かわいい、けれど、かわいいだけじゃない。誰もがどこかで目にしたことのある、心奪われる表情の陶器の動物たち。
1931年にスウェーデンで生まれたリサ・ラーソンの作品は、時にユーモラスで自由、その独特な存在感で今も多くの人を魅了します。
スウェーデンの首都ストックホルムから東に20kmほど行った陶磁器の街、グスタフスベリにある陶器会社グスタフスベリ社に23歳で入社。卓越したデザイン力で表現する動物や人間のオブジェに時に鋭いメッセージ性を忍ばせて、数多くの作品を生み出しました。
1979年には同社を退社し、フリーランスのデザイナーとして数多くのデザイン会社と仕事をする傍ら、陶芸家としても一点ものの発表を行います。
その後、グスタフスベリ社の工場閉鎖を受けて、1992年に2人の陶芸アシスタントとともに立ち上げたのが、、「ケラミックステュディオン/Keramik Studion Gustavsberg」社。今も、グスタフスベリ社時代の仲間やその家族といった少人数によって運営され、リサの作品をはじめ、様々な作品をつくり続けています。
ケラミックステュディオン社では、リサ自身が作成した原型を利用して生産する他にも、リサが以前手がけた作品を、当時と同じ粘土や釉薬でなるべく忠実に再現することもあります。いずれも所属する職人の手によってひとつひとつ絵付けされ、主に動物や人物をモチーフとする陶器たちは、どれも表情豊か、そしてどれひとつとして同じものがありません。
同社の生産量のうち半分ほどは日本に向けて輸出されているほど、日本で確固たる人気を誇るリサ・ラーソン。
この頃までの作品は、現在ではつくられていないものも多く、その希少価値や経年変化からヴィンテージのコレクターズアイテムとして人気があります。
日本の波佐見焼とのコラボレーションも実現しています。リサが原型をつくり、それを波佐見焼の技術で焼き上げた「Duva」や「干支シリーズ」も人気。
独創的でありながら、普遍的でもあるのがリサ・ラーソンの世界の魅力。時代や国境を越えてこれほどまでに愛されているのは、動物や人間に向けられた愛情にあふれる眼差しがデザインを通して私たちの心に響くからでしょう。