(ラム酒 rum)

◆ラム/rum
ラム酒(ラムしゅ rum)とは、サトウキビを原料として作られる、
西インド諸島原産の蒸留酒。
サトウキビに含まれる糖を
醗酵・蒸留して作られる。スペイン語ではロン ( ron ) と呼ぶ。

西インド諸島付近
※西インド諸島付近

また、ブラジルのカシャッサ、日本の黒糖焼酎など、
同じサトウキビを原料とする同類系統の蒸留酒が、
他にも存在することでも知られる。



サトウキビ
※サトウキビ

◆歴史
発祥はバルバドス島とされる。島の住民たちがこの酒を飲んで
騒いでいる様子を、イギリス人が rumbullion
(デボンシャー方言で「興奮」の意)と表現したのが名の由来だとされる。

発祥はプエルトリコ島とする説もあるが、
いずれにしてもカリブ海原産ではあるようだ
(カリブ海の海賊たちの物語の中に登場するお酒といえば、これである)。

カリブ海
※カリブ海

その後、サトウキビ栽培地域の拡大に伴いラムも広まっていき、
南北アメリカやアフリカでも作られるようになった。

また、ラムの原酒を輸入して熟成を行った上で
出荷するということも行われるようになった。

ラムは、比較的イギリスと関係の深い酒である。
かつてイギリス人は、ラムのことを「憩いの水」とも呼んでいた。

18世紀になるとラムはイギリス海軍の支給品となった。
当時の軍艦の動力である、蒸気機関のボイラー室のような火を
扱う場所で働く者が、高い室温に負けないようにするためにラムを
飲ませていたと言われる。

樽
※樽

当初、この薄いラムは部下達に不評であった。
部下たちは、この薄いラムのことを、グログラム(グロッグラム)という生地で
出来たコートを着ていたバーノン提督のあだ名から、ある種の恨みを込めて
「グロッグ」と呼ぶようになった。しかし、18世紀末ころまでには、
むしろグロッグの方が好まれるようになったと言われている。

キューバ・リブレ(Cuba libre)とは、
ラムをベースとするカクテルである。日本では英語とスペイン語が混ざって
「キューバ・リブレ」と呼ばれることもある他、英語風に「キューバ・リバー」、
スペイン語風に「クーバ・リブレ」または「クバ・リブレ」と呼ばれることもある。

キューバ・リブレ(Cuba libre)言わいるラムコーク!
※キューバ・リブレ(Cuba libre)言わいるラムコーク!

◆主なブランド
1.アプルトン (Appleton)(ジャマイカ)
2.エル・ドラド (El Dorado)(ガイアナ)
3.オールド・オーク (Old Oak)(トリニダード・トバゴ)
4.キャプテン・モルガン (Captain Morgan)(プエルトリコ)
5.クルーザン (Cruzan)(アメリカ領ヴァージン諸島)
6.クレマン (Clement)(フランス海外県マルティニック島)
7.コイーバ (Cohiba)(キューバ)
8.コックスパー (Cockspur)(バルバドス)
9.サンタ・テレサ (Santa Teresa)(ベネズエラ)
10.ジェー・エム・ラム(Rhum J.M) (フランス海外県マルティニック島)
11.タンドゥアイ (Tanduay)(フィリピン)
12.デメララ (Demerara)
(主なブランドに、Van DijkやLemon Hart等)(ガイアナ)



13.トロワ・リヴィエール(Trois Rivieres)(フランス海外県マルティニック島)
14.ネグリタ (Negrita)(フランス)
15.バカルディ (Bacardi)(1862年キューバで創業、現在はプエルトリコ、他)
16.ハバナ・クラブ (Havana Club)(キューバ)
17.バーバンコート (Barbancourt)(ハイチ)(日本ではバルバンクールともある)
18.バローズ (Barrow's)(トリニダード・トバゴ)
19.バンダバーグ (Bundaberg)(オーストラリア)
20.パンペロ (Pampero)(ベネズエラ)
21.マイヤーズ (Myers's)(ジャマイカ)
22.マンダレー (Mandalay)(ミャンマー)
23.レモンハート (Lemon Hart)(ガイアナ)
24.ロンリコ (Ronrico)(プエルトリコ)

◆分類
ラムには色による分類と、
香りの強さによる分類と、原料による分類が有る。

3種類のラム酒 右からホワイトラム、ゴールドラム、ダークラム
※3種類のラム酒 右からホワイトラム、ゴールドラム、ダークラム

1.色による分類
ホワイト・ラム(無色)、ゴールド・ラム(薄い褐色)、ダーク・ラム(濃い褐色)

2.風味による分類
ライト・ラム(軽い芳香)、ミディアム・ラム(中間的な香)、ヘビー・ラム(強い芳香)

3.原料による分類
インダストリアル・ラム(工業ラム) - 廃糖蜜を原料としたもの。
アグリコール・ラム(農業ラム) - サトウキビの搾り汁から直接製造したもの。
なお、香辛料などで香り付けを行った、スパイスド・ラムと言うものもある。

廃糖蜜(はいとうみつ)
※廃糖蜜(はいとうみつ)

廃糖蜜(はいとうみつ)は、砂糖を精製する時に発生する、
糖分以外の成分も含んだ粘状で黒褐色の液体であり、
英語ではモラセスまたはモラッセス(Molasses)と記す。

◆風味別の製法の違い
「ライト・ラム」と「ミディアム・ラム」と「ヘビー・ラム」では、製法が異なる。

1.「ライト・ラム」は、糖蜜と水を混ぜ純粋酵母醗酵させて醸造酒を作り、
それを連続式蒸留器で蒸留したもので、比較的高濃度にまで
エタノールを濃縮することで雑味を減らしてゆく。

その後、内側を焦がしていないオークの樽で短期間熟成される。
樽熟成のままだとゴールドラムに、熟成後に活性炭で濾過するとホワイトラムになる。

2.「ヘビー・ラム」は、糖蜜や廃糖蜜などを自然発酵させ、
その後サトウキビの搾りかすや前回の蒸留後に残った蒸留残液などを加えて
さらに醗酵させて醸造酒を作り、それを単式蒸留器を使い蒸留したもので、
内側を焦がしたオークの樽 (バーボン・ウイスキーを熟成させた樽を用いる事も有る)
などで熟成させる。3年以上熟成されダークラムになる。

3.「ミディアム・ラム」は、糖蜜を自然発酵させて醸造酒を作った後に、
場合によってはサトウキビの搾りかすなども加え、それを連続式蒸留器か
単式蒸留器で蒸留した後に熟成させるという中間的な製法と、
ヘビーラムとライトラムをブレンドする方法がある。したがって色は様々である。

なお、ヘビーラムやミディアムラムでは、琥珀色を出す為に着色料(カラメル)を
添加して作られる製品もある。特にヘビーラムでは色が濃い方が質が良いと
誤解されている地域もあるため、過度の着色をされる場合がある。

◆その他の製法
「スパイスド・ラム」と言って、
バニラなどの香辛料で香り付けを行ったものもある。
スパイスドラムは比較的出荷時のエタノール濃度が低いものがあり、
30%台のものもある。なお、スパイスドラムはフレーバーラムとも呼ばれる。
また、他のタイプのラムにも何らかの香りを付けることもある。

バニラ(vanilla、学名 Vanilla planifolia)は
ラン科バニラ属の蔓性植物。または、その植物から抽出された香料のこと。
種小名はラテン語で「扁平な葉」を意味する。

バニラ(vanilla)
※バニラ(vanilla)

原産はメキシコ、中央アメリカといわれている。
栽培はマダガスカル、メキシコ、グアテマラ、ブラジル、パラグアイ、インドネシアなど。

◆ラムの製造工程

ラムの製造工程