パーツに光るgentenの理念
~エシカルなものづくり


gentenのプロダクトはさまざまな部品から構成されています。メインの素材である革はもちろん、金具類やボタン、ファスナーなどのパーツ、革を縫い合わせる糸など。環境に配慮した素材であることはもちろん、ひとつひとつにgentenの想いが込められています。




革とともに輝きが変化していく
昔ながらの真鍮の持つ存在感

gentenのプロダクトの金具には、鋳物ならではのあたたかみが感じられる真鍮(しんちゅう)や、鉄を革で巻いた革巻き金具を使っています。どちらも革と同じように、使い込んでエイジングが進むと、穏やかな経年変化を楽しめるパーツです。




使っているうちに風合いが変化した真鍮の金具。使い込んだ部分も味わいとなります。

真鍮は銅と亜鉛の合金素材で黄銅(こうどう)とも呼ばれ、適度な強さと展延性(力を加えると永久的に変形する性質)があり、劣化しにくく、加工しやすいのが特徴です。一説には2000年以上の歴史があるといわれ、古くは鉄砲の薬きょうや仏具、金管楽器などに使われてきました。

真鍮の金具は、枠に詰め込んだ砂から型を取り、溶かした真鍮をそのひとつひとつに流し込むなど手間や時間をかけて作られます。同じパーツでもひとつずつ微妙に味わいが違う、いい意味での歪さ、手仕事ならではのあたたかみはgentenのものづくりに欠かせない存在です。




真っ赤に溶けた真鍮をひとつひとつ型へと流し込みます。注ぐペースを型によって変える繊細な作業です。
最後の仕上げは手作業で行います。丁寧な手仕事により、ぬくもりを感じるパーツに。





gentenの景色を成す革巻き金具は
繊細な手仕事から生み出される

gentenの特長のひとつともいえる革巻き金具。本来は平面である革を、立体物である金具やボタンに巻き付けることで、ひとつひとつのパーツにあたたかな情緒が宿ります。

目指す色や風合いに仕上げるために、革をどの程度漉いたらよいのかは、人の手でなければ図れません。どんなに機械が発達したとしても、熟練の職人の鋭い手先の感覚がなければ実現できないのです。
そこには、「バッグをひとつの景色として見たときに、異素材の金具で分断されることなく、すべてが革で仕立てられているようにしたい」というgentenの想いが込められています。




限界まで薄く漉いた革を金具やボタンに巻き付けて作られたパーツ。ひとつひとつ手作業で仕上げています。



長く愛着を持っていただくための
堅牢で美しい日本製のファスナー

gentenのバッグや財布、ポーチなどには、世界でトップシェアを占める日本のファスナーブランドYKKの「エクセラ®」が使われています。

エクセラ®はメイドインジャパンならではの高度な技術で、務歯(むし)と呼ばれる細かい歯ひとつひとつが研磨機で丁寧に磨き上げられています。エッジが美しい端正な見た目と、堅牢かつ、なめらかな使い心地は「愛着のあるものを長く使っていただきたい」というgentenのコンセプトにもマッチしています。

素材は丹銅(たんどう)という真鍮に近い成分の金属で、摩耗しにくく、革の風合いに馴染むアンティーク調のくすんだ色合いです。長く使っているうちに、金色を燻したような光沢感が出てきて、エイジングした革との組み合わせの妙を楽しむことができます。




左が新品で右が5~6年使用したもの。
ファスナーの引き手部分を比べると、上品でやわらかなアンティークゴールドに変化しているのがわかります。




エコ・コンシャスを徹底した
gentenをかたち造る糸の数々

創業当初の定番から最新のアイテムも含め、gentenではバッグそのものの縫い合わせの仕様にあわせて、いくつもの個性豊かな糸を使い分けています。一般的な皮革製品には、縫製しやすい化学繊維の糸が使われていることがほとんどですが、環境との共存がブランドのテーマであるgentenでは、縫製糸も純粋な麻の手縫い糸や、綿を混ぜたミシン糸を厳選しています。

たとえばハンドステッチが印象的な「アマーノ」シリーズは、手縫い用に麻の繊維を極太に撚った特殊な糸で縫っています。麻糸で2本針を使って手縫いで仕立てるハンドステッチはgentenが最も大切にしている技法のひとつ。麻糸とバケッタレザーはお互いに天然素材なので親和性が高く、ハンドメイドならではの仕立てが多くの方に愛され続けています。




麻糸は縫い始める前に蜜蝋と松脂で作られた天然素材のワックスを塗ることで、すべりを良くし、糸の毛羽立ちを防いでいます。

バッグの強度を上げながら、デザインの一部にもなっているかんぬきステッチ。
長く使うことで革と同じように糸もエイジングしていきます。


ミシンで仕立てる糸には、外側が綿糸、内側の芯がポリエステルの「コアヤーン」と呼ばれる糸を使用しています。丈夫でありながら、ナチュラルな風合いを感じる、gentenの革に馴染む素材です。もともとは服飾用に用いられていたもので、革製品に使うのは世界的にもめずらしく、縫製がとても難しいのが特徴です。

革の厚さによって糸の太さ、針目の出方を変えなければならず、上糸と下糸の調整にも時間がかかるため、ミシンの速度を上げて一気に縫い上げるということができません。古くからあるミシンを使い、熟練の職人が時間をかけて丁寧に縫製しています。






「ミモザベーシック」シリーズには、ハンドミシンによるステッチが配されています。
全くの直線ではない、おおらかに連なるステッチによって柔和なニュアンスが加わりました。



金具や縫製糸などの細部まで、今回ご紹介したように素材や手仕事にこだわって、大切に作っています。それは使う人のライフスタイルに寄り添うモノだからこそ、目に映る景色や、手で触れたときの感覚がいつも心地よいものであってほしい、愛着を持って長く使いつづけてほしいというgentenの願いが込められているからです。





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