
■日常のお手入れ
毛皮はホコリを巻き込みやすいので、外出した後はよく振ってホコリを払い落としてください。
ホコリは気抜けの原因にもなります。マフラーなどの小物の場合、
逆さにしてバサバサと振れば、ほとんどのホコリは飛んでフワっとした感触が戻ります。
毛並みを整える際は、静電気が起きないよう、金グシをご使用ください。
簡単な汚れは固く絞った蒸しタオルで、皮まで濡らさないよう注意して
毛並みに沿って拭きとり、厚みのあるハンガーにかけて陰干ししておきます。
雨や雪、水で濡れた場合は、軽く振って湿気を飛ばし、乾いた布かタオルで
毛並みに沿って優しく拭き、風通しのよいところで陰干しして自然乾燥させて下さい。
火や熱風のドライヤー、アイロン、ヒーターは毛皮を痛めるので使用しないでください。
毛皮は熱に大変弱く、ストーブのそばを通っただけで毛先が焦げたという話もあります。
光にも弱く、長時間光にあたり続けると色やけしたり艶が落ちてきます。
室内での蛍光灯の下、日の当たる窓の側に置いたままにしないようご注意ください。
■毛グセを直す方法
濡れたタオルで毛先の部分を軽く濡らすか、たまは霧吹きで軽く水を吹きかけます。
その後金グシで毛並みを整え、日陰で自然乾燥させてください。
水で濡らす際は、皮の部分まで濡らさないようご注意ください。
寝てしまった毛を起こす場合には、まず十分に振ることです。
それでもダメなら、毛グセを直す際と同様に該当部分に軽く霧を吹いて自然乾燥させ、
乾いてからもう一度振ってみます。これを何度か繰り返せば緩和されます。
■毛皮の匂いについて
毛皮は匂いを吸収しやすく、抜けにくい性質をもっているので、匂いが残ることがあります。
匂いが気になるからといって香水やスプレーを
直接毛皮につけるのは禁物です。シミや変色になる場合が御座います。
匂いの感じ方には個人差もあり、毛皮の異臭は陰干し等で
和らぐ事はありますが、完全に無臭になる事はありません。
■コーヒーやジュースをこぼしてしまった場合
すぐにティッシュペーパーなどを使って水分を吸い取ってください。
その後、固く絞った蒸しタオルで、軽く叩き出すようにして汚れを取り除きます。
水分が広がらないよう、皮の部分まで染み込まないようご注意ください。
見た目は綺麗になっていても、糖分が残っていると虫食いの原因になります。
繰り返して丁寧に処理しましょう。白系の毛皮の汚れや、
汚した範囲が広い場合は、毛皮取り扱い可のクリーニング店にご相談ください。
■クリーニングについて
汚れで毛に弾力がなくなり、ベトついた感じになってきた場合には
毛皮取り扱い可のクリーニング店にご相談ください。
汚れがひどくなると、クリーニングしても元の美しい色に戻らなくなる事があります。
毛皮のクリーニングはパウダー法と呼ばれるものがあり、揮発性の溶剤を染み込ませた
細かい木の粉を毛皮にまぶし、特別な洗濯機で回転させて汚れを粉に吸着させます。
汚れを取ると同時に粉に含ませた栄養剤を毛に与えますので、
毛皮は栄養補給されて長持ちする効果もあります。
皮の部分に達するほどびしょ濡れになった場合は、
できるだけ早く専門のクリーニング店に持って行って下さい。
皮は水分を含むと伸びるので型くずれを起こし、
乾くとゴワゴワになってついには破れてしまいます。
クリーニングに出す際は、全体的な毛皮及び皮の状態をチェックし、
損傷程度をクリーニング店と相互に確認し合いましょう。
■保管に際して
外からホコリの入りにくい洋服ダンスなどの中にかけてください。
前後にかけてある他の衣類に押されないように十分に間隔をとってかけましょう。
毛皮が押されると毛並みにクセがついてしまいます。
ビニール袋などで密閉した状態での保存は折り癖がついたり、
通風が無い為、変質の原因となる場合がある為避けてください。
毛皮の衣類の場合は必ずハンガーにかける事が大切です。
ハンガーは首が長く、幅が広くて厚みのある毛皮専用のものをお使い下さい。
細いハンガーですと肩が抜けて型崩れしてしまいます。専用のハンガーが無いときは、
肩幅に合った分厚い木製のものに布やストッキングなどを巻いて手作りしても良いでしょう。
中にはポプリなど、匂い付きのハンガーもありますが、
匂いを吸いやすい毛皮があるので使わないで下さい。
理想的な保管状態は、室温摂氏10度前後、湿度50から60%です。
マンションなどの場合は、洋服ダンスを時々空けて風通しを良くしましょう。
保管している間に虫干しや土用干しはしないで下さい。
かえって虫がつく恐れがあります。保管前の陰干しも、
虫の多い季節は逆効果になってしまうことがあります。
仕舞う日は3月から5月の湿気の少ない、天気の良い日がベストです。
乾燥剤は毛がパサパサになるので入れない方がいいでしょう。
除湿剤を置く場合、必ず一定距離を離して保管ください。
防虫剤は2種類以上を置くと化学変化によりシミが出てしまう場合があります。
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