保湿ティッシュ開発秘話
会長自身の花粉症
保湿ティッシュが開発されるきっかけとなったのは、河野製紙の現会長、河野矩久自身の鼻炎でした。「肌の弱い方、頻繁に鼻をかむ方に安心して使っていただける、やわらかい紙はできないか」と谷口健二研究員に相談し、2年がかりでつくりあげたものです。
試行錯誤からの発想の転換
最初は洗濯のときに使う「柔軟剤」をティッシュに含ませてみました。しかし、ティッシュは思ったほどやわらかくならず、うまく行きませんでした。試行錯誤をしているうちに、水を含ませてはどうかと考えました。ティッシュペーパーの原料であるパルプは、水を含むと膨らんでやわらかくなります。しかし、紙は水に濡れると破れやすくなるということも常識です。「紙がやわらかくなって、しかもまだ十分に破れにくいというポイントがあるのではないか」と、ティッシュの水分量を変えて調べてみました。すると、普通のティッシュペーパーの2倍の水分量である約14%のときに、やわらかな感触で強さも残っていることが分かりました。
保湿ティッシュの誕生
次の課題は、どのようにしてティッシュに通常の2倍の水分を持たせるかでした。ただ単に濡らしてもすぐに乾きます。ウェットティッシュのように密閉容器に入れるのではコストが高くなります。そこで、化粧品や食品に使われている「保湿剤」をティッシュに使ってみました。「保湿剤」は、空気中の水分を取り込み保持する作用があります。
試作の回数は100回を越える
このとき難しかった点は、紙のやわらかさを安定して保つ方法でした。紙の水分は周りの空気中の水分の量に影響されます。どんな季節であっても一定範囲の水分があってやわらかさを保てるように、性質の異なるいくつかの保湿成分をバランスよく配合し、最適な量を含ませました。この間の試作の回数は100回を越えました。
やわらかい紙を箱に詰める
生産実験に入ってからも、簡単な道のりではありませんでした。今までに無いやわらかい紙は、巻き取るときに滑ってズレたり、ちゃんと折り畳めなかったり、ちゃんと切れなかったりしました。このやわらかい紙をうまく箱に詰めるために、機械を調整したり、機械の部品を新しく作ったりして、ようやく製品化することができました。
まだまだ続く研究開発
平成5年(1993年)、河野製紙は世界で始めて保湿ティッシュを発売しました。その後、特許が認められました。おかげさまで、年々より多くのお客様から認めていただいています。2007年には「ゲル状保湿成分」の特許、2010年には「形状記憶性細密エンボス形成技術」「保湿不織布」の特許を取得いたしました。河野製紙の挑戦はまだまだ続いています。
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世界に誇る技術力
世界に先がけて数々のティッシュを開発してきた、河野製紙の確かな技術力をご紹介します。
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保湿ティッシュ開発秘話
保湿ティッシュが開発されるきっかけとは?2年がかりでつくりあげた保湿ティッシュの開発秘話。
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河野製紙の歴史
明治25年(1892年)以来、100年以上「保湿ティッシュの河野製紙」としてみなさまに親しまれて、現在に至っています。