スタッフによる宝石ブログ

スタッフによる宝石ブログ

【No.168】名曲シリーズ第三弾! プラスチックラブ [ギメル]

Gimel ( ギメル ) ダイヤモンド ピンブローチ

スタッフのひとこと

単純なデザインが単純で終わらないのがギメルの魔法よ、おわかり頂けるかしら?

プラスチックは大阪ではぷらっちっく言いまんねん。

何もぷらっちっくだけやない、大阪特有のスラング的言い回しは。例えば現在では死語となっている、航空機女性客室乗務員を表すスチュワーデスというのも、大阪ではすっちゃです言いまんねん。あと、人の名前でもこんなんようありま。

田中さんはたーかさん。和田さんはわーさん。有吉さんはありよっさん。岡本さんはおかもっさん。竹内さんはたけうっつあん。山内さんはやまうっさん。山口さんはやまぐっさん。お笑いタレントのぐっさん言うんはここから来とる。

さて、プラスチックに話題を戻すと、大阪訛りのぷらっちっくやとピンとこやんけど、「プラスチックラブ」と言えば、ちょっと前になりますが、世界のミュージックシーンを席巻したという日本発のシティーポップにおけるダントツの代表曲。

この歌、ご存知の方も多いかと思いまんねけど、かの竹内まりやさんが1984年にリリースした曲で、ご自身の作詞作曲を夫の山下達郎さんがプロデュース、アレンジ並びにバックの演奏にも加わったという昭和ニューミュージックシーン夫唱婦随ならぬ婦唱夫随の名曲。とは言えこの曲、発表当時はそない大きな反響は無かったんよ。

それがやね。時を経る事三十有余年、海外のインターネットから火がついて、ネット再生回数が全世界で一億回を超えるという、ものすごい注目を浴びるまさかの不死鳥のような復活を遂げたんよ。

まあ、この人気の秘密には、実際音作り職人と呼ばれるダンナの山下達郎の功績が大きいわな。実際一番よけ再生されてんのはプラッチックラブやけど、ダンナの方も負けてへん。1980年代の彼の名曲もよけ再生されてて、海外じゃこの夫婦を称してシティーポップのキングアンドクイーン言うらしいわ。

Gimel ( ギメル ) ダイヤモンド ピンブローチ

キングアンドクイーンいうたらアンタ、昔流行ったディスコの名前やがな。マハラジャやらラハマジャやら他にもタンとあったわ、ディスコ言うんが。今はクラブ言うん?知らんけど。

時は正にバブル時代や。若人は皆DCブランドの服着てからに、イキってキャメルやクール、ヴァージニアスリムなんどの洋モクふかして、小粋なカクテルなんど啜っては毎夜踊り狂って、プラスチックラブの歌詞にある通り、つかの間の恋愛を楽しんだもんですな、知らんけど。

またこの時代、小説の方では田中康夫が「なんとなくクリスタル」いう小説を発表。クリスタル族などと呼ばれる、ブランドを身にまとい、グルメを楽しむリッチで優雅な都会の若者の生態を描写したんがウケて、田舎モン、貧乏人もこれを無理して追随する風潮が生まれたわけですわ。

Gimel ( ギメル ) ダイヤモンド ピンブローチ

さて、それに追い打ちをかけにやってきたんが村上春樹や。このおっさんが、日本で一番リッチな地域、芦屋のバーを舞台にして、小洒落たシチュエーションを乾いた文体で語っていく、まるでアメリカ現代文学に、昔のレイモンド・チャンドラーのハードボイルド的美学、これにフィッツジェラルドの耽美をミックスさせたような、到底、我々農耕土着民とは無縁、どこの国の話やねん、いうような乾いてファンシーな絵空事を連発。これがまた当時のバブルで浮足立った若者にウケたんよ

この村上春樹のアメリカ文学エエとこ取りの手法は、山下達郎の音楽にも相通じるんよね。

音作りの職人と呼ばれる達郎氏ですが、専らその素養を築いているのは、これまたアメリカの音楽。達兄イお得のドゥワップに始まり、それの進化系のモータウン、あるいはビーチボーイズのサーフィンミュージック等など。なんせこの人のこうしたアメリカンポップミュージックオタクぶりはつとに有名で、若い頃には東京近郊の中古レコード店に頻繁に出没してはアメリカンオールディーズのアルバムを漁ってたらしいですな。

Gimel ( ギメル ) ダイヤモンド ピンブローチ

この人のアメリカかぶれのバタ臭いサウンドは、ディスコに留まらず、お茶の間にも侵入。かの伝説のお笑い番組「俺たちひょうきん族」に提供した番組冒頭のテーマ曲が、いかにもアメリカのバラエティー番組オープニングテーマ曲風な圧倒的なアングロアメリカンWASP的曲調で、ライバル番組であった「ドリフの8時だよ全員集合」の日本の郷愁漂う、ババンババンバンバンいい湯だな、を一撃のもとに蹴散らしてしまったんですわ。もう日本のお茶の間への黒船来襲かのようなインパクト。

実際今振り返っても、あのバブルの時のディスコ、ジュリアナ東京に代表されるような若人ののぼせ上がった熱病の如き放蕩三昧は、この達兄イ、春ボンの二人によって演出されたといっても過言やない。そしてそれを具体的に可視化し、イメージとしてバカ者ども、もとい、若者どもに絵草子として、こないしなさいと分かりよく図示したんが「ハートカクテル」いう漫画を描いた、わたせせいぞうというオッサンや。

この所謂バブル三悪人にまんまと踊らされたが故、地道に職工、タイル職人、小作人のような道を地道に歩めばよかったものを、童話「アリとキリギリス」のキリギリスのように、その日暮らしの道をちゃらんぽらんに歩んできた者の哀れな末路がここにある。ワシや!

Gimel ( ギメル ) ダイヤモンド ピンブローチ

さてバブルもあっけなく弾け、兵どもが夢の跡。その後奈落の底に堕ちたままいっかな浮かぶ気配のない日本経済にあって、独り本物のジュエリー制作を目指し、時代に逆行して材料調達には金に糸目をつけん態度でジュエリーを作り続けてきたのが誰あろう、ご存知芦屋六麓荘に本拠を構えるギメルなんや。

村上春樹の物語が展開されたんは芦屋言うてもや、海寄りの浜芦屋。芦屋と言えど階層社会。阪神電車より海よりの場所と、阪急電車が通ってるより上の山側とでは全く格が違う。芦屋育ちとは言え所詮サラリーマン家庭育ち、プロレタリアートの村上氏。やはりその視点には芦屋山の手金満家庭を羨む、西村賢太的屈託が見え隠れする。

ところがどうよ、ギメルオーナーにして、デザイナーの穐原かおる女史は折り紙付きの芦屋マダム、ホンモンのブルジョワジー。幼少から本物の逸品に囲まれお育ちあそばされているから、絶対音感ならぬ絶対審美眼ちゅーもんが備わったーる。しかも倹約する、始末するなんてしみったれた小金持ちの料簡なんぞハナから持ち合わせてへん。理想のジュエリーを作るのに、せこい金の出し惜しみなんかしない。職人の偏屈なプライドなんぞその横面を札束で張りとばしてへし折る。

そうしたモノづくりに一切の妥協を許さぬ、日本の本物の貴族が拵えたシナモノの一つがこちら。

Gimel ( ギメル ) ダイヤモンド ピンブローチ

さて皆の衆お立合い!どうだい、こちらはギメルでも人気の男女兼用で使えるピンブローチだ。一目見て度肝を抜かれ、ひっくり返っちゃうてーほどのこの煌めき。普通こんなの写真で見ても、輝きなんてなもんはなかなか伝わらねー。

ところがどーだい、コイツと来た日にゃ、もう写真見ただけで眼が眩もうかってーくらいの勢いだ。写真だと思って見くびっちゃーいけねー、綺麗だからって長く見とれてると目に毒だよ奥さん。大体こういったシナモノは近所のイオンモール辺りに入ってる宝石屋程度じゃーとても拝めないシロモンさねー。

えっ、じゃー一体何処行ったらお目にかかれるかって?そりゃーおめえ、花のお江戸は日本一の繁華街、銀座にきまってらーね。しかもその街のランドマーク、銀座四丁目交差点にすっくと聳え立つ、よんどころない宮家や財閥の奥方姫君もお忍びで訪れ、数々の文豪の作品にも登場してきた歴史と伝統ある日本一のセレクトショップ、服部時計店旧本店、銀座和光!

ニューヨーク五番街にティファニー有り、東京銀座に和光有りつーくらいの凄いお店だ。そこまで御足労ながらお出まし願わないことにゃーお目通りのかなわない逸品てーから物凄い。

Gimel ( ギメル ) ダイヤモンド ピンブローチ

ただね、田舎モンが間違ってそんなところに侵入した日にゃ大変だ。一流の客層を誇る老舗名店の臈長けた店員に、いっぺんにオノボリさんの正体見破られ、慇懃無礼に鼻であしらわれるのがオチ、と疑心暗鬼。おっかなビックリだから落ち着いてゆっくり見ることもできねえ。

そこ行くとどうです、こうしたネットショッピング。いくら見てても鬱陶しい店員が声かけてくるこたーねえ。どうかゆっくり吟味の上、ご主人なりパパなりにご相談、おねだりの上お買い上げ下さいませな。

【No.167】澄みきった仏陀の御心ギメルの輝き [ギメル]

Gimel ( ギメル ) パヴェ ダイヤモンド リング

スタッフのひとこと

25個のダイヤがギラッギラッ!まともに見たら眼ぇ潰れんで!

瞑想というものは非常に素晴らしいものでございます。

かく申すわたくしも、およそ十年ほど前に、大阪は初詣の人気スポット、住吉大社で行われた、日本テーラワーダ仏教協会主催の瞑想指導の講習会というものに参加させて頂いたのがもとで、瞑想に開眼した一人なのでございます。

講習会の内容は、協会長老でもある、日本で多数の仏教関連の本を著し、初期仏教の啓蒙に尽力されているスリランカの僧侶、アルボムッレ・スマサラーナ師直々のご指導の下、座って行う瞑想と、体の動きを“実況中継する”と説明されてましたが、体の動きを観察することに重きを置いたヴィパッサナー瞑想、この二つの瞑想の解説と実践。

瞑想は現在、マインドフルネスの名のもと、世界中で多くの人にメディテーションとして親しまれ、広く実践されているのです。

有名な話では、かのビートルズのメンバー四人がインドのスピリチュアルマスターのマハリシヨーギから瞑想の極意を学んだとか、映画俳優、監督として大成功を収めたクリントイーストウッドも同じく、マハリシヨーギの瞑想法を実践しているのは有名な話。また、かのアップルコンピューターの創業者、スティーヴ・ジョブズも瞑想を熱心に行っていたとの事。

また日本でも、野球の神様と言われたV9当時の巨人軍監督、川上哲治氏もよく禅寺にこもって座禅、すなわち瞑想に励み、勝負師としての不動心を培ったそうでございます。

Gimel ( ギメル ) パヴェ ダイヤモンド リング

ことほど左様、瞑想を行えば万人が上記の様な有名な方々のように成功を得られるかと言えば、甚だ疑問の残るところでありますが、精神衛生上は非常に有意義な行いには相違ありますまい。

では、具体的に瞑想とはどういう事かをご説明してまいりましょう。

メディテーションやマインドフルネスなどと云う言葉を聞くと、何やら大仕事、大変な心構えと、覚悟で持って行わねばならない大変な難行苦行ではないかと身構えてしまいますが、実は全くその反対。瞑想の極意は何も行わない事。即ち、心を全く空っぽ、真空状態にすることなのであります。しかしこれが実は人間にとっては最も難しい事なのでございます。

Gimel ( ギメル ) パヴェ ダイヤモンド リング

さて、人の心と云うものは、あたかも泥沼に湧き出るメタンガスの如く、絶えずいろんな思いが浮かんでは消える性質を有し、これを逆に止めるという事は至難の業。

我思う、故に我ありと哲学者デカルトは言ったらしいのですが、本当は、我思う、故に我苦しむと言うのが偽らざるところ。

実際、アメリカではマインドフル療法と言って、瞑想をうつ病などの精神的な病の治療法に応用する試みがかなり以前より行われ、一定の成果をあげているのだとか。

Gimel ( ギメル ) パヴェ ダイヤモンド リング

では、具体的にどうやって心の動きを止めるかというと実際様々な方法がございます。

一番有名な方法は数息観(スソクカン)と申しますが、自分の呼吸に意識を集中して心を静める方法。これは冒頭に挙げました、座って行う瞑想でよく行われる方法であります。

それに対して、立って行う瞑想はと申しますと、単純な運動、例えば歩行などを無意識に行うのではなく、その動きの一挙手一投足に全神経を集中させて行うというもの。これは気功における動功と呼ばれる体操のような動作や、太極拳、ひいてはインドにおけるヨガなどにも一脈通じるものであると考えます。

Gimel ( ギメル ) パヴェ ダイヤモンド リング

また、マントラ、すなわち呪文を唱えるという方法もございます。

第二次世界大戦中、大日本帝国大本営参謀として活躍し、戦後は中曽根元首相の影の参謀として暗躍したと言われる瀬島龍三という人物は、敗戦後捕虜としてシベリア抑留中、七か月に及ぶ独房生活をひたすら観音経を唱えることで乗り切ったと言います。このようにマントラを一心に唱える事が精神の安定に及ぼす効果は、多くの既存の宗教や新興宗教がその信仰生活の柱として、読経の励行に重きを置いていることからも、一定の効果があるものと推測されます。

さて、このようにありがたい効果を及ぼすとされる瞑想ではありますが、実のところこれをその場限りのエクササイズのように捉え、座禅が終わればまた元の木阿弥、心に不満不安怒りを抱えた凡人に戻ったのでは折角の苦労が水の泡。本来はメディテーションを入り口とし、常に無念無想の境地に心を置くことが理想の姿であると、今を遡る事2500年前に仏陀が説いておられます。その境地とはすなわちエンライトメント、一切の煩悩を手放し彼岸にたどり着いた悟りの境地なのでございます。

Gimel ( ギメル ) パヴェ ダイヤモンド リング

さて、深山幽谷にあるといふ枯れることを知らぬ泉。その清らかに澄んだ清水のような仏陀の御心をそのまま写したかの様な宝石が、こちらのダイアモンドなのでございます。

さーて万来のお客様、こちらをしかとご覧ください!と言っても直視できない程の輝きを放つこちらの指輪。

それもそのはず、こちらは何と日本が世界に誇る伝説のジュエラー、ギメルがお届けする驚異のダイアモンドパヴェリングだ!

Gimel ( ギメル ) パヴェ ダイヤモンド リング

しかも、ただのありきたりのダイアのパヴェリングとは訳が違う。なんと驚くなかれダイヤモンドの総重量が五キャラットを超えるというから驚きだ!

1キャラ2キャラはギメルでなければ誰でもしてる。これがちょいと3キャラト越えなんかになると羨望や嫉妬んの眼差しが嫌でも飛んでくるところ。ところがコイツときた日にゃ五キャラットてんだから物凄い。矢でも鉄砲でも持って来いってんだベラボーメ!

いやそれだけじゃない!何せダイアのギメルかギメルのダイアかつーくらいなもんで、このてんこ盛りのダイアモンドの品質が物凄い!

Gimel ( ギメル ) パヴェ ダイヤモンド リング

ギメルのオーナーにしてデザイナー、宝石魔女の呼び名も高い穐原かおる女史が、三日三晩芦屋奥池の山中深くにて、ノウマクサンマンダバザラダンセンダマカロシャダソワタヤウンタラタカンマンと不動明王御真言を唱え奉りつ、三日三晩の水垢離滝行の果てに経机に乗せたる一塊のメレダイアに魔法の息吹くを吹き込んだ

んじゃーあないか、という妄想を観る者に惹起せしむる程に強烈なダイアモンドの輝きが、見る人の瞳を射すくめるてんだから只事じゃあねーやね。どーだい恐れい入谷の鬼子母神だろ、え?

せやけど一言いうとかんとアカンねけど、コンプライアンス言うのがやかましさかい、ご使用にあたってのご注意にはこない書いてた方がええんちゃいまっか?和光さん。

「直視すると強烈な輝きで眼球に何らかの支障をきたす恐れがあります。つきましては、着用に当たってはサングラスのご使用をお勧めいたします」

【No.166】ノーブルなサファイアの青

非加熱 サファイア リング

スタッフのひとこと

やんごとなき高貴なロイヤルブルーは何と非加熱。生まれから高貴な血筋の サファイア でございます

今を遡ることおよそ三十数年。ちょうど年も押し詰まった暮れのこの時期に、私は香港で新店舗開店準備に大わらわの日々を送っていた。

その任務とは、通常大手企業なのでよく見受けられる、既存の海外支店への異動とは大きく異なり、地方都市の一宝石店が無謀にも香港の一流ホテル「ホテルペニンシュラ」に支店をオープンするにあたっての、現地での会社登記から始まる文字通りの一からの起業であった。

当時、私はその宝石販売会社でも陸の孤島、あるいはテンノジ村などと陰で呼ばれていた、JR天王寺駅のいわゆる駅ビル、天王寺ステーションデパート内にある、そのニックネームにたがわぬ、うだつの上がらぬ支店の店長を背任したばかり。乏しい店の売上向上のため、四天王寺さん詣りのおばあちゃん相手に宝石屋とは名ばかり、財布や袋物中心の細かい商売に腐心する毎日を送っていたのである。

9月だったか10月だったか、なにせ昔の事で記憶もあやふやなのだが、毎月月初めに心斎橋にある、その会社の本店で行われる全店朝礼に出席した際の事。

香港随一と云われるペニンシュラホテル内ショッピングアーケードへの出店の話を誇らしげに全社員の前でぶち上げる先代社長の訓示を、私は驚きながらも、自分にはおよそ無関係、まったくの他人事として聞き流していたのであった。

ところが数日後、何かの用事で本店を訪れた際、偶然出会った、当時、「箕面の般若」と恐れられていた営業部長に呼び止められ、「お前、ちょっと来い」と部長室に招じ入れられたのである。

根が小心な私は、てっきり何らかのお叱りを受けるものと恐怖に慄きながら進められた椅子に畏まっていると、「お前香港行かへんか?」と唐突に告げられ、予想外の展開にさらに肝を潰す結果となった。

非加熱 サファイア リング

さて、実際このうらぶれたテンノジ村の私がその人選に上ったのには裏がある。

その年の初め、会社の福利厚生の一環として、今後の国際社会化を見据え、社員に英会話クラスを無償で提供するというプランが突然発表された。

受講者の条件は、会社が指定した有望社員?と後は希望者自由参加という事。

もちろん私は指定外であったものの、当時大手書店で美人キャッチセールスに英語のカセットテープ教材をローンでまんまとつかまされたのをバネに、何十万かであった教材費のモトを取り戻すべく、飽き性の自分としては珍しく、当時発売されたばかりのSONYウォークマンで地道に通勤途上の英語自習を続けていたのである。

そんな私にとっては、早朝とは言えネイティブの講師が会社に訪れ、週二回のレッスンを無料に授けてくれるというのは正に棚から牡丹餅、受講する以外に選択肢はなかった。

非加熱 サファイア リング

さて、実際授業を始めるにあたっては受講者の英語能力に応じてのクラス分けが必要との事。そのため、予め全員に英語の実力テストを行うという事で、受講希望者三十名ほどが本社の一室に集められての筆記およびリスニングの試験を受けさせられたのである。

さてその結果、まあ日頃の精進の成果か、大学英文科卒などのツワモノを抑え、私が見事一番の高得点。それに気を良くし、のんきに受講し始めて半年。判明したのがまさかの香港行きの選別とは。

というわけでカセットテープだけの英語教育歴という、まことに心もとない語学力を携えての海外赴任。当時は正直不安しかなかった。

非加熱 サファイア リング

ところが実際香港に着いてみると、案ずるよりも産むが易し。会社はちゃんと現地で日本語、広東語バイリンガルの人物をスーパーバイザーとして雇ってくれていたのに加え、当時はまだ英国領とは言え、一般の香港人の英語レベルもそれほど高くはなかったので、何とか拙い英会話同士で、コミュニケーションも曲りなりに取れたので一安心。

そんなことより、何よりも苦労したのが、文化社会風土の全く異なる外国で、企業を立ち上げ、一から店創りを行うという苦労。これは並大抵のものじゃ無い。

もちろん現地のコンサルタント会社に契約関係などの法律にかかわる事は万事お任せしていたのであるが、実際の店舗を作る工務店との折衝や、商品準備に関するこまごました事のいちいちが日本と勝手が違う、商習慣が違うという事で数々の障害が噴出した。

その結果、オープン予定の日程が目前に迫っても作業が全く追いつかないという緊急事態に発展し、もう連日の夜なべが続いたのである。

非加熱 サファイア リング

ペニンシュラホテルに出店するにあたってホテル側から提示された条件と言うのが、ペニンシュラから道路一本を挟んだ裏手にある、同じ系列のビジネスホテル、カオルンホテル(九龍酒店)のショッピングアーケードにも、もう一店舗出店すべしといった厳しいものだった。

ただし、当時バブル景気で絶好調だった日本の本社サイドは太っ腹。あっさりこの条件を呑んで、そこを店舗兼事務所にしようという事で、まずはカオルン店の工事を先行させた。そして、その半ば出来上がった店の店内で連日地道な作業が続けられたのであった。

もちろん、その時分には現地の店舗スタッフもおおよその目途が付いていて、昼間はそういった人たちの手を借りて作業が進められたのであるが、何せあちらは契約社会、定時になったらきっちり帰さないといけない。そうすると残った仕事は日本人スタッフ、つまり香港支店の代表と私の二名に加え日本から助太刀に来ている幹部社員二名。これが私を除いては普段やったことも無い、値札付けやら、帳簿記入やらの細かい実務作業。もうみんな老眼鏡の鼻眼鏡でもって必死で、なれない値札付けやらを夜遅くまで続けたのであった。

もちろん、我々香港組も助っ人幹部も、宿舎はその店舗の上にあるカオルンホテルのシングルルーム。各人の滞在期間は、なんと一か月を超える過酷なものであった

非加熱 サファイア リング

さてそんな我々の唯一の息抜きが、毎晩遅くに頂く、変わり映えのしないホテルのビュッフェの食事ではなく、その後、その横にあるラウンジスペースで愉しみ、くつろぐ酒宴のひと時。

ネーザンロードに面したガラス張りのそのコーナーは、遠く香港島の百万ドルの夜景を望むことが出来、更にフィリピン人専属男性歌手の電子ピアノの弾き語りが毎夜催され、常連となった我々のリクエストを快く聞いてくれたのである。

非加熱 サファイア リング

或る晩、そのライオネルリッチーを彷彿とさせる美声の歌手を我々のテーブルによんで、一杯ご馳走しようという事で、お越しいただいて更にビックリ。なんと日本語、しかも大阪弁を達者に話されるではないか。

そこで、更に事情を突っ込んで聞いてみると、なんと彼は当時ミナミの夜の街では知る人ぞ知る、老舗サパークラブ「青い城」で長らく専属で同じようにピアノの弾語りをしてたとの事。

「わー、奇遇やなー。こんなとこでまさか『青い城』の名前聞くとは、懐かしわー!」と直属の上司、香港店支配人の肩書も、昔はけっこう遊び人であったであろう社長娘婿が感激して言うと、そのフィリピンのおっちゃんも感激して、「いや僕もこんなとこで第二のふるさとの大阪の人に会えるなんて、むっちゃ嬉しいわ、懐かしーなーホンマに!」と流暢な大阪弁で返すのを聴き、「俺の英語よかずっと上手いやないかこのオッサンの大阪弁」と微妙に落ち込んだものであった。

非加熱 サファイア リング

さて、青い城といえばブルーシャトー。ブルーシャトーと言えばブルーコメッツと昭和の少年にはピンとくるブルー繋がりという事で、本日のご紹介はブルーの宝石の代表格、ブルーサファイアの登場でございます。

さあ、ご見物の皆様、取りい出したるこちらのサファイア、数多巷に出回っているサファイアとは訳が違う、モノが違うから確と御覧じろ。

サファイアやルビーという、いわゆるコランダム宝石は色を改善するための加熱処理がもう常識の宝石業界にあって、このサファイアはなんとノンヒート、つまり非加熱。それにも関わらずのこのディープブルーの綺麗な発色。例えて言うなら何ら美容整形の恩恵を受けず素のままで美人女優と誉れも高い、高い・・・誰や?

とりあえず、それだけ希少にして貴重なブルーサファイア。その非加熱を証明するのはなんとこれも宝石の世界のアカデミー賞、世界に冠たるGIAのジェモロジカルリポート。しかもこのリポートには産地も明確にカンボジアと記されてある。

ただし私の見るところ色目的にはミャンマー産の、深海のように深い青色、ロイヤルブルーに近いのではと思ったところ、さもありなん。ちゃんとGIAのコメントも、The color appearance of this stone is described in the trade as “Royal Blue” との記述がございます。

テンノジ村の私の感想なら心もとないでしょうが、これはGIAのお墨付き、間違いない!!

【No.165】名曲シリーズ第二弾! アレキの魅力はナイト&デイ

アレキサンドライト リング

スタッフのひとこと

小ぶりながらパーフェクト!由美かおるのようなリング。比喩がジジイですんまへん

「ナイトアンドデイ」という曲をご存知でしょうか?

ウィキペディアで調べますと1932年発表のコール・ポーターの曲という事でありますが、これはもうジャズのスタンダードの名曲として様々なアーティストがカバーしているので、ご存知の方も多いはず。千絵ちゃんも歌とてはんねやろか?

最初に耳にしたのは、不詳わたくし若き日のアイドル、美人ジャズシンガー阿川泰子さんのアルバムに挿入されていた一曲。

当時、百恵ちゃん、ピンクレディー、キャンディーズなどのいわゆるキャピキャピした若いアイドル歌手が人気全盛の中、わたくしは独り時世の流れに背を向け、大人の色気漂うジャズシンガーのお姉さまに憧れていたわけで、まあそういう意味では、筋金入りの熟女マニア。

国会議員のN党ガーシー先生の説によると、男の女性の好みはロリコンかマザコンにはっきり分かれるらしく、ええ年こいてアイドルや若いキャバ嬢に血道をあげるオヤジはロリコンで、私のようにスーパーで働いているようなおばちゃんに一目ぼれするのがマザコン熟女マニア、知らんけど。

しかし、さすがにこの歳になると、いかな熟女マニアと言えど、年上はキツイ。やはり40アッパーから年下までに限る。奮ってご応募のほどお待ちしております!

アレキサンドライト リング

さて、この 「ナイトアンドデイ」の歌詞ですが、

Night and day

you are the one

Only you beneath the moon

Or under the sun

Whether near to me or far

No matter , darling where you are

I think of you

Night and day

Songwriter: Cole Porter. Released: Oct 1943. Genre: Pop. Style: Vocal. Music ownerhip: SME/ Ambition Entertainment.

どうです、この小学生にでもわかる簡単な英文にして、熱い内容!

「夜でも昼でもどこにおったかてアンタだけやねん」と、こないな大阪弁で言うてしもたら、なんや、やしきたかじんの歌みたいで艶消や。しかし、これがジャズライブと洋酒の楽しめるお洒落なお店なんどで原語の歌詞で生で聞いてみなはれ、そりゃもうええもんだっせ。

特に最後の、I think of you night and day のパートを、客席にいるあなたを、歌姫が偶然にせよ選んでくれて、熱く見つめられながら歌われてみなはれ、オッチャンらもうええ歳しとるさかい血管切れて、即アノ世行きや。

アレキサンドライト リング

さてこの歌、別に女性が男性に送る歌とは限りません。実際かの米国歌謡界?の大御所フランク・シナトラかてお得意のナンバーにしてはるんやから。

さあ、時はまさにクリスマス。この歌をばや、フランクのオッチャンでもええけど、例えばイケメンのジャズシンガー、ハリー・コニック・ジュニアなんぞが歌うバージョンを、プレゼントに添えて彼女に贈ったら効果倍増でっせ、兄ちゃん!

アレキサンドライト リング

さてそのプレゼントにうってつけなのが、これも Night & day の宝石アレキサンドライトと相場は決まっとる!

「これはアレキサンドライトというちょっと変わった特徴のとても珍しい宝石なんだよ。変色性って言うんだけど、昼間、日光の下で見るとサファイアのようなクールなブルーに見えるんだけど、夜、暖色系の照明の下で見ると、まるでルビーの様な赤系統の色に見えるんだ。その性質に由来して、この宝石の石言葉は、『昼は青が表す、誠実な愛を、夜は赤が表す情熱的な愛をあなたに捧げます』一生変わらぬ僕の気持ちを代弁してくれる、この宝石を君に贈ります」

これくらいの事言うて、これくらいのモン渡さんとアカンで兄ちゃん!その顔やったらなに?そんな石言葉みたいなんモン有るのかて、さぁー知らん・・・

【No.164】宝石はフェニックス [サザンクロス]

Southern Cross ( サザンクロス ) ピンクサファイア ダイヤリング

スタッフのひとこと

今週の第一位、サザンがおおくりする非加熱ピンクサファイアのリング。では張り切ってどーぞー!

「恋はフェニックス」という曲をご存知でしょうか?

古い歌なもんで大抵の方はご存じないでしょうな。なんせ年寄りが書いとるブログやさけ、昔話ばっかですまんこって。

この曲は1967年アメリカのカントリーシンガー、グレンキャンベルいう人が唄とて大ヒットした曲ですんや。ただし、私が知ったのは1971年「また逢う日まで」の大ヒットで一躍脚光を浴びた、もみあげも凛々しい歌手の尾崎紀世彦さんのアルバムに入っていたカバーヴァージョン。

昔は海外の曲や映画のタイトルもオリジナルのままやなく、新たに邦題をつけることが結構多かったようでございます。

例えば、ビートルズの”Ticket to Ride “は「涙の乗車券」 “You've Got to Hide Your Love Away” が「悲しみをぶっとばせ」。また映画では、古いところで”Love Is a Many-Splendored Thing” が「慕情」などと、より歌詞やストーリーの内容に寄り添ったような日本語の題を国内のオーディエンスに分かりやすいよう命名して、ひいてはより多くの売り上げを期待したんでっしゃろな。

ただし、この「恋はフェニックス」だけは歌の内容とはまったく見当違いの頓珍漢なタイトル。当時のレコード会社の担当がええ加減に付けたに違いない!

Southern Cross ( サザンクロス ) ピンクサファイア ダイヤリング

これも昔の歌で恐縮ですが、同じような題で、布施明さんが歌った「愛は不死鳥」いう作品があります。この歌は、この題が高らかに宣言するように、歌詞でも「愛は死なない」と力説してはる、すなわち恋愛の賛歌。それならばこの「恋はフェニックス」もフェニックス言うたら不死鳥、火の鳥やさかい同じ様な、不滅の恋を賛美する話かと思たらこれが大違い。

だいたい英語の原題 からして、“By the Time I Get to Phoenix “(フェニックスについたころには)や。これ見たらおかしいとピンとこなアカンは兄ちゃん。

つまりこのフェニックスいうんはアメリカ合衆国アリゾナ州にあるフェニックスという土地の名前。不死鳥なんか関係あらへん。

Southern Cross ( サザンクロス ) ピンクサファイア ダイヤリング

さて、By the Time I Get to Phoenix –と歌い出すこの歌。実は彼女か女房を捨てて家から飛び出した男の妄想に基づく繰り言、という仕立ての詞の内容。その妄想とは、

「俺がフェニックスに着いた頃にようやく目ぇ覚ましたアイツは、ドアにつるしたメモに目をとめるやろ。出ていくと書いてあるところに目を走らせた途端、きっと笑いよるやろ。なんせ今までにも散々そんなことあったさかい」

これが一番の歌詞で、後はその逃避行で移動していくであろう場所場所にそって新たな妄想コメントを発していくわけですわ。

「アルバーカーキーに着くころにはアイツももう働いてるはずや。ランチ休憩でたぶん俺に電話するやろが、壁の電話は無人の室内で空しく鳴り続くんや、オモロ!」(携帯の無い昔の話やからね)

「ほんで、オクラホマに着くころには、アイツはもうベッドで眠っているはずや。ほんで寝がえりを打った拍子に俺の名前を何気に口から漏らすんや。最後、俺がホンマに出て行ったと感づいたら、きっと泣きよるはずや、今までも何べんも言うたったのに、信用せんからこんな目に合うんや、ドヤ、ざまみさらせ!」

Southern Cross ( サザンクロス ) ピンクサファイア ダイヤリング

と、こんな感じの家出したオッサンの独り言みたいな歌詞なんですが、実はここには悲しい男の強がりが伺える。女々しい未練ごころが垣間見えるんよ、オッチャンには。

女々しいなどと申しましたが、こうして自分で迷いながらも、しでかした行為を振り返り、ウジウジジメジメと後から自己正当化するのは圧倒的に男の方。そやから表現方法も女々しいやなくて男々しいと改めんといかんのちゃう?実際に彼女の方はこんな具合なんちゃうん?

「ヤッター!オッサンやっと出ていきよった。今までさんざん口ばっかりでよう出て行かんかったヘタレが!あー、スッキリした、せいせいしたわ。さて家ん中かたずけて、掃除してカレに電話しよ!オッサンとうとう出ていきよった。今日からウチ泊まれるよー言うて。オモロ!」

Southern Cross ( サザンクロス ) ピンクサファイア ダイヤリング

さて、この情けない男の負け惜しみが、アメリカンの心情を強く揺さぶったお陰で、歌は大ヒットしたのですが、実はこの歌、グレンキャンベルが歌ってヒットするまでにも、違う人が歌ってレコーディングしていたのです。つまり二番煎じ、中古の曲ですんや。

いや、そればかりでは無い、私が初めてこの「恋はフェニックス」を聴いたのは冒頭でも申し上げたとおり、尾崎紀世彦さんのカヴァーヴァージョンなのですが、この尾崎さんの昭和歌謡史に燦然と輝く名曲、「また逢う日まで」も実は人の歌の焼き直し、つまり中古改作品だったのです。

Southern Cross ( サザンクロス ) ピンクサファイア ダイヤリング

最初この歌は、昭和の大作曲家、筒美京平先生がエアコンのコマーシャルソングとして作った曲。ただしこの曲はボツとなり世に出る事は無かったのですが、その曲に眼をつけた当時の敏腕プロデューサーが「白いサンゴ礁」という曲のヒットで人気となった、ズーニーブーというグループの新曲として、これも昭和の偉大な作詞家、阿久悠先生に詩を依頼して「ひとりの悲しみ」という楽曲名で発売したのです。

しかしながらこれも不発。ところがふとしたきっかけでこの曲を耳にした新人歌手、尾崎紀世彦さんが自分に歌わせてほしいとこのプロデューサーに頼み込み、歌詞も阿久先生に再度書き直してもらって発表したのが、ご存知の大ヒット曲となった「また逢う日まで」。

このような事例は歌の世界には結構多く見受けられるようなのですね。適材適所ならぬ適曲適歌手、ぴったりの歌手に出会ってこそその曲も輝きだすというもの。

それと同じく、中古宝石と道理は同じ、侮ってはいけません。

宝石と人も出会いが肝心。たとえ新品で購入してもそれが身に沿うとは限りません。

「ホテルの展示会で外商さんの義理で買ったけど、気が付けば全然してないから、宝石の買取りに定評があるマルヨさんで処分しよ」

Southern Cross ( サザンクロス ) ピンクサファイア ダイヤリング

という事で、こちらご覧いただいておりますのは、ひと昔前、百貨店外商部の一流ホテル展示会でよく販売されておりました、サザンクロスというブランドの、鮮やかで色の乗りも最高のルビーかと見まがうほどのピンクサファイアの指輪でございます。

この様な素晴らしい指輪が、しかも新品同様の状態で勿体無くも、質屋の蔵で日の目も見ずに眠っているのです。

出でよ、この指輪に本来の宝石の輝きを発揮させ、多くの人々の羨望の眼差しが注がれる表舞台に引き出してくれるアーティストよ!

【No.163】クールの誕生はサファイアから

サファイア リング

スタッフのひとこと

この柄をみて新選組を想起するあなたは時代劇チャンネルの観すぎかも

煙草を止めてもう二十年近くになりましょうか。実はそれ以前にも何十回も禁煙には挑戦してるのですが、なにせ根が意志薄弱に出来てるもんで、いつも三日坊主。いや、三日も持てば良い方で、たいていは朝令暮改、朝から我慢してるのが仕事終わりのちょっと一杯で禁煙の決心はもろくも打ち砕かれていたというのが偽らざるところ。

そんな意志薄弱な私に固い禁煙の誓いを奮い起こさせたのは、その頃まだ小学生だった娘からのお願い。

「お父さんにはまだ死んでほしないから煙草やめて!」

泣かせますやろ?こんなん可愛い娘に言われたらそりゃ止めなしゃーないやん。

サファイア リング

ただ、この禁煙いうのはきつかったですねー。なにせ先ほども言いました通り、たばこと酒はワンセット。酒が入るとどうしても煙草が欲しくなるという仕組み。

若い頃よく通った、JR大阪駅高架下にある新梅田食堂街という飲み屋街。そこにあるセヴンシーズという立ち飲みバーは、客が立って飲む足元に、カウンターに沿ってぐるっとブリキ張りの灰皿溝が這わせてあり、お客は酒の合間に吸った煙草の吸殻をポイポイとそこに捨てる仕掛け。その頃は酒は飲むけど煙草は吸わないなんて言う人は極めて少数派。中にはバーボンオンザロックダブルを二杯たて続け、ショートホープ一本吸い終わるまでに飲み干して、現金をカウンターにおいてサッと立ち去るツワモノもおりましたな~。

ですから根が酒飲みな私ですが、煙草を吸わずにお酒だけ飲むというのは何やら手持無沙汰で間が持たない。いきおいその隙間を埋めるために酒量が増えるといった悪循環にハマり、今度はそちらの方で健康を損なう危惧が出てくるといった塩梅。

サファイア リング

ところで、人はなぜ煙草なんて不味いものをわざわざ吸うのでしょうか?

「今日も元気だ煙草が美味い」などと云う煙草の宣伝文句が昔ございましたが、実際煙草を初めて吸った人の十中八九は、あまりの不味さと煙にむせ返り、こんなもの二度と口にするものかと思うんじゃないでしょうか。それでもみんなが飽きずにトライしてめでたく喫煙者、つまりはニコチン中毒と相成る理由の一つに、煙草を吸う事はカッコいいという思いがあるからなのです。

今、テレビや映画を観ましても、煙草に関する規制があるのか、そういったシーンをあまり見かけることはございませんが、昔の銀幕のスターたちはこぞって煙草をカッコよく吸ってポーズをきめ、そのスターに憧れる若者が自ずとこれを真似るといった仕組み

例えば、わたくしが若かりし頃に人気だったテレビドラマ「太陽にほえろ」のボスこと昭和の大スター石原裕次郎なんか画面に映る度に、くわえたばこで眉間にしわ寄せて、歌舞伎役者よろしく見栄を切るように煙を吐き出しておりました。

また、この番組にも出演していた松田優作なども後年主演ドラマ「探偵物語」の中で、ワザと炎を大きくしたライターで煙草に火を付けたりしてイキってましたな。あるいは東映の看板、実録任侠映画なんか、ワンシーンに映ってる役者全員が煙草をくゆらせているといった、もう燻製状態。

サファイア リング

さて、こういった銀幕の中でカッコよく煙草を燻らすシーンの元祖、本家本元となったのが、かつてジュリーこと沢田研二が歌の中で「ボギー、あんたの時代は良かった」と羨んだボギーことハンフリー・ボガート。

ハンフリー・ボガートと言えば映画ファンなら誰でも知ってる不朽の名作「カサブランカ」で一躍日本でも有名となった、戦前戦後の時代に活躍したハリウッド俳優。ただし、この人の本領が発揮されるのは、この「カサブランカ」のようなふやけたラブロマンス物では無く、なんと言ってもダシール・ハメットやレイモンド・チャンドラーといったハードボイルドミステリー小説が原作の一連の、タフガイが主人公として活躍する探偵物語。

実際のハンフリーボガートという人は、アメリカ人としては小柄で、身長は170cmそこそこ。対して、例えば実際レイモンド・チャンドラーが描いた小説の中の探偵フィリップ・マーロウは186cm 86kgの堂々とした体格。その差を彼は卓越した演技力に加え、ダブルのトレンチコートを羽織り、ノックスの中折れ帽を被ることでこれを補い、さらには紙巻き煙草を吸う姿をその演技に巧みに生かすことで、このハードボイルドタッチの映画にさらにクールなスパイスを効かせたのでございます。

サファイア リング

さて、このハンフリー・ボガートが演じた探偵フィリップ・マーロウが登場する映画「三つ数えろ」(原題:Big Sleep )でヒロイン役をつとめたのが、後にボガートの4番目、そして最後の妻となるローレン・バコール。

このバコールの煙草を吸う姿もまた実にサマになっててキマッてる。元祖クールビューティー、実にカッコいいんです。ハードボイルド映画のヒロインにまさにうってつけの配役。夫、ボガートにも引けを取らない、そのくゆらす煙草の紫煙が大変似合う女優さんなのです。

このローレンバコールのように、マイルスのクールなジャズが如何にもお似合いの、甘さを抑えた大人のハードボイルドテイストな女性には、やはりなんと言ってもそのクールな美しさを引き立てる宝石、サファイアをお着け頂きたいのでございます。

サファイア リング

さあ、こちらご覧いただいておりますのは、サファイアとダイアモンドのトリリアントカットを交互に並べたレール留めのリング。ラウンドカットや四角いカットのレール留めなら普通によく見かけるデザインなのですが、こちらは全ての石が三角形。こういうのは滅多ございません。この三角の鋭角がプラチナの枠に映えて如何にもクールじゃございませんか。

こんな指輪をさり気なく着け、ギャバジン地のトレンチコートをウェストでぎゅっと絞って隙無く着こなした女性がオープンカフェの隣の席に腰かけ、フランス煙草ジタンなんぞををそのリング輝く指先に挟み、

“ Do you mind if I smoke ? ”

なんてハスキーヴォイスで尋ねられた日にゃあなた、思わず進んでライターで火をつけてあげそうになって、今更ながらライターなんて持ってないのに気がつき、まごつき、あたふたした挙句に" Yes!"なんて間違って意に反した言葉を発した結果、豹のようなCoolな目で睨まれ、飲みかけのカフェラテもそのままに、すごすご退散する羽目となるのがオチ。

【No.162】隅ずみまで整ってギメル [ギメル]

Gimel ( ギメル ) ダイヤモンド パヴェリング

スタッフのひとこと

あっし風情がギメル様をコメントするなんざとてもおこがましくて出来やしません。何卒ご勘弁を、平に平にご容赦を、へへーっ

「ハイ、整いました!」でお馴染み、謎かけ漫談のねずっちさん。最近はあまりテレビでお見掛けいたしませんが、恙なくお過ごしだとよろしいのですが。

謎かけというものはなかなか難しいもので、折角ねずっちを話題に上げるからには、冒頭でデモンストレーションの謎かけの一つも整えてみようかと思ったのですが、いくら気張っても気の利いた謎かけが出てまいりません。

いくら謎かけのプロ?とは言え、ねずっちの即興なぞかけの早業にはあらためて感心してしまいます。

しかし今回のお題は謎かけという事ではなく、この謎かけが出来た時の合図、「整いました」にフォーカスを当ててみたいと思います、ってそんな大層なもんやおまへんねけど。

実はわたくし、ねずっちの謎かけ漫談を聴くまでは、なぞかけが完成することを、整うと表現する事を知らなかったのです。これは当然わたくしの無知に由来するのでしょうが、ひょっとすると、ねずっちが勝手に編み出した独自の表現方法なのかもわかりません。

ところが最近、さらにこの「整う」という表現の新たな使い方に出くわしたのでございます。

その未知の「整う」というのは、サウナに関する専門用語で、サウナと水風呂を交互に使う事で得られる至高体験、あるいは変性意識をこのように呼ぶそうなのです。

実際わたくしは以前よりスーパー銭湯を頻繁に訪れる、スーパー銭湯アイドルならぬスーパー銭湯オタクなのでございます。そして、そういった施設を訪れれば必ずサウナに入り、その後水風呂に入ることを繰り返し、それによって得られるこの至高体験はすでに経験済。ただし、この気持ちいい状態を整うと呼ぶことは知りませんでした。

Gimel ( ギメル ) ダイヤモンド パヴェリング

さて、この至高体験を未経験の方にご説明するのは非常に難しいのですが、インターネットなどで見かける説明によりますと、「サウナ」と「水風呂」の温冷交代浴によって脳内でβ-エンドルフィン、オキシトシン、セロトニンの3つの脳内物質の分泌が促され、鎮痛効果や気分の高揚・幸福感が得られると言うことだそうです。

さらに、交互の温冷浴で負荷がかかって交感神経優位となった肉体を、外気浴などで一気にクールダウンさせることによって肉体が副交感神経優位のリラックス状態になるという事でもあるらしいのでございます。

まあ小難しいことは措いといて、結果としてヤバイ薬などを使わずに、リラックスしてハイな気分になれる言う事ですな。

Gimel ( ギメル ) ダイヤモンド パヴェリング

さて、実際このハイな気分というのは他の快楽に例えるならどういった状態に似ているのかという事ですが、例えばランナーズハイ。すなわちジョギングやマラソンで、ある一定のランニング量を超えると沸き起こってくる快感、恍惚感。

また、この至高の境地は仏陀が説くいわゆる解脱、悟り、エンライトメントの境地と同一のものであると主張する説もございます。

なるほど、そう言われますと、サウナと水風呂を交互に使ったあと、屋外の寝湯に浸かってボーっとしておりますと、文字通り頭の中は真っ白、何の雑念も浮かんで来ず、見上げる空に浮かぶ行き過ぎる雲を何の感慨もなくただ見つめているだけ。なるほどこれこそ聖者の心持、間違いない!

Gimel ( ギメル ) ダイヤモンド パヴェリング

ただし、凡人に訪れるこの聖なる静寂の時はほんのつかの間。閨房においても、風呂屋においても、上がってパンツを履いた後はどなた様も皆元の木阿弥、ただの凡人に戻るようでございます。

という事で、本日のご紹介は見事に整ったダイアモンドが目にも眩しいギメルの指輪のご紹介でございます。

Gimel ( ギメル ) ダイヤモンド パヴェリング

このようなダイアモンドのパヴェセッティングリングは普段にも気軽に着けやすく、見た目にも美しいということで国内外、様々なメーカー、ブランドが競って製品として発表いたしております。ただしその品質に関しましては千差万別玉石混交生者必滅会者定離、もうその品質の幅は、ぴんから兄弟ならぬピンキリ。

そのキリの方なんかになりますと、ダイアなんてのも酷いもので、拡大して見ればまるでブラウンシュガーで拵えた氷砂糖のようなものの集合体。ダイアの表面の反射でなんとか輝いて見えるだけ。

おまけに石留なんかもまともに爪に留まっている石なんかありゃしない。なんで落ちないかというと、みんな予め接着剤で留めてるといった仕掛け。こんなのを値段の安さだけに惹かれて手を出してしまったら、もう後々悔やんでも悔やみきれない悔悟の日々を過ごす羽目になります。

Gimel ( ギメル ) ダイヤモンド パヴェリング

さてそれでは、ピンキリのピンはというとこれはもう菊正宗ピン、オッサンらしいボケをかましといてからの、当然こちらギメル社製お得意のダイアモンドパヴェセッティングリング。

最高のダイアモンドのみを集め最高のクラフトマンシップによって作り上げられた最高に整った作品は、最早何の説明も不要。お着けいただいたお手元がダイアモンドの輝きでほんのり照らし出されるかのような奇跡の着け心地。見るたびに、着けるたびに手に入れた満足感がどんどん増殖する、それこそがギメル!是非お試しを。

【No.161】オパールは玉虫色の万華鏡

ブラックオパール リング

スタッフのひとこと

あたかも油絵の名画のような色の重なり。こうなるともう芸術ですね!

「知らんけど」が流行語大賞トップ10入りやそうですな、知らんけど。

ぼくら関西人からしたら、今更いう感じやけど、他所の地域やと目新しいんやろか?知らんけど。

大阪なんかに住んでたらこの「知らんけど」言うのはしょっちゅう耳にしまっせ、知らんけど。

おばちゃん同士の会話なんかこの「知らんけど」のフレーズが無い事には始まれへん、知らんけど。

「あんた、知ってる?藤田さんとこのご主人また浮気してはんねんて、びっくりやろ?ほんでまた、その相手云うのが驚きやねん。誰やと思う?新地のキャバ嬢?ちゃうちゃう!そや、アンタもよう知ってる人やん、誰や思う?おせたろか?ほかの人に言うたらアカンよ。言うたろか?実は私やねん、知らんけど」

「知ってるやろー!」と突っ込んで会話が完結しまんねん大阪では、知らんけど。

ブラックオパール リング

実際ぼくなんかも、こうしてブログみたいな、作文みたいなもんを定期的に書かせてもろてまんねけど、なんせ元がアホやよって自分の知識、意見いうもんに自信が無い。そういう時、この「知らんけど」言うのは実に便利や。偉そうに断言しといてからの「知らんけど」の追い足しね。

もし間違ったこと言うてるのが後でバレても、「いや、そやから知らんけどいうてますやん」言うて言い逃れできますやん、知らんけど。

まあ、事程左様に便利な言葉やさかい、国会で答弁に立つ大臣方もこれを多用すれば、国会運営もスムーズに行くんちがう、知らんけど。

「はい、只今先生ご指摘の収支報告書の件に関しましては、政治資金規正法に鑑み、その都度適宜適法に処理がなされているものと理解しているところでございます、知らんけど」

こんな国会答弁誰ぞしてくれんもんかなー、絶対オモロイことになると思うんやけど。もう●元●美先生なんて黙ってへんで、絶対目ぇ剥いて突っ込んできよる、間違いない!知らんけど。

「ちょー待ってや大臣、何が知らんけどや!?よくもそんなえー加減、無責任な答弁できますねー!議長、こんないい加減な答弁は最早虚偽答弁の範疇に入るんちゃいますか?知らんけど」いうて、大阪では上品な地域と言われる北摂の品位を、一気に下げたとまで言われるおばはん議員の本領を存分に発揮してくれんのちゃうん?知らんけど

ブラックオパール リング

まあ、冗談はさておき、政治家の言葉というのは安易に言質をとられて攻められたらアカンさかい、基本的にこういった、「知らんけど」に象徴されるような曖昧な言い回し、レトリックが必要なのであります、知らんけど。

よく玉虫色の答弁などと云う事を耳に致しますが、逆に言えばそういった言い回しが出来ないことには、政治家というものは務まらんという事ですな、知らんけど。

国会中継なんかをたまにテレビで見物させてもらい、先生方の質疑応答を聴いとりましても実際なにを言いたいのかよく分からんいうのがしょっちゅうございます。

「委員ご指摘の事案に関しましては、甚だ憂慮すべき事柄であることを認るにやぶさかではございません。が、やぶさかも、ちはやふる神代も聞かぬあふ坂の関などと申しますが、袖触れ合うも多生の縁、降る雨を集めて速し最上川、古池やカワズ飛び込む水の音。

ここでご指摘のカワズとはカエルのことであるのは先般ご承知の通りでございますが、ならばガタロというものは何かという懸念が新たに浮上してまいるのではないかと憂慮致すところでございます。

したがいまして、まずはこの難題を可及的速やかな最優先課題として、挙党体制にて片手間に粛々と取り組み、全力を傾注しながらも、なおざりに経緯を見守っていこう、かように考える次第であります」

まあこんな風な事をその都度その都度、即興でのらりくらりと答弁するのやから大したもんや。きっとジャズセッションとかで楽器持たせても、即興の素晴らしいインプロビゼーションを展開するんやろな、知らんけど。

ブラックオパール リング

さて、ところで玉虫色の宝石と言えばなんと言ってもこちら、ご覧いただいておりますオパール。しかもこちらは、オパールの中でも最も値打ちのあるとされる、赤斑も鮮やかなブラックオパールなのでございます。

玉虫色とはウィキペディアによりますと、光の干渉によって起こる金緑から金紫の色調変化をする染色や織色をさす。また見る角度によって異なる色合いに見えること。とございます。まさにこのオパールの遊色効果そのものではございませんか、知らんけど。

実際、この玉虫の羽があまりに美しいため、これを装飾として貼り付け作られたのが、法隆寺所蔵の国宝、飛鳥時代に造られたという玉虫の厨子。ただし、なにせ生物の羽やさかいそんな長い間もたへん、今じゃ剥げ落ち、ほころび制作当初の美麗さのかけらもありません。ところがこちらのブラックオパールはなんちゅうたかて鉱物。千年経とうが二千年経とうがびくともせん、知らんけど。

しかも単調な玉虫の羽如きの変色などをはるかに凌ぐ、万華鏡の如き色彩のパノラマがこの石の表面でプロジェクションマッピングの如く鮮やか華麗に展開されるので、見る者は釘付け金縛り忘我の極みとなり、感動の吐息が思わず知らず口から漏れ出すという仕掛け、素晴らしい!感動をありがとー!森保ジャパン、なんでやねん?

ちなみに来年の流行語予想は「アレ」やからね。ただしこれも新生岡田阪神タイガースがアレしたときに限るナニやさかいあんまり期待せんといて。なんせタイガースのいつものナニやさかいアレするいうのも毎度のナニでまた結局アレあかんのちゃう?知らんけど。

その他のブログ記事