石井宏治さんインタビュー

石井宏治さんの工房へ伺いました

手に取ったときの質感や、使っていくにつれて深みの増す姿。木の食器は毎日使うことで少しずつ変化をしていき、育てていく楽しみがあります。

今回ご紹介するのは、天然無垢の木材を使って暮らしの道具を作る木工作家 石井宏治さんです。
千葉にある石井さんの工房にお伺いして、お話を聞かせていただきました。

石井宏治さんインタビュー

石井宏治さんは、1986年千葉県市川市生まれ。
2011年より木工について学びはじめ、2014年よりカトラリーなどを製作しています。

食器には様々な素材がありますが、なぜ「木のもの」を選んだのでしょう。木工を学ぶきっかけは何だったのでしょうか?
石井さんにインタビューしました。

石井宏治さんインタビュー

石井宏治さん:
「もともと木が好きだったように思います。オイルフィニッシュの無垢のテーブルなどに触れてから、木目の表情や質感がとても心地よく感じられ、暮らしにこういうものがあったら毎日豊かな気持ちで過ごせるんじゃないかと思うようになりました。自分で試行錯誤しながら暮らしに使いたいものを作れるようになったらいいなと思い、職業訓練校へ行き木工を学びました。」


木工について学び、自身で「暮らしを豊かにするもの、寄り添うもの」を提案していますが、
石井さんにとって、木の器や木のカトラリーの魅力は何だと思いますか?

石井さん:
「使っているうちに色が濃くなったり、艶が出てきたりと、風合いの変化があり育てていくようなところがあるので、食事に使うのが楽しみになってもらえたらいいなと思っています。
あと、木製ですと金属のように熱くなったり、冷たくなったりしづらく、カチャカチャと音もしません。使ってみると肌馴染みが良いというか、木に触れる安心感や、あたたかみを持っているようなところを感じます。」

石井宏治さんインタビュー

石井さんの木工品は、フォルムや仕上げがとても丁寧な印象があります。
これらのアイテムはどのような過程で作られているのでしょうか?

石井さん:
「カトラリーやコーヒーメジャーは、荒い木の板から、鉛筆で形を書き、帯鋸(おびのこ)でおおまかに切り回します。その後ベルトサンダーという機械で、荒削りし完成に近いところまで整形します。最終的に彫刻刀で削り仕上げ、オイルを塗ります。

カッティングボードは、製品後の板が反らないように、時間を空けながら少しづつ厚みを削っていき、そこから、カッティングボードの形に整形、穴を開け、表面、側面が均一になるように磨き、カンナ、彫刻刀で面取り(角を落とす)し、オイルを塗ります。」

石井宏治さんインタビュー

石井さん:
「コースターは、板の状態から四角く切り廻し、治具をつかってルーターで表・裏の彫り込みをします。その後、スタッキングの書き取り、サンダーで四方の墨丸の加工をし、手作業で機械加工のあとを磨いて、彫刻刀で面取りし、オイルを塗ります。」

石井宏治さんインタビュー

それぞれのアイテムで製造の過程が異なるんですね。これらの作業を1人ですると思うと、気が遠くなりそうです・・・!
1つのアイテムが完成するのにどれくらいの時間がかかりますか?

石井さん:
「機械加工ののち、彫刻刀での仕上げ削りをしているので、小さいものでも、ざっくりと小1時間程度でしょうか。」

石井宏治さんインタビュー

時間がかかるのは、1つ1つ丁寧に作られているからこそなんですよね。
でも、そのような過程で1つの食器が生まれているということを知ると、より愛着が沸いたり、大切に使いたいと感じます。
それぞれのアイテムを作るにあたって、こだわっていることはありますか?

石井さん:
「それぞれ使いやすく素朴な形にしたいと思っています。口に入れるものは口当たりが良いように、角度や厚み、太さなど常々検討しています。持ち手の形状もつかい心地に大きく左右しますし、作った段階でいいかな、と思ったものも、自分で実際に使ってみると気になるところが出てきたりという繰り返しです。」

石井宏治さんインタビュー

最後に、作品に対する思いを聞かせてもらいました。

石井さん:
「暮らしのなかにあり、食事に使うものなので、素朴で健康的なものにしたい。使いやすいこと、長く使えること、そばに置いておきたいようなものにできればと思っています。」


当たり前のように使っている食器も、誰かの手によって作られている。
石井さんのアイテムはシンプルで素朴な中に、こだわりがたくさん詰まっています。
フリーデザイン実店舗、オンラインショップ共にお取り扱いしていますので、
是非、手にとって、使って、その思いを感じていただければと思います。

石井宏治さんインタビュー

プロフィール:石井宏治(いしい こうじ)

1986年千葉県市川市生まれ。
2011年より木工について学びはじめ、2014年よりカトラリーなどを製作しています。

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