実はきのこは動物でも植物でもない菌類っていう生き物の仲間で、カビ以外にもお酒やパンを作るのに欠かせない酵母菌(イースト菌)や 味噌や醤油作りに欠かせない麹菌なんかが同じ仲間なのです。
菌類は分解者と呼ばれる存在で、動物と植物を繋ぐ大切な役割を担っている。
左のイラストの通り、動物の糞や死体、植物の枯れた葉っぱや木の枝なんかを分解して植物の栄養を作っていて、
世の中の物質の循環に絶対に欠かせない存在となっている。
もし世の中に菌類がいないと…
※上記イラストはシイタケの生活環だが、菌類には非常に多くの種類が属しており、上記イラスト以外にも菌の種類によって様々な生活環がある。
子実体とは私たちが”きのこ”と呼んでいるもので、胞子(菌類の種)を作って放出する器官。 様々な形や特性があり、子実体が大きくなり、熟成してきたら胞子を放出する。 ちなみに胞子は約1000分の5mm程度と肉眼では見えないくらい小さい。 つまり”きのこ”とは子孫を残すために菌類の本体である菌糸が密に集合してできたものである。
植物で言うところの種(たね)。この胞子から糸のような菌糸と呼ばれるものが生長していく(1核菌糸)。 この1核菌糸の状態ではどんなに頑張っても子実体(きのこ)は作られない。
1核菌糸同士が出会って繋がり(融合)、2核菌糸という状態になる。 ただ1核菌糸同士でも相性が合わないと融合しなかったりする。 ちなみにシイタケは色んな1核菌糸同士を掛け合わせて新品種を開発している。
2核菌糸が何らかの刺激(温度、光、物質等)を受けると子実体のもと(原基)を作り始める。 雷が鳴った後にきのこが多く発生するというのも、強い刺激を受けた菌糸がピンチを感じて 子孫を残すために慌ててきのこを形成しているのが理由だったりする。(諸説あり)
このドクツルタケを食べ、適切な処置を行わなければ確実に死んでしまいます。
上の4つの中では一番毒きのこっぽくないですが実は超猛毒で、他の3つは食べれるきのこです。
確実に毒が無いと解っているきのこ以外は何があっても絶対に食べないようにしましょう!
昭和初期、裕福な家に生まれた森喜作は、学生時代大分県の山村で悲痛な光景に遭遇した。それは、貧困にあえぐ老農夫が「なば(シイタケ)よ出てくれ。おまえが出んば、おらが村から出ていかんばならんでな」と、借財して買った原木に手を合わせ、シイタケの胞子が自然付着するのを祈る姿だった。
当時、確実なシイタケ栽培方法は存在せず、運任せで非常に不安定なものだったため、シイタケには高値がついた。森は、この人たちを救いたい一心で、シイタケに一生をささげることを誓った。
一心不乱に勉強し、研究所を立てた森は
安定したシイタケの栽培に命をかけた。
菌糸に着目し研究を進めるがことごとく失敗してしまう。
遂に研究資金がそこをつきてしまうが、どうせぼんぼんの道楽と思われ、
周囲の目も冷ややか・・・
何ひとつ不自由なく育った森だが、信念を曲げずに、毎日の生活をイモやウメの栽培などでぎりぎりやりくりする生活を
10年間も送った。
そしてついに、菌糸は乾燥に弱いことを突き止めた。
しかし菌糸を乾燥させない良い方法はなかなか見付からなかった。
ある日、森は将棋のこまを目にし、木片で乾燥を防げるかもしれないと考えた。
そして木片を使って菌糸を根付かせ、繁殖に成功した。
60年以上この栽培方法は変わっておらず、森への感謝の気持ちを表すために銅像がたてられた。
その後、この栽培方法がナメコにも応用され、アメリカやフランスでも利用されている。
「人がやらなかったことをやり続ければ、見えなかったものが、見えてくる」という森の信念が生んだ偉業が
今も受け継がれている。