Do! マガジン | インタビュー
観葉植物専門店「Tou+plants(トウタスプランツ)」
text & photo Do! GREEN STORE 編集部
November 2023
マインドの変容を促し、選ぶ楽しさを伝える
コロナ禍を背景とした「おうち時間」の増加を受け、みどりのある生活が浸透する一方、「育てたいけれど、世話が面倒くさそう」との声もちらほら。こうした相反する声に、実際にプロはどのように向き合っているのでしょうか?
みどりのある生活をお客様に提案している観葉植物専門店「Tou+plants(トウタスプランツ)」オーナー・佐藤康昭さんに聞きました。
「Tou+plants(トウタスプランツ)」オーナー・佐藤康昭さん
お気に入りの「キャニオンマルチスプレー」。「これは使いやすい。信頼できる」と毎日のみどりケアに欠かせない必須アイテム。
contents
1. スタートは「できない・嫌・ヤダ」の払拭から
2. 自分が一番良く知る「選ぶ楽しさ」をお客様にも
3. お客様がつくる「選ぶ楽しさ」へ
スタートは「できない・嫌・ヤダ」の払拭から
「世話はあまりできないかも…ムシも嫌…枯らすのもヤダ」。このマインドを払拭する ことから、提案をスタートしています、と佐藤さんは語ります。「ちゃんとケアは必要 です。人間と同じ、生き物ですから。乾燥防止、ムシ予防のため、スプレーで葉水をしっ かりやりましょう」(佐藤さん)。
初めてみどりを育てる、子育て世代に多い相談のようです。トウタスプランツの約3 キロメートル先は、子育て世代中心の流山おおたかの森エリア。流山おおたかの森エ リアは、東京の秋葉原駅から最短25 分。シネコン併設の大型ショッピングセンターも 整備されており、子育て世代に人気のエリアとして知られています。
2023年9月にオープン1周年を迎えたトウタスプランツ。
「進化、深化、変化の余白をあえて残した」(佐藤さん)ため、更新性の高い内装材などを採用し、商品棚はすべて可動式。物件を仲介した不動産会社の担当者の「いつ完成するんですか?」という質問を思い出し、佐藤さんは「ずーっと完成しないです」と笑う。
佐藤さんが大切に育てている大型モンステラ(写真中央上)。
モンステラ特有の葉の切り込みの深さと、深緑と変色のコントラストが美しい。生命力とシャビ―感が融合した作品とも呼べるモンステラ。
自分が一番良く知る「選ぶ楽しさ」をお客様にも
最初のマインドの変容とともに、佐藤さんが重視しているのが、みどりをめぐる「選ぶ楽しさ」の提案。葉や枝の形、色。みどりを彩る鉢、鉢カバー。土、マルチング材。この一連の選択を、佐藤さんは「楽しいものとして体感してもらいたい」と話します。この「選ぶ楽しさ」という言葉は、佐藤さんの学生時代、会社員時代につながっています。
フラワーポットにも鉢カバーにも使える「エコチップマーブル フラワーポット」。小物入れとしても人気。
レジ前のガーデンツールコーナー。
イギリスのガーデンツールメーカーSPEAR&JACKSON(スピア&
ジャクソン)のフローラルシザーズ(花はさみ)を1本購入したあと、庭用に追加でもう1本購入したお客様も。「ショップでの剪定作業はこれ1本。柄についている金属のストッパーがブラブラしないから、剪定中に急にストッパーが働き、びっくりすることもない」と佐藤さん。
カラーリングが楽しい「エコチップマーブル ポット& ソーサー」。
トウタスプランツでの人気カラー1 位はイエロー。2 位にグレー、3 位はレッド。
お客様がつくる「選ぶ楽しさ」へ
経営学部に在籍しながら、インテリアとみどりの関係に気づき、自分の部屋で試行錯誤。大学卒業後に入社した家具・インテリア用品の大手販売会社では、最初に店舗に配属され、お客様に寄り添い、提案を繰り返す日々を過ごしました。本社商品部に異動後は、店舗空間をつくり上げるポジションに。
フロアの平面計画を策定し、棚に配置する商品一つひとつを選ぶ。平面から空間を立ち上げ、細部をつくり上げる仕事です。一斉に、同時に、700に近い店舗に落とし込むことは容易でないことは明らかです。
構想・計画し、商品一つひとつを選んで、最後に空間をつくり上げる。その大変さとともに生まれる「選ぶ楽しさ」を佐藤さんは自分事として知っているから、自分がオーナーを務めるトウタスプランツでも、お客様に「体感してもらいたい」のではないでしょうか。
みどりの素朴な疑問から、不安まで。気になるみどり。育てたいけど、育てることを、ためらうみどり。相談を通して、佐藤さんから「選ぶ楽しさ」をもらったら、今度は、お客様が佐藤さんから「選ぶ楽しさ」をつくる番。
映画で観たみどりを探してもらったり、部屋のみどりのコーディネートをお願いしたり。自分だけの「選ぶ楽しさ」が生まれる瞬間です。
Profile
Yasuaki Satou
1983 年、千葉県柏市生まれ。
大学卒業後、家具・インテリア用品の大手販売会社に勤務。
店舗勤務を皮切りに、店舗レイアウトの構成や空間演出などを担う本社商品部へ。
「一度きりの人生。インテリアとみどりに挑戦したい」という思いから、退職後の2022 年9 月、柏市に隣接する流山市に観葉植物専門店「Tou+plants(トウタスプランツ)」をオープン。
店名のTou+(トウタス)は、佐藤さんの造語で、To you +(トゥーユー
タス=あなたにプラス)を縮めたもの。Plants(みどり)を組み合わせ、みどりでお客様の暮らしに彩りをプラスしたい、という思いが込められている。
休日は、3 人の子どもとボールを追いかけるサッカー好きのパパ。
Access:東武鉄道野田線(東武アーバンパークライン)江戸川台駅から徒歩1 分
Address:〒270-0115 千葉県流山市江戸川台西2-144-1F
Tel:04-7114-2980
【Do! マガジン】インタビュイーへの共通質問
Q:「みどりのある生活」を定義してください。
A: 日常に落ち着き、安らぎを与えるもの。新芽の芽吹きなどを通して、四季折々の変化と喜びを与えてくれる。大切な存在だから、失ったときの喪失感も大きい(Tou+plantsオーナー・佐藤康昭さん)。