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guji Monthly Journal #13 / 2022spring summer

“ワイド”に慣れてきて、また“スリム”な気分・・・という話

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ストリート・モードカジュアルからスタートし、徐々にクラシコ業界まで巻き込んだ一大トレンドへと成長した“ビッグシルエットスタイル”。

アウターを中心に、カットソーやシャツ、ブルゾンに至るまで、単に大きいだけでなく、大きく見えるのに丁度良いという絶妙なバランスで構築されたウェアが人気を博しています。

そんな中、少し気分に変化がみられるのがボトムのシルエット。
この3年ほどでパンツのバリエーションが驚くほど増え、以前はスーパースリム一辺倒だったのがキャロットタイプ、ワイドテーパードタイプ、お久しぶりのカーゴタイプなどが注目されています。

トップスはオーバーサイズでも大丈夫ですが、パンツは大きいと純粋にウエストがずれ落ちますので、ウエストはジャストに、渡りや裾幅などラインの違いで変化をつけています。
で、いろいろなスタイルのシルエットを楽しんでいると、なんとなくこんな気持ちになってきますよね・・・。

『トップスがビッグシルエットでパンツもワイドだと、全体的に締まりがなくてぼんやりしてない?』

そうです、20代、30代ですと肉体のフレッシュさでカバーできるところも、40を越えてきて重力との戦いになってくると洋服で締まりを表現する必要が出てきます。
上下緩くても何とかなる世代は良いですが、クラス感と品格、上品さが求められるオーバーミドルはメリハリが必要、そういう事で、スリムスタイルのボトムが再注目されているというわけです。


スリムなパンツといえば、やっぱりイタリアです



“足長効果”、“美脚効果”。

他者からの目、特に異性からどう見られるかを一年中考えていると言っても過言ではないイタリア人。
僕たちのイメージ以上に、実はスタイル抜群な方が少ないイタリア人。
こよなく洋服を愛し、自分のスタイルを持っているイタリア人。

そんな彼らが考える、「いかに足を長くスラリと見せ、スタイルが良いと錯覚させるか」。
この研究の成果がイタリアを美脚パンツ大国へと押し上げました。

僕たちgujiで取り扱っている美脚パンツはほぼすべてイタリアブランド。
guji Journalをお読み頂いているイタリアラバーの方にはお馴染みのブランドが並びますが、今一度おさらいといいますか、現時点で最新のスタイルをお伝えできればと思います。


数年前買って穿いていたパンツじゃダメなの?

変わらず人気な定番モデル(左:INCOTEX 1T0031、右:tramarossa LEONARDO SLIM)

さんざんスリムシルエットの美脚パンツを穿かれていたと思いますし、今持っているのじゃダメなの?という疑問は当然湧いてきますよね。

結論から言いますと、「全然大丈夫です」

人間の体格は一世代ではそんなに変わりません。
私の足は突然伸びませんし、当然他の方のスタイルも急に良くなることはありません。

そう考えると、数年前に完成したといわれる“スリム&美脚シルエット”のパンツを今穿いても、全く問題が無いというわけです。

実際に、gujiでも当時からずっと変わらないモデルで人気を博しているentre amis(アントレ アミ)tramarossa(トラマロッサ)のようなブランドは沢山ありますし、取り扱いをスタートして10年以上経ちますが、2022年の今が一番売れているのでは・・・というINCOTEX(インコテックス)もスリムスタイルが基本です。


“ちょいユルテーパード”で人気を博したこのブランドも、新しくスリムを提案

YCHAI(イカイ)のスキニーフィットPANATELAパナテラ

程良く深い股上に気持ちゆとりを持たせた渡り幅、裾にかけてクッとテーパードを効かせたモデル“ROBUSTOロブスト”で人気が爆発したYCHAI(イカイ)、次なる一手として提案したのが“PANATELAパナテラ”。

昨年デビューのシルエットですが、当時は「今逆にスリムに行くの?」という驚きと共にちょっとした不安もあったんですが、今考えると先見の明が素晴らしいな・・・と思う次第。
YCHAIは決してトレンドを追いかけた消費提案型のブランドではなく、長い期間ずっと愛用できる普遍的なアイテムを提案していますので、ラインナップとしてスリムが必要だったんでしょう。

左がROBUSTO、右がPANATELA

そういったブランド側の事情もありますが、それでもあの当時にスリムを新しく発表するというのは勇気が必要かと。
思い切った決断が出来るからこそクリエーションにも信頼がおけますし、実際に人気にも繋がっているというわけです。


少しアップデートを加え、時代に合わせたモデルも登場している

tramarossaの新提案MICHELANGELO SLIMミケランジェロスリム

スーパーストレッチデニムを用いたスリムスタイルLEONARDO SLIMレオナルドスリムが圧倒的な人気を誇るtramarossaから、渡りにほんの少しゆとりを持たせたMICHELANGELO SLIMが登場。

見た目が明らかに違うというわけではありませんが、こういった微細なシルエットのバリエーションが生み出されることが時代の変化を物語っているように思います。

細いんですけど、気持ちゆとりがあります

穿いてみるとヒップがキュッと引き締まるのではなく、優しく包み込まれる印象。
無理がなく細身に見える、新しいタイプのスリムテーパードシルエットです。

BERWICH(ベルウィッチ)のニュースタイルBERTOベルト

BERWICHといえば、今飛ぶ鳥を落とす勢いのブランド。

一番人気は間違いなくこちらですね、2インプリーツのサイドアジャスターモデルSCOTCHスコッチ。
2022SSシーズンに入荷したモデルも、既にサイズ欠け多数、完売したモデルやカラーもあります。

そんなBERWICHの新しい提案は、程良くスリムでスマートなシルエットのBERTO。

シルエットは従来のスリムスタイルに近いですが、ポイントは股上が少し深くなっているところとウエストゴムのバックシャーリング。
腰回りの安定感が増していますし、少し緩めのトップスとの相性が良くなっており、現代的なスリムパンツとしてじわじわ注目を集めているモデルです。

気鋭のブランドerne(エルネ)はどこよりも新しいシューカットシルエットを

まだ知名度は全くと言ってよいほどないですが、これからの躍進が期待されるerne。エルネと読みます。

「ヒットしそうでヒットしない」で有名なシューカット、もしかするとこのブランドがそんなジンクスを打ち破ってくれるかもしれません。

カテゴリーは違いますが、こちらも「ヒットしそうでしない」アイテムであったベルジャンシューズ、BAUDOIN & LANGE(ボードイン アンド ランジ)が見事に打ち破りましたので、スタイルに変化が表れる今こそ躍進するチャンスがあるように感じます。

股上は少し深めで落ち着きを表現し、ヒップはコンパクトで野暮ったく見えず、ブーツカット程大げさに裾が広がっていないシューカットで足をスラリと長く見せる。
既にストリートスタイルでは一定の人気を獲得していますので、徐々に僕たちのスタイルにも浸透してくることでしょう。

JACOB COHEN(ヤコブ コーエン)の人気モデルにも変化が

JACOB COHEN不動のトップセラーは間違いなくNICK(旧622)モデルなんですが、この一年くらいでBARD(旧688)モデルの人気が高まっています。

シルエットのベースは同じとのことですが、BARDはNICKに比べて股上が1.5cm深いモデル。

左がBARD、右がNICK。見た目にはほぼわからないですが、穿くとやっぱり違います

股上が深くなることで腰位置が高くなり、ヒップにも少し余裕が生まれます。
今トレンドの、少しゴージ位置の下がったジャケットやビッグシルエットのトップスとの相性が良いという事で、指名買いも増えています。

実際のセールスも、一昨年NICK:BARDが2:1くらいだったのが、昨年から今年にかけては1:1くらい、ほぼ同じくらいまで伸びました。


最後に



決してまたスリム一辺倒になったわけではなく、「ワイドも良いけどスリムもね」くらいの印象になり、よりスタイリングのバリエーションが成熟し、選択肢も増えています。

選択肢が増えると選ぶのが大変になり、「コレ穿いておけば良い みたいなのないの?」というお声がないわけではないですが、限られた時間の中で自分に合ったものを探すのもファッションの楽しみの一つ。

gujiでは良い意味で選びきれないくらいのバリエーションでパンツをご用意していると自負していますので、是非店頭で実際にお試し頂き、お楽しみ頂ければと思います。

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