ビタミンDサプリメントの摂取で癌死亡率を低下できるかも知れない?!
ビタミンDの有用性については、2020年の秋に「ホンマでっか?!ビタミンDのお話」の中で、ビタミンDのあまり知られていない作用について紹介させていただきました。
この度は、その第二弾として、昨年5月の東京慈恵会医科大学の報道発表資料をもとに「ビタミンDサプリメントの摂取と癌死亡率低下の可能性」についてご紹介させていただきます。
この度の報告は、東京慈恵会医科大学分子疫学研究部浦島充佳教授らと、ドイツ癌研究センター、ハーバード大学、カリフォルニア大学サンフランシスコ校などの他、フィンランド、オーストラリア、ニュージーランドなどの研究機関との国際共同研究による10万人のデータを解析して報告されたものです。
世界では毎年二千万人近くが癌を発症し、約一千万人が癌で死亡していると言われています。
そんな中で、ビタミンDは日光にあたるだけでも体内のビタミンD濃度を高めることができる他、1日2000IU(国際単位)の連日摂取でも副作用の報告はないことから、ビタミンDサプリメントの摂取で癌死亡率を低下できるとすればありがたいことだと思います。
この研究結果によれば、
(1)ビタミンD連日摂取により、癌種に関係なく死亡率を低下が12%減少した
(2)70歳以上では癌死亡率が17%減少し、高齢者で特に有効だった
(3)癌発症前からビタミンDサプリメントを連日摂取していた場合は13%、発症後でも11%癌死を予防した
(4)連日の摂取で有効だったが、月に1回の大量摂取では無効だった
などが報告されています。
東京慈恵会医科大学分子疫学研究部浦島充佳教授によれば、現段階ではこの研究報告をもってビタミンDサプリメント摂取が有意に癌死を抑制するとは言い切れませんので、今後さらにビタミンDの連日摂取の安全性を含めた研究を継続していくとしています。
ビタミンDサプリメントの摂取は、比較的安価でもありますので、健康維持の一環として摂取することも良いかも知れません。
但し、ビタミンDはご高齢者に多い骨粗鬆症に対するお薬として処方されている可能性がありますので、ビタミンDのお薬を処方されている方は、ビタミンDサプリメントの摂取はお控えいただけますようお願い申し上げます。