの養蜂場は世界中で増えていきました。
西洋ミツバチは、単一の花から蜜を集めるのに対し、日本ミツバチは多くの花から蜜を集めます。
アカシヤ蜜やレンゲ蜜は西洋ミツバチから採蜜したものであり、日本ミツバチの採蜜したものは百花蜜と呼ばれます。
海外産のハチミツは蔗糖を添加しているものが多く、国産の西洋ミツバチのハチミツと比べ、味や風味の少ないことから、 国産の西洋ミツバチのハチミツの相場は3倍ほど高いのですが、ハチミツ全体の0.1%以下と言われている日本ミツバチのハチミツは、 更に相場が3倍ほど高く、まさに朝廷献上の、庶民が食べたことがないハチミツと言えます。
野生の日本ミツバチは、農薬のある場所から美しい自然を選び移動します。
西洋ミツバチは、日本ではオオスズメバチが天敵となり、野生化できません。
日本ミツバチは大人しいハチで、飼育者を攻撃することがないそうですが、スズメバチが攻めてくると集団で囲み、熱を発し、窒息死させるそうです。

花バチを守る活動 BEE FOREST CLUB

HIRYUは、激減する野生のミツバチや花バチを守る活動を行うNPO法人BEE FOREST CLUBを支援すると共に、活動にも参加しています。
なぜ、日本のハチを守るのか?
日本には太古から、大和ミツバチ(ニホンミツバチ)、マルハナバチ、クマバチ、マメコバチ、ハキリバチなど約400種の花バチ〈 Bee 〉が森〈 Forest 〉に棲んでいます。
草木の花に受粉して森や作物を作る日本のハチ達の働きによって、生物多様性や生態系が機能し、農業、林業、水産業があり、私達の生活が成り立っています。
本来、野生の日本ミツバチは森の大木の空洞(ホラ)などに棲んでいますが、生物多様性が成立する古くからある自然の森の伐採と共に棲む場所を失ったハチ達は、住居の屋根裏や縁の下、神社の社などに巣を作って、そして駆除されています。
ハチ達はどこへ向かえばいいのでしょうか?
「もしも、地球上から蜜蜂が消えたなら、人類は4年で滅亡するだろう」
これはアインシュタインの言葉です。
私達が普段食べている野菜や果物など被子植物(花を咲かせる植物)の約90%は、受粉によるものです。
ハチ達が安全に住める森や農園などに巣箱を設置する必要があります。
BEE FOREST CLUBは、巣箱をつくり、生息状況をモニタリングし、日本のハチの全国MAPを制作しています。
ハチの餌である蜜を搾取しません。
日本のハチ達を守るため外来種である西洋蜜蜂の巣は作りません。
一緒に活動してみませんか?
応援してみませんか?
みなさんの温かい心がこの活動の原動力です。

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2. 肥料不使用

肥料とは

植物に栄養を供給するために土や植物に施される物質のことを「肥料」といいます。
肥料には、油粕や魚粉、鶏糞など、植物性または動物性の有機物を原料にした「有機肥料」と、鉱物や化石燃料などの無機物を原料として、化学的方法により製造された「化学肥料」があります。

被覆肥料による環境汚染問題

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日本で栽培された農産物の殆どに化学肥料が使われており、特にプラスチックでコーティングされた水溶性の粒状肥料である「被覆肥料(ひふくひりょう)」は、作物の生育に応じてゆっくりと溶け出す点がメリットですが、溶け出した後に残る小さなマイクロプラスチックゴミが、土壌に混ざり、作物が根から吸収したり、農業排水として河川に流れ込み、海に排出されており、海洋汚染そして、青果物や海産物を通じて人体の血液や臓器、妊婦の胎盤からも検出される健康問題が深刻化しています。


3. 動物性堆肥不使用

堆肥とは

堆肥は、土壌を健康な状態にするために施される、動植物性の有機物を積み重ねて発酵腐熟した土壌改良資材のことです。
堆肥には、牛糞や鶏糞・豚糞・馬糞などを原料とした動物性堆肥と、枯れ草・落ち葉・籾殻・稲藁・オガクズ・樹皮・食品残渣などを原料とした植物性堆肥があります。
健康な土壌を作るために施される「堆肥」に対して、作物に栄養を補うために施されるのが「肥料」であり、油粕・魚粉・鶏糞など動植物性の有機物を原料にした有機肥料と、鉱物や化石燃料などの無機物を原料として化学的に製造された化学肥料があります。
「堆肥」と「有機肥料」はどちらも動植物性の有機物から作られていますが、堆肥は原料が発酵しているのに対し、有機肥料は発酵していません。
また、堆肥の中でも「動物性堆肥」は、家畜糞尿が微生物によって分解される際にメタンや亜酸化窒素が発生し、地球温暖化の原因となっていることが問題視されています。

動物性堆肥による地球温暖化と健康被害

温室効果ガス(GHG)には、石油・天然ガス・石炭などの燃料により発生する「二酸化炭素」、エアコン・冷蔵庫・スプレーなどに使われる「フロン」、畜産のゲップなどから排出される「メタン」があります。
メタンは二酸化炭素の21倍もの温室効果があり、牛1頭あたり1日200~800リットルも排出されています。
地球上の陸地の26%が家畜の放牧地であり、農地の80%が家畜の飼料の生産に使われています。
森林破壊の80%が畜産を含める工業型食料システムによるものです。
畜産利用された家畜の死骸や排泄物は、発酵させて肥料や堆肥となり、作物の栄養となる窒素を供給するために使われています。
この堆肥化過程において、酸素を使った好気性発酵では亜酸化窒素(N2O)が、酸素を使わない嫌気性発行ではメタンが発生します。
亜酸化窒素ガスは、二酸化炭素の約300倍もの温室効果があります。
農業関連で排出される亜酸化窒素ガスの74%が土壌管理資材です(米国環境保護庁:EPA)。
自然起源の亜酸化窒素の排出が57%に対して、人為起源の排出は43%であり(国立環境研究所)、人為起源の温室効果ガス排出のうち、農林業分野が24%を占めています(気候変動に関する政府間パネル:IPCC)。
更に、2019年の世界の温室効果ガス(GHG)総排出量の31%が食料システムであり、そのうち農業生産による排出は4割を超え、温室効果ガス総排出量の13%を占めます(国連食糧農業機関:FAO)。
2050年までに温室効果ガスの排出量は更に30%増加する見込みです。
そこで温室効果ガスの排出量から森林や海洋による吸収量を差し引いて合計をゼロにする目標「カーボンニュートラル」が設定されました。
温室効果ガス排出量削減には、農業生産や食料サプライチェーンの環境負荷削減を早急に対策することが重要とされています。
日本は2030年までに温室効果ガス排出量を2013年比で46%削減し、2050年にカーボンニュートラル実現を目標にすることを定めています。

また、動物性の堆肥が未完熟の状態で大量に使われた場合、作物に硝酸態窒素が高濃度で残り、これを食べると体内で有害物質の亜硝酸態窒素に変換され、胃内で2級アミンと結合し発癌性物質のニトロソアミンが生じる恐れがあります。
更に、亜硝酸態窒素が血液中で酸素を運ぶ役割であるヘモグロビンと結合すると、メトヘモグロビンを生成し、酸素運搬機能が失われ、メトヘモグロビン血症となり、唇や指先などの皮膚や粘膜が青紫色に変化するチアノーゼを引き起こす恐れがあります。
このため、ヨーロッパでは硝酸態窒素に対して厳しい規制があり、一日許容摂取量(ADI)を体重1kgあたり3.7mgに設定しています。
日本にはまだ基準がなく、「オーガニック」表示されているものでも硝酸態窒素の量がEU基準値を上回るものも販売されています。

VEGAN BEANは、動物性堆肥だけでなく、合鴨農法も含め、動物を利用せずに栽培された米であることのほか、硝酸態窒素濃度を測定し、EUの基準を満たすことを認証基準のひとつとしています。


4. 硝酸態窒素検査済

HIRYUでは、作物用の硝酸イオン濃度測定器「HORIBA硝酸イオンメーターLAQUAtwin NO3-11C」を用い、各農作物に含まれる硝酸態窒素濃度の測定検査を行っています。
硝酸態窒素の過剰摂取はブルーベビー病に見られるように健康に害を及ぼすことから、EUでは安全性を考慮して硝酸態窒素含有量が最も多いホウレン草・レタス・ルッコラの基準値およびシリアル食品・乳幼児向け食品の基準値を下表のように定めています。

EUにおける食品中の硝酸態窒素残留濃度基準

HIRYUの農作物は仕入れ時に硝酸態窒素濃度を測定し、EUの基準を満たすものだけを取り扱っています。
人体への安全性を考慮した硝酸態窒素の1日あたりの許容摂取量についてはこちらをご覧ください。

硝酸態窒素とは

硝酸態窒素とは、植物が栄養素として取り込める形態に変化した窒素成分のことをいいます。
窒素自体は空気中や土壌中など自然界に広く存在していますが、そのままのかたちでは植物が栄養分として直接吸収することができません。
そこで、土壌中に含まれる窒素は、微生物による分解や変化の過程を経て次第に酸化し、アンモニア態窒素や硝酸態窒素になります。
この状態になった窒素を植物が根から吸収し蓄えることで生育します。
一方、こうした自然界の過程を経ずに、窒素成分を植物が吸収しやすい状態で施用するのが肥料としての硝酸態窒素で、「硝安(硫酸アンモニウム)」「硝酸石灰」「硝酸カリウム」「硝酸ソーダ(チリ硝石)」などの化学窒素肥料に含まれます。
化学窒素肥料中の硝酸態窒素は土壌に吸着しにくく、灌水や雨水で溶け出してしまう性質があります。
そのため、作物の生育中に土壌中の窒素が不足する可能性があり、その場合は追肥が必要になります。
ただし、過剰に窒素肥料を与えると、作物が必要以上に吸収してしまい、残った硝酸態窒素は収穫後の作物の中に残留し、「ブルーベビー病」「メトヘモグロビン血症」など健康に害を及ぼすリスクがあります。
なお、トマト、ナス、キュウリなどの果菜類では、実の部分へは硝酸態窒素は移行しにくく、茎葉にたまる傾向があり、葉を食べるホウレンソウ、小松菜、チンゲン菜などの葉菜類を選ぶ際に特に注意が必要です。
このため、ヨーロッパでは葉菜のうち最も硝酸態窒素が残留しやすいホウレンソウ・レタス・ルッコラとベビーフードに関する硝酸態窒素の残留濃度基準が定められていますが、アメリカと日本ではまだ定められていません。

硝酸態窒素の摂取量と症状

人間が摂取した硝酸態窒素は、主に消化管から速やかに吸収されて血液に移行し、一部が唾液中に分泌され、大部分は腎臓を通じて尿中に排泄されます。
濃度が高い硝酸態窒素は、消化器官に吸収されたものが微生物により還元が行われ亜硝酸態窒素となり、消化器官内でタンパク質中のアミンやアミドなどと反応して、発癌性物質「ニトロソアミン」を生成します。
また、亜硝酸態窒素が血液中のヘモグロビンと反応し、酸素運搬機能のない血色素のメトヘモグロビンを生成します。
通常1-3%程度であるメトヘモグロビン濃度が10-20%になると、血液中の酸素が不足し、皮膚や粘膜などが青紫色になるチアノーゼ症状(酸素欠乏症)を発症します。
20-30%になると、不安、頭痛、作業時の呼吸困難が起こります。
30-50%になると、疲労、精神錯乱、めまい、頻呼吸、動悸が起こります。
50-70%になると、昏睡、発作、不整脈、アシドーシスが起こる。
70%以上になると死亡します。
これら症状を「メトヘモグロビン血症」と呼びます。
硝酸態窒素の亜硝酸態窒素への還元は微生物によって行われますが、その繁殖・活動はpH5以下で抑制されます。
よって、胃液のpH値が2~3である大人では硝酸態窒素の還元が殆ど起こりませんが、胃酸の分泌が少ない乳幼児はpH5~7であるため還元反応がおこります。
また乳児は酸素運搬機能のない血色素のメトヘモグロビンをヘモグロビンへ還元する還元酵素の活性が大人より低いためメトロヘモグロビン血症に罹患しやすいとされています。
乳児メトヘモグロビン血症の最初の報告は、1945年アメリカの農場で確認され、1946年以降は、北米やヨーロッパで約2,000の報告があり、そのうちの7~6%が死亡しています。
1956年には、アメリカで裏ごししたホウレンソウを離乳食として与え、30分後に278人の乳児が中毒となり、39名が死亡した「ブルーベビー事件」が発生しました。
これ以来、メトヘモグロビン血症によって体内が酸欠状態になり、全身が真っ青になった乳児を一般的に「ブルーベビー病」と呼んでいます。
硝酸態窒素は、発癌性の危険もあり、こうした背景からヨーロッパでは硝酸態窒素の残留濃度基準が定められましたが、日本では基準値が定められていないため、HIRYUでは硝酸態窒素検査を行っています。

硝酸態窒素を含む井戸水による健康被害

日本では、1996年に生後21日の乳児に、井戸水を煮沸して粉ミルクを溶かして飲ませたところ、全身が真っ青になり、重度の窒息状態のブルーベビー病になった例が報告されています。
原因は高濃度の硝酸性窒素が含まれる自宅の井戸水でした。
粉ミルクを溶く飲料水は消毒のため煮沸しますが、硝酸性窒素は揮発性がないので、かえって濃縮されてしまいます。
井戸水から硝酸態窒素が検出されることは多くあり、近隣農業からの土壌汚染が原因の場合が殆どであり、HIRYUでも、井戸水から高濃度の硝酸態窒素を水道局が検出し、指摘を受けた方からの浄水器取付依頼の相談があります。
市販の浄水器では硝酸態窒素除去能をもつ逆浸透膜フィルターや陰イオン交換樹脂フィルターをもたない製品が多いため、濾過性能を確認することが必要です。
HIRYU開発の浄活水器「アクアテラ」はこれら両方のフィルターを搭載しています。

体重ごとの硝酸態窒素許容摂取量

ヨーロッパ食品安全機関(EFSA)では、人体への安全性を考慮して硝酸態窒素の1日あたりの許容摂取量を体重1kgあたり3.7mgと定めています。
このため、HIRYUでは体重ごとの硝酸態窒素許容摂取量早見表を作成しました。
下表を見て、許容摂取量を超えないように食品選びをすることが大切です。


体重ごとの硝酸態窒素許容摂取量早見表
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上表では、1日の推奨野菜摂取量350g(健康日本21)を達成し、なおかつ、安全基準値内におさまる体重および食材の硝酸態窒素濃度条件である部分を緑色で塗りつぶしています。
例)体重50kgの人の場合、硝酸態窒素が500mg/kg以下の農作物なら350g摂取しても許容範囲内

早見表の見方
1日あたりの硝酸態窒素許容摂取量を超えない食事にするために…
・体重10kg(幼児)の場合、硝酸態窒素が1000 mg/kg含まれている農作物は37gまで、500 mg/kg含まれている場合は74g、100 mg/kg含まれている場合は370gまで摂取できます。
・体重50kgの場合、硝酸態窒素が1000 mg/kg含まれている農作物は185gまで、500 mg/kg含まれている場合は370g、100 mg/kg含まれている場合は1850gまで摂取できます。
・体重70kgの場合、硝酸態窒素が1000 mg/kg含まれている農作物は259gまで、500 mg/kg含まれている場合は518g、100 mg/kg含まれている場合は2590gまで摂取できます。

健康維持のために、1日あたり350g以上の野菜の摂取(健康日本21)および200gの果物摂取(1日くだもの200グラム運動)が推奨されていますが、硝酸態窒素の摂取量が許容量を超えないように注意することが大切です。
なお、1日の総合的な食事からの硝酸態窒素摂取量の詳細な計算方法は下式より求めることができます。

式:硝酸態窒素摂取量(mg)={食材Aの硝酸態窒素濃度(mg/kg)÷1000g×食材Aの摂取量(g)}+{食材Bの硝酸態窒素濃度(mg/kg)÷1000g×食材Bの摂取量(g)}+{食材Cの硝酸態窒素濃度(mg/kg)÷1000g×食材Cの摂取量(g)}+・・・

HIRYUでは「SAFE GREEN™」認証済の青果物のみを販売しており、野菜や果物各商品の商品ページに硝酸態窒素濃度の測定を3回行った平均値を記載しています。
トマト、ナス、キュウリなどの果菜類では、実の部分へは硝酸態窒素は移行しにくく、茎葉にたまる傾向があります。
そのため、葉を食べるホウレンソウ、小松菜、チンゲン菜などの葉菜類を選ぶ際に、硝酸態窒素濃度をよく確認するよう注意が必要です。
上式より求めた1日の食事からの硝酸態窒素摂取量が1日あたりの硝酸態窒素許容摂取量(式:体重kg×3.7mg)以下になるよう献立しましょう。

硝酸態窒素は灰汁(あく)や蘞味(えぐみ)の原因

灰汁や蘞味の原因は硝酸態窒素です。
硝酸態窒素は、植物の生育に必要な栄養素であり、自然界の植物は自ら過不足なく土壌より吸収し、自生しています。
農業で施用される化学肥料や動物性堆肥には硝酸態窒素が含まれており、成長を促進し、収穫量を増やします。
しかし、過剰に施用すと作物に残留し、タンパク質とアミノ酸が増える一方で、ビタミンやミネラルが低くなり、糖度も下がり、そして灰汁や蘞味が強くなります。

5. 酸化還元電位検査済

HIRYUでは、マルチ水質測定器「SATO TECH MJ-7200」を用い、各農作物の酸化還元電位測定検査を行っています。
「酸化」は物質から電子を奪う反応を指すのに対し、「還元」は物質に電子を与える反応を指します。
現代人の病気の約8割の原因に「酸化」が関与しているといわれています。
酸化させる力と還元させる力の差を電圧差として表した数値(単位:mV)を「酸化還元電位(Oxdation-reduction potential: ORP)」といい、酸化力が強いほど数値はプラスになり、還元力が強いほど数値はマイナスになります。
不純物のない純水は、一定条件下*でORP数値が下図に示す平衡線を描き、pH 7.0の液体中では+305mVを示します。
この「純水のORP平衡線」を基準として、純水よりも高いORP数値をもつ水域を「酸化領域」、純水よりも低いORP数値をもつ水域を「還元領域」とよびます。
生物は体を構成する質量の大半を水分が占め、酸化によるダメージから身体を守るために体液を還元領域に保っています。
HIRYUでは、体を酸化させない食事を実現させるために、食材ごとのORP数値を測定検査し、「還元領域」の数値が確認された農作物のみをご提供しております。
*水温25℃、3.33mol/L KCl-Ag-AgClを比較電極とする測定器を用いた場合


ご注意)
ORPの測定数値は測定条件(水温、pH、比較電極の種類)によって異なるため、通常、学術論文においては、測定条件の違いを反映しない「標準酸化還元電位」として測定結果の数値を変換した数値を用いますが、HIRYUでは測定機器および測定者を固定しており、あくまで当店内の食材検査を目的としている為、測定数値を直接表示しております。
このため、測定条件の異なる他者が示すORP数値と比較することはできませんのでご注意下さい。


6. 水素イオン濃度指数検査済

HIRYUでは、マルチ水質測定器「SATO TECH MJ-7200」を用い、各農作物の水素イオン濃度指数検査を行っています。
水素イオン濃度指数は「pH」(「ペーハー」、「ピーエッチ」)とよばれ、水溶液中の水素イオン濃度の度合いを指数で表します。
pHは、1909年にデンマークの生化学者セーレン・セーレンセンによって提案された指数で、水素イオン濃度そのものではなく、水素イオン濃度の逆数の対数をとり、0から14までの数値で表されます。
pHが1小さくなると水素イオン濃度が10倍多くなり、逆にpHが1大きくなると水素イオン濃度が10分の1に減ることを意味します。
水(化学式:H2O)は、水溶液中で一部が水素イオン(H+)と水酸化物イオン(OH)に分かれて存在しています。
この水に水素イオン(H+)を発生する物質である「酸」を溶かすと水素イオンが過剰になり、この状態になった水溶液の性質を「酸性」といいます。
一方、水酸化物イオン(OH)を発生する物質である「塩基」を溶かすと水酸化物イオンが過剰になり、この状態になった水溶液の性質を「アルカリ性」といいます。
pH 7の「中性」を基準として、水溶液のpHが7より小さいときは酸性となり、数値が小さくなるほど酸性が強くなります。
一方、水溶液のpHがpH 7より大きいときはアルカリ性となり、数値が大きくなるほどアルカリ性が強くなります。
HIRYUでは、体を酸化させない食事を実現させるために、食材となる青果物ごとの酸化還元電位(ORP)を測定検査し、酸化領域/還元領域の判定を行うために、pH測定を必須としています(下図参照)。


ご注意)
pHはORPの関数であるため、検体とする青果物のpHによってORP測定数値に影響をあたえ、還元させる力の度合いにおける意味合いが変わります。
例えば、pH2のレモンのORP+100mVとpH6のショウガのORP+100mVでは、ORP数値だけを見比べると同じに見えますが、pHが異なるため、それぞれのpHにおける純水のORP基準値と比べると、基準値から見たORPの下がり幅の大きい「pH2のレモンのORP+100mV」の方が還元させる力の度合いが強いことになります。
このように、ORP数値は測定条件(水温、pH、比較電極の種類)によって影響を受けるため、通常、学術論文においては、電極の種類の違いを反映しない「標準酸化還元電位」として測定結果の数値を変換した数値を用いますが、HIRYUでは測定機器および測定者を固定しており、あくまで当店内の食材検査を目的としている為、測定数値を直接表示しております。
このため、測定条件の異なる他者が示すORP数値と比較することはできませんのでご注意下さい。


7. 放射性物質検査済

パソコン用の画像 スマートフォン用の画像 HIRYUでは、NaIシンチレーション検出器「ベルトールド・テクノロジー社製ベクレルモニターLB200」により、γ線を放出する放射性物質(セシウム、ヨウ素など)の測定検査を放射線技師が行っています。
食品への影響はセシウムの寄与率が90%と最も高いことから、環境省では食品基準値はセシウムを目安に100Bq/kg以下を安全としており、厚労省の定めたスクリーニング法による測定の場合の検出下限値を25Bq/kg以上と定めています。
よって、25Bq/kg以上を測定可能な検出器で、測定下限値未満の場合は不検出(ND)とされます。
当検出器の測定下限値は20Bq/kgであり、厚労省の条件を満たしています。
自然放射線量やミネラル成分などからも検知されるものなので、原発からの放射性物質だけを検出している数値ではないことをよくご理解下さい。

HIRYUの商品は、測定結果が「不検出(ND)」であることを認証基準のひとつとしています。



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