●地黄  

●升麻

●神麴

●芍薬

●梔子(山梔子)

●紫蘇葉

●生姜

●砂仁

●赤石脂

●菖蒲

●紫苑

●紫蘇葉刻み

●辛夷

●縮砂

●車前子

●地骨皮


●地黄(じおう)top↑

【効能】ねむりが浅い、多夢、動悸、不安感、頭のふらつき、目のかすみ、耳なり、インポテンツなど。

【薬理作用】滋陰・補血

【性味:性】微温

【性味:味】甘

【帰経】心・肝・腎経

【用量】12~30g。多ければ、毎日45~60g。最高90gまで使用する。

【使用上の注意】 熟地黄は甘味があってしつこいので、長時間服用すると消化機能が障害され、腹が脹る・下痢・胃部不快感などの副作 用が生じることがある。 感冒・消化不良・脾胃虚寒・下痢のときには使用すべきではない。肝化上炎の高血圧症には使用しない。外感 ・実熱・虚寒には使用しない。 熟地黄と何首烏は効能が似ており、どちらも補陰するが、熟地黄の方が補益力が強い。一般に、補肝の 方剤には何首烏を使用し、効果がないときに熟地黄を用いる。 熟地黄を酒につけると、補血と同時に活血の効果も生じる。

 

 

●升麻(ショウマ)top↑

【効能】解毒、発汗、解熱、口内炎、口臭

【薬理作用】発表透疹・清熱解毒・升挙陽気・解熱・解毒の作用がある。古人は経験的に“中気を升提する(消化吸収機能(脾胃の機能)を“中気”という。消化吸収が低下し栄養状態が悪化した結果、筋肉の緊張が不足して脱肛・子宮脱・元気がない・下痢などの症状が起こったとき、これを“中気下陥”という。この症状を改善し、“下陥”を“升提”すること。)”としているが、平滑筋の興奮作用と関係があると考えられる。また臨床的な観察によると鎮痛作用がある。

【性味:性】微寒

【性味:味】甘

【帰経】肺・脾・大腸・胃経

【用量】2~9g

【使用上の注意】刺激性があって、嘔吐・頭がふらつく・眩暈などの副作用をおこしやすいので、多量に用いるべきではない。

 

●神麴(シンギク)top↑

【効能】健胃、消化薬

【薬理作用】消食行気・健脾・止瀉・解表一種の酵素性消化薬と考えられ、健胃作用がある。

【性味:性】温

【性味:味】辛で甘

【帰経】脾・胃経

【用量】9~15g

【使用上の注意】 食滞があっても、胃火が盛んなため舌質が深紅で津液の欠乏症状のあるときには用いない。このときは陰液が消耗して いるので、まず生津・清熱すべきであり、竹茹・布査葉・山薬・天花粉などの甘寒・清涼の薬物を用いる。神麹は辛温でやや燥の性質が あるので、消化促進作用はあるが熱象を助長する恐れがあるので、この場合には用いないほうがよい。
 胃酸過多に用いると、呑参・酸っぱい曖気などが生じる傾向があるので用いない方がよい。

 

●芍薬(シャクヤク)top↑

【効能】鎮痛、鎮静、鎮痙、平滑筋弛緩、抗炎症

【薬理作用】補血・緩急止痛・鎮痙・鎮痛作用、鎮静作用、抗菌作用、抗真菌作用
このほか臨床的観察によると止汗・利尿などの作用もある。

【性味:性】微寒

【性味:味】酸・苦

【帰経】肝経

【用量】9~12g

【使用上の注意】

 

●梔子(山梔子)(シシ)top↑

【効能】消炎、解熱、鎮静、止血、緩下、整腸、胆汁分泌促進

【薬理作用】清熱瀉火・涼血解毒・解熱作用、黄疸消退作用、止血作用、抗菌・抗真菌作用、鎮静作用、降圧作用

【性味:性】寒

【性味:味】苦

【帰経】心・肝・肺・胃経

【用量】3~9g

【使用上の注意】 梔子鼓湯は、熱性疾患回復期の不眠・胸があつ苦しいなどの症状に用いるものである。古人は経験的に、生山梔子を服 用すると嘔吐しやすい(炒山梔子ではおこらない)としている。実際には、痰がつまって胸苦しいときに梔子鼓湯を服用すると、嘔吐し やすく、嘔吐のあとはかえって気分がよくなる。痰や胸苦しさがないときには嘔吐は生じない。虚寒による泥状便には使用してはならな い。

 

●紫蘇葉(シソヨウ)top↑

【効能】発汗、解熱、鎮咳、鎮痛、鎮静、解毒、利尿、健胃作用

【薬理作用】発汗解表・行気寛中・解魚蟹毒・発汗解熱作用・利尿作用・健胃作用・去痰作用

【性味:性】温

【性味:味】辛

【帰経】肺・脾経

【用量】一般に6~9g

【使用上の注意】

 

●生姜(ショウキョウ)top↑

【効能】芳香辛味性健胃、駆風、発汗、矯味

【薬理作用】発汗作用・健胃作用

【性味:性】微温

【性味:味】辛

【帰経】肺・脾・胃経

【用量】3~9g、あるは3~5片。

【使用上の注意】

 

●砂仁(シャジン)top↑

【効能】強壮、鎮咳、去痰

【薬理作用】養陰清肺・清虚熱・潤燥止咳 実験によると、軽度の去痰作用がある。

【性味:性】微寒

【性味:味】甘・苦

【帰経】肺・腎経

【用量】6~15g 補熱補益にはやや多量に用いる。

【使用上の注意】沙参は滋潤性があってしつこいので、表邪を発散して除くには不利である。実熱の症状・脈実・苔膩などの見られる咳嗽には使用すべきではない。

●赤石脂(シャクセキシ)top↑


【効能】収斂、止瀉、止血作用がある
【薬理作用】渋腸止瀉・止血生肌 止瀉作用・止血作用
【性味:性】温
【性味:味】甘・淡・渋
【帰経】胃・大腸経
【用量】9~24g
【使用上の注意】温薬で固渋の効能があるので、急性腸炎や赤痢の初期などの実熱には用いてはならない。

 

●菖蒲(ショウブ)top↑


【効能】鎮痛、鎮静、活血、芳香性健胃
【薬理作用】芳香開竅・逐瘀去濁 鎮静作用・健胃作用・鎮痛作用・利尿作用・抗真菌作用
【性味:性】温
【性味:味】辛
【帰経】心・肝経
【用量】1.5~7.5g。多量に用いるべきではない。目や咽に用いるときは1.5~3g、意識障害や煩躁には4.5~7.5g 大小便を通利するとき は9gぐらい必要である。
【使用上の注意】

 

●紫苑(シオン)top↑


【効能】鎮咳、去痰、利尿
【薬理作用】止咳化痰 去痰作用、抗結核作用、抗菌・抗ウイルス作用、利尿作用
【性味:性】温
【性味:味】辛・苦
【帰経】
【用量】5~9g
【使用上の注意】紫苑は滋潤薬ではないので、肺陰虚で乾咳・口乾などの虚火上炎の症状があるときには用いない方がよい。

 

●紫蘇葉刻み(シソヨウ)top↑

【効能】発汗、解熱、鎮咳、鎮痛、鎮静、解毒、利尿、健胃作用
【薬理作用】発汗解表・行気寛中・解魚蟹毒 発汗解熱作用・利尿作用・健胃作用・去痰作用
【性味:性】温
【性味:味】
【帰経】肺・脾経
【用量】一般に6~9g
【使用上の注意】

 

●辛夷(シンイ)top↑

【効能】鎮静、鎮痛、排膿
【薬理作用】散風通竅 鼻づまりを通し・頭痛を止める 局部の収斂作用・降圧作用
【性味:性】平
【性味:味】辛
【帰経】肺・胃経
【用量】3~9g
【使用上の注意】多量に服用すると、頭がふらつく・目の充血などの症状が生じる。

 

●縮砂(シュクシャ)top↑

【効能】脾胃虚寒、胸悶嘔吐、腸痛、泄利
【薬理作用】理気寛胸
 健胃作用がある。また、0.25~0.75%陽春砂の煎液は有利腸管を興奮させ、1~1.25%煎汁・精油の飽和水溶液は抑制する。縮砂 の0.25~0.75%煎汁も興奮作用を示す。
【性味:性】温
【性味:味】辛
【帰経】脾・胃・腎経
【用量】1.5g~6g。一般には少ないほうがよい
【使用上の注意】 陰虚内熱の下痢には用いない。縮砂がなければ、益智仁で代用してもよい。益智仁の性味は縮砂と同じで、健胃 作用もある。縮砂・木香を六君子湯(陳夏益気湯)に配合しても消化機能減退に効果がある。

 

●車前子(シャゼンシ)top↑

【効能】利尿、去痰、明目、消炎、解熱
【薬理作用】利水・通淋・止瀉・明目・去痰止咳。インターフェロン誘起作用。
【性味:性】寒
【性味:味】甘
【帰経】肝・腎・小腸・肺経
【用量】3~15g。湯剤にするときは布に包んで煎じる必要がある。
【使用上の注意】

 

●地骨皮(ジコッピ)top↑
【効能】消炎、清涼解熱、強壮
【薬理作用】清熱涼血・退虚熱 主として解熱作用がある。解熱作用・降圧作用・抗菌作用
【性味:性】寒
【性味:味】甘・淡
【帰経】肺・腎経
【用量】内服には3~15g。外用には適量。
【使用上の注意】風寒感冒による発熱には使用しない。脾虚による泥状便にも用いない。
(附)地骨皮と牡丹皮の比較:どちらも清熱涼血するので陰虚の発熱に効果がある。皮は肺熱を冷ますが、牡丹皮は肝熱を冷まし血分の実熱をさまし活血去瘀の効能をある。古人は“牡丹皮は無汗の骨蒸を治し、地骨皮は有汗の骨蒸を治す”といっているが、現在では陰虚であれば汗の有無にかかわらず使用している。