美しい四季の色合い
津軽職人によるガラス食器【津軽びいどろ】

著者

2018.05.14

大場 里江

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美しい四季の色合い 津軽職人によるガラス食器【津軽びいどろ】


ゴールデンウィークも終わり、ここ数日はシトシトと雨が降っている。
あ、そろそろ梅雨が近づいてくるのかな・・・なんて考えたり、
陽が沈むのが遅くなってきて、夏になっていくなぁなんてしみじみとしてみたり。
風の匂いや差し込む日差しに季節を感じて、自然と四季を感じて、日本っていいなと思う日々。

もちろん、食材からも四季を感じられて、買い物に行けば、「あ、しらすが出てきたなぁ」とか、「アサリが旬だねぇ」なんて、ウキウキワクワクします。
よし、今日のごはんは○○よ!と季節を感じる料理を作り、いざ盛りつけようと食器棚を開いてみたら、通年して使える何にでも合わせやすい器ばかり・・・。
食材や料理からは季節を感じるのに、合わせる食器はいつも一緒で、テーブルの雰囲気はオールシーズン同じになってしまう・・・。

もちろん、食器棚に入れられる器の量には限りがありますから、季節によって食器の入れ替えをするほどの量を持つことはなかなか難しいですよね。
私も基本的には、通年して使いやすく、合わせやすい、自分の好きなテイストの似た感じの器が多いです。
お料理の仕事をしていると、数はたまる一方ですが、よく言えば統一感のある器ばかり。
でも、ちょっと季節感を出したいな・・・なんていう時もあります。
そんな時に便利な器がありますよ。

そう、ガラスの食器はいかがでしょうか。

■津軽びいどろとは

今回紹介する商品はこちらの「津軽びいどろ」。
津軽びいどろとは

津軽びいどろをつくる北洋硝子は、青森県で長い歴史を持つ手仕事のガラス工房で、漁業用の浮玉(うきだま)製造から1949年にスタートしました。

その後、長年の浮玉製造で培った「宙吹き」の技法を用いて、青森の自然をイメージさせるハンドメイドガラスの創作に取り組み、1977年に「津軽びいどろ」が誕生したそうです。
高い品質と確かな技術から、青森県伝統工芸品の指定を受けている商品たちは、どれも見ているだけでうっとりしてしまう美しさです。

そして手にとってみると、安心感のある厚み。
薄く繊細なガラスも大好きですが、日常で使うとなると少し緊張してしまうもの。
こちらもガラスですから、もちろん気を配るのですが、手に取った時の柔らかな手触りと、程よい厚みが重すぎず、心地よい

同じシリーズの商品も、よく見ると同じものは一つとして同じものはない、唯一無二の器たちです。
色鮮やかな模様は、まるで万華鏡のよう。
色とりどりの模様の形も、丸や楕円など様々。
日本の豊かな四季彩色を生活の中に見出し、移ろいゆく季節を津軽びいどろを通して感じられます。


■「津軽自然色りんご」シリーズ

ラインナップを見てみましょう。
まずはこちらの「津軽自然色りんご」シリーズ。
「津軽自然色りんご」シリーズ

青森といえば、りんご。
代名詞ともいえるりんごをモチーフに、「幸せが訪れますように」と想いを込めて作られたシリーズです。
りんごの丸い形が「永遠」を連想させることから、縁起がいいと親しまれています。
そうなんですね!
恥ずかしながら、初めて知りました。

津軽自然色りんご」シリーズの特徴は、何といっても発色の綺麗さ
カラーバリエーションは2種。
赤りんごと青りんごをイメージしています。
りんごといっても、よく見ると、赤の中にも色々な色が混ざっていて、白や黄色、淡い緑など様々ですよね。
こちらの器には、りんごをイメージさせる数種類の色が使われています。

津軽自然色りんご ディッシュプレート

りんごの花を表現した白や、実の黄色などを点在させることで、自然な風合いに仕上がっています。
光を通して器を眺めると、可愛すぎない大人な佇まいで、自然の豊かさ感じられる器です。

そして、手に取った時の、少し凹凸のある表面が手に馴染みます。
程よい厚みが手に取りやすく、口当たりもやさしい。
重ねて収納しても、安心感があるのが嬉しいです。

ディッシュボール小鉢タンブラーカップ箸置のラインナップ。
ディッシュは、冷製スープや、蕎麦や素麺にぴったり。
ボールは、朝食のシリアルや冷や汁などもいいですね。
小鉢はお刺身や冷ややっこなんかも良いし、タンブラーは冷やしてビールを注いだら、ビールがますます美味しくなりそうです。


■「津軽びいどろ NEBUTA」シリーズ

そして、お次はこちらの「津軽びいどろ NEBUTA(ねぶた)」。
「津軽びいどろ NEBUTA」シリーズ

青森を代表する有名なお祭りといえば、「ねぶた祭り」。
色鮮やかで、力強さを感じるねぶた祭りの世界観を8色のガラスを使って表現したシリーズです。
夏の暑さと、夜に映える色鮮やかなねぶたが、素敵にガラスの中に投影されて、華やかな祭りの空気を感じ取れるよう。

和のぬくもりを感じられるのは、和紙で作られるねぶたの様に、手仕事ならではの「ゆらぎ」があるからだそう。
ゆらぎがあることで、美しく妖艶で、どこか儚さも感じられる。
風情あるデザインです。
光に透かして、映し出された影までも計算されているようです。
カラフルでうっとり。

「津軽びいどろ NEBUTA」シリーズ

個人的ではありますが、私はこのNEBUTAシリーズの色合いが大好きです!
まるで金魚すくいとか、ヨーヨーすくいみたいな、夏まつりの楽しい思い出を思い出させてくれるようで、楽しいワクワクした気持ちになります。
そして、何よりこの色の組み合わせがいい!
普段はナチュラルなテイストのものが好みですが、差し色で遊ぶのは好きなので、透明なガラスの中に鮮やかな色がありつつも、他の器とのバランスもとりやすいこちらのデザインは好みです。

あ、すみません。つい熱が入ってしまいました。

ラインナップは色々ありますよ。
多様鉢小鉢浅小鉢マグカップタンブラー片口箸置など。
これからやってくる夏には、片口にキリっと冷えた冷酒を注いで、でくいっといきたいですね。

ガラスというと、夏のイメージがあると思いますが、NEBUTAは色々な色合いが入っていますから、どれかをアクセントとして使ったり、コーディネート時にクロスやランチョンマットなどで、季節感を出しながら、合わせていっても楽しいと思います。
夏に限定せずに使いたい器です。


■「彩手鞠(いろてまり)」シリーズ

そして、最後はこちらの「彩手鞠(いろてまり)」です。
「彩手鞠(いろてまり)」シリーズ

なんて素敵なネーミング。
こちらは一輪挿しです。
まさに手毬、いやヨーヨーにも見えるかな。
もう、なんて愛らしい!

真ん丸でころんとした形に柔らかさを感じつつも、きれいな球体なので、凛とした雰囲気も感じられます。
大きさは、手のひらに収まる可愛らしいサイズ。
お気に入りのお花を飾れば、見るたびにふっと心落ち着いて、やさしい気持ちになるデザインです。

シンプルに一つだけ飾っても可愛いし、デザインが違ってもテイストに統一感があるので、いくつかを並べて使っても鮮やかでいいですね。
たくさん置いても、ごちゃごちゃした感じにはなりませんよ。

「彩手鞠(いろてまり)」シリーズ

しかも、こちらには別の使い方も。
サイズ感や形を活かして、アロマデフューザーにも良いようです。
お気に入りのデザインに、お気に入りの香りを垂らして飾ったら、香りもインテリアとも両方楽しめますね。

デザインは全部で9種類。
花雲、弥生、星月夜、海風など、ネーミングも四季に由来していますから、春夏秋冬と衣替えをするイメージで変えていっても楽しそうです。


■津軽びいどろを使った盛り付け

器は見てきれいでも、やっぱり使ってこそ。
実際に盛りつけてみました。
津軽びいどろを使った盛り付け

自然色りんごディッシュには、今が旬のしらすを使った冷製パスタを。
ボール小鉢には、生しらすやもずく酢、冷ややっこをのせて。

昼間から、くいっと一杯いかせていただきますよ。
こんな素敵な片口なら、テンション上がります。

津軽びいどろNEBUTA ねぶた酒器&盃

さぁ、いただきます!
最近めっきり暑くなってきたし、日差しと津軽びいどろが良い感じです。
津軽びいどろを使った盛り付け

日本には当たり前の様に四季があり、それは素晴らしい日本の財産だと思います。
しかし、便利な時代になったことで、当たり前の有難さを感じる事が少なくなり、生活の中での季節を意識することは少なくなってきたように思います。

難しいことは出来ないし、手間暇かかりすぎることは中々難しいけれど、ちょっとだけでも、暮らしの中に四季を楽しむゆとりを持てたら、心豊かに暮らしていけるのかなと。
衣替えをするように、食器で季節を感じてみるのも楽しいですね。

「彩手鞠(いろてまり)」シリーズ
見て良し、飾って良し、使って良しの津軽びいどろ
お世話になっている方へのプレゼントにも良さそうです。
日頃の感謝の気持ちを込めて、特別な人の暮らしをイメージしながら組み合わせを考えるのも楽しいな。

またしても、物欲が刺激されて、食器スペースと格闘しながら、どれを買おうか検討するのでした。


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プロフィール

PROFILE

大場里江(料理教室saji 主宰)

調理師学校卒業後、大手企業の料理教室にて料理講師として勤務し、2015年8月「saji」の名で独立。料理教室、フードコーディネート、ケータリングを主に活動しています。『食べる・つながる』をモットーに、身近な方に喜んでいただく、日常で食べたいごはんやおやつを提案しています。

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