〜Norwegian Rainを訪ねて〜 balcone di guji 虎の穴vol 2

実は継続シリーズの『balcone di guji 虎の穴』、約半年ぶりの登場です。(汗)

balcone di gujiとの縁が深いブランドへあつかましくもインタビューをさせて頂く本企画、今回は6月に開催されたPitti UomoにてNorwegian Rainのマイケルとアレックスの両氏に幸運にもお話を伺う機会を得ましたので、その模様をお送りしたいと思います。

(インタビューはPitti Uomo会場内のブースで行いました)

(まるでアトリエのような趣のある空間です)

高階:ピッティ期間中の忙しい時期にわざわざありがとうございます。早速なんですが、あらためてNorwegian Rainを始めた経緯について教えて下さい。

マイケル:私達Norwegian Rainのホームタウンであるノルウェーのベルゲンは、3日あれば2日雨が降ると言われるヨーロッパで一番雨の多い街なので、根本的な雨対策が必要でした。

アレックス:この町に住んでいる以上、どうしたら上手に雨と生活して行くのがベストの方法なのかをずっと考えていました。2007年から仕事を始め、天気によって着る物や気分が左右されることなく、雨と共存するためには高機能の武装が必要だと思い、約3年もの間ハイテクな素材を探し回りました。
そして、2009年にビスポークテーラーのT‐マイケルを誘って、彼の経験を生かしたスタイルに制限のない機能性をも兼ね備えた服の創造を目指し、ブランドをスタートさせました。

高階:お二人の生活に基づいたリアルな発想から出てきたものなんですね。そのうえでお二人がタッグを組むことは必然だったような気がします。 日本でも近年、天候が安定しませんし雨対策を考えたアイテムの需要は高まっていると思います。

(左からアレックスとマイケル)

岩佐:ではお二人の視点から見た、現在の日本のマーケットについてはどう思われますか?

アレックス:世界の中で日本は旅をするのに最も大好きな場所で、インスピレーションに溢れた所だと思います。日本のどこへいこうが、色んなジャンルの建築やファッション、庭園、バーなどディテールの隅々まで人々の行き届いた思いが感じられます。
世界中どこに行ってもそんな国はないので、とても面白くて、新鮮で、インスピレーションに溢れていると思います。
マーケットとしてはとても大きいと感じていますが、一方で物が多すぎるとも感じています。情報もまた多いです。その中で大きなシェアを獲得する事は難しいと感じています。 私達は、独自性を持ちお客様が手に取る価値がある製品を作り出す事を一番大切に考えています。

岩佐:なるほど、確かに今の時代はモノが溢れてしまっている感がありますね。
昔よりもSNSなどで情報が手に入りやすくなった分、お客様の目も肥えてきていますし独自性を保てないブランドや企業はこれからより厳しくなるかもしれません。

高階:そんな日本のマーケットの中にある、gujiに対してはどういうイメージをお持ちですか?

マイケル:お店の雰囲気は勿論、その後ろにいるスタッフが素晴らしいと思います。私達はお客様がわざわざ足を運ぶ価値のあるショップと繋がりが持てて、大変嬉しく思っています。
お店のイメージはクラシックなスタイルと先進的なブランドが共存しており、非常に興味深く感じております。そこは私たちのブランドでも提案している部分なので、これからも一緒に素晴らしい取り組みが出来ればと考えています。
スタッフの方達は私達の製品をとても大切に扱ってくれているし、私たちのブランドをとても良く理解して頂いていると思います。gujiはそんな素敵な場所だと感じています。

高階:そう言っていただけるとありがたいです。でもちょっと照れますね(笑)
クラシックなスタイルにコンテンポラリーなアイテムを組み合わせるのはbalcone di gujiの身上とするところなので、今後も積極的に提案していきたい部分です。

(両氏共に熱い気持ちが伝わってきます)

岩佐:balcone di gujiではスーツで合わせる場合もあれば、ニットやスウェットなどカジュアルな合わせも提案しているのですがNorwegian Rainを着こなすうえで、こうしてほしいなど希望みたいなものはあるんでしょうか?

アレックス:ブランドスタート当初からマイケルと私は、特にこれといったNorwegian Rainのイメージを作り上げていません。それはとても退屈な事だと思います。多様性のあることはとてもエキサイティングで、着て頂く人々がそれぞれ色んな着こなし方で着て頂きたいと思っています。個人的に、私のスタイルはバランスが全てです。
もし、何かを選んで着る場合、私はより落ち着いたクラシックな物を選びます。もし、少しクラシックに見え過ぎるようなら実験してみます。誰とも似ていないように着こなす事が好きなのです。

岩佐:あえて固定されたイメージを作らず、着用する人の感覚にゆだねるという事ですね。 やはり、そういった所にお二人の懐の広さが滲み出ているような気がします。我々もお二人のスタリングは参考になりますし、日本のお客様も気にされている方が多い印象ですよ。

(余裕の表情のバイヤー岩佐と、やや緊張気味?のバイヤー高階)

(和気藹々とインタビューは進みます)

(両氏の着こなしや小物使いなども、やはり参考になります)

高階:早いものでブランドがスタートしてもうすぐ10年になりますが、今後のブランドの展望について教えてもらえますか。

アレックス:最近、パリのマレ地区にある非常に興味深い家をショップとしてオープンしたばかりです。 その家はスカンジナビアのシンプルさ、日本の静寂さ、アーティストのアトリエの様なオーラを持ち、庭もあります。自分達がそこに住みたいぐらい気に入っています。

マイケル:今現在もいくつかのプロジェクトが進行しています。私達は常に自分達をインスパイアしてくれるものや同時に他の人もインスパイアしてくれるプロジェクトにしか興味がありません。
直近で進んでいるプロジェクトはかなり大きなものですよ。私達は、ここ数年日本のディストリビューターと共に自分達の世界を表現出来るスペースをずっと探していました。 そしてやっと東京に日本初のフラッグシップストアをオープンする予定になりました。ノルウェーMeetsジャパン。ぜひご期待ください。

高階:そうなんですね、まさかそんな大きなプロジェクトが進行しているとは!お二人が創り出す新たな空間は僕らも是非拝見したいですし、そのうえで僕らのお店作りにも活かしたいですね。(笑)

岩佐:満を持してという感じですね、取り扱いさせていただいてる側からしてもブランドの認知度が向上するのは喜ばしい事ですし、待ち望んでいた方も多かったのではないでしょうか。

岩佐高階:今回はどうも有難うございました。これからもよろしくお願いします!

なんと!遂にフラッグシップストアが出来るということで、より一層日本での人気も高まるのではないでしょうか。

そんなビッグブランドにも関わらず、毎シーズン微量オーダー(汗)の弊社にも快く対応してくれるNorwegian Rain、懐の深さに感無量でしてインタビュー中も両氏からブランドへのひたむきな情熱を確かに感じることができました。

明確なバックボーンを持ちながらも、ここまで前衛的なブランドは中々無いと思いますしコンテンポラリーを身上とするbalcone di gujiでこそ提案すべきブランドであるという事を再確認させられたインタビューでした。



balcone di guji 虎の穴

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