育てる調理道具、鉄フライパン

著者

2017.04.13

大場 里江

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育てる調理道具、鉄フライパン


新生活がスタートする方も多い春。
調理道具を揃えていくうえで、欠かせないものの一つがフライパンです。

材質も、フッ素加工、セラミック製、アルミ素材等、様々で、それぞれの良さがあり、
用途別に使い分けたりと、こだわって選ぶ方も多いのではないでしょうか。

そんな中で取り上げるのは、鉄製のフライパン
鉄製というと、何となくハードルが高くて、扱いにくいのではと思う方も多いかもしれません。
最近では、メンテナンスが楽なテフロン加工のフライパンが定番で、鉄製のフライパンはやや押され気味です。
テフロンのフライパンは焦げ付きにくく、油も少量で済むので愛用している方も多いと思いますが、
やはり寿命があり、2〜3年もすれば買い替える必要が出てきます。
しかし、鉄製のフライパンは耐久性に優れ、使えば使うほど油がなじみ
焦げ付きにくくなって、味わいが増すので、一生ものの道具と言えるでしょう。

鉄の調理道具を使用することで、効率的に鉄分を摂取することができるので、
興味を持っている女性もいらっしゃると思います。
でも、メンテナンスが大変そうだし・・・と思ってしまいますよね。



まずは「匠フライパン」を知ってみる

今回紹介するのは、「匠フライパン」
柳宗理のメーカーでもある佐藤商事株式会社が開発したフライパンです。

育てる調理道具、鉄フライパン

表面を見てみるとこんな感じ。
育てる調理道具、鉄フライパン
細かい凹凸があり、ザラザラとしています。
こちらは、佐藤商事が独自に開発した「マグマプレート」。
高温への耐久性に優れ、高い熱伝導率で食材の奥までしっかりと熱が伝わり、旨味を閉じ込めます
鋼板の鉄鍋の表面はツルツルとしていますが、鋳鉄製のこちらは凹凸があります。
凹凸があることで食材に接する面積が少なくなる為、食材が焦げ付きにくくなります。
油馴染みも良いのも嬉しいですね。



嬉しい、下準備の簡単さ

育てる調理道具、鉄フライパン

そして、鉄製のフライパンを新しく購入したら行う「空焼き」と「油ならし」。
購入直後の新品のフライパンには、防錆加工がされています。
製品としての錆防止についているのですが、使用するには不向きな為、熱して取り除き、
鉄の表面に酸化被膜を形成させる為に行う作業です。

難しいことを書きましたが、簡単に言えば、油馴染みを良くして、
焦げ付きにくくさびにくいフライパンにする為の工程です。
私も鉄製のフライパンを持っていますが、これらを行ったことで、
購入してから9年経った今でも現役で使っています。
でも、正直に言えば、ちょっと手間でもあります。

しかし、こちらの匠フライパンの使用前のお手入れは、とっても簡単です。
まずは、中火で2〜3分加熱します。
その後、火を消して手で触れられる程度まで冷やしたら、
油をフライパンの深さの三分の一くらいまで注ぎ、弱火で3分間加熱します。
火を消した後は油を捨て、フライパンが冷えたら、
キッチンペーパーで内側をまんべんなくふくだけ。

たったこれだけ。
これなら、鉄のフライパンは下処理が面倒!と思っている方も興味が沸いてきませんか?
実際にあっという間の工程で、手持ちのフライパンの下準備と比べてもハードルが低いです。
らく楽〜♪と嬉しくなりました。



相棒として育てていく楽しさ

育てる調理道具、鉄フライパン

そして持ち手は木製
調理中も持ち手が熱くならないので、布巾を使って握る必要もありませんし、
滑らかな円柱形なので、手にしっくりと馴染んで持ちやすいです。
桜に匠と書かれたマークが愛らしい。
ぬくもりある印象です。


育てる調理道具、鉄フライパン
接続部はこんな感じ。
男らしく武骨なデザインがかっこいいですね。
重そうな見た目ですが、意外とそこまで重くないです。
かっこよくて気に入っても、いざ毎日使うとなると重さが気になって
使いにくいという事もありますが、こちらはその点も安心です。

実際に使ってみる

いざ、使ってみよう!
やっぱり鉄製のフライパンを使うなら、お肉を焼きたいな〜という事で、
今回はハーブとオリーブオイル、レモン等でマリネした鶏肉をグリルして、
野菜も一緒に焼いていきますよ。


育てる調理道具、鉄フライパン
しっかりと熱してから、皮目から並べて。
ジュージューといい音。
余分な脂は拭きとって、皮目をパリッと香ばしく焼きましょう。
育てる調理道具、鉄フライパン


良い色に焼きあがりましたよ。
凹凸のある表面のおかげもあって、フライパンへの焦げ付きも全く無いです。
油なじみが良いことが実感できます。

反対の面も焼いて、後は鶏から出た脂でマッシュルームや茹でた新じゃが、
ヤングコーン等を焼いていきます。


育てる調理道具、鉄フライパン
食卓にこのまま出てきてもかっこよいですね。
ホームパーティに、こんなかっこいいフライパンがテーブルに出てきたら、思わず「わぁ〜」とテンションが上がりそう。

実食

さぁさぁ、熱いうちに食べましょう。
自由に好きなものを取って食べてね。
今日はスパイス塩をお好みでパラリとかけていただきます!
パン屋さんで焼きたてのパンも買ってきたし、アイスティーも入れたし、準備は整いましたよ。

育てる調理道具、鉄フライパン

「いっただきまーす」
ゆっくりと会話を楽しみながらのランチは楽しいね。


お手入れ と 楽しみ方

使用後は、鉄製ですから、しっかりと水分を乾かして収納しましょう。
拭き上げた後、空焚きして冷ましてから収納します。
匠フライパンは扱いやすいので、鉄製フライパンに興味があって、
検討されている方にぴったりだと思います。

憧れるけど、ハードルも高いと思われがちな鉄製のフライパンこそ、
時間をかけて育てる調理道具の代表格。
使えば使うほど愛着が沸き、自分に馴染んだフライパンは
一生ものの手放せない道具になります。

頻繁に使う道具だからこそ、こだわって選びたい。
フライパンは毎日の料理の中でも、鍋同様に真っ先に必要な調理道具。
自分がこだわって選び抜いたフライパンが鉄製なんて、素敵です。
傷んだら買い替えて、比較的安価に手に入るテフロン加工のフライパンも魅力的ですが、
あえて鉄製のフライパンを育ててみるのはいかがでしょう。
育てた道具は頼れる相棒へと変化し、料理をする工程だけでなく、
その道具を使うという楽しみがきっと増えますよ。


次回は、匠フライパンで作った「鶏の香草グリル」のレシピをご案内します。
お楽しみに。


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プロフィール

PROFILE

大場里江(料理教室saji 主宰)

調理師学校卒業後、大手企業の料理教室にて料理講師として勤務し、2015年8月「saji」の名で独立。料理教室、フードコーディネート、ケータリングを主に活動しています。『食べる・つながる』をモットーに、身近な方に喜んでいただく、日常で食べたいごはんやおやつを提案しています。

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