服部幸應さんインタビュー~特別な日に味わう至福の松阪牛 ~

きめ細かい霜降りは、まさに肉の芸術品。日本が世界に誇るブランド「松阪牛」をこよなく愛する、服部幸應さん。 料理研究家であり、学校法人服部学園・服部栄養専門学校の理事長を務める服部さんに、松阪牛の魅力について伺いました。

松阪牛の特徴は「焼いたときの食欲をそそる独特な香り」と語る服部幸應さん

松阪牛特有の食欲をそそる香り

ー松阪牛の特徴について教えてください

焼いたときの肉の香り、あれが独特なんだよね。 海外でもデモンストレーションでお肉を焼くことがあるんですけど、松阪牛を焼いた場合、大体半径300mぐらいの人がみんな寄ってきちゃうんです。「おお、なんだこの香りは」って。他のお肉で中々ならないんですけど、松阪牛だと不思議とその香りに引き寄せられちゃう。お箸を入れて松阪牛を口元にもってくると、独特の香りがふわっと香って、食欲につながるんです。ぜひ、皆さんも普段使うお肉と比べてみてください。その違いが必ず分かると思います。

コク深い上質な脂の甘み

ー松阪牛の一番の魅力はなんでしょうか

お肉を焼いたときにでる脂の甘さ。不思議だけど、火を入れることで、まるでお砂糖を入れたかのように変わるんだよね。どこか懐かしいような、ほっとするような甘み。口の中にいれたときに、「あー、お肉だ」と感じさせてくれるんです。 脂との融合で生まれる香りが、口から鼻にスッと抜ける感覚は、松阪牛の特徴です。すき焼きなんかやると最高に美味しいよね。

口から鼻にスッと抜ける、脂の特有の香りが松阪牛の魅力
松阪市を流れる清流「櫛田川」。松阪牛たちはこの美しい川の水を飲んでいる

松阪の豊かな環境と丁寧な肥育

ー松阪牛の美味しさの要因は何だと思われますか

「餌」と「水」が一番大きいと思います。私たちが思っている以上に水ってすごく大事なんです。松阪の綺麗な水と温暖な気候の中で、「おいしくなれ、おいしくなれ」と祈りながら、差し上げるように水や餌を与える。そうして丁寧に育てているからこそ、きめ細かい肉質になっているんだと思います。 松阪牛を分析すると、オレイン酸が相当多いんですよ。これはオリーブオイルにも含まれる成分なんですが、ヘルシーかつ融点が低いので、口の中で溶けるような感覚を味わえるわけです。これは「美味しくなるためには、どうしたらいいか?」と、生産者の方々が意識して、餌と水にこだわったからだと思いますね。

常に美味しくあること

ー松阪牛のブランド力とは

品質が常に安定しているところです。ほとんどのブランド牛はやっぱり個体差がある中、松阪牛は個体差の開きが少なく常に一定水準を超えてくる。平均して美味しいことが一番大事なんです。食べるだけで作り手の努力が見えますし、美味しいことがわかっているので、安心して食べられる。それこそが松阪牛なんです。

安定した美味しさを維持できるのは生産者の努力の賜物
「今日は特別な日だ」と意識して食べることで、なにげない一日が本当に特別な日になる。
特別な日には松阪牛を。

特別な日に食べてほしい

ー服部さんにとって松阪牛ってどんな存在ですか

僕にとって松阪牛は、特別な日に食べるお肉です。お値段を超越するくらい美味しいんだから、そういう意味でも、松阪牛を食べることで、皆さんも特別な日にしてほしいですね。 美味しいものは食べた途端に、「幸せホルモン」といわれるセロトニンがバーッと出るんだけど、松阪牛の場合は、もう脂の香りだけでセロトニンが出ちゃうくらい。 突き詰めていうと、松阪牛は、セロトニンの出るお肉だね(笑)。食べると自然と幸せな気持ちになる。 だから皆さんも、特別な日には松阪牛を手に入れてください。すき焼きをやってもいいし、ステーキをやってもいいし、しゃぶしゃぶをやったりしてもいいんです。「今日は特別な日だ」って意識して食べることで、なにげない一日が本当に特別な日になるはずです。

服部 幸應(はっとりゆきお) プロフィール

(学)服部学園 服部栄養専門学校
理事長・校長/医学博士/日本食普及の親善大使
1945年(昭和20年)生まれ 東京都出身
立教大学卒 昭和大学医学部博士課程修了