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2018/08/27 14:53
靴クリームはシュークリームとも呼びます。シューズのシューです。
靴クリームは、革に栄養を与えるとともに、傷などを目立たなくする補色効果もあります。
ただし、ニュートラルは無色のため、どんな色の革にもお使いいただけますが、補色効果はありません。
【乳化性クリーム】
それでは革の栄養って何?と聞かれると、それは水と油です。人間のお肌と同じで、潤いは水分ですが、水分だけだとすぐに乾燥するので、それを防ぐために油分が必要です。
水と油は混ざりませんが、界面活性剤を混ぜることにより水と油が混ざります。水と油が混ざった状態を「乳化」と呼びます。乳化した液が、いわゆる「乳液」です。靴クリームのラベルに「乳化性」と書かれている商品は、この乳液が原料となっています。この乳液が革に浸透をして栄養となります。
そして靴クリームの場合は、さらにワックス(蝋)を混ぜます。ワックスは皮革に栄養と光沢を与え、革表面を保護する被膜を作リます。ただし乳液にワックスは溶けませんので、ワックスを溶かすために有機溶剤を使います。有機溶剤とは、シンナーとかベンゼンとか、ああゆう揮発性の臭いやつです。靴クリーム特有の臭い匂いは、この有機溶剤が原因です。
水分、油分、ワックス分。これが靴クリームの3大栄養素であり基本です。ただ、あくまで基本であって、最近は界面活性剤も有機溶剤も使わない、人のお肌に優しく、地球環境にも優しく、化粧品と同等のハイグレードな成分が入った商品もたくさん発売されています。
オーガニックアルガンオイル、アボカドオイル、ホホバオイル、シダーオイル、パームオイル、ビーズワックスなどの天然油脂を使い、各メーカーさんが、栄養価の高い、優れた靴クリームを開発・販売されています。
アルガンオイル配合 コロンブス ブートブラック Boot Black コレクションズ
天然成分のみで作った乳化性クリーム M.MOWBRAY モゥブレィ プレステージ クリームナチュラーレ
【靴クリームは革小物には不可】
「靴クリームは、財布とかカバンとかにも使えますか?」という質問を何度か受けたことがあります。
結論から書きますと「使えます」。
ただし、以前にも書きましたが、靴クリームには有機溶剤が入っていますので、財布が臭くなります。1ヶ月ぐらいニオイが消えないと思います。また、靴クリームには、顔料あるいは染料と呼ばれる皮革を着色する成分が入っています。この着色成分が服を汚したり、お肌を汚す可能性があります。
ですので、靴クリームは革小物にも使えないことはないですが、やめておいたほうがいいです。靴クリーム系で革小物にも安心して使えるのは前回紹介をしました無色で有機溶剤が入っていない、デリケートクリームです。
【顔料と染料】
●顔料とは、大雑把に言いますと色のついた微粉末です。
顔料は水や油には溶けず、皮革表面に付着することで着色をします。
代表的な顔料を配合した靴クリーム
コロンブス ブートブラック シュークリーム
●染料は、字の通り皮革を少しずつ染めながら着色します。
染料も色のついた微粉末ですが、水や油に溶けるため、皮革に染み込んでいきます。
代表的な染料を配合した靴クリーム
M.MOWBRAY モゥブレィ シュークリーム
顔料系は微粉末が皮革の上に乗っているだけなので、汚れ落としのクリーナーを使うと顔料が取れて色が落ちやすいです。古い汚れた顔料が落ちるからこそ、靴クリームを塗るたびにフレッシュできれいな顔料が付着します。
染料系は皮革を徐々に染めますので、使うたびに皮革が染まります。汚れ落としのクリーナーで汚れは落ちますが、染料は落ちません。落ちないからこそ、上塗りにより、きれいなカラーが長持ちをいたします。
顔料系も染料系もメーカーさんの個性であり、信念だと思います。どちらも良い商品であり、よい製法だと思います。
【ブラックは真っ黒ではありません】
ブラックの靴クリームには当然黒の顔料が入っています。しかし、赤や青の顔料も含まれています。
黒だけよりも、赤や青の顔料を配合することで靴クリームを塗った後、より深みのあるブラックになります。この、何色をどれだけ配合するかは、各メーカーさんの企業秘密です(*^^*)
もしブートブラックのブラックの靴クリームを持っていられたら、白い紙の上に少し塗って、広げてみてください。紫色が現れてきます。靴クリームだけでなくポリッシュも同じです。ダークブラウン系の靴クリームにも赤や青の顔料が配合されています。メーカーさんが試行錯誤して作り上げていることがうかがえますね。
年々、靴クリームの内容成分は化粧品に近い高級なものになっています。しかし、この着色という点が、化粧品とは最も違うところだと思います。
【靴クリームのカラーの選び方】
モニターの違いにより、インターネットで見えるカラーは、残念ながら本当のカラーとは微妙に違います。PCかスマホか。iPoneかAndoroidか。WindowsかMacか。環境によって見えるカラーが微妙に違います。これだけはどうしようもありません。ただし、ニュートラル(無色)とブラックだけは問題がありません。この2色だけは変えようがありませんから。
さて、靴クリームのカラーの選び方ですが、新品時の革靴のカラーに合わせて、ほぼ同じカラーならば理想ですね。ただ、まったく同じカラーがない場合は、若干薄いカラー(明るいカラー)をお選びください。濃いカラー(暗いカラー)を選んだ場合は、靴クリームの塗り方によって革の上でまだらっぽくなる場合があります。
【靴クリームの保管方法】
靴クリームは揮発性の有機溶剤の成分を含むため、乾燥しやすい性質を持っています。靴クリームのビンの容器は使いやすいように開口面積を大きくしています。そのため蓋(ふた)のわずかなゆるみから、徐々に水分や有機溶剤成分が蒸発してしまいワックス等の蒸発をしない成分が残り固まってしまいます。残念ながら一度固まってしまった靴クリームは元に戻すことが出来ません。
靴クリームの保管方法ですが、ご使用後は必ず蓋(ふた)をしっかり締めてください。また、容器を逆さにして置く方法も長期保管には効果があります。蓋(ふた)に付いているパッキンに靴クリームが付着して、密封をする効果があります。ぜひ、お試しくださいね。
最終更新:2021/07/10 12:29