●桃仁(トウニン)
【効能】消炎性駆瘀血薬、浄血、鎮痛、緩下、消炎、解毒
【薬理作用】破血去瘀・潤燥滑腸・鎮痛・消炎・解毒・通便作用
【性味:性】平
【性味:味】苦・甘
【帰経】心・肝・大腸経
【用量】3~9g。大量に服用するのはよくない。砕いて使用すべきである(すなわち桃仁泥とする)。
【使用上の注意】
桃仁の薬性は単純なので、活血去瘀剤に広く応用されるものの一つである。破瘀薬に配合すると破瘀し、行血薬に配合すると行血する。単独では弱く、一般に主薬として用いない。
桃仁と杏仁は便秘に効果がある。古人は、杏仁は行気するので気滞をともなう便秘に適し、桃仁は行血するので血瘀をともなう便秘に適しているといっている。また、脈象を参考にするときには、浮脈は気に属すので杏仁を・沈脈は血に属すので桃仁を使用するのがよいとしている。以上のような区別を参考にすればよいが、実際には一般の便秘に桃仁と杏仁を併用したり・相互に代用してよい。
習慣上妊婦には桃仁を使用しないので、便秘に対しては麻子仁に厚朴を加えたもので代用する。
●独活(ドッカツ)
【効能】発汗、鎮静、鎮痙、鎮痛、消炎
【薬理作用】去風湿・通経絡、実験によると、鎮痛・鎮静・血管拡張作用がある。動物実験では、抗関節炎・催眠の作用もある。また直接血管を拡張して血圧を下降し、呼吸中枢を興奮して呼吸を強めリズムを早める。
【性味:性】微温
【性味:味】辛・苦
【帰経】腎・膀胱経
【用量】3~9g。
【使用上の注意】
独活は温性であるから、盛夏には用いない方がよい。高熱があって悪寒がないとき・陰虚で熱象があるときには使用してはならない。
●当帰(トウキ)
【効能】鎮痛、鎮静、駆瘀血薬、強壮
【薬理作用】補血・行血・潤腸・調経・子宮の機能調整作用、鎮静・鎮痛作用、利尿作用、ビタミンE欠乏症に拮抗する作用、抗菌作用
このほか、潤腸して通便し、肝臓を庇護して肝グリコーゲンの減少を防ぐ。子宮の発育を促進する作用もあるようである。
【性味:性】温
【性味:味】甘・辛
【帰経】心・肝・脾経
【用量】
常用量は9~12g。表証には少量で3~9g。補血して血液循環・便秘を改善するときには、やや大量で12~30g、最高60gまで用いる。たとえば産後の血虚に使用する当帰生姜羊肉湯の当帰の量は30g以上であるが、当帰補血湯の当帰は6gだけで黄耆の補助に用いられている(この方は“補血”という名がついているが、実際には補気することによって行血するのである)。
【使用上の注意】
古人は“帰頭は補血し、帰身は養血し、帰尾は破血し、全用すれば活血する”とか“帰頭は頭(頭部・頸部・胸部を含む)を補い、帰身は身を補い、帰尾は四肢を補う”と言っているが、実際にはこれにこだわる必要はない。臨床で使用するのも、市中での販売も一般に全当帰である。細分するときには、次の原則を参考にして選べばよい。血液循環の改善・解表剤への配合には全当帰を、血虚の治療・月経の調整には帰身を、打撲・捻挫の腫脹や疼痛(瘀血)・関節の運動障害には帰尾を使用する。
当帰を長期間あるいは多量に使用すると、咽喉痛・鼻孔の灼熱感などの虚火上炎(陰虚火旺)の症状があらわれる。このときは、処方中に金銀花・生地黄などの清熱涼血薬を適当に加えるとよい。
当帰には通便作用があるので、脾陽虚による下痢には使用すべきでない。平素軟便のものに当帰を使用する必要があるときには、白朮・茯苓を適当加えて当帰の潤腸通便の効果をおさえる必要がある。
当帰は温性であるので、肺陰虚・肝火旺・吐血が止まったばかりの患者などには使用すべきでない。
当帰は活血の効能が強いので、性器出血過多には使用しない方がよい。
●杜仲(トチュウ)
【効能】強壮、強精、鎮痛、鎮静、降圧
【薬理作用】補肝腎・胸筋骨・安胎(流産防止) 降圧作用・鎮静作用
このほか、一定の鎮痛作用がある。
【性味:性】温
【性味:味】甘・微辛
【帰経】肝・腎経
【用量】6~15g。単独で高血圧に使用するときは15~30g
【使用上の注意】
●燈心草(トウシンソウ)
【効能】利尿、心煩
【薬理作用】清熱利湿 利尿作用がある
【性味:性】微寒
【性味:味】甘・淡
【帰経】心・小腸経
【用量】
【使用上の注意】
●冬瓜子(トウガシ)
【効能】消炎、排膿、去痰、利尿
【薬理作用】清肺化痰・排膿 利尿・消炎作用、去痰作用
【性味:性】寒
【性味:味】甘
【帰経】脾・胃大腸・小腸経
【用量】6~12g。30gまで用いてよい。
【使用上の注意】