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スプリングコート:ヒストリー
Spring Court

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スプリングコート/Spring Court    
・ 夜明け

1900年代初期、フランスは農業国で、農民たちは一日中重くて足に負担のかかるサボ(木靴)を履いて農作業をしていました。
一人の男が、当時パリで新素材として話題になっていた「ゴム」を使い、長靴を製造することを考えつきました。
彼の名はTheodore Grimmeisen:テオドール グリムゾン。
この長靴、当時としては画期的なことで、軽くて履き心地が良いため大評判になりました。

グリムゾンはスポーツ好きで、パリ郊外のテニスクラブによく足を運びました。
当時は、重い革靴や不安定な布製のエスパドリューを履いてテニスをしていました。
テニスプレイヤーをよく観察していたグリムゾンは、走り易く、快適なシューズを作ろうと、自然の素材であるコットンをアッパーに、ゴムをソールに用いたテニス用のシューズを開発しました。

テニスクラブでこの靴を履いてみた人々は「スプリングのきいた靴でテニスコートをぴょんぴょん飛ぶようだ!」と賛美しました。
そして1936年、グリムゾンは「スプリングコート」という名前をブランド名として登録しました。
スプリングコートの誕生です。



・ テニス

グリムゾンはフランス全土のテニスクラブにスプリングコートを持ち込み試してもらいました。
テニスプレイヤー達は即座にそれまで履いていたエスパドリューを脱ぎ捨てました。
その履き心地の良さは噂となり口コミでスプリングコートはテニスシューズとして認知されていきました。

戦後1945年にフレンチ・オープンが再開され、グリムゾンはプロのテニスプレイヤー達にスプリングコートを薦めました。
「地面を肌で感じ動きが素早くなり、自分の技術が上がったようだ!」と絶賛され、多くのプロの選手に愛用されることになりました。
歴代のクレーコートのテニスチャンピオンは皆、スプリングコートを履いていました。

1952年、グリムゾンは快適さを完成させるために改良を行いました。
土踏まずをサポートするインソールを着脱可能にし、靴底の脇に4つの穴を空けて通気性を備えました。
靴紐もアッパーもコットン、ソールはゴムという自然素材を大切にする精神は引き継がれ、更にインソールも靴も丸洗いできる清潔で心地よいシューズが完成したのです。
これは現在のスプリングコートと全く同じです。



・ ファッション

1960年代に入り人々は自由に目覚め、ジーンズが大流行しました。
ジーンズに似合い街中で履ける最適なシューズとしてスプリングコートが取り上げられました。
テニスのプロ選手にも評判のスプリングコートが普通の若者にも広く受け入れられるようになったのです。

一般的なスニーカーとして認められるようになって現在に至るまで、スプリングコートは様々な人々に愛用されています。

男性・女性、おばあさんから子供達、神父さん、アーティスト、各界のセレブら多くの方に好評なのは、流行に左右されることのないシンプルなデザイン、機能、良い素材の選択、そして快適な履き心地からくるものでしょう。

昔ながらの丁寧な手作り技術、柔軟なアッパー素材の開発により、国内外のデザイナー・ファッションショップからも価値が認められている今日、今後は流行に沿うデザイン・色・素材を取り入れながら商品開発を進めます。
しかし流行を取り入れつつもスプリングコートはスポーツシューズであるという基本の考え方は変わりません。


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