これから抗がん剤治療をする方へ
抗がん剤治療を受けるにあたり、多くの方が直面する問題の一つに髪の脱毛があります。
髪を失うことは、見た目の変化だけでなく、心の負担も大きいものです。
そこで、ウィッグを利用することで少しでも気持ちを楽にし、自分らしさを取り戻すお手伝いができればと思います。
このガイドでは、髪の脱毛に対する心構えとアドバイスをお届けし、少しでも安心して治療に臨んでいただけるようサポートします。
ウィッグが必要になった時に抱えるお悩みや心配事についての解決策やアドバイスを提案し、ウィッグを上手に活用するためのヒントをお伝えします。
目次
1.抗がん剤治療による脱毛から再び発毛するまでの流れ
2.準備期間(治療の決定~脱毛が始まるまで)
2-1.おすすめチェックリスト
2-2.この期間のQ&A
3.ウィッグ生活期間(脱毛~発毛が始まるまで)
3-1.おすすめチェックリスト
3-2.この期間のQ&A
4.発毛期間(発毛~脱ウィッグまで)
4-1.おすすめチェックリスト
4-2.この期間のQ&A
5.サロンに来店したお客様の声
6.まとめ
1.抗がん剤治療による脱毛から再び発毛するまでの流れ
・病院の先生から「ウィッグを用意しておいてね」と言われ、急いでウィッグを購入した。
・今までウィッグを使ったこともないし調べたこともない。急に用意するにも情報が何もなかった。
・病院からもらったパンフレットを見てウィッグを購入した。高かった...もっといろいろ調べればよかった。
こちらの会話は、当店に来店されたお客様の実際の声です。
「とにかく焦った。」が多く聞かれます。
焦るのも仕方がありません。
まったく知識がないことの準備をするのは誰でも難しいものです。
しかし実際には、治療方針が決定して治療が始まり脱毛するまでに少し猶予があります。
すぐに脱毛が始まってしまうわけではありません。
髪の脱毛がはじまって再び発毛するまでをおおよその流れを把握しておきましょう。
2.準備期間(治療の決定~脱毛が始まるまで)
治療方針が決まり、1回目の抗がん剤治療が終わった10日頃までの準備期間中は、ご自身の体調をみながらウィッグ用品を用意したりご自身の髪のお手入れなどをしておくと脱毛が始まっても慌てずに安心できます。
2-1. おすすめチェックリスト
がん患者ウィッグ購入費等助成事業とは?
全国の各自治体でおこなっているがん患者のための助成金制度で、ウィッグやウィッグ補整具の購入費等の一部を助成してくれます。
助成金額や内容は各自治体によって変わりますので、ご自身のお住いの地域の自治体に確認をしましょう。
(墨田区例)
助成対象品の購入またはレンタルにかかった費用(上限3万円)
※費用が3万円未満の場合はその額
当店でウィッグも購入した場合も申請することが可能です。
申請する場合は、領収書が必要になります。
楽天市場の場合、購入履歴から領収書をご自身で印刷することができます。
人によっては、フルウィッグが必要のない方もいます。
お仕事をしながら治療する方は必須だと思いますが、おもにお家で過ごす方は必要ないかもしれません。
帽子用ウィッグや帽子だけで過ごすのも全然ありです。
ご自身のライフスタイルにあったものを用意しましょう。
2-2. 準備期間のQ&A
Q.地毛を坊主にしたほうが良いと聞きました。本当ですか?
A.こちらの質問はよくあります。SNSなどの影響なのか、家族の方からのお問合せも多々あります。
当店としては、「本人が希望するのであればいいですが、そうでなければ坊主にしなくていい」と回答しています。
短い髪の毛が抜けると肌に刺さったり、チクチクするのでおすすめしていません。また、おそうじも大変になります。
おすすめはショートヘアぐらいがベストです。
特にフルウィッグを購入する場合、地毛の毛量でウィッグのサイズ感が変わります。そのためにも、ショートヘアぐらいにカットしてからフルウィッグの購入をした方が、脱毛した後のサイズ感を最小限にすることができます。
Q.髪の脱毛はいつから始まりますか?
A.1回目の抗がん剤投与が開始された10日後ぐらいから徐々に抜け始めます。一気に抜けるわけではありません。
また脱毛時には、不織布のキャップをかぶると脱毛した髪のおそうじが楽になります。
Q.ウィッグはいつ買ったらいいですか?
A.遅くても2回目の抗がん剤投与が始まるまでに用意しましょう。ただ焦る必要はありませんので希望に合ったウィッグを選びましょう。
Q.やっぱりフルウィッグは必要ですか?
A.そんなことはありません。人によっては、フルウィッグを用意する必要がない方もいます。
お仕事をしながら治療する方は必須だと思いますが、おもにお家で過ごす方は必要ないかもしれません。
帽子用ウィッグや帽子だけで過ごすのも全然ありです。
Q.ウィッグが見慣れないせいか違和感を感じてしまって...
A.初めてのウィッグは誰でも違和感を感じます。
ウィッグを購入したら、実際のウィッグ生活が始まる前に着用練習をして見慣れておきましょう。
また、ウィッグはカットすることで自然に見えます。すでにカットされているウィッグや必要であればウィッグカットができる美容室に行くことをおすすめします。
Q.フルウィッグはいろいろあって何を買えばいいのか迷います。どんなものがいいのでしょうか?
A.闇雲に探すといろいろあって迷ってしまうと思います。選ぶときにはご自身の選ぶ基準を決めてみましょう。
①価格 ②自然な見た目 ③アフターサービスなどがある ④実店舗がある などが基準でしょうか?
例えば、「会社へ出勤するため見た目の自然さにこだわりたい」と考えている場合には、「人毛」がいいかもしれません。安さをとるなら化繊ウィッグという選び方もあります。
いずれにしても、ウィッグは実際にかぶってみないと自分に合うかわかりませんので、試着してから購入することをおすすめします。
①価格:毛質によって変わります。
◆安価-≪化繊ウィッグ→ミックスウィッグ→人毛→大手会社高級ミックスウィッグ≫-高価
②自然さ:自然かどうかは毛質や毛量によって変わります。また、使う方の年齢によっても自然さの価値観が変わりますので、ここでは40~50歳代の方のイメージで考えます。
◆自然-≪人毛→大手会社高級ミックスウィッグ→ミックスウィッグ→化繊ウィッグ≫-自然に見えない
③④安心感:アフターサービスや実店舗があると、カットしたいなと思った時に相談できたり対応してもらえるので安心です。
3.ウィッグ生活期間(脱毛~発毛が始まるまで)
脱毛がはじまると実際にウィッグをかぶる生活がはじまります。
ウィッグ購入時の注意点でもお話ししましたが、ウィッグは慣れも必要ですので何度もかぶる練習をしておきましょう。
また、通販ではいいと思ったウィッグが実際にかぶってみたら不自然に見える。
これもよくある話です。
ウィッグはカットすることで自然に見えることもありますので、検討してみるのもいいと思います。
また、実際にウィッグをかぶって生活してみると、人によっては締め付けや暑さが辛かったりとそれぞれ悩みも出てくるかもしれません。
そんな疑問や質問の解決策にしてみて下さい。
3-1. おすすめチェックリスト
3-2. ウィッグ生活期間のQ&A
Q.ウィッグの締め付けがつらい
A.ウィッグの中にかぶっているメッシュのインナーキャップが締め付けている場合があります。
その場合は、締め付けのないインナーキャップに変えてみましょう。ウィッグ自体が締め付けている場合は対処法が難しいので購入したメーカーにお問合せをしてみましょう。
Q.頭皮がチクチクしたりかゆくなります
A.治療中は皮膚が敏感になりやすいです。頭皮とウィッグがすれて痛いときはインナーキャップで保護しましょう。
Q.とにかくウィッグが暑いです
A.夏のフルウィッグは暑くてつらいかもしれません。ウィッグ利用者の方のアイデアになりますがいくつか紹介します。
●首元にネッククーラーを巻く
●接触冷感素材のインナーキャップをかぶる
●クールスプレーをインナーキャップにかける
●汗を吸い取るためにキッチンペーパーを頭皮とウィッグの間に挟む など
Q.ウィッグのサイズが大きくてズレそう
A.フルウィッグは、自毛がある時とない時ではサイズが変わります。
ウィッグがズレそうと感じたら、ズレ防止のインナーキャップやウィッグバンドをおすすめします。
ウィッグ自体のサイズを縫い合わせて小さくすることもできますが、することでウィッグのヘアースタイルが崩れる可能性もありますので、バンドなどで調節するのがベストです。
Q.脱毛している期間はシャンプーする必要ありますか?
A.シャンプーをしましょう。頭皮から皮脂は分泌されています。
毛穴を良い状態にすることで、今後生えてくる髪も良い状態になります。肌にやさしいシャンプーで洗い、できれば頭皮用美容液などで保湿をしてあげましょう。
Q.頭皮マッサージはしていいですか?
A. 治療中はマッサージは控えましょう。治療が終わってから徐々にケアしていきましょう。
4.発毛期間(発毛~脱ウィッグするまで)
最後の抗がん剤治療が終わった2週間後あたりからいよいよ発毛が始まります。
良かったと思うのもつかの間、生えてきた髪が以前の髪質と全く違っていてびっくりしてしまった!なんてこともあるかもしれません。
生え始めの髪は、新生毛という細くてコシがない弱い髪の毛です。
全体的にしっかりした髪が生えてくるまでもうしばらく様子を見てみましょう。
また、くせ毛や白髪が生えてきて縮毛矯正やカラーを早くしたい気持ちもわかりますが、頭皮に薬剤が必ずついてしまいます。
病後は肌が敏感になっていたりアレルギー体質になっていることもありますので、行う際にはパッチテストをしてから行うことをおすすめします。
4-1. おすすめチェックリスト
4-2. 発毛期間のQ&A
Q.治療が終わったので、すぐに発毛しますか?
A.抗がん剤治療終了の2週間後辺りから徐々に発毛がはじまります。
髪は通常1か月に1㎝程度伸びますが、ホルモン治療をする場合は部分的に伸びが遅くなる場合があります。
※伸びるスピードは個人差があります
Q.生えてきた髪が白髪・くせ毛です。なぜ?
A.抗がん剤治療後、生えてきた髪が以前の髪質とは違っていたり白髪になる方もいます。とくに脱毛後の髪は、新生毛で細くて弱い毛ですので、しばらくしっかりした髪が生えてくるまで様子をみましょう。
※髪質は個人差があります
Q.いつ頃からカラーをしていいですか?
A.治療後は皮膚がデリケートになっています。最低でも6か月以上はあけましょう。
以前とは違う体質になってアレルギーを発症する方もいますので、できれば初めてのカラーの時にパッチテストをすることをおすすめします。
Q.くせ毛がひどいので縮毛矯正をしたいです。
A.縮毛矯正は、トップの髪の長さが最低でも10㎝ぐらいになってから検討しましょう。髪が短いとアイロンでしっかり伸ばせません。
Q.いつ脱ウィッグできますか?
A.脱ウィッグは、フルウィッグをかぶらずに生活を始めるタイミングのことで、ご自身が地毛でどんなヘアースタイルになりたいかで時期が変わります。
ご自身がなりたいヘアースタイルから脱ウィッグできるおおよその時期を参考にしてみてください。
≪ ヘアースタイル / 髪の長さ / 期間 ≫
●ベリーショートヘア ~6㎝ 発毛から6か月
●ショートヘア 10~18㎝ 発毛から1年
●ボブヘア 20~25㎝ 発毛から2年
●ロングヘア 25~35㎝ 発毛から3年
Q.前髪辺りの伸びが遅いです。なぜですか?
A.このお悩みはホルモン治療をされている方に多いです。また、年齢的に伸びが遅い方もいるようです。
前髪辺りや頭頂部が伸びないとお悩みの方は、ぜひ「部分ウィッグ」を検討してみてください。
部分ウィッグと地毛で脱ウィッグを検討できます。
ただし、部分ウィッグを使って脱ウィッグするのは、地毛とウィッグの両方の調整が必要で難しいのでサロンに相談することをおすすめします。
5.サロンに来店したお客様の声
40代女性
「抗がん剤治療が始まって、最初は髪が抜けるのが本当に怖かったです。でも、ウィッグを選びに行ったとき、店員さんがとても親切で、私の希望のスタイルにカットしてくれました。今では外出するのが楽しみになりましたし、友人からも『すごく似合ってるね』と言われて、とても嬉しいです。」
30代女性
「ウィッグを使うことで、自信を取り戻すことができました。最初はちょっと違和感がありましたが、すぐに慣れて、今ではウィッグを使うのが当たり前になりました。おしゃれを楽しむ気持ちも取り戻せて、前向きな気持ちになれました。」
50代女性
「私は自分の髪の色に近いウィッグを選びました。見た目が自然で、誰にも気づかれないのがいいですね。仕事にも自信を持って行けるようになりました。」
6.まとめ
抗がん剤治療を受けることは、心身ともに大きな挑戦です。でも、ウィッグを使うことで、少しでも自分らしさを取り戻し、前向きな気持ちを持つことができるのではないでしょうか。実際に使っている方々の声を聞くと、ウィッグがただの道具ではなく、自信や希望を取り戻す大切なアイテムであることがわかります。
皆さんも、もしご自身やご家族、友人が抗がん剤治療を受けることになったら、ぜひウィッグの活用を考えてみてください。
少しでも皆さんの毎日が明るく、前向きなものになることを願っています。