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Vol.13
タンザナイトの品質と価値

[写真]南国の透き通った海の色のようなネオンブルーの色合い

光や見る角度によって色合いを変えるパープリッシュブルー

「タンザニアの石」を意味するタンザナイトは、その名が示すとおり、タンザニア・キリマンジャロの夕暮れ時の空を映し出したような美しい紫青色をしています。

多色性という特徴を持っており、見る角度によって青色や紫色が強くなる宝石です。同時に青と紫、緑を有することもあります。

このような特長により、ブルーサファイアとの見分けが容易であると言えます。

海外ではタンザナイトがブルーサファイアに似ていたこともあり、多色性が少なく、青味が強いもののほうが高い評価を受けています。

しかし、日本ではタンザナイトはサファイアとは全く違った観点から評価を下すものという見方があり、多色性の強いものの方が人気があります。

色に関しては濃い紫、濃い青が出るものほど価値は上昇し、反対に色が薄くなればなるほど価値は下がります。

ほとんどのタンザナイトは、緑味、褐色味を除去し、青色を出すために、原石に加熱処理が行われています。

タンザナイトはモース硬度6.5と低く、宝石の中でも比較的傷がつきやすい部類に入ります。

しかも、劈開性という衝撃に対してもろい性質も持つため、大切に扱わないと欠けてしまうといったことにもなりかねませんので、比較的取り扱いに注意が必要な宝石です。

タンザナイトという名前の由来

1967年、東アフリカのタンザニアのアルーシャ地区メレラニ鉱山で、マニュエル・ト・スーザーにより、今までの不透明のピンク色や緑色とは全く別種の青色のゾイサイトが発見されました。

これをアメリカ合衆国の宝石商ティファニーが見いだし、新しい宝石として、1980年代にはアメリカを中心に世界中で人気を呼ぶ石となりました。

産地

宝石名からもわかるように、タンザナイトの産出国はタンザニアのみです。

世界でたったひとつの鉱山だけでしか産出されない貴石は、その鉱山における産出動向次第で、希少性が左右されます。

そして、その産出量は、年々減少の一途をたどっている状況です。

サイズが大きく、高品質なものは供給が不足する状況は、今後も続くと考えられています。

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