LED電球について 〜LED電球対応とは何か〜
当店で扱っている照明器具本体はすべて電球を使用する電球器具なのですが(以下「本体」と呼びます)、それについての説明をします。
よく、「(この本体には)LED電球は使えますか?LED電球対応ですか?」というお問い合わせをいただきますが、結論から先に言いますと「その本体に対応するLED電球であれば使えます」ということになります。本来、そのLED電球がその本体に対応しているのか、と考えるのが筋です。
LED電球のご使用の可否というのは、LED電球の仕様によるものなので、本体側で「使える、使えない」と判断するものではありません。LED電球側で判断するものです。なので「この本体にLED電球は使えるか?LED対応か?」ではなく、「そのLED電球はこの本体に使えるか?」ということを確認する必要があります。
いやいや、本体側に「LED電球対応」って書いているのあるじゃないか。LED電球が使える本体と使えない本体があるってことでしょ?
とおっしゃるのもごもっともです。
ネットショッピングで照明器具を見てみると「LED電球対応」という文言がよく見受けられます。ですが正直に申し上げると、僕には意味が分かりません。何をもって「LED電球対応」と言っているのか。
メーカーや販売店が「LED電球対応」と書いているのは「売りやすいから」だと思います。消費者は「これはLED電球に対応しているんだ、使えるんだ。じゃあこれを買おう。」と思うから。でもその言葉によって「LED電球を使える本体と使えない本体」があるという誤解を生んでしまっています。結果的には同じことになる場合もありますが、正しくは「その本体に使えるLED電球と使えないLED電球」があるだけです。それは、本体が持つ特定の機能(仕様)に対応していないLED電球があるためです。
メーカーや販売店は「LED電球対応」と書くことで、消費者にわかりやすく買いやすい(売りやすい)情報を提供しているつもりかもしれませんが、その安易な表現によって大きな誤解を生んでしまっているのです。かくいう我々も過去に「LED電球対応」という言葉は使っていたことがありましたが、現在は見つけ次第削除しております。
ちょっとややこしいでしょうか。でも、先入観さえとってしまえばとても単純で簡単なことです。
平成31年3月27日の消費者庁のニュースリリース(LED照明は正しく使いましょう)より抜粋します。
「従来の照明器具を替えずにLEDランプに切り替えるときは、その照明器具に使用可能かどうか、LEDランプの注意表示等で確認しましょう。」
これは僕が冒頭から述べていることと全く同じです。その本体に使用可能かどうかをLED電球(ランプ)側で確認しましょうっていうことです。ただそれだけです。
くどいようですがもう一度言いますね。
LED電球が使えるかどうか、というのは本体側ではなく、電球側で確認します。その本体に使える電球は使えるし、使えない電球は使えません。
ちなみにここでは割愛しますが、前述の消費者庁のニュースリリースには、注意表示を確認せずにLED電球に交換すると事故の原因になりますよ、という話が書かれているので、一度お読みいただくことをオススメします。
では実際にどこをどう確認すればいいのか。
まず電球選びの基本として、口金のサイズと消費電力を確認します。LED電球の場合はほとんど消費電力は気にしなくてもいいのですが、一応確認してください。確認の仕方や詳しいお話はコチラをご覧ください。その次に、LED電球の使用条件、注意表示を確認します。
当店で取り扱っているLED電球のパッケージにはこの画像のような注意表示があります。ご覧のように対応できない機能や注意しなければいけない事項がたくさんあります。そしてここに書かれていることが「このLED電球はその本体に使えるかどうか」の答えになっています。
本体には一部のLED電球が対応していない機能や仕様を持つものがあります。例えば「リモコン」「調光機能」などです。全てではないですが、そういった機能に対応していないLED電球があります。上の画像にも「リモコンの付いた器具、回路では使用しないでください」といった注意書きがあります。このLED電球はリモコン機器に対応していないので、リモコンの付いた本体には使えない、と判断できます。LED電球にはその他にも「○○に使えない」「○○では使用しないでください」といった注意表示が(たくさん)があるので、事前にそれらを確認して使用の可否を判断する必要があります。
なお、これは当店で扱っているLED電球の注意表示であり、一例です。LED電球というのは製造メーカーやその製品ごとに仕様や使用条件が異なりますので、LED電球ごとに確認する必要があります。
めんどくさいかどうかはわかりかねますが、少なくとも単純なものではありませんので、本来は簡単に交換できるようなものではないかもしれません。
しかしながら今の世間では「白熱電球=時代遅れ」、そして上記のような注意をおろそかに「とりあえず白熱電球をLED電球に替えれば正義」みたいな風潮があります。
LED電球に替えるともちろんその恩恵、メリットはたくさんあります。消費電力が多いよりは少ないほうが良いでしょう。それは間違いないと思います。だからと言って何の説明も無しにLED電球に替えましょうというキャンペーンがあるとしたらそれは無責任です。
現状、LED電球は簡単に「白熱電球の代替品」とは言いにくい繊細な問題をいくつか抱えていることを、意外と知られていないのが現実です。
そもそも電球器具の本体というのは白熱電球を使うための器具です。そしてその白熱電球用のソケットにLEDを付けられるようにしたものがLED電球です。白熱電球は白熱電球だし、LED電球はLED電球であって、別物です。「今どき白熱電球?LED電球付けてくれたら★5です」とかレビューを頂いたこともあります。まぁ確かに気持ちはわからなくはないですが、なんでもかんでも白熱電球が付いているところにはLED電球が付けられるというわけではないのです。白熱電球用のソケットを備えた照明器具にLED電球を付けたいのであれば、それなりに配慮したり注意しなければいけないことがあるということをわかっていただければと思います。
僕はLED電球を悪者扱いしているわけでは決してありません。「LED電球対応」っていう言葉が、誤解や混乱を招く原因ではないか、という話です。LED電球導入の敷居を低くしているつもりでも、結果的にLED電球への理解を遅らせているのではないかと思うのです。ただ、僕一人が「LED電球対応という言葉は使いません」と言っても世界は何も変わらないかもしれませんが、僕がこのお店(DOTS-NEXT)を任されている間だけは使わないでおこうと思っています。
白熱電球、LED電球それぞれに長所、短所があります。省エネが正義のこの時代なので、LED電球の特徴をきちんと理解したうえで照明計画を立てることができればいいわけで、そのために照明屋として僕たちが少しでもお手伝いできればいいなと思っています。