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2020年プログラミングの小学校必修化に備えて

2018.10.1

もうこのサイトをご覧になっている方はプログラミングが小学校の必修科目になるということをご存知の方も多いと思いますが、実際どんな授業で、何を目的としているのかはわからない人が多はずです。2020年から必修化なのであと2年を切ったのですが、実際問題として学校の先生でさえ、まだプログラミングで何を教えるかがわかっていない人も少なくないでしょう。

文部科学省の発表によるとプログラミング教育とは、難しそうなコンピュータ言語を覚えることではなく、プログラミングに必要な「考える力」の習得、すなわち「プログラミング的思考力」の習得を目的としています。つまり、グーグルやアマゾン、シェアリングエコノミー・ビジネスを代表するUber(自動車配車サービス)やメルカリ、Airbnb(宿泊施設提供サービス)などIT、AI(人工知能)をベースとした産業に世界全体がシフトしていて、産業構造が大変革していくわけです。

ですから今の子どもたちのすぐ先の未来は、今までとは全く違った環境に変化し続ける時間を生きていくとすると、これまでの設定された「正解」は通用しないので、答えのない未来に「解」を出していく論理的思考力や、論理的推理力や、批判的思考力などがとても重要になるのです。ところが我々が受けた学校教育というのは大学入試を総本山として高校、中学、小学校と試験(テスト)をクリアする「記憶」が大切だったわけです。「あらかじめ決められた正をできるだけ効率的に多くの情報を記憶して、いち早くアプトプットする」、これが我々が施された教育でした。ですがそれはまさにAIが信じられないスピードで、信じなれない量の情報をいとも簡単にアウトプットしちゃうので、「記憶」をベースとした教育は価値がなくなってしまうんですね。その代わりにこれからの教育はどうするか。

論理的思考力や論理的推理力などの様々な思考力と、産業がITベースになっていくのは確実なので、現代の「読み・書き・算盤」といったプログラミングという基礎素養を身につけよう、ということなのです。

さて、実際に小学校でどういうプログラミング授業が行われるか?おそらく、パソコンを1人1台与えるというのはなかなか難しいでしょうし、お金持ちの学校や自治体でしか実現できないのではないか?という危惧があります。また、教える学校の先生にプログラミングの知識や、今経済というビジネスの中で起こっているITやAIの活用経験があるのか? という危惧もあるわけです。授業自体は、現在の教科・科目の中で、プログラミングを少し取り入れる、ということだそうです。理科の中で少し、算数の中で少し、といった具合みたいです。

海外を見てみると、プログラミング教育はすでに多くの国で始まっています。イギリスは我々より10年も先に必修化になっていますし、Skypeを産んだエストニアやフィンランド、フランスやハンガリーなどでも始まっており、アジアでも韓国、中国、シンガポールやインドなどでもスタートしてます。海外ではプログラミングという科目を設けたり、数学の授業の一部として取り入れているケースも多いようです。いづれにしても集中的に専門的に授業を組み、国家国益としての人材育成というはっきりした位置づけがあるように見えます。そして海外でのプログラミング授業は、パソコンやタブレットを使うだけではないようです。「論理的に物事を考えたり新しいことを考えたりするクリエイティブな訓練」と「ITに触れたりコーディングをする実装訓練」と、その2つを組み合わせて「クリエイティブとテクノロジーを組み合わせ創造する訓練」をバランスよく行っているようです。「そのクリエイティブな訓練」は、必ずしもパソコンやタブレットを必要とするわけではないので、ボードゲームなどのアナログなツールが教材となっています。それをアンプラグド(電源に繋がない)教材と呼ばれています。

  • 算数の教科の中にプログラミングの科目がある。マスダイスを使った授業の様子。

  • ジンゴを使った授業の様子。
    ビンゴゲーム形式でアクティブ・ラーニング。

  • Googleのアントレプレナーが開発した3歳からプログラミングを学べるロボット・タートルズ。

アンプラグドであるボードゲームのメリットは、

  • 価格が安いので学校に導入しやすいこと。
  • 家庭にも導入できるので学校と家庭で学習機会を増やし易いこと。
  • 思考力にも正しいフォームがあるので、正しい思考が勝敗につながるボードゲームは、その習得に適していること。
  • PCで黙々と操作するのと違い、コミュニケーション力も必然的に育まれること。
  • 誰もが楽しい遊び(PLAY)なので、子どもの興味が高くアクティブ・ラーニングであること。

アメリカの脳トレThinkFun(シンクファン)社からは、米航空宇宙局(NASA)の仮想現実(VR)のプログラマーという経歴を持つ開発者が手がけたCODE MASTER(コードマスター)、コード・シリーズ(ON THE BRIINKROVER CONTROLROBOT REPAIR)は、コーディングというもの(より正確にいうとコンピューターの働きそのものの)の理解がパソコンを使わず理解できるボードゲームとして発売されています。コーディングにあるループ構造やif条件分岐と言った難しそうな構造も、遊びながら理解できるというもの。コード・シリーズは、さらにコーディングの要素を3分割し、それぞれを徹底的にマスターしようというシリーズもの。小学生の高学年から、これからプログラミングを学ぶ中学生や高校生、あるいは社会人にもオススメの本格学習ゲームとなっています。

さらに本開発者は、論理的推理力を鍛えるChocolate Fix(チョコレート・フィックス)Clue Master(クルー・マスター)の開発にも関わっています。これらのゲームのテーマとなっている論理的推理や仮設の設定が、いかにプログラミング教育に必要かが理解いただけると思います。