チェストベリーの効果と信憑性、安全性 生理前・更年期のハーブ



学名
Vitex agnus-castus
科名
シソ科
和名
セイヨウニンジンボク
別名
チェストツリー(木を指す名称)、バイテックス、アグナス


PMSや更年期の症状に嬉しいハーブ

チェストベリーは私たちHARE BAREにとって最も特別かつ代表的なハーブです。
チェストベリーは女性ホルモンによって生じるPMSや更年期の不快感を軽減することで知られており、私たちも商品を通じて、お客様の声からその効果を実感しています。
チェストベリーはもともと、自然界で草食動物の妊娠をサポートする野草でした。
出産期の雌が食べていたため、そのうち民間薬として婦人病に使用されるようになりました。
副作用が少なく、安全性が高いため現在も世界中の女性に愛用されています。
チェストベリーはハーブティーやサプリメントといった形で販売されていますが、効果が最も期待できるのは、精油やチンキです。
研究で使われる抽出物はチンキです。



有効な症状

イライラ、不安、鬱などの神経症状に効果が高く、また生理前の胸の痛みにも効果が期待されます。
また、伝統的な用法では不妊症の改善や母乳の分泌促進として使用されています。



チェストベリーの摂取

チェストベリーの摂り方は排卵後から生理前というものが一般的です。
人によっては毎日摂ることで症状の改善が見られることがあります。*1
効果が表れるまでには個人差があります。
早い方で1か月、一般的には3~6か月程度で症状の緩和が見られます。
摂取方法はサプリメント、ハーブティー、チンキなどがあります。
それぞれに特徴があり、どのタイプが合うかは人によって異なります。
色々と試して自分に合うものを探してみてください。

サプリメント

さまざまな成分が高濃度で摂取できますが、乾燥タイプは精油成分が摂取できません。
液体カプセルタイプが望ましいです。(有効度52% - 信頼度E)Shellenberg.R.BMJ2001

ハーブティー

全体の成分は高濃度ではありませんが、サプリメントと比較すると精油成分が多く、サプリメントよりも効果が出る人も少なくありません。
ブレンドなどで成分+アロマセラピー効果が期待できるため、即効性が高い場合もあります。(有効度66% - 信頼度E)HARE BARE customer reserch 2017

チンキ

成分を生に近い状態で摂取することが可能です。
アメリカやヨーロッパでは非常にメジャーな摂取方法です。(有効度76% - 信頼度B2)Berger D.,Arch Gynecol Obstet.2000

チェストベリーの注意点・禁忌

ドーパミンリセプター阻害剤の効果に影響を与える可能性があります。
ピルとの併用はピルの効果に影響を与える可能性があります。
妊娠中の使用では特に禁忌とされる報告はありませんが、注意が必要となっています。
1%程度の確率で吐き気などを感じる場合がある。

チェストベリーの信憑性

チェストベリーは本当に効くのでしょうか? 世界中の研究によるチェストベリーの評価は以下の通りです。

強力な科学的根拠(B1)

PMS・生理前症候群に対する使用*2
ホルモンバランスの調整*3
生理前の胸の痛み、胸の張り*4
高プロラクチン血症に対する使用*5
不妊症に対する使用(体質改善)*6

良好な科学的根拠(B2)

不妊症に対する治療

専門家や研究室の研究レベル(E)

にきびに対する使用 月経障害

妊娠中のチェストベリーの安全性

妊娠中のチェストベリーの安全性や効果に関する研究は以下の評価になっています。



強力な科学的根拠(B1)

プロゲステロン(黄体ホルモン)の増加(体質改善)*7


専門家や研究室の研究レベル(E)

エストロゲンとプロゲステロンの活性化*8
子宮の活性化*9
流産防止*10



チェストベリーが不快な症状に効果的な理由*11

生理前にイライラや不安などの不快な症状が出る原因は、ドーパミン(やる気ホルモン)やセロトニン(幸せホルモン)といった神経伝達ホルモンが、ホルモンバランスの変動によって枯渇してしまうためです。

ドーパミンの安定作用

ドーパミンの不足は鬱や行動力、作業効率、記憶力の低下といった症状をもたらします。
ドーパミンは排卵後に多く分泌されるプロラクチンという母乳ホルモンの働きで、分泌が低下します。
チェストベリーはこのプロラクチンの分泌を抑制するため、ドーパミン不足による症状を緩和します。

セロトニンの安定作用

セロトニンの不足は鬱やイライラ、攻撃性、悲観、絶望感などの症状をもたらします。
排卵後の黄体期では、脳内のセロトニン濃度が低下することがわかっています。*12
チェストベリーには精神科などで処方されるセロトニン安定薬(選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI))であるフルオキセチンと近いの効果があることがわかっており、セロトニンの低下による症状を緩和します。*13
またホルモン分泌の調整によって、ホルモンバランスの乱れによる様々な脳内物質の分泌異常の抑制による症状緩和など、多様な研究結果が報告されています。



参考文献

SAFETY AND EFFICACY OF CHASTETREE (Vitex Agnus-Castus) DURING PREGNANCY AND LACTATION Corresponding Author: jeanjacques.dugoua©2008 Canadian Society for Clinical Pharmacology
山田和男著書 月経前不快気分症候群 エビデンスとエクスペリエンス ISBN-978-4-7911-0948-7 2017
*1 HARE BARE使用者からの問い合わせ及びレビューから
*2 *10 Mills S, Bone K. Principles and Practice of Phytotherapy: Modern Herbal Medicine. 2000,London: Churchill Livingstone
*3 Halaska M, et al. Treatment of cyclical mastalgia with a solution containing a Vitex agnus castus extract: Results of a placebo-controlled doubleblind study. Breast 1999;8(4):175-81.
*4 Halaska M, et al. [Treatment of cyclical mastodynia using an extract of Vitex agnus castus:results of a double-blind comparison with a placebo]. Ceska Gynekologie 1998;63(5):388-92
*5 Milewicz A, et al. Vitex agnus castus extract in the treatment of luteal phase defects due to latent hyperprolactinemia. Results of a randomized placebo-controlled double-blind study. Arzneimittelforschung 1993;43:752-6.
*6 *7 Bergmann, J, et al. [The efficacy of the complex medication Phyto-Hypophyson L in female,hormone-related sterility. A randomized, placebocontrolled clinical double-blind study]. Forsch Komplementarmed Klass Naturheilkd 2000;7(4):190-9
*8 Liu J, et al. Evaluation of estrogenic activity of plant extracts for the potential treatment of menopausal symptoms. J Agric Food Chem 2001;49(5):2472-9.
*9 Jellin JM, Batz F, Hitchens K. Natural medicines comprehensive database 3rd Edition. 2002, Stockton, CA: Therapeutic Research Faculty. 1530.
*11 ESCOP 2009
*12 Harv Rev Psychiatry. Author manuscript; available in PMC 2011 May 19. Published in final edited form as: Harv Rev Psychiatry. 2009; 17(2): 120–137.
*13 Firat University, School of Medicine, Department of Psychiatry, Elazig, Turkey.Fluoxetine versus Vitex agnus castus extract in the treatment of premenstrual dysphoric disorder. 2003 Apr;18(3):191-5.