はたやの座布団が出来るまで
多くの職人の手仕事が生み出す座布団
はたやの座布団カバーは「織物」で出来ています。織物は、糸の準備から仕上げまで非常に多くの製造工程があり、全ての工程に熟練した日本の職人さんが携わっています。
座布団カバーは「白糸」➡「染色」➡「整経」➡「撚り付け」➡「織布」➡「整理」➡「縫製」を経てようやく「座布団カバー」になります。
それでは、はたやの座布団カバーが糸からどのように作られているかを、店長の田辺からご紹介させていただきます。
はたやの店長 田辺丈人
糸に強度と光沢感を与える撚糸工程
まずは、座布団生地のタテ糸となる糸を、地元の撚糸屋(ねんしや)さんで、糸に撚り(より)をかけいただきます。単糸(1本の糸)を双糸(2本の糸を撚り合わせて作られた糸)に加工していただくことで糸が強くなり、織り易くなる事と光沢度が変わり、富士吉田産地独特の生地になります。私達の地域では、織る前に糸を染める「先染め」が主流です。タテ糸とヨコ糸を違う色糸で織ることで、複雑な柄の「先染め織物」が生まれます。タテ糸とヨコ糸は撚りをかけた段階ではどちらも白い糸なので、次に染色屋さんで糸を染めていただくために糸を持ち込みます。
富士山の湧き水で染める糸
富士吉田産地は、小ロットで対応できる「かせ染色」をしています。同じ糸染めでもチーズ染色は最低でも同じ色を1回で100kg以上染めなくてはいけません。「かせ染め」は染色工場にもよりますが、最少3kgから染めてもらえます。撚糸の終わった糸は、ボビンに巻かれているので、色糸を染め分ける前に、ボビンから綛に巻きなおすための工程「綛上げ(かせあげ)」をします。綛(かせ)とは、数百~1万数千メートルの長さの一本の糸を、直径40cm程度のドーナツ状にまとめたもので、重さはおおよそ150g前後になります。「かせ染め」は、糸への負担が少なく風合いよく仕上がります。染色工程では、正確に同じ色を再現することや、色落ちしないようにするための技術が求められます。
約1万本のタテ糸を揃える工程へ
次に、タテ糸として染められた糸は整経屋(せいけいや)さんへ「お巻き」にする為に持ち込まれます。「お巻き」とは、タテ糸を揃える作業工程です。田辺織物で織る座布団生地のタテ糸は、だいたい7000本~10800本になります。ボビン1本がタテ糸1本になるので、タテ糸1万本ならボビンは1万本分必要です。どんな企画の座布団に仕上げるかにも依り、タテ糸の密度(タテ糸本数)も変わるので指示を間違えないようにします。
ヨコ糸には更に綿密な準備を
染色の終わったヨコ糸は「綛(かせ)」から、ボビンに巻いた状態に戻す「繰り返し」の工程があり、更にボビンからコーンに巻きなおす「コーンアップ」を経て、織機の給糸台に乗せられます。仏壇前に置く仏前法要座布団の生地は、ヨコ糸に色糸以外に「金糸」と呼ばれるキラキラ光った糸を織り込みます。「金糸」は大きく分けて「平ラメ金糸」と「棒ラメ金糸」に分けられます。「平ラメ金糸」は平らに織り込むとピカピカに光る金襴織物になるので、給糸代から糸が織機に運ばれる瞬間に撚りが解けて平らに織り込まれるようにするために、事前に糸に撚りを入れる工程を追加しています。「棒ラメ金糸」は丸い形状をしていますが、織ると鈍く光り生地に重高感が出ます。この糸を二本併せて織るのはとても難しいです。生地を織るまでには色々な手間や工夫が随所に織り込まれております。
織機に紋意匠の指示書とタテ糸をセットする
染め上がったタテ糸の「お巻き」とヨコ糸が揃ったらいよいよ製織です。「お巻き」を織機に取り付けて織布開始ですが、その前に7000本~10800本タテ糸を織機につなぐ「撚り付け」と言う作業が入ります。糸をすべてを正しい順序、均等な張力で結ぶには高い技術が必要になります。昔は手で一本ずつ繋いでいましたが、いまは機械式のタイイングマシンを使います。また、柄を織るためには紋様を暗号化した長四角の厚紙「紋紙(もんがみ)」が必要です。タテ糸を複雑に上げ下げして、そのタテ糸の間にヨコ糸を挟み込むことで模様のある生地になります。模様の大きさにより「紋紙」の枚数は違いますが、座布団生地ですとおおよそ4000枚前後になります。注文により「紋紙」を乗せ換えますが、とても大変な作業です。
織機が止まらずに織れる工夫
はたやの座布団生地は、タテ糸の間にヨコ糸を一定の方向から引っ張り込む「レピア式」で織っています。太さ糸質が違うヨコ糸を使う為、紋紙を乗せ換える度に一本一本の糸にかけるテンションを調整しなければ織機が止まることなく稼働しません。糸はちょっとしたテンションで織れなくなってしまうので、給糸代から出てくる糸に微妙な力を与え続けなければいけません。輪っかのテンサーや板テンサーで力を加えますが、更に糸の出方の強弱の非常に微妙な微調整をする為に小さな生地を糸の間に置いたりして工夫しています。織機が故障したら大変です。以前は織機を販売している「機料屋」には販売した織機を修理できる社員がいましたが、定年退職し居りません。多くは各社織物工場内の工場主が修理することが多いです。原料の仕入れ・準備工程指示・商品企画・販売営業・販売・織機のメンテナンス等々、多岐にわたり自ら進んで行う工場主の多い産地です。
織った座布団生地の後加工
織られた座布団生地は「整理加工」により、洗浄、シワ伸ばし、幅の調整などの仕上げをしてから出荷されます。後加工として、防撥水加工や風合いの加工を行う場合もあります。仕上がった生地は傷や汚れがないかをチェックする検反を経て、縫製屋さんで布団カバーに加工します。座布団生地は金襴仏前座布団カバーや旅館や料亭、食事処の業務用座布団カバー、ご家庭の座布団カバーとして洗濯する事を想定し、糸のほつれ止め加工やファスナーが歪み無く縫製されているか等細かく点検をしております。
座布団生地が出来るまでにはまだまだ細かい作業工程が入りますが文章に起こすととても長くなりますので、御興味のある方は毎月第三土曜日の「オープンファクトリー」にいらしてみてください。色々な織物工場で話を聞けるので楽しいですよ。織物の製造工程は、動画でもご覧いただけますので、以下よりご笑覧ください。
おうちで工場見学はこちら
https://youtu.be/ecNJmz6DuW4
織機を直すお話はこちら
https://youtu.be/WPY30uVKKfM
