ますます注目される「口腔内ケア」
令和4年4月号の「薬のはなし」でも“歯周病と腸内細菌との関係”についてお伝えさせていただきましたが、さらに詳細が明らかにされつつあり、歯科医師の中でも注目されている情報として改めてご紹介させていただきます。

ご存知のとおり、むし歯と歯周病は口腔内の2大疾患で、どちらも口の中の歯垢(プラーク)に含まれる細菌によって引き起こされ、歯を失う主な原因となっています。
最近では、ブラッシングや食事指導、8020運動などの取り組みが進み、子供のむし歯は急激に減少し、8020達成者(80歳で20本の自分の歯を残す)は、令和4年の厚生労働省による調査結果では半数を超えているとのことです。
一方で歯周病患者数は減っていないことが課題となっています。
そのような背景の中で、歯周病の原因となる口腔内細菌が毛細血管から全身の組織に到達し炎症を起こすことや、唾液に含まれる細菌が腸内細菌叢を乱して炎症を起こすことなどが原因で、口腔内疾患だけでなく、肥満やメタボリックシンドローム、糖尿病、心臓血管疾患、動脈硬化症、腎臓病、誤嚥性肺炎、関節リウマチ、アルツハイマー型認知症、がんなど、様々な全身性の疾患とも深いかかわりがあることがわかってきました。
面白いことに歯科で歯周病の治療をしていると糖尿病が改善したという例もあり、食事療法や運動療法で血糖値が安定しない患者さんは医科歯科連携治療を行うことも増えています。
例えば、徳島大学病院では、医科歯科連携で糖尿病患者さんが歯周病の治療を行ったところ、血糖値が改善した例も多数あるとの記事を目にしたことがあります。

歯周病予防の基本はブラッシングですが、それだけでは十分に予防することはできません。そこで新たな救世主として登場したのが、ヒト由来乳酸菌「ロイテリ菌」です。
ロイテリ菌は、スウェーデンのカロリンスカ医科大学の研究成果をもとに多くの臨床現場で使用され、今では世界で100の国と地域での使用実績があります。
国内においても主に歯科医師を中心に患者さんへ推奨されている乳酸菌です。