みそらファーム
- 最新鋭の技術に裏打ちされたお米作りへの情熱 -

2021年9月21日取材

北秋田市の株式会社みそらファーム（若松一幸社長）は、周囲が山々に囲まれ、自然豊かな森吉地区で農作物の生産をしています。地方の農業は高齢化や後継者不足という課題を抱える中、同社の稲作は田植えや生育状況の管理、稲刈り作業に最先端の情報通信技術（ICT）と農業機械を積極的に導入し、「高品質のお米を安定して生産」することに強いこだわりを持って農業に取り組んでいます。
その結果、毎年管理する農地面積は拡大しながらも、少人数の従業員で持続可能な農業を実現しています。自社で一貫した生産から出荷までを行った安定した品質のお米は秋田県内のほか、東北各地や首都圏に出荷されています。

株式会社みそらファームについて

同社は2012年創業。従業員は3人で、北秋田市森吉地区にある自社の田畑や委託された田でお米や農作物の生産をしています。主に「あきたこまち」を生産しているほか、ソバやダイズも育てています。
生産したお米は各家庭や首都圏のスーパー、大手外食チェーンに出荷。厳しい基準を設けている大手飲食店からも安定した品質管理が評価されています。

社長・若松さんについて

若松さん（53）＝北秋田市＝は学生時代から農業の「作業技術の研究」に取り組み、社会人になってからも携わってきました。
実家が農家ということがきっかけで、大学では農業機械分野を専攻。農作物の「品質の安定化」を軸に、機械の開発について勉強に励みました。卒業後は県職員となり、農業機械分野だけではなく農学や経営についても知識を深めていきました。
多角的な視点で農業について知識を深めたのち、2007年に実家を継ぐ形で独立。5年後の2012年には「株式会社みそらファーム」に法人化しました。現在は社長として、生産から販路拡大のための営業まで携わっています。

若松さんの農業に対する思い

若松さんは「良いものを安定的に収穫できること、量は力である（スケールメリット）と考えています」と語ります。安定した品質とともに収穫量があることにより、家庭向けだけではなく、企業向けにお米の取引が行えるようになり、収入の安定が強化されます。

地方は高齢化や後継者不足が課題。農業の継続を断念した農家から委託された田んぼを受け入れ、作付面積は毎年拡大しています。通常、従業員一人が作業、管理できる面積には限りがありますが、同社では農作業の高度機械化と情報通信技術（ICT）を積極的に導入することで、収集したデータを元に人の力で管理するよりもきめ細やかな農業を少人数で実現しています。最新のコンバインや田植機・トラクターを取り入れ、お米の収穫作業だけではなく、収穫量やたんぱく質、水分など栄養分の情報も収集、管理し、翌年の田植機による自動施肥に反映させるなど、ICTを今後の農業に生かしています。

農作業に機械化と情報管理を取り入れることは「技術の平準化と継承」につながるといいます。若松さんは「現在では年による天候や田の場所など、稲作の生産には人の知識と経験が必要ですが、今後AI（人工知能）の導入が進むにつれて栽培の判断までできるようになる未来がやってくるのではないでしょうか」といいます。
少子高齢化の課題を抱える日本社会で持続できる農業を日々考えています。機械化のメリットについて「良いものを安定した品質で栽培できる」といい、自らも最新の農業について学び続けています。